クルーズコントロールとは?使い方、搭載車種、燃費効果まとめ

 

クルーズコントロールとは?使い方、搭載車種、燃費効果まとめ

クルーズコントロール(Cruise Control)とは、アクセル操作なしでも車が自動でスピードを一定に保ってくれる機能。近年では機能が進化し、レーダーを搭載した追従型クルーズコントロールが浸透してきたため、利用するドライバーが増えてきました。この記事では、クルーズコントロールの機能を初めて利用する方にもわかりやすく解説します。

※自動運転の機能を過信せず、責任を持って安全運転を心がけましょう。

そもそもクルーズコントロールって? 追従型クルーズコントロールとの違いは?

クルーズコントロールとは、車のスピードを自動的に一定に保つ機能のことです。かつてのクルーズコントロールは、アクセル操作のみを自動化し、速度を一定に保つものが主流でした。最近ではスバルの「アイサイト」やトヨタの「レーダークルーズコントロール」など、「追従型」と呼ばれるクルーズコントロールも登場していますので、その違いも交えて解説します。

クルーズコントロールの基本的な機能

 

クルーズコントロールの基本的な機能

基本的には、希望する速度をドライバーが設定し、その速度を維持できるように車の方で自動的にアクセル操作を行う機能です。長距離を車で移動する際、アクセル操作の負担が減るため、疲労が軽減されるというメリットがあります。

特にアメリカのように、交通量の少ないハイウェイを使って長時間運転することがポピュラーな土地では非常に有効な装置で、多くの車種に装備されるようになりました。一方日本の場合は、高速道路であっても交通量は比較的多いため、一定のスピードで走ろうとしてもすぐに前車との距離が詰まってしまいます。その都度リセットが必要となりかえって面倒ということで、あまり浸透しませんでした。

利用した際の燃費ってどう?

低燃費走行の基本は無駄なアクセル操作を行わないことです。速度を維持するために、アクセル操作は必要最小限に留めるべきなのですが、人間のペダル操作には思った以上にムラがあることがわかっています。自分では一定にアクセルを踏んでいるつもりでも微妙に踏み増ししたり、逆にアクセルをゆるめたりしているのです。そのためクルーズコントロールを使用すれば、いったん設定した速度を車の方で効率的に維持してくれるので、低燃費走行ができます。

また、高速道路を走るとどうしても飛ばし気味に走ってしまうという方であれば、クルーズコントロールの使用はさらに燃費の向上に効果的です。

特に走行車線で最高速度の100km/hよりもやや低めにクルーズコントロールをセットして走行すると、前車に追いつく機会も減るのでストレスもなく、燃費にも良いのでおすすめです。

機能がさらに進化した「追従型クルーズコントロール(ACC)」とは

 

機能がさらに進化した「追従型クルーズコントロール(ACC)」とは

近年のトレンドとなっているのが追従型クルーズコントロール(Adaptive Cruise Control: ACC)です。

国産車ではスバルが、ACCを含む安全装備を「アイサイト」として展開してから一気にユーザーに浸透し、現在では多くの車種が採用するまでに至っています。

これまでのクルーズコントロールがアクセルだけをコントロールして速度を制御する、ある種シンプルなシステムだったのに比べ、ブレーキもコントロールできるようになったのが大きな進歩です。さまざまな方式が存在しますが、基本的にはレーダーやビデオカメラを使って前車の動きをチェックして、車間距離を適切に保って一定のスピードをキープするシステムとなっています。

たとえば、走行中に前車のスピードが遅くて車間距離が詰まったり、あるいは前車が急ブレーキをかけたとします。クルーズコントロールを使用している場合は、ドライバー側でブレーキを踏んで衝突をさける必要がありました。

一方ACCを使用している場合は、ブレーキの操作も自動車側で行われるので、より自動運転に近付いた機能といえるでしょう。

各メーカーのクルーズコントロールの名称

各メーカーともACCを装備した車をラインナップしていますが、ACCの名称については各メーカーによって異なります。

 

メーカー 名称
トヨタ レーダークルーズコントロール
日産 インテリジェントクルーズコントロール
スバル アイサイト
ホンダ アダプティブクルーズコントロール
三菱 e-Assist
スズキ アクティブクルーズコントロール
メルセデス ディスタンスパイロット・ディストロニック
VW アダプティブクルーズコントロール
BMW アクティブクルーズコントロール
ボルボ アダプティブクルーズコントロール

各メーカーによって採用しているシステムも異なりますが、基本的にはミリ波レーダーを使う方法とカメラによる光学式センサーを使う方法の2種類に分けられます。

ミリ波レーダー方式とは、フロント部分に装着したセンサーから波レーダーを発して前の車や障害物を判別するものです。夜間や雨天といった悪条件であっても影響を受けにくく、また前車との距離が遠くても状況を判別できるという特徴があります。

カメラによる光学式センサーは、車に搭載されたカメラがいわば人間の目の代わりとなって前車の状況を確認するものです。カメラが映した映像をそのままデジタル処理して解析するため、道路の白線や前車のブレーキランプなどまで把握できるのがポイントとなっています。

さらにカメラを2つ並べたステレオカメラ方式もあります。人間の目のように立体が把握できるので、歩行者を判別するといったさらに細かい制御が可能です。

いずれの方式もそれぞれメリット、デメリットがあるため両方の装置を併用している車種もあります。自分が購入予定の車種のメーカーがどの方式を採用しているかをチェックしておけば、システムの特性を把握できるでしょう。

運転中でも迷わない!クルーズコントロールの操作方法

それでは具体的なクルーズコントロールの操作方法について見ていきましょう。

ACCの場合はメーカーによって操作方法に違いがありますが、基本のクルーズコントロールでは操作ロジックに大きな違いがないので一般的な例で解説してきます。

クルーズコントロール操作用のスイッチは、ステアリングホイールの表面やステアリングコラムから突き出るように設置されています。

 

運転中でも迷わない!クルーズコントロールの操作方法

クルーズコントロールのオン・オフ及びスピードの設定をこのスイッチで行います。

まずクルーズコントロールのスイッチをオンにし、メーターパネル内のクルーズコントロールランプが点灯していることを確認します。

 

運転中でも迷わない!クルーズコントロールの操作方法

これでクルーズコントロールが使用できる状態になりました。

次に、たとえば80km/hで走行したいのであれば、車速が80km/hになった時に「SET」スイッチを押せばクルーズコントロールがセットされます。

この状態でアクセルを踏み増すと速度は上がりますが、アクセルを戻すと設定された80km/hに戻って走行を続けます。

より速いスピードでクルーズコントロールを設定する場合は「RESET」ボタンを押し、遅いスピードに設定する場合は「SET」ボタンを押してそれぞれ調整します。

クルーズコントロールをキャンセルしたい場合にはブレーキを踏むかクルーズコントロールレバーを手前に引いて「CANCEL」の状態にするか、あるいはクルーズコントロールスイッチをオフにすれば解除されます。

自分の車にもクルーズコントロールが付いているけれど、「なんだか使い方が難しそうで使ったことがない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。これまで見てきたように、操作自体は決して複雑でも難しいものでもありません。一度使ってみれば、「こんな便利な機能だったのか」と思うことでしょう。

あなたの車にもクルーズコントロールは必要? 3つの利用シーン

 

あなたの車にもクルーズコントロールは必要? 3つの利用シーン




アクセル操作が不要で高機能なクルーズコントロール。でも、本当に必要な機能かどうかちょっとイメージがわかない…。そんな方のために、norico編集部が、クルーズコントロールがあると便利なシーンをご紹介します。

①高速道路をよく使う人

クルーズコントロールが最も活かせる場所は、やはり一定のスピードで走ることが可能な高速道路です。もともとフリーウェイの国、アメリカで誕生したクルーズコントロールだけあって高速道路は得意分野です。高速道路を走るときに、ついスピードを出し気味になってしまうという方は、若干低めの速度(100km/h制限であれば98km/h前後)にセットして走行車線を走ってみてはいかがでしょうか。自分でアクセルコントロールを行うよりもストレスなく速度をキープできるはずです。

②複車線の国道や、まっすぐな道を走ることが多い人

地方では2車線でバイパスも整備されているため、比較的定速で走行することが可能な国道も少なくありません。こういった道路も高速道路と同様、クルーズコントロールが活躍します。ACCであれば、なおのこと快適な運転が楽しめるでしょう。

また燃費にも有利な速度域なので、エコの面でもおすすめです。

③ 高速道路で渋滞によく巻き込まれる人

渋滞は誰でも避けたいものですが、通勤などでどうしても渋滞の高速道路を使わざるを得ない方もいらっしゃるでしょう。ACCが装備されている車であれば、前車との車間距離を保ちつつスピードをコントロールしてくれるので、疲労軽減効果は大きいです。ただしACCでも、一定の車速以下になるとシステムがオフになってしまう車種があります。その場合は渋滞時の疲労軽減効果は望めません。

今後は全車速追従機能付きのシステムが主流になると考えられるので、車種選びの際には全車速追従機能の有無を確認しておきましょう。

搭載車種(人気車種)一覧

ACCが搭載されている人気車種をリストアップしてみました。

渋滞での疲労を軽減する全車速追従機能付きのものがおすすめです。あなたが購入予定の車種もあるかどうかチェックしてはいかがでしょうか。

 

メーカー 車種名 備考
トヨタ プリウス 全車速追従機能付、一部のグレードに標準装備かつ一部のグレードにオプション設定
アルファード 全車速追従機能付
ヴェルファイア 全車速追従機能付
ハリアー 全車速追従機能付
C-HR 全車速追従機能付
日産 セレナ PRO PILOT(全車速追従機能付)としてセットオプション設定
ノートe-Power 一部グレードにセットオプション設定
※約30~100km/hまで対応
エクストレイル PRO PILOT(全車速追従機能付)としてセットオプション設定
エルグランド 一部グレードに標準装備(その他はクルーズコントロールを標準装備)
ホンダ N-BOX 全車標準装備
※約30~100km/hまで対応
ヴェゼル 全車標準装備
※約30~100km/hまで対応
ステップワゴンハイブリッド 全車速追従機能付
フリードハイブリッド 一部のグレードに標準装備
※約30~100km/hまで対応
マツダ CX-3 全車速追従機能付(一部グレードは約30~100km/hまで対応)、一部のグレードに標準装備
CX-5 全車速追従機能付、一部のグレードに標準装備
CX-8 全車速追従機能付、一部のグレードに標準装備かつ一部のグレードにオプション設定
デミオ 一部グレードにオプション
※約30~100km/hまで対応
スバル XV 全車速追従機能付(アイサイト)
レヴォーグ 全車速追従機能付(アイサイト)
フォレスター 全車速追従機能付(アイサイト)
三菱 アウトランダーPHEV 全車速追従機能付

※2018年10月現在(norico編集部調べ)

思わぬ事故の可能性も…クルーズコントロールの注意点

疲労を軽減し、快適なドライブの手助けになるクルーズコントロールですが、使用にあたって注意しておかなければならないこともあります。 まず、アクセル操作をほぼ行わなくなることから、脳への刺激がなくなり居眠り運転を誘発する可能性があります。長時間、長距離を走るトラックでは、会社によっては車にクルーズコントロールが装備されていてもドライバーの使用を禁止している場合もあるほどです。

また、ACCの場合にはブレーキも自動になるからといって、ブレーキペダルから足を離してしまうのは厳禁です。ミリ波レーダー方式では歩行者などの検知はできませんし、カメラ方式では雨天時などに作動が遅れるケースもありえます。

クルーズコントロールがあるからと車任せにしていると思わぬ事故を引き起こしてしまうこともあるので、スマートに使いこなして快適なドライブを楽しみたいですね。

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ガリバーの店舗スタッフがクルーズコントロールについて説明しているブログもあるのでこちらもぜひご参考にしてください。

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Supervised by norico編集長 村田創

norico編集長_村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!