車のマイナーチェンジ/フルモデルチェンジとは?違いや周期、最新事例

車のマイナーチェンジ/フルモデルチェンジとは?違いや周期、最新事例

車のモデルチェンジとは

車のモデルチェンジとは、車種名を変えず内外装や構造、エンジンなどを変更することです。車の質が上がるだけでなく、ユーザーが車を買い替えるきっかけにもなります。

フルモデルチェンジの起源は、1920年代にGM(ゼネラルモーターズ)が導入した戦略と言わています。固定車種で人気を集めていたフォードに対抗すべくGMが販売中モデルのデザイン変更を行ったところ、ユーザーの買い替えを促すことに成功しました。

モデルチェンジにも2種類ある

モデルチェンジが行われるフロー

モデルチェンジには、「マイナーチェンジ」と「フルモデルチェンジ」の2種類があります。

マイナーチェンジはフルモデルチェンジまでの間に比較的短いスパンで行われ、車の内外装や機能、装備などの一部を変更します。
これに対してフルモデルチェンジは長い年月を経て行われ、車の内外装から各種装備、エンジンなど全面的に刷新するのが一般的です。フルモデルチェンジをすると車の型式も変わり、「2代目」「3代目」などと呼ばれます。

車の型式とは
国土交通大臣が認証する自動車の分類指標のこと。構造や装備が変更されるフルモデルチェンジでは、車種の型式も変わる。車の型式は、車検証などで確認できる。

マイナーチェンジとは

マイナーチェンジとは、先にご紹介したように車の一部を変更するモデルチェンジです。多くの車種では、3~5年ほどの周期でフルモデルチェンジの前に1~2回のマイナーチェンジを行います。

マイナ―チェンジで変更されるのは、主に内外装や一部の装備です。構造やエンジンの変更はありません。マイナーチェンジ前後で「前期/中期/後期モデル」などと呼び方を分けることが多いです。

ビッグマイナーチェンジもある

ビッグマイナーチェンジの例。デリカD:5

マイナーチェンジの中にも、内外装を大幅に変更したり、パワートレインや新たなグレードの追加を行ったりする「ビッグマイナーチェンジ」というものがあります。

例えば現行の三菱デリカD:5は、2007年のデビューからから2024年2月現在までフルモデルチェンジを行っていません。しかし2019年にはビッグマイナーチェンジを実施。内外装を大幅に変更しただけでなく、予防安全装備を充実させ、走行性能では8速ATを採用しました。

【関連記事】三菱デリカD:5新旧比較レビュー!マイナーチェンジで何が変わった?

一部改良との違い

一部改良や部分改良も基本的にはマイナーチェンジと同義です。ただしメーカーによっては、「マイナーチェンジよりごく軽微な変更」を指すこともあります。

またメーカーによっては、毎年少しずつモデルに変化を出す「年次改良」を行っています。

マイナーチェンジの例「アルファード

マイナーチェンジの例:アルファードの車両比較の画像

3代目(30系)アルファードは、2015年1月~2023年6月まで販売されていたモデルです。2018年1月のマイナーチェンジを境に前期モデルと後期モデルに分けられます。

ビッグマイナーチェンジしたデリカD:5と比べて、外観の変化は少ないです。一方、外観以外ではエンジン性能の向上や安全装備の充実が図られ、乗り心地と走行性も向上しています。

【関連記事】アルファード30系前期・後期の違いは?買うならどっち?

フルモデルチェンジとは

フルモデルチェンジは5~10年ほどの周期で行われる、車種の全面的な刷新です。内外装の大きな変化に加え、エンジンや構造も変更されることが多いです。

初代モデルを皮切りに、フルモデルチェンジするごとに「2代目」「3代目」…と呼ばれます。またトヨタや日産の車では、「20系」など型式番号由来の呼び名も使われます。

新車でも中古車でも価格への影響大

一般に、モデルチェンジ前は新車の値引きが大きくなりやすく、モデルチェンジ後の型落ちモデルでは中古車相場の値下がりが起こります。

特にフルモデルチェンジでは見た目が大きく変化し、燃費性能なども向上していることが多いため、マイナーチェンジ以上に車両価格への影響が大きいです。

フルモデルチェンジの例「N-BOX

フルモデルチェンジの例:N-BOXの車両比較の画像

N-BOXは2023年10月にフルモデルチェンジし、3代目がデビューしました。

2代目でも完成度が非常に高かったため、3代目は2代目と同じプラットフォームを採用し、パワートレインにも変化はありません。しかしエンジンは細部まで見直され、走りの質や乗り心地が向上しています。見た目もホンダ車らしい、愛らしくもユニークな外観になりました。

【関連記事】N-BOX、N-BOXカスタムの新型は旧型とどう違う?

車を買うならモデルチェンジ前?後?

車を買うタイミングとして、モデルチェンジ前と後のどちらが良いかは悩ましいところです。どちらにもそれぞれメリットがあるので、ここでは3つのパターンに分けてメリットを整理しましょう。

モデルチェンジ前の新車を買うメリット

  • 大幅値引きを狙える場合がある
  • リコールが少ない
  • 試乗できることが多い

モデルチェンジを控えている場合、ディーラーは在庫を残さないよう多めに値引きする傾向があります。またモデルチェンジ前であれば、それ以前の改良で問題点を解消していることが多く、予期せぬ故障などが起こりにくいです。

新車を買う中でもコスパ重視の人や「実物を見て買いたい」という人は、モデルチェンジ前を選ぶと良いでしょう。

モデルチェンジ後の新車を買うメリット

  • 見た目が新しい
  • 高性能になっている
  • 売却時の査定額が高くなる

モデルチェンジ後の車は内外装がスタイリッシュになっていたり、性能面が充実していたりします。特に近年は安全性能の違いが大きいです。また売却時には、当然ながら新しいモデルの方が高く売れます。

安全性重視の人や、定期的に乗り換える人にはモデルチェンジ後の新車がおすすめです。

型落ちモデルを中古で買うメリット

  • 中古車の中でも安く購入しやすい
  • 細かな点が改良されている

型落ちしたモデルは中古車価格が下がりやすいです。また細かい改良を経てモデルとしては成熟した状態なので、安心感もあります。

モデルチェンジ前後の見極めが重要な中古車
ご紹介したように、モデルチェンジで型落ちしたモデルは中古車価格が下がりやすいです。一方で型落ちモデルは安全装備などが充実していないことも考えられるので、気になる車種のモデルチェンジの経歴や在庫車両の年式による違いをよく確認しましょう。

最新!モデルチェンジ前後のおすすめ車種

ここからは、2022年~2023年の間にフルモデルチェンジした車種の中から「新車で新型を買いたい車種」「中古で型落ちモデルを買いたい車種」を厳選してご紹介します。

新車①スズキ「3代目スペーシア

モデルチェンジ前後のおすすめ車種の例:スペーシアの車両画像

  • 新車時価格:153万円~182.5万円

スペーシアは2023年11月にフルモデルチェンジ。燃費性能が大幅に向上し、広さ重視のスーパーハイトワゴンとしては異例の25.1km/L(WLTCモード)の最高燃費を誇ります。また内装の使い勝手も非常に良くなっており、車両価格も上がったものの、質の高い一台となっています。

新車②トヨタ「3代目シエンタ

モデルチェンジ前後のおすすめ車種の例:シエンタの車両画像

  • 新車時価格:195万円~310.8万円

シエンタは2022年夏にフルモデルチェンジ。見た目が可愛くなっただけでなく、高い予防安全性能を備えました。またスライドドアのハンズフリー機能など、便利な機能も選べるようになっています。トヨタの高いハイブリッド技術で最高燃費も28.8km/L(WLTCモード)と優秀です。

中古車①ホンダ「2代目N-BOX

モデルチェンジ前後のおすすめ車種の例:N-BOXの車両画像

  • 新車時価格:164.9万円~236.3万円
  • 中古車相場:5万円〜218.2万円

2023年10月にフルモデルチェンジしたN-BOX。新型である3代目の方が見た目はユニークになったものの、プラットフォームなどは2代目と変化がなく、燃費性能も殆ど変わありません。安全性能は3代目の方が充実していますが、車両価格も大きく上がったので、近距離運転中心なら中古の上位グレードを狙うのもおすすめです。

中古車②トヨタ「4代目プリウス

モデルチェンジ前後のおすすめ車種の例:プリウスの車両画像

  • 新車時価格:275万円~460万円
  • 中古車相場:5万円〜510万円

プリウスは2023年1月にフルモデルチェンジ。現行の5代目はスポーティーな外観で走行性能も向上していますが、リアの視認性や車内の居住性では先代モデルの方が優秀です。運転初心者や快適性重視の場合は、敢えて先代モデルを選んだ方が良いでしょう。

中古車③トヨタ「3代目アルファード

モデルチェンジ前後のおすすめ車種の例:アルファードの車両画像

  • 新車時価格:540万円~872万円
  • 中古車相場:25万円〜1299万円

アルファードは2023年6月にフルモデルチェンジして4代目となりました。高級感のある内外装と装備を備え、グレードも2展開に絞られています。居住性も非常に高く、安全性や燃費性能も向上していますが、その分車両価格もかなり高くなっています。3代目でも充分に人気があるため、予算オーバーの場合は中古での購入を検討しましょう。

車選びで迷う人へのオススメ記事

車の購入時は見た目の好みや欲しい性能、予算との兼ね合いでベストな選択肢を考えましょう。中古でも実際の走行に使われていない「登録済み未使用車」など、様々な選択肢があります。車選びで迷っている場合は以下の記事も参考にしてください。

【2024年】中古で狙い目の軽自動車5選!人気車種から隠れた名車まで

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中古の軽自動車には性能の割に価格が安いお買い得モデルもあります。ここでは予算50~100万円程度でも手に入るおすすめのコスパ優良軽自動車や、今後値下がりが期待できる人気の軽自動車をまとめてご紹介しています。

中古で狙い目なのはどんな軽自動車

軽自動車は、普通車と比べて中古車価格が値下がりしにくい傾向があります。今や人気のボディタイプであり、元々安価な分だけ値崩れも起こしにくいからです。

そんな中でも、以下のような軽自動車は相場価格が下がりやすく、性能の割に安いことも多いので狙い目です。

  • モデルチェンジで型落ちしている
  • 中古車市場での流通量が多い
  • 好みが分かれる/ブランド力が低い

中古で買うべきおすすめ軽自動車5選

今回は、中古軽自動車の中でも低予算で購入できるおすすめ車種を厳選しました。

①予算50万円~「8代目アルト

中古車で狙い目の車:アルトの車両画像

  • タイプ:ロールーフ系
  • 最高燃費:25.8km/L(WLTCモード)
  • 販売期間:2014年12月~2021年12月

8代目アルトはスポーティーな見た目や燃費の良さで人気が高かったモデルです。元々車両価格が安かったこともあり、低価格で手に入ります。特に通勤用におすすめです。

2018年12月以降の一部改良モデルなら衝突被害軽減ブレーキの性能が大幅に向上している他、誤発進抑制機能も前進・後退の双方に対応しています。2019年以降のモデルでも、車両価格60万円程度から販売されています。

【利用者口コミ】
通勤用にアルトの中古を購入しました。通勤中に道路が混んだときによく狭い抜け道を通るのですが、サイズの小さいアルトはとても走行しやすかったです。(中略)アルトは他のスズキの軽自動車同様に横にシフトレバーが無いので運転席も助手席も広く乗車できるのが良いですね。(30代男性)

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②予算60万円~「3代目タント

中古車で狙い目の車:タントの車両画像

  • タイプ:スーパーハイトワゴン
  • 最高燃費:28.0km/L(WLTCモード)
  • 販売期間:2013年10月~2019年7月

新車で買うとかなり高価なスーパーハイトワゴンも、3代目タントなら安く購入できます。おすすめポイントは助手席側が大開放される「ミラクルオープンドア」。N-BOXスペーシアにはない強みで、利便性が高いです。

おすすめモデルは2016年11月以降の一部改良モデルです。安全装備「スマートアシストⅢ」が採用され、衝突被害軽減ブレーキの性能が上がっています。また左右後方の障害物を検知するコーナーセンサーも搭載されています。

【利用者口コミ】
軽のワゴンですが車内は広々として視界も良いです。背が高い自分でも停車時に腕を伸ばしてゆったりくつろげる空間になっています。ピラーレス部分にはベビーカーも乗せられるので助かります。(中略)リアのデザインはシュっとしてスタイリッシュなのが個人的にお気に入りポイントです。(30代女性)

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③予算70万円~「初代ハスラー

中古車で狙い目の車:ハスラーの車両画像

  • タイプ:軽SUV
  • 最高燃費:32.0km/L(JC08モード)
  • 販売期間:2014年1月~2020年1月

初代ハスラーは中古車市場での流通量が非常に多く、低予算で購入できる車両も多いです。おすすめは2015年5月以降の一部改良モデルで、デビュー直後のモデルより燃費性能が向上しています。

安全性能や乗り心地といった点では2代目の方が優秀ですが、デザイン重視なら初代でも遜色なく、むしろ「見た目は初代の方が好き」という人も多いです。初代でもオフロード性能を有し、ちょっとした山道などは難なく走ります。

【利用者口コミ】

私はアウトドア派で夏はサーフィンにキャンプに釣り、冬はスノーボードに雪山登山とアクティブに活動しているのですが、ハスラーは悪路でも問題なく進み、冬山や砂地でも安定した走りを見せるだけではなく、後部座席を倒せばかなりの収納ができるため、長さのある釣り竿なんかも簡単に積み込むことができます。(後略)(20代男性)

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④予算80万円~「初代ミラトコット」(現行)

中古車で狙い目の車:ミラトコットの車両画像

  • タイプ:ロールーフ系
  • 最高燃費:22.6km/L(WLTCモード)
  • 販売期間:2018年6月~

どこか哀愁を帯びデザインのミラトコットは、2018年にデビューしたばかりのクルマです。新しい分だけ安全装備などが充実しており、且つ年式の新しい中古車でも安く購入できます。

他のクルマと被らない個性を持ちつつ、くすみカラーなど落ち着いた色合いを揃えているので誰でも乗りやすい点が魅力です。 「予算は低めでも新しいクルマが欲しい」といった場合にお勧めします。

【専門家レビュー】

ミラトコットは、角を丸くした四角いデザインに大きく丸いヘッドライトが組み合わされ、シンプルながら愛嬌のあるスタイルになっている。基本的に女性をターゲットにしたデザインだが、可愛さばかりに特化していないので、意外と男性でも乗れる幅の広さも魅力的だ。

専門家のレビューをさらに読む|中古車のガリバー

⑤予算100万円~「初代eKクロス」(現行)

中古車で狙い目の車:ekクロスの車両画像

  • タイプ:ハイトワゴン
  • 最高燃費:23.3km/L(WLTCモード)
  • 販売期間:2019年3月~

eKクロスは日産と共同開発されたモデルで、デイズの姉妹車にあたります。基本的なスペックはデイズと全く変わらず、走りの質が非常に高いハイトワゴンです。

新しいモデルで性能面も優れていながら、三菱のブランド力の問題で中古車価格はあまり高くありません。例えば上位グレードの「T Premium」は新車時価格が180万円を超えますが、中古では110万円程度で売られているケースも。高速道路で自動追従する「マイパイロット」機能を有した最新モデルがこの価格であれば、納得モノです。

【専門家レビュー】

走行性能は、2代目デイズとeKクロスがこのクラスのトップレベルだ。車重が少し重い分、やや低重心化されていている。カーブでの安定感はピカイチで、横風にも強い。リヤもサスペンションも路面をしっかりと掴んで離さないので、安心して走れる。こうした走りの良さは、2代目デイズとeKクロスの美点だ。

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今後の値下がりが期待の軽自動車2選

今後中古車価格の低下が期待できるのは、2023年秋~冬にかけてモデルチェンジした以下の2車種です。

①2代目N-BOX

中古車で狙い目の車:N-BOXの車両画像

N-BOXは2023年10月にフルモデルチェンジし、3代目になりました。より独自性のあるデザインに変化するとともに、静粛性を向上して快適な一台に仕上がっています。

ますます魅力的になった3代目のN-BOXですが、2代目でも完成度は非常に高いです。元々普通車以上に売れているような車種なので、中古車市場での流通量も非常に多く、今後相場価格の値下がりが期待できます。

②2代目スペーシア

中古車で狙い目の車:スペーシアの車両画像

スペーシアも2023年11月にフルモデルチェンジし、3代目となりました。収納スペースやUSBポートの充実、後部座席のオットマンの採用など快適性が大幅に向上。最高燃費は25km/L超え(WLTCモード、FF)で、非の打ち所がない一台に仕上がっています。

スペーシアは元々スーパーハイトワゴンの中で車両価格が安く、燃費性能にも優れている車種です。そのためコスパ重視の人は今後値下がりするであろう2代目を狙うと良いでしょう。

中古軽自動車選びのポイントは?

中古車を購入する場合は、価格ばかりに気をとられてはいけません。特に軽自動車を選ぶ際は、以下のポイントを押さえましょう。

  • 年式は5~7年落ちくらいまで
  • 走行距離は7万kmくらいまで
  • 安全性能は必ずチェック

安全装備のことを考えると、年式は5年落ちくらいまでがおすすめです。ただしコストを重視する場合は7年落ちでも良いでしょう。普通車に比べてボディ剛性が乏しいと言われる軽自動車だからこそ、安全性能や車両状態はしっかりチェックしてください。

新しさ重視なら登録済み軽自動車

「安く買いたいけど新しさにもこだわりたい」という場合は、中古車の中でも登録済み未使用車を検討してみましょう。
ディーラーなどで車両登録は済ませてあるものの、実際の走行には使われていないクルマなので、状態が非常に良いです。

中古車扱いで、諸費用も踏まえると新車より安く購入できます。 ガリバーでも多くの登録済み未使用車を扱っているので、気になる車種で在庫がないか調べてみてください。

norico編集部オススメ記事

noricoではクルマ選びの参考になるランキングやおすすめ車種の紹介記事を多く掲載しています。以下の記事もぜひ参考にしてください。

SUVとはどんなクルマ?特徴や種類、選び方、人気車種を分かりやすく

SUVはアウトドアや家族の送迎など様々な用途に利用できます。高い走行性とデザイン性で長年人気のあるボディタイプです。ここではSUVのメリット・デメリットを含めた特徴、種類、選び方、人気車種などを解説しています。

SUVとは

SUVの略語の意味を解説

SUVはSport Utility Vehicleの略で、「エス・ユー・ヴイ」と呼ばれます。ミニバンセダンと同じクルマのボディタイプの一つです。

日本語では「スポーツ用多目的車」と訳されますが、用途はスポーツやアウトドアに限りません。「多目的車」とあるように、家族の送迎や通勤など、様々な目的に利用できます。

Q. SUVはなぜこんなに人気?

現在のSUVブームは、北米では1990年代から、日本でも2000年代から続いています。SUVがこれだけ人気なのは、主に以下の2つの理由からです。

  • 実用性が高い
  • デザイン性が高い

SUVは雪道や舗装されていない道などの悪路に強いです。また荷物を多く積むことができ、車高が高いため視界も広く保てます。さらに見た目の野暮ったさがなく、使い勝手とデザイン性の高さを両立している点が大きな魅力です。

SUVの特徴3つ

SUVの例:ソルテラの車両画像
※スバル「ソルテラ」

SUVにはボディタイプとしての厳密な定義がなく、種類も様々です。ここでは一般的なSUVの特徴を3つご紹介します。

特徴①雪道や山道などの悪路に強い

SUVの形状に関する最大の特徴は、「最低地上高」の高さです。
最低地上高とは、地面から車体の最も低い部分までの高さを指します。SUVはこの最低地上高が他のボディタイプに比べて高いため、雪道や凹凸のある道も走りやすいです。

さらにSUVでは、力強い走行や停止が可能な4WD車を揃えている車種が多いです。そのため降雪地域や山間部に住む人に向いています。

【関連記事】2WDと4WDの違いとは?四駆車を選んだ方が良いのはどういう人?

特徴②走行性が高く、安定感もある

SUVは砂利道のようなオフロードと、市街地走行の両方に対応できるクルマが多いです。またコンパクトカーなどに比べると車重が重く、その分だけ走行に安定感もあります。

車種によっては完全にオフロード向きで市街地走行が苦手なSUVや、車重が重いばかりに燃費の悪いSUVもあります。しかし現在ではオフロード走行と市街地走行のバランスを取ったSUVや、低燃費なハイブリッドSUVも多いです。

特徴③荷物を多く積める

SUVは元々アウトドアを意識したクルマということもあり、荷室が広いです。積載性はミニバンほどでないものの、セダンやステーションワゴンに比べて高さもあり、大量の荷物を積むことができます。

【注意】乗降性は高くない

SUVは構造上の問題から、スライドドアの搭載車種がありません。また最低地上高が高く、小さな子どもにとっては乗り降りしにくいです。

高齢者では、「乗りにくい」という意見も「座面が高くて乗りやすい」という意見もあります。同乗者の乗降性が気になる場合は、お店で乗り降りを体験させてもらいましょう。

SUVの分類

SUVには、以下のように軽自動車やコンパクトカーサイズのものから3列シート7人乗りのものまで幅広いサイズの選択肢があります。

サイズ コンパクト ミドルサイズ フルサイズ
乗車定員 4人 5人 5~7人 5~7人
全長の目安 3.4m以下 約4.4m以下 約4.4m~5.0m未満 約5.0m以上
車種例 ジムニー
ハスラー
タフト
ライズ
ヴェゼル
ヤリスクロス
ハリアー
CX-5
エクストレイル
・ランドクルーザー
CX-8
・LX

SUV

軽SUVの例:ジムニーの車両画像※スズキ「ジムニー

SUVは、厳密に言えば軽自動車の一種です。乗車定員は4人ですが、車両価格も維持費も安く、「低コストでデザイン重視」という人にお勧めします。

種類はスズキ「ジムニー」「ハスラー」とダイハツ「タフト」の3種類に限られます。このうちジムニーのみが本格オフローダーで、他の2車種は適度なオフロード性を有しながらも街乗り中心のモデルです。

コンパクトSUV

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※トヨタ「ライズ

「小さめで、且つちょっとしたアウトドアに使いたい」という場合におすすめのサイズです。都市型SUVと呼ばれる、街乗り中心を前提としたSUVが大半を占めます。

洗練されたデザインで比較的軽量な車種が多く、ハイブリッド車なら燃費もある程度期待できます。日常使いを中心に考えている人や、都市部に住んでいる人はこのサイズを選ぶと良いでしょう。

ミドルサイズSUV

SUVの例:アウトランダーPHEVの車両画像
※三菱「アウトランダーPHEV」

アウトドアを好む人におすすめなのが、ミドルサイズです。街乗り中心のモデルでも最低地上高が高めで、オフロード性能の高い車種が多いです。また車種によっては3列シートを搭載しています。

オフロード性能が高くなる一方で、車両価格や維持費もサイズの小さいクルマより高くなります。購入予算や家計とのバランスも考慮して選びましょう。

フルサイズSUV

SUVの例:CX-8の車両画像
※マツダ「CX-8

全長5m前後、全幅1.8m以上とかなり大きめのSUVです。「7人乗りでどうしてもSUVが良い」「迫力や存在感のあるクルマが良い」という人にお勧めします。

ただし車両価格が高く、燃費も一般に良くありません。またSUVの3列目にミニバンのような快適さは求められないので、普段から3列シートを使う場合は実物を見た上でよく検討しましょう。

【豆知識】構造による分類もある

SUVの例:ラングラーの車両画像

※ジープ「ラングラー・アンリミテッド」(クロスカントリー)

SUVはサイズによる分類の他に、構造による分類で「クロスカントリー」と「クロスオーバー」に分けられます。

クロスカントリーはオフロード走行を中心としたSUVで、最低地上高がかなり高いです。乗り心地は硬く、燃費も良くありません。「カクカクした」外観が特徴です。
一方クロスオーバーは街乗りを中心としています。オフロード性能はクロスカントリーに劣りますが、燃費や実用性といった点で普段使いに向いています。

SUVの選び方のポイント

長年にわたり人気の高いSUVですが、人気だからこそ選択肢は多いです。ここではSUVの選び方のポイントを3つご紹介します。

ポイント①サイズを選ぶ

ボディサイズは使い勝手に直結する部分です。小さいと乗車定員や積載性が限られる一方、大きすぎると運転しにくくなり、維持費も高い傾向があります。乗車人数や載せたい荷物の内容、自宅の駐車スペース、よく利用する道の広さも考えて、サイズを選びましょう。

ポイント②求める走行性能を考える

趣味中心でオフロード走行に特化したクルマが欲しい場合はクロスカントリーSUV、普段使いを中心で考えるならクロスオーバーSUVを選びましょう。

クロスオーバーSUVでも、現在は2WDと4WDを選べることが多いです。2WDの方が安価ですが、4WDの方がグリップ性能が高く、雪道などにも対応します。アウトドアに使う場合や、降雪の多い地域に住んでいる人は、4WD車を選ぶと良いでしょう。

ポイント③デザインを考える

SUVでは、エクストレイルやランドクルーザーのように力強さを押し出した印象のものや、CX-5ハリアーのように上品な印象に仕上げたものなど多くのデザインがあります。デザイン性が高いクルマだからこそ、自分好みのデザインを選びましょう。

ただし購入したクルマを「何年乗るつもりか」考えることも重要です。例えば新車を買って10年以上乗るつもりなら、将来的に好みが変わっている可能性もあります。

SUVの人気車種

現在はトヨタのコンパクトSUVが圧倒的に人気ですが、ここではクルマ選びの参考として、メーカーやサイズ感の異なる人気SUV5台をご紹介します。

スズキ「ハスラー」(軽)

SUVの例:ハスラーの車両画像

手頃な車両価格と維持費でSUVの雰囲気を楽しみたい人におすすめなのが、軽SUVハスラーです。マイルドハイブリッド搭載で燃費性能に優れ、安全性の高さにも定評があります。

中古車でもかなりの台数が流通しているので、車両価格を安く抑えたい場合は中古で初代ハスラーを購入するのもおすすめです。

【関連記事】目的別に選ぶのが正解!軽自動車SUVの選び方

ホンダ「ヴェゼル」(コンパクト)

SUVの例:ヴェゼルの車両画像

コンパクトSUVはカジュアルな雰囲気のモデルが多いですが、ヴェゼルはそんな中で上質感や重厚感を備えています。燃費性能ではトヨタのSUVに劣るものの、荷室スペースが広く、運転のしやすさと車内の快適性のバランスに優れた一台です。

こちらも中古車市場である程度の台数が出回っているので、中古も含めて検討すると良いでしょう。

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トヨタ「ヤリスクロス」(コンパクト)

SUVの例:ヤリスクロスの車両画像

SUVの中で燃費の良い車種を選びたいなら、ヤリスクロスをお勧めします。ハイブリッド車の最高燃費は30.8km/L(FF、WLTCモード)を誇り、ハイブリッドのコンパクトカーと遜色ない燃費性能です。

デザイン性で好みが分かれるものの、コスパ重視なら外すことのできない一台でしょう。

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日産「エクストレイル」(ミドルサイズ)

SUVの例:エクストレイルの車両画像

逞しい外観でオフロード性能にも優れるエクストレイル。アウトドアに使いたいなら検討すべき一台です。日産独自のハイブリッド技術e-POWERを全車標準装備し、大きめのサイズながら燃費は20km/L弱(WLTCモード)と悪くありません。

予算を抑えたいなら、2022年夏まで販売されていた先代モデルを中古で購入すると良いでしょう。

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トヨタ「ランドクルーザー」(フルサイズ)

SUVの例:ランドクルーザーの車両画像

フルサイズSUVで絶大なる人気を誇るランドクルーザー。クロスカントリータイプの本格オフローダーで、世界的に人気があります。そのため新車ではかなり手に入りにくくなっており、中古でも高値を維持しています。1サイズ小さめの「ランドクルーザープラド」も選択肢に入れて検討すると良いでしょう。

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