高級セダンベスト5を徹底比較
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2020-2021年に自動車専門家がおすすめする新車の高級セダンをランキング形式で発表!
価格や燃費、走行性能などさまざまな角度でも比較しました。
かっこよく、颯爽と乗りこなしたいセダン選びの参考にしてください。
目次
おすすめランキング ベスト5
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BMW 3シリーズ
2019年3月にフルモデルチェンジし、3シリーズは7世代目となった。7代目3シリーズは、G20という開発コードでも呼ばれることもある。
ボディサイズは、全長4,715×全幅1,825×全高1,430mm、ホイールベースは2,850mmと、先代モデルに対して、全長+70mm、全幅+25mm、ホイールベース+40mmも大きくなっている。当然のことながら、ボディサイズのアップで居住性は向上している。また、全幅がワイドになったことで、よりスタイリッシュなワイド&ローなシルエットになっている。先進性と走る楽しさを両立
BMWのこだわりでもある50:50の重量配分も継続されており、ボディサイズが大きくなっても走る楽しさは失われていない。専用サスペンションやエアロパーツが装備されたMスポーツは、スポーティなルックスと走りで高い人気を得ている。Mスポーツは、リセールバリューも高い。
BMW 3シリーズの口コミ・評価を見る
また、安全装備や高度運転支援機能も大幅に進化した。歩行者検知式自動ブレーキや高度運転支援機能に重要なパーツであるカメラは3眼タイプを仕様。3眼にすることで、さらに多くの情報を収集できるようになり、より高精度な制御が可能となっている。3眼タイプのカメラを使うモデルは、まだ非常に少ない。
こうした進化により、3シリーズには日本初の高速道路渋滞時ハンズ・オフ・アシスト機能がプラスされている。この機能を使うと、高速道路などで60㎞/h以下の場合、クルマがステアリング操作やブレーキ、アクセルも自動的に行いドライバーはステアリングから手を離したままで追従走行がOKとなる。もちろんドライバーは前方を注視して、いつでもステアリング操作ができる状態ではなくてはならない。このような高度運転支援機能により、渋滞時のドライバーの負担を大幅に軽減してくれる。
その他、歩行者検知式自動ブレーキなどの予防安全装備も充実しており、優れた予防安全性能を誇る。3シリーズは走行性能や環境性能、安全性能など、ほぼすべての面でトップレベルの実力をもつセダンだ。 -
ホンダ クラリティPHEV
クラリティPHEVは2018年7月に登場した。このクラリティPHEVは、クラリティフューエルセルをベースとしてPHEV化している。クラリティフューエルセルは、水素を燃料量として発電する。排出量は水だけという究極のエコカーと呼ばれている。
また、PHEVはPlug-in Hybrid Electric Vehicleの略で、外部電力を使い車内の大容量バッテーリーを充電。この電力を使い通常はモーターで走行する。電力を使い切ると、エンジンで発電し、発電した電力を使いモーターで走行する。容易に手に入るガソリンを使って発電することで、長距離走行も可能。電気自動車のように充電に困ることがないというのが、PHEVのウリでもある。101㎞もの距離をEV走行できる実用性が高いPHEV
クラリティPHEVのEV(電気自動車)航続距離は、なんと国内トップとなる101㎞(WLTCモード)となっている。これだけの距離をEVモードで走れると、日常的な使い方であれば、ほとんどガソリンを使わない生活が可能だ。
ホンダ クラリティPHEVの
クラリティPHEVのシステムは、SPORT HYBRID i-MMDをベースにPHEV化。パワーユニットは1.5Lエンジンと184ps&315Nmのモーターが組み合わさっていて、なかなかパワフルだ。
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日産 スカイライン
2014年に誕生した13代目日産スカイライン。多くのファンはV37型とも呼ぶ。
すでにモデル後期に入っているが、2019年には大幅マイナーチェンジを行った。
従来モデルは北米の高級車ブランドであるインフィニティエンブレムが装着されていたが、今回のマイナーチェンジ後から日産エンブレムに変更された。同時に、日産のデザインアイデンティティでもあるVモーショングリルも新たに採用。その他、リヤコンビネーションランプなども変更された。自動運転直前? 未来を感じさせるプロパイロット2.0
そして、非常に話題になったのがハイブリッド車に搭載された世界初となるプロパイロット2.0だ。プロパイロット2.0は、ナビと連動した高度運転支援機能。ナビゲーションで目的地を設定後、高速道路上では法定速度プラス10㎞/h以下であれば、設定速度内でほぼ自動運転状態で高速道路出口まで走行する。
日産 スカイラインの口コミ・評価を見る
プロパイロット2.0が作動している状態であれば、ドライバーはハンズオフ状態でもOK。車線変更時は、ステアリングに手を添えウインカーレバーを操作するだけで、後方を確認し自動で車線変更する。ハンズオフとすることで、高速道路でのロングドライブ時にドライバーの疲労を大幅に軽減してくれる高度運転支援機能だ。
そして、スカイラインに搭載されたパワーユニットは、V6 3.5Lハイブリッドの他に新しく新開発のV6 3.0Lターボ(VR30DDTT)が採用された。このエンジンの出力は300psと、405psの2タイプが用意されている。400Rと呼ばれる405psの仕様は、なかなかエキサイティングに走る。この新エンジンが追加されたことで、直4 2.0Lターボエンジンは姿を消した。 -
トヨタ クラウン
長い歴史をもつクラウンは2018年にフルモデルチェンジし15世代目となった。クラウンは、日本専用セダンとして開発された日本人のためのセダンとして存在感を放ち続けており、国内セダンの販売台数では常にトップレベルを維持し続けている。
セダン離れが深刻化、国内ナンバー1セダンも低迷中
しかし、消費者のセダン離れは深刻で、市場全体でのクラウンの販売台数は低迷を続けている。2020年1~6月の登録車販売台数ランキングでは29位で29,680台を販売。それなりに売れているように見えるが、コロナ禍とはいえ前年比50.7%という状態だ。低迷理由は、セダン離れや高価格帯であることなどさまざまだが、クルマの完成度は非常に高く魅力的なモデルであることには変わりない。
トヨタ クラウンの口コミ・評価を見る
クラウンは、フルモデルチェンジで最新のGA-Lプラットフォームを採用。高剛性ボディと低重心プラットフォームを得たことで、クラウンの運動性能は飛躍的に向上している。
もちろん日本専用車ということもあり、全幅は1,800mmをキープ。都市部に多い立体駐車場の全幅制限内となっている。
また、従来のアスリートやロイヤルといったグレード名を廃止。トヨタブランドの最高級車として位置付けられていたマジェスタも姿を消した。そして、従来のアスリートに対応するスポーティ仕様を「RS」、「RSアドバンス」とし、乗り心地重視仕様はロイヤルから「G」へと変更されている。また、従来のマジェスタに相当するラグジュアリー系の新グレードは「Gエグゼクティブ」となった。
搭載されたパワーユニットは、2.5Lと3.5Lのハイブリッドと2.0Lターボの3タイプを用意。V6 3.5Lエンジンは姿を消している。 -
レクサス ES
ESは国内レクサス車として2018年に新たに登場したセダンだ。北米ではすでに7世代目となる。国内には同等サイズのセダンでGSがあり、共食いする可能性があったため導入が見送られてきた。しかし、GSの販売が低迷し続けたこともあり、GSよりもかなり安価な価格設定がされたESが導入された。
ESのボディサイズは、全長4,975×全幅1,865×全高1,445㎜でホイールベースは2,870㎜。北米が主戦場ということもあり、日本ではかなり大きなボディサイズだ。当然、小回りは苦手で、最小回転半径は5.9mもしくは5.8mとかなり大きい。狭い道や駐車場が多い日本では扱いにくいモデルでもある。優れたデザイン性と先進技術で人気のセダン
しかし、ESは導入直後からヒットモデルとなる。その大きな要因のひとつが秀逸なデザイン。アートのような造形となったスピンドルグリルは、高級車らしい品格がある。
レクサス ESの口コミ・評価を見る
また、従来のドアミラーの代わりに小さなカメラを設置。後側方を確認できる世界初のデジタルアウターミラーも用意し、先進性もアピール。そして、パワーユニットは、優れた低燃費を誇る2.5Lハイブリッドを用意。すぐれた経済性も強調する。
また、このESから新開発されたGA-Kプラットフォーム(車台)が採用されている。低重心化され、ボディ剛性も上がったことから、走行性能は先代モデルに対して大幅に向上。同時に、乗り心地の良さと静粛性も非常に高いレベルにまとめられている。豪華な内装なども含め、ラグジュアリーセダンとして非常に魅力的だ。
おすすめランキング の 5台を比較
価格比較
BMW
3シリーズ
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お買い得感ある318i
3シリーズのエントリーグレードは、318iで価格は4,890,000円。このグレードはなかなかお買い得感がある。1グレード上の320iの価格は5,380,000円なので約50万円の差となる。
エンジンは同じ直4 2.0Lターボ、出力は318iの方が少し抑えられていて156ps&250Nm。320iは184ps&300Nmとなっている。装備面もほぼ同等レベル。安全装備も共通で高速道路渋滞時ハンズ・オフ・アシストも装備されている。318iでも十分な出力なので、予算やコストパフォーマンスを重視するのであれば、318iのコストパフォーマンスは非常に優れている。
2.0Lディーゼルのエントリーグレードは、320d xDrive Edition Joy+で5,730,000円。PHEVのエントリーグレードは330e M Sport Edition Joy+で6,170,000円。ディーゼルとの価格差も少なく魅力的な価格といえる。最もスポーティなM340i xDriveは、一気に高価になり9,870,000円という価格になっている。
ホンダ
クラリティ
PHEV
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北米価格とはかけ離れた高価な日本価格
ホンダはクラリティPHEVを積極的に売る気がないのか、1グレードのみの設定となる。価格は5,989,500円とかなり高価だ。単純比較できないが、同等レベルとなる95㎞のEV走行できるトヨタ RAV4 PHVの最上級グレードが5,390,000円なので、かなり高めの設定となっている。
また、アメリカなどでの価格は33,400ドルから。1ドル105円換算だと約350万円からとなる。日本仕様の装備が充実しているとはいえ、いくらなんでもこの格差は大きすぎる。
日産
スカイライン
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プロパイロット2.0が装備されているとはいえ、高価な印象が強い
スカイラインの価格は、ガソリン車とハイブリッド車の価格が大きく異なる。その要因のひとつがプロパイロット2.0の有無だ。ハイブリッド車には標準装備、ガソリン車には装備されていない。
ハイブリッドのエントリーグレード価格はGT(FR)で5,575,900円、最上級のGT Type SPは6,160,000円となっている。ハイブリッドで、プロパイロット2.0が装備されているとはいえ、国産車としてはやや高めな印象だ。
ガソリン車でエントリーグレードはGT(FR)4,353,800円、最上級グレードのGT Type SPは4,908,200円となっている。ハイブリッド車より安いとはいえ、最上級グレードだとほぼ500万円だ。
そして、走行性能を大幅に向上したガソリン車の400Rは5,625,400円とこちらもかなり高価な価格となっている。
トヨタ
クラウン
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国産車としては高すぎる価格帯
クラウンは国産ナンバー1セダンという自信やハイブリッド車人気ということもあり、価格設定は非常に高め。2.0Lターボのガソリン車でも価格帯は4,695,000~5,698,000円と、半数近いグレードが500万円オーバーだ。
2.5Lハイブリッドになると5,059,000~6,127,000円、3.5Lハイブリッドだと6,324,000~7,035,000円となっている。ハイブリッド車には、メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズより高価なグレードもあり、このような価格設定だとブランド力のある欧州セダンにする選択肢もある。
また、500万円を超えてくると、ミニバンであるアルファードの上級グレードが買える。トヨタディーラーは全車種扱いになっているので、同じ価格であれば広い室内をもち7~8人乗りのアルファードへという顧客が出てくるのも当然だ。
レクサス
ES
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GSよりは安価だが安くはない
ESのパワーユニットは2.5Lハイブリッドのみの設定で、グレードも3グレードのみとシンプル。エントリーグレードのES300hの価格は5,990,000円で、微妙に600万円切る価格設定だ。高級セダンとしてやや物足りない装備もあるものの、こだわらなければ十分だろう。
ESのラグジュアリーセダンとしての魅力を十分に体現しているグレードがバージョンLだ。バージョンLの価格は、7,130,000円と非常に高価。上質な本革シートや後席電動リクライニング、ハンズフリーパワートランクリッド 、パフォーマンダンパーなどを装備している。
そして、ESのキャラとはあまり合わないように思えるが、スポーツグレードF SPORTの価格は6,489,000円となっている。
さすがレクサス車という高額な価格設定で、メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズなどの価格に近い。
燃費比較
BMW
3シリーズ
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ガソリン車より、ディーゼルもしくはPHEVがよい
3シリーズのガソリン車には、未だマイルドハイブリッド機能などの電動化技術は投入されていない。そのため、WLTCモード燃費は118iで13.4㎞/L、320i xDriveで13.8㎞/L、330iで13.2㎞/L、M340i xDriveが12.4㎞/Lとなっている。純粋なガソリン車としては平均的な数値といえる。輸入車なのですべてハイオクガソリン仕様。燃費や燃料費という部分ではやや選びにくい。
ガソリン車に対して、高い人気を得ているのが2.0Lディーゼル車だ。4WDとなる320i xDriveの燃費は15.3㎞/Lとなっている。ディーゼル車の燃料となる軽油は、ハイオクを使うガソリン車に対して、燃料費が30円/L前後も安価になり経済的だ。
そして、近未来のパワーユニットであるPHEVの330eは52.4㎞/LものEV走行が可能。ハイブリッドモードでは13.1㎞/Lとなっている。日々短距離の移動が多いのであれば、電力代はガソリン代よりも大幅に安価なので非常に経済的。ガソリンをあまり使わない生活が可能だ。330eは非常にパワフルということもあるが、ハイブリッドモード燃費は少々物足りない。
ホンダ
クラリティ
PHEV
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EV航続距離、ハイブリッド燃費共に優れた数値
クラリティPHEVのEV航続距離は101㎞(WLTCモード)と、国内トップとなる航続距離を誇る。これだけの航続距離があれば、日常生活ではほとんどEV走行でまかなえ、ほとんどガソリンを使わない生活が可能となる。充電を自宅で行えば、電気会社との契約内容によって異なるものの電気代はガソリンより安いため、非常に経済的で環境にも優しい。ガソリンを使わないようになれば、ガソリンスタンドに行く回数も激減するので、時間の節約にもなる。
クラリティPHEVは電力を使い切ると1.5Lエンジンを使い発電し、発電した電力を使い基本的にモーターで走行する。つまりハイブリッド車となるのだ。このときの燃費も良好で24.2㎞/L(WLTCモード)となっている。
日産
スカイライン
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燃費よりパワフルさを重視したハイブリッド
スカイラインハイブリッドの燃費はあまり褒められたものではない。V6 3.5Lのハイブリッドシステムを搭載し、燃費は12.4㎞/L(FR、WLTCモード)となっている。ライバルとなるクラウンの3.5Lハイブリッド車の燃費は16.0㎞/L(FR、WLTCモード)なので大きな差がついている。燃費というよりは、ダイレクト感がありスムースで強烈な加速力を生かした走りを楽しむモデルともいえる。
ターボ車の304ps仕様の燃費は10.0㎞/L(WLTCモード)。燃費が良いとはいえないものの、まずまずの燃費値だ。そして、405psというハイパワーをアピールする400Rの燃費は意外と良好で10.0㎞/L(WLTCモード)となっている。
トヨタ
クラウン
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ハイブリッド車は他の追随を許さない世界トップレベルの低燃費性能
2.0Lターボ車の燃費は平均的な数値。しかし、ハイブリッド車は圧巻の燃費性能を誇る。トヨタのハイブリッド車の燃費に追随できるメーカーはないくらいだ。
クラウンの燃費値は、2.0Lターボが12.4㎞/L(FR、WLTCモード)、2.5Lハイブリッドが20.0㎞/L(FR、WLTCモード)、3.5Lハイブリッドが16.0㎞/L(FR、WLTCモード)となっている。
ただ、3.5Lハイブリッドは、使用燃料がハイオクガソリンとなっていることから燃料費は少しアップする。それでも同じハイオクガソリンを使う欧州セダンに比べると、圧倒的なパワフルさと低燃費を両立している。
レクサス
ES
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クラス世界トップレベルの低燃費
ESのパワーユニットは2.5Lハイブリッドのみの設定。燃費は22.3㎞/L(FF、WLTCモード)となっている。プラットフォームなどを共有するトヨタ カムリの2.5Lハイブリッドの燃費が24.3㎞/L。カムリには燃費で負けるものの、クラストップレベルの燃費値だ。
走行性能比較
BMW
3シリーズ
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走る楽しさを凝縮したスポーツセダン
BMWは走行性能を追求し、前後重量配分50:50にこだわり続けている。当然、そのこだわりは3シリーズにも活かされている。
50:50の重量配分により、ドライバーはクルマの中心に座っている感覚があり、クルマとドライバーの強い一体感を生み出している。
重量配分だけでなく、俊敏なハンドリング性能もBMWの魅力だ。ミリ単位の微妙なステアリング操作に対してもクルマは機敏に反応し、ドライバーの思い描く走行ラインを的確にトレースする。次のカーブが待ち遠しくなるほどのハンドリング性能だ。
さらに、エンジンのフィーリングも素晴らしい。どのエンジンもレスポンスがよく、しかもエンジンの回転フィーリングが滑らかでスムース。高回転域までストレスなく回る気持ちよさは格別だ。
ホンダ
クラリティ
PHEV
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高価なだけありパワフルで優れた操縦安定性
クラリティPHEVの駆動用モーターは184ps&315Nmというスペック。自然吸気V6 3.0Lガソリンエンジン並みの最大トルクを誇る。これだけのトルクがあるので、通常走行はなかなか力強い走りを披露する。クラリティPHEVのようなモータードライブ車は、停止時からアクセルをグッと踏み込んで少しの間は強烈な加速感をみせるが、徐々に加速感が失われて頭打ち傾向になる。これは、モータードライブ車の悪いフィーリングともいえる。ところが、クラリティPHEVはパンチのある加速感が長く続く。これはなかなか気持ちよい。
また、クラリティPHEVはボディ剛性も高く、サスペンションの動きがスムースだ。ホンダ車の中でもトップクラスの操縦安定性をもっている。スポーティと呼べるほどクイックな動きではないが、操作に対して的確で運転していて安心感がある。カーブでもリヤタイヤの接地性が高く、クルマはとても安心している。
日産
スカイライン
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基本設計の古さをサポートする先進技術
スカイラインが使うFR車用プラットフォーム(車台)は、かなり古い設計だ。輸入車などの低重心化されたプラットフォームと比べると、やや重心高が高く運動性能面では少々厳しいものがある。
しかし、こうした古さをフォローしているのがDAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)と呼ばれる技術。これは、前輪とステアリングがつながっていない世界初の技術だ。ステアリング操作は、電気信号に置き換えられ前輪側のシステムにつながり、前輪を動かしている。そのため、応答遅れのないシャープなハンドリングや、不快な振動がないなどのメリットがある。波打つような路面でも、ハンドルを取られることも少なく、優れた直進性を維持。不要なストレスから解放されるメリットもある。
405ps&475Nmという大出力をもつ400Rの加速は豪快だ。停止時からアクセルを床まで踏み込むと、頭ごと後方に引っ張られるような加速力を誇る。しかし、意外とジェントルに仕上げられており、荒々しさはあまり感じない。大人のスポーツセダンといった印象だ。
トヨタ
クラウン
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クラウンらしからぬ?サーキットで鍛えた優れた運動性能
従来のクラウンは、高級車らしい存在感と豪華さだった。しかし、15代目となったクラウンは新開発のGA-Lプラットフォームを得たことで、国内専用車ながら欧州車と対等に渡り合える走行性能を重視し、ドイツのサーキット、ニュルブルクリンクでテストを重ねた。こうした開発が行われたことで、クラウンの運動性能は非常に高いものとなっている。
クラウンの走行性能は、ラグジュアリー系のGとスポーツ系RSとで味付けが異なる。従来のロイヤルに相当するGは、やや穏やかなハンドリングでゆったりとした乗り心地になる。ある意味、最もクラウンらしいグレードだ。
対して、RS系はクラウンらしくないフラットライドな走りを披露する。専用フロントスタビライザーによるロール剛性の向上。リニアソレノイド式AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)を採用し、大きな入力が入っても適切な減衰力を瞬時に発生させ、余分なクルマの動きを抑え走行性能向上に貢献している。カーブでは、クルマの傾きがしっかりと抑えられていて、ハイスピードでも安定した姿勢を保つ。こうした安定感は、安心感となりロングドライブでも疲労が少なくなる。
レクサス
ES
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少しスポーティなF SPORTが絶妙
ESのプラットフォームであるGA-Kは、低重心に設計されている。そのためラグジュアリーセダンであるESなのだが、意外と走りは得意分野。機敏さは無いものの、ステアリング操作に対して忠実にクルマが反応する。カーブでもそれなりにクルマは傾くものの、姿勢が安定しているので意外なほどグイグイ曲がっていく。ラグジュアリーセダンというと、乗り心地重視で曲がらないクルマという印象があるが、ESは当てはまらない。
そんなESをややスポーティに仕上げたのがF SPORTだ。サスペンションはNAVI・AI-AVSを装備。ショックアブソーバーの減衰力を車両状態の変化に応じて最適に電子制御し、しなやかな乗り心地とフラットで安定感のある走りを両立する機能をもつ。
カーブでは専用チューニングしたやや硬めのサスペンションにより、他のグレードとは異なるややスポーティな走りが楽しめる。硬めのサスペンションと表現しているものの、ベースモデルより少し硬いかなぁ程度で、一般的なスポーツセダンの硬さとは大きく異なる。適度にスポーティな走りで、ラグジュアリーセダンとして乗り心地も快適。むしろ、F SPORTのフットワークが基準車でもよいと思えるほどだ。
乗り心地比較
BMW
3シリーズ
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少し硬めだが不快ではないMスポーツの乗り心地
3シリーズには、スポーツグレードとなるMスポーツが用意されている。このグレードの多くは専用サスペンションやエアロパーツ、大径ホイールが装備されている。車高も基準車に対して少し低くなっていて、見た目もカッコいい。
しかし、スポーツグレードということもあり、乗り心地という面ではやや硬めで路面の凹凸やタイヤのゴツゴツ感をある程度ドライバーに伝えてくる。乗り心地と操縦安定性は、相反する要素なので仕方のない部分でもある。それでも、ドライバーが不快と感じるような突き上げ感などはない。
それに対して、基準車は快適な乗り心地だ。Mスポーツほどではないものの、機敏なハンドリングや高い操縦安定性は確保されている。
3シリーズを選ぶ場合、こうしたキャラクターを理解する必要ある。乗り心地を重視するのであればMスポーツでは少々厳しい。逆にスポーツ性が重要なら、基準車ではやや物足りないということになる。
ホンダ
クラリティ
PHEV
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ホンダ車トップクラスの乗り心地
クラリティPHEVの乗り心地は、少し柔らかめで快適な乗り心地となっている。ホンダ車の中でもトップクラスの乗り心地だ。サスペンションがスムースに動き、路面の凹凸をきれいに吸収する。
柔らかめな乗り心地ということもあり、カーブで車体はやや大きめに傾くが、その割にグイグイ曲がる。また、クルマの傾くスピードもゆっくりなので安心感がある。
日産
スカイライン
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スポーツセダンらしい硬めのフットワーク
スカイラインのハイブリッド車には、全車にダブルピストンショックアブソーバーが標準装備されている。このショックアブソーバーは、クルマの振動周波数の違いによって減衰力を切り換える。スカイラインハイブリッドは、ランフラットタイヤを履くため、路面の凹凸に対してタイヤのゴツゴツ感が伝わってくるのだが、ダブルピストンショックアブソーバーの恩恵でゴツゴツ感は角が取れたマイルドのものとなっている。
スポーティグレードのタイプSPは19インチタイヤを履いているが、乗り心地を重視するのであれば、同じランフラットタイヤながら18インチタイヤ装着車の方が乗り心地はマイルドになる。
また、DAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)により、不快な振動もステアリングから伝わってこない点もよい。
トヨタ
クラウン
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乗り心地重視ならG系、スポーツドライビングを楽しみたいならRS系
クラウンにはRS系とG系にグレードが分かれていて、それぞれ異なるキャラクターが与えられている。端的に言えば、RS系がフラットライドなスポーティ仕様、G系は乗り心地重視のラグジュアリー系となる。ただ、クラウンなのでRS系でも乗り心地は良好だ。Gより少し硬めで、クルマがクイックに動き車体の傾く角度が小さく、傾くスピードもゆっくりだ。
さらに、RS系にはAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)と呼ばれるサスペンション制御がある。この機能にはノーマル、エコ、コンフォート、スポーツ、スポーツプラスという多彩なモード切替えがある。走る場所や気分によって、クルマの性格を少し変えることができ、より自分好みのセッティングにできる。
レクサス
ES
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滑らかな乗り味を支えるスウィングバルブショックアブソーバー
ESのラグジュアリーグレードであるバージョンLとエントリーグレードには、スウィングバルブショックアブソーバーが装備されている。このショックアブソーバーが、ある意味ESの乗り心地の良さを支えているパーツである。
一般的なショックアブソーバーでは、低速域での乗り心地と高速域での車両安定性を両立させるのは難しい。しかし、このショックアブソーバーは、低速域での細かな路面の凹凸から高速域での車両の安定性を両立。速度を問わず快適でスッキリとした乗り味になっている。
とくに、街中での乗り心地は非常に快適で、まるで路面の上を滑っていくような滑らかさを誇る。低速域などでは、コツコツとした小さな路面の凹凸まできれいに吸収。さらに、バージョンLとS SPORTには、パフォーマンスダンパーを装備。ボディの微小な振動を吸収し、ボディのねじれを抑制することにより、反応のよいハンドリングやより優れた乗り心地としてくれる。
内外装・デザイン比較
BMW
3シリーズ
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フルデジタルメーターを採用し近未来感がアップ
3シリーズは睨みの効いた細いヘッドライトにワイド&ローを強調したシルエットなど、スポーティなデザインとなっている。さらに、膨らみを強調したリヤフェンダーなどは、いかにもFR(後輪駆動)車らしい力強さがある。しかし、デザインが1クラス上の5シリーズとかなり似ており、遠目から見ると3シリーズなのか5シリーズなのか判別が難しい。3シリーズらしいデザイン要素も欲しいところだ。
そして、インテリアでは12.3インチのフルデジタルメーターを採用。ドライバーの好みによって情報をある程度選択でき、ナビゲーションマップも表示可能だ。この仕様だとドライバーの視線移動量が減り、安全な運転に貢献する。ただ、このモデルからタコメーターの針が従来と逆となる右下から上昇するタイプに変更されている。一般的な左下から上昇するタイプになれているためか、やや違和感があり、慣れが必要だ。
ホンダ
クラリティ
PHEV
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空力重視のデザインだが少しユニーク過ぎる?
クラリティPHEVのデザインは、なかなか個性的な仕上がりだ。先進的で美しいセダンフォルムとするために、流麗なワンモーションシルエットとした。キャビンは、ガラス面積を大きくとることで、広く明るい空間を表現している。
とくに、印象的なのが傾斜したAピラーに長く滑らかに流れるルーフとCピラー。これは空力を重視。空気抵抗は電費や燃費に大きく影響するからだ。フロントエアカーテンやリヤタイヤカバーなど、空気の流れを積極的にコントロールしている。ただ、とてもユニークで好き嫌いが明確に出るデザインだ。
コッテリ系の外観とは対照的に、インテリアはかなりスッキリとしたシンプルなデザインとなっている。全体の質感も高く好感度は高い。
日産
スカイライン
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Vモーショングリルでスポーティさがアップ
スカイラインのフロントフェイスは、猛禽類のような鋭い眼差しのヘッドライトなど、スポーツセダンらしい精悍さを感じさせる。しかし、デビューが2014年とモデル後期に入っていることもあり、デザイン面ではやや古さが出てきている。
ただ、2019年の大幅改良でインフィニティのエンブレムから日産エンブレムに変更され、日産のデザインアイコンであるVモーショングリを装備。このVモーショングリルが意外と似合っていて、新鮮さがプラスされた。しかしインパネデザインはほとんど変更されず、やや新鮮味に欠けてきている。
トヨタ
クラウン
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6ライトウインドウを採用、エレガントさをアピール
先代クラウンは大型のハデなグリルを装備し、やんちゃなイメージを前面に押し出した。高級セダンとして品格に欠けるという意見もあるものの、販売は好調でマーケットからは高い評価を得ていた。
しかし、現行クラウンからはこうしたやんちゃな雰囲気を消し、高級車らしい品格を感じさせるデザインとなった。特徴的なのはサイドビューだ。Cピラーを傾斜させ、6ライトウインドウデザインが採用されている。さらに、リヤ方向のルーフラインの穏やかに傾斜させ、クーペのような流麗なルーフをあえたエレガントさを増している。後席側後方にもうひとつウインドウが加わることから、6ライトウインドウなどと呼ばれている。最近では6ライトウインドウを採用したモデルがセダンデザインのトレンドだ。
レクサス
ES
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ひとめ惚れ確実?アートのようなボディ
レクサスのデザインアイコンであるスピンドルグリルは、当然ESにも採用されている。しかしES用のスピンドルグリルは、まるでアートように精緻で美しい。押し出し感や迫力を重視したグリルとはひと味違う。
ESのシルエットは、ワイド&ローの伸びやかさが際立っている。彫りの深いフェイスデザインと、精緻なスピンドルグリルの組み合わせは、レクサスらしい世界観を表現している。
インテリアデザインは、気品さとシャープな躍動感をあわせもつ。大型のゆったりとしたシートが装備され、リラックスできる空間になっている。
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3シリーズのカタログ情報
- 現行モデル
- 平成31年3月(2019年3月)〜現在
- 新車時価格
- 452.0万円〜1067.0万円