この記事の目次 CONTENTS
新車と中古車、コスパがいいのはどっち?
ガソリン車とハイブリッド車、コスパがいいのはどっち?
コスパ最強な中古車とは?中古車を選ぶポイントを解説
コスパ最強中古車3選
コスパの良い中古車を探したいなら中古車販売店に相談

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

クルマを選ぶ際に大切なコストパフォーマンス。今回は中古車の購入価格や燃費といった視点から、コスパの良い中古車を3つ選んだ。購入の検討材料にして欲しい。

新車と中古車、コスパがいいのはどっち?

新車と中古車、どちらのコスパがいいのかはケースバイケースだ。
価格のみで比較するならば、中古車のコスパが上回る。修理代や点検費用などのランニングコストなどを含めると、保証期間が長い新車にメリットがある。しかし、購入した中古車がまったく故障しない車両ならば、維持費のコスパは新車を上回ることもある。

乗り換え期間もコスパに影響を与える。例えば、5年落ちの高価な中古車を買い5年乗れば10年落ちとなり、売却価格はほぼゼロになる。
しかし、超人気モデルの新車を3年で乗り換えた場合、かなり高額で買取り、もしくは売却できるので、乗り換え時の支払いも少なくて済む。
売却価格は、選ぶ新車の車種やグレードにより大きく左右される。コスパをアップするクルマ選びは、かなりクルマに詳しい人でないと難しい。コスパを重視するあまり、好きなクルマを選べないというのも本末転倒だろう。
ただ、中古車でも安価で程度の良いクルマであれば、支払額が少ないので、超人気の新車よりもコスパに優れることもある。

ガソリン車とハイブリッド車、コスパがいいのはどっち?

ガソリン車とハイブリッド車のコスパを比較すると、同じ車種ならガソリン車の方がコスパは高い。人気コンパクトカーヤリスのZグレードを例に比較してみよう。(燃費値はどちらもFF、WLTCモード)。

例:ヤリス ガソリン車 ハイブリッド
価格 1,971,000円 2,324,000円
燃費 21.6km/L 35.4km/L

ハイブリッド車のほうが353,000円高価で、13.8km/L燃費がよい。1万km走行時に使う燃料費を170円/Lで計算すると、カタログ値でハイブリッド車が約4.8万円。ガソリン車は、約7.9万円となる。燃料費差は1万km走行で3.1万円となる。おおよそ11万km以上走らないと、ハイブリッド車が燃料費で車両価格差を回収することができない。よほど走行距離が長くなる人以外は、他のモデルも含め、ガソリン車の方がコスパは高い傾向にある。

コスパ最強な中古車とは?中古車を選ぶポイントを解説

今回紹介するコスパ最強中古車とは、単に「価格が安いクルマ」という意味ではない。ここでは、「とても良いクルマなのに、中古車価格がライバル車と比べて安価であるモデル」を紹介する。

その前提として、中古車価格が決まる概要を知っておきたい。中古車価格は、主に「中古車マーケットでの人気」に比例する。
人気の高いモデルは高価になり、人気の無いモデルは安価になる。一部例外があるものの、大雑把に言ってしまえば、新車で人気があり売れたモデルは中古車でも高価だ。新車で人気が無かったモデルは、中古車では安価になる傾向がある。
ここでポイントになるのは、「人気があるからと言って必ずしも良いクルマとは限らない」ということだ。とても良いクルマなのに、人気が無く中古車価格が激安というモデルもある。

つまり、コスパ最強中古車選びのポイントは、「不人気車だけど良いクルマ」を選ぶことである。例えば、最新テクノロジーが満載なのに激安など、まさに中古車ならではの醍醐味がある買い方といえる。

コスパ最強中古車3選

ベスト1. 日産 スカイラインハイブリッド

スカイラインハイブリッド

高級セダンで、最先端の運転支援設備を持つスカイラインハイブリッドがコスパの良い中古車ベスト1だ。
スカイラインハイブリッドは、2014年に登場したモデルだ。2022年3月現在、すでにモデル末期に入っている。
2019年のマイナーチェンジでは、自動運転に限りなく近付いた最新の運転支援システムである「プロパイロット2.0」が搭載された。このプロパイロット2.0は、ナビを使って高速道路上を移動中、ステアリングから手を放すことが可能となる。必ずドライバーの監視下であり、いつでも運転を代われることが条件だ。自動運転の間、ほとんどのシーンでハンズオフが可能で、カーブもクルマが自動で車線内を維持しながら設定された速度で走行する。
渋滞時にハンズオフが可能なモデルが増えてきているものの、通常走行時にもハンズオフができるモデルは未だ数少ない。

そんな最先端の運転支援機能を装備する高級セダンであるスカイラインハイブリッドの新車価格は約600万円前後だ。

ところが中古車価格は、2020年の高年式で約400~450万円だ。新車価格の67~75%にまで安価になっている。最先端技術を搭載した高級セダンであるものの、セダンの人気がとても低いことが理由だ。
高年式で高級車ということもあり、程度の良い車両も多い。中古車としての絶対的な価格は400万円オーバーと高価だ。しかし600万円を超えていた高級セダンで、ハンズオフが可能な最先端の運転支援機能が加わったモデルが、2年で200万円近く安価になっているという点ではコスパ最強と言える。しかも、3.5Lハイブリッドなので、スポーツカー並の加速力を誇りながら、ゆっくり走れば低燃費なのでコスパは高いといえる。

ベスト2. BMW 5シリーズ530e

BMW 5シリーズ530e iPerformance_外観

BMW5シリーズは、2017年に登場した。多くのエンジンが設定されているが、コスパ最強の中古車は、2.0Lターボエンジンを搭載したPHEVである530eだ。
PHEVとはPlug-in Hybrid Electrical Vehicleの略で、外部の電力を使い車載の大容量バッテリーを充電する。通常走行時にはこの電力を使いEV(電気自動車)として走行する優れた環境車である。
530eは、満充電で52.5km(WLTCモード)をEV走行できる。そのため、日々の通勤や買物、送迎などでは、ほぼガソリンを使用しない。電力を使い切ると、ガソリンを使いハイブリッド車として走行できるので、EVのような電欠の心配が無いのも魅力だ。こうしたPHEVは、EVへシフトするまでの過渡期において現実的な選択肢として注目されている。

最新の環境車であり超高級車でもあるBMW530eは、まさにコスパ最強の中古車となっている。

元々、5シリーズはさほど人気ではない。加えて、走行性能にこだわるBMW好きにとって、「PHEVは環境車で走りが楽しくない」と見えるようだ。
ところが、530eは走りこそ最大の魅力だ。モーターとエンジンの組み合わせは、ガソリン車にはないアクセルレスポンスの良さと力強さがあり、走る楽しさに満ちている。出力は、システムトータルで252psとパワフルだ。

最先端のPHEVに贅を尽くした530eの新車価格は、約800万前後だった。ところが、2017年式の中古車価格は、おおよそ330~380万円と、新車価格の41~48%にまで価格が落ちている。あの高級車ブランドBMWで、最先端のPHEVがここまで安価になっている。このモデルもコスパ最強の中古車だ。

ちなみに、人気ミニバン アルファード&ヴェルファイアも2017年式でハイブリッド車になると、530eを超えるコスパの車両が多くなる。この価格帯で、ドイツの高級車ブランドBMWが手に入るのだ。

ベスト3.BMW i3

BMW i3_外観_正面

BMWはEVにも積極的だ。14年にはEVであるi3を日本マーケットに投入している。

i3は、先進的なモデルだ。ボディは超軽量なカーボンを採用している。
カーボンボディはかなり高価で、さらに加工には特殊な技術が必要な素材だ。そのため、一部の車種を除きレーシングカーなどにしか採用されてこなかった。
タイヤは極細大径タイヤを使用した。極細化することで、空気抵抗を減らすことが目的だ。通常、極細化するとタイヤのグリップ力が不足するが、大径化することでグリップ力を確保している。また、大径タイヤはホイールが大きく見え、見栄えが良くなっているのも特徴だ。

走行性能にこだわるのがBMWだ。多くのコンパクトEVがFF(前輪駆動)化するのに対して、i3は後輪駆動である。EVの走る楽しさも提案している。

実用面では、純EVの他に650㏄の小さなエンジンを搭載した仕様も用意した。充電ができない環境下では、レンジエクステンダーも設定している。エンジンを使い発電し航続距離を伸ばす機能だ。
2019年以降モデルの航続距離は、容量42.2kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し他モデルで295km(レンジエクステンダー付き、WLTCモード)だ。さらに、レンジエクステンダーでのハイブリッド燃費が19.0km/L(WLTCモード)で9.0L分を合算すると466kmの航続距離になる。
モーターの出力は170ps&250Nmだ。BMWらしく、高回転域まで伸びのある加速が続くEVに仕上がっている。

こうした新技術を凝縮したコンパクトEVのi3だが、やはりあまり人気は高く無かった。EVにはまだ馴染みがなかったことや、ややクセの強いデザインが影響していたようだ。

BMW i3の中古車価格は、やや幅が広い。これは、中古車流通量が極めて少ないからだ。2019年式の中古車相場は約380~440万円だ。i3の新車価格はレンジエクステンダー付きで、おおよそ590~650万円なので、新車価格に対して約3年落ちで64~68%にまで大幅に落ちている。新車で買ってすぐに売却では、大損してしまうレベルだ。だが、中古車として購入するのであれば最強コスパとなる。

コスパの良い中古車を探したいなら中古車販売店に相談

コスパの良い中古車を選ぶポイントは以下の3つです。

  • あまり人気がなかった車種を選ぶ
  • 中古車流通数が多いものを選ぶ
  • 燃費の良い車を選ぶ

中古車価格はオプションがどれほど付いているかによっても価格が各々異なります。ご自身に必要な装備は何かを販売店のスタッフに相談しながらより良い車選びをするようにしましょう。