この記事の目次 CONTENTS
新型コロナの影響で車通勤が増えている
長期化する新型コロナに、中古軽自動車の購入検討者も増加
通勤用の中古軽自動車の選び方
1位 ダイハツ ミラトコット
2位 スズキ ワゴンR
3位 ダイハツ ミライース

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

新型コロナの影響で車通勤が増えている

コロナ禍において、生活様式は変わりつつある。それは通勤も同じだ。

これまでは通勤に公共交通機関を使うのが主流だった。
しかし、「密」を避けるため、自転車やバイクなどで通勤する人が増えた。
ただ、自転車やバイクは天候に左右されるケースが多い。
そのため、より快適に移動するツールとしてクルマが再び注目されてきているのだ。

「新型コロナが収まるまでの間、短期でクルマを借りる」というニーズが高まり、短期リース関連は顧客が増えている。
特に短期リースの中でも、税金や整備費などのコストが含まれたコミコミ定額制という仕組みが支持されているという。

長期化する新型コロナに、中古軽自動車の購入検討者も増加

現在、新型コロナは収束するどころか、長期化が見込まれている。
こうなると「短期リースではなく、せっかくなら購入しよう」と考える人も増えてくる。
実際、2020年7月の軽自動車販売台数はコロナ禍でありながら、前年並みとなった。

収束が見えない新型コロナ時代に、注目されるクルマ通勤。
中でも、購入コストが安価で済む、中古軽自動車に視線が集まっている。

通勤用の中古軽自動車の選び方

通勤用や移動の足という目的であればお買い得感があり、燃費が良くて経済的、見栄えも良好な中古軽自動車を選びたい。

選ぶにあたって、まず重要なのがカテゴリーだ。軽自動車には、大きく分けて3つのカテゴリーが存在する。

最も人気が高いのは、スーパーハイト系。
非常に全高が高く、両側スライドドアをもつのが特徴だ。
しかし、中古車価格が高く、車重が重いので燃費はあまり期待できない。
通勤や移動の足という目的では、コストパフォーマンスが低い。
そこで、スーパーハイト系軽自動車は除外したい。

次にハイト系だ。
ハイト系は、スペースや使い勝手、燃費など総合バランスがよい。
移動の足以外にも使える、利便性がある。
ただし、スーパーハイト系に次ぐ人気カテゴリーで、中古車価格がやや高い。

残るロールーフ系は、もともと移動の足としての価値を高めたモデルということもあり、燃費もよく、中古車価格も安い。
ただし、スーパーハイト系やハイト系に比べると、使い勝手面ではやや劣る。

こうした傾向を理解し、自分にあったモデルを選ぶとよい。
今回は、主に中古車価格と燃費、安全装備を重視して、おすすめ車種をセレクトした。

1位 ダイハツ ミラトコット

デザイン、燃費、安全性能などのバランスが取れたモデル

ミラトコットは、2018年6月に発売された比較的新しいロールーフ系のモデルだ。
同じロールーフ系のミライースがベースとなっているが、内外装などをミラトコット専用にしている。
「ミライースはあまりにシンプル過ぎるので、もう少し上質感が欲しい」と感じる人に向く。

ミラトコットは、角を丸くした四角いデザインに大きく丸いヘッドライトが組み合わされ、シンプルながら愛嬌のあるスタイルになっている。
基本的に女性をターゲットにしたデザインだが、可愛さばかりに特化していないので、意外と男性でも乗れる幅の広さも魅力的だ。

搭載されるパワーユニットは、直3 660㏄の自然吸気ガソリンエンジンのみ。
出力は52ps&60Nmと平均的なスペックで、ターボ車の設定はない。
マイルドハイブリッドなど、高価なシステムは採用されていないが、燃費は29.8㎞/L(JC08モード、FF車)と良好だ。
駆動方式は、FF(前輪駆動)と4WDが用意されている。

また、比較的新しいモデルということもあり、予防安全装備も充実しているのも魅力。
歩行者検知式自動ブレーキやアクセルとブレーキの踏み間違え防止機能など、一定レベルをクリアしている。
こうした安全装備の総称は「スマートアシストⅢ」と呼ばれていて、ほぼ標準装備化されている。
Lグレードのみ「スマートアシストⅢ」が装備されていないので、このグレードは選択肢から外したい。

おすすめは最上級グレードのG SAⅢ

ミラトコットの中古車相場は、約80~120万円。
車両価格が高い4WD車が高値となる傾向で、FFなら約80~110万円が相場だ。

おもしろいことに、2年落ちの2018年式と2020年式の価格がそれほど大きく変わらない。
こうなると、なるべく年式が新しい車両を選択したい。

おすすめは最上級グレードのG SAⅢ。
最上級グレードなので、装備が充実しており満足度も高い。
このグレードだと、中古車価格が100万円を超えるものが多くなってくる。
装備を重視しないのであれば、中間グレードのX SAⅢでも十分だ。
このグレードだと100万円を切る車両が多くなる。

選択時のポイントは、純正ナビやETC、ドライブレコーダーなどが装備されている車両を積極的に選択したい。
これらの装備は、後から装着すると高額になるケースが多いからだ。

2位 スズキ ワゴンR

マイルドハイブリッドを搭載し、燃費31.0㎞/Lと、超経済的!

ワゴンRは、2017年2月の発売で、やや背が高いタイプのハイト系の軽自動車だ。
箱型のボディで、室内スペースも広い。
そのため、移動用の足としてだけではなく、さまざまな用途でマルチに使える。

スーパーハイト系のようなスライドドアを持たないため、軽量で燃費がよいのも魅力。
また、マイルドハイブリッドと呼ばれる機能があり、これが装備されたモデルは31.0㎞/Lという超低燃費を実現している。
このマイルドハイブリッドシステムはクリープ走行時にはモーターだけで走行することもでき、こうした機能を上手く使えば、実燃費もさらによくなる。
毎日クルマを使うのであれば、やはり燃費が良い方が良い。

さらに、このマイルドハイブリッドシステム搭載車は、アイドリングストップからエンジンの再始動時に、キュルキュルといった音と振動がないのも特徴だ。
実にスムーズにエンジンが始動するので、非常に室内は静かで快適。
これは、マイルドハイブリッドシステム搭載車だけのメリットだ。
このマイルドハイブリッドシステム搭載モデルのエンジン出力は、直3 660㏄の自然吸気エンジンで49ps&58Nm。
これに、わずかだがモーターのパワーが加わる。

なお、ワゴンRの基準車にはターボ車の設定はなく、ターボエンジンはワゴンRカスタムに用意されている。

安全装備面では、歩行者検知式自動ブレーキであるデュアルセンサーブレーキサポート、誤発進抑制機能などが装備されている。
一定レベルの安全性能は確保しているので、安心して乗れる。
ただし、年式やグレードにより装備されていない車両もあるので、注意が必要だ。

マイルドハイブリッド機能がついたモデルがおすすめ

ワゴンRは、一世を風靡した人気モデルだったが、スーパーハイト系の人気が高まると同時に販売台数を落としていった。
そのため、最盛期ほど中古車価格は高くなく、最近ではお買い得感が出てきている。
中古車価格相場は、2017年式で約60~100万円といったところ。
しかし、60~70万円台だとFAと呼ばれるマイルドハイブリッド非装着、デュアルセンサーブレーキサポート非装着モデルが多い。
マイルドハイブリッド機能がつく、FZやFXになると、80万円以上が相場といったところだ。

もしある程度予算があるならば、2020年式の未使用車を狙うのも良いだろう。
未使用車とは、メーカーやディーラーの都合で届出(登録)した車両。
届出(登録)しただけなので、新車とほぼ同等なコンディションだが、一度、届出すると中古車扱いになるため、中古車店の店頭に並んでいる。

新車とほぼ同等なコンディションながら、価格が安いので狙い目だ。
色や装備、オプションなどお気に入りの車両が見つかれば、ほぼ新車コンディションの中間グレードFXが100万円台から手に入る相場になってきている。
なかなかお買い得感のある価格だ。

3位 ダイハツ ミライース

ビジネス車的だが、そのコスパ侮りがたし

ミライースは、2017年5月に登場したモデルで、現行モデルは、2代目となる。
ミラトコットのベース車となったモデルだ。
ミラトコットはパーソナルユースを中心としたモデルだが、ミライースはビジネスユースも重視したモデルとなっている。

マイルドハイブリッドシステムなどの高価なシステムを使用せず、廉価であることにもこだわり、良品廉価が具現化されている点も魅力だろう。

ミライースに搭載されているパワーユニットは、直3 660㏄の自然吸気エンジンのみ。
出力は49ps&57Nmを発揮する。
燃費はマイルドハイブリッドシステムを搭載するライバル車のスズキ アルトには及ばないものの、34.2㎞/L(JC08モード)という低燃費を実現している。

また、廉価ながら安全装備面も充実している。
ダイハツの安全装備パッケージである「スマートアシストⅢ」を用意。
歩行者検知式自動ブレーキや誤発進抑制制御など、十分なレベルの安全性能を誇る。
ただし、一部LやBなどのグレードには標準装備されていないので、それらのグレードは選択肢から外したい。

ボディ形状は、ロールーフ系。
そのため、荷室や車内スペースなどは、ハイト系に比べるとやや狭い。

良品廉価のミライースは、中間グレードのXを中心に選びたい

良品廉価にこだわったミライースの中古車相場は、2017年式で50~80万円前後となる。
50~70万円台だと、エントリーグレードのLや中間グレードのXが中心。
「スマートアシストⅢ」が装備されているLグレードも多く、コストパフォーマンスという点ではかなり優れている。
最上級グレードのGになると、80万円台くらいからになる。
実用面では、Xでも十分なのでXを中心に選ぶとよい。

また、高年式でもあまり値段が変わらないのも特徴のひとつ。
届出(登録)しただけで、ほぼ新車コンディションの未使用車も流通していて、Xなら90万円台で手に入る。
ほぼ新車気分で乗れるので、予算に余裕があれば未使用車という選択もよい。
ミライースは移動の足、として割り切れば、かなりコスパに優れたモデルだ。