コンパクトカーベスト5を徹底比較
自動車専門家の大岡氏が、おすすめの新車コンパクトカーをランキング形式で発表します。
価格や燃費、走行性能などさまざまな角度でも比較しました。
2019年最新の情報をチェックして、車選びの参考にしてください。
目次
おすすめランキング ベスト5
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マツダ デミオ
4代目マツダ デミオは、2014年9月に発売された。マツダの魂動デザインが採用され、躍動的なフォルムが魅力だ。
デミオは、外観デザインを含め「クルマの価値はボディサイズに比例する」という既成概念を打ち破ることをコンセプトとして開発された。
インテリアも、このクラスのコンパクトカーの中では、かなり上質だ。走りと燃費、安全装備が高次元でまとまったコンパクトカー
そして、走りにもこだわった。
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3代目デミオよりボディサイズが大きくなっているのだが、ほぼすべて最適なドライビングポジションをとるために使用している。
搭載されているエンジンは、自然吸気1.5Lのガソリンと1.5Lディーゼルターボの2タイプだ。1.5Lは110ps&141Nm、1.5Lディーゼルターボが105ps&250Nmをアウトプットする。
おすすめしたいディーゼル車の250Nmというトルクは、自然吸気2.5L車並みにあたる。小さなボディでこの大トルクなので、ディーゼル車は非常に力強く走ることができる。
また、このクラスのコンパクトカーでは、トップレベルの安全装備が標準装備化されている。
歩行者検知式自動ブレーキや斜め後方から接近する車両を検知し警報を発する機能、誤発進抑制制御など多くの予防安全装備が全車標準装備だ。 -
日産 ノートe-POWER
ノートは2012年に登場した。デビュー時には、e-POWERの設定はなくガソリン車のみだった。
ライバルは、トヨタ アクアとホンダ フィットというハイブリッド勢で、ハイブリッドを持たないノートは販売面で苦戦していた。
しかし、起死回生のモデルとなったのが、2016年11月に登場したe-POWERだ。
日産はEV(電気自動車)をメインとしており、小型車向けのハイブリッドシステムの開発をしてこなかったまかで、e-POWERはちょっとしたアイデアから生まれた。
なんとEVであるリーフのモーターなどを流用したシンプルなシリーズハイブリッドを開発したのだ。強力なモーター走行で、新感覚のドライブフィールが楽しめる
ノートe-POWERに搭載されたモーターは、254Nmという大トルクを誇る。自然吸気エンジンだと、2.5Lクラスとほぼ同等のトルクだ。
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この大トルクで、全長4,100mmという小さなボディを走らせるのだから、その加速力はクラストップレベルでとてもスムースである。
一般の人があまり経験したことの無いEVの走りを持ち込んだドライブフィールが新鮮で、マーケットにおいて高い評価を得た。
その結果、2018年度登録車新車販売台数ナンバー1に輝いている。 -
ホンダ フィット
3代目となるホンダ フィットは2013年9月にデビューした。直近では2017年6月にマイナーチェンジしている。
歴代フィットは、高い人気を誇るコンパクトカーで、登録車新車販売台数ナンバー1を争っていた。
しかし、3代目フィットはデビュー直後からリコールが相次ぎ顧客の信頼を失ってしまう。
その後、デザインも不評だったようで販売台数は伸び悩み、ついに2019年秋には4代目フィットへとバトンタッチする予定だ。圧倒的な使い勝手の良さを誇る
ただし、クルマとしての完成度は高い。
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ホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用し、クラストップレベルの室内の広さと使い勝手の良さを誇る。
シートを跳ね上げれば、高さ128㎝もの積載スペースになるし、リヤシートを畳めば、26インチの自転車さえ積載できる。多彩なシートアレンジができ、さまざまなシーンで活躍してくれるのだ。
フィットに搭載されるエンジンは、1.5Lのハイブリッドに、1.3Lと1.5Lのガソリン車が用意されている。
1.5Lハイブリッドは、SPORT HYBRID i-DCDが採用され、走行状況に応じて、「EVドライブモード」「ハイブリッドドライブモード」「エンジンドライブモード」の中から、最も効率の良いモードを選択して走行する。
また、1.5Lエンジンは132psとパワフルながら、低燃費なのも魅力だ。 -
スズキ スイフト
スズキ スイフトのボディサイズは、全長3,840×1,695×1,500mmで、アクアやノートといったコンパクトカーよりひと回り小さいボディサイズになる。ボディサイズ的に直接のライバルとなるのは、日産 マーチなどだ。
4代目となるスイフトは、2017年1月に発売された。スズキの世界戦略車として重要な車種で、日本だけでなく、欧州やアジアなどの道で徹底的に鍛え上げられている。
そのため、コンパクトカーとしての総合力が高い1台だ。多くのパワーユニットが設定された世界戦略車
スイフトに用意されたエンジンは多岐にわたる。
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日本市場でハイブリッド車の人気が高いということもあり、1.2Lハイブリッドとマイルドハイブリッドの2タイプを設定した。ガソリン車は、自然吸気1.2Lと1.0Lターボの2タイプが用意された。選択肢が多いため、自分にピッタリなパワーユニットが選びやすい。
また、4代目スイフトは、大幅に軽量化されている。
すべてのグレードで1トンを切っており、軽量なモデルでは800㎏台となった。
この恩恵によりフットワークは軽快なうえ、1.2Lのガソリン車でも十分な加速力を披露する。さらに低燃費だ。
しかし、ハイブリッドに搭載された5速AGS(オートギヤシフト)はややクセがあり、慣れが必要だ。 -
トヨタ アクア
トヨタ アクアは、2011年12月に登場したハイブリッド専用のコンパクトカーだ。
1.5Lのハイブリッドシステムを搭載し、デビュー当時35.4㎞/L(JC08モード)という世界トップレベルの低燃費を実現し話題となった。
すでに、1クラス上のプリウスが大ヒットしており、世間ではハイブリッド車に対しての期待が高まっているなか、当然、アクアは瞬く間に大ヒットモデルとなる。
年度の登録車新車販売台数ランキングで、何度もナンバー1を取り続けるほどの人気車となった。とにかく売れている超低燃費ハイブリッドカー
アクアは燃費重視のコンパクトカーということもあり、空気抵抗を低くするデザインが採用されている。全高がやや低くルーフの後部が下がったデザインになっているため、リヤシートの頭上スペースがややタイトに感じる。
トヨタ アクアの口コミ・評価を見る
また、安全装備は非常に物足りない。歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備「トヨタセーフティセンス」は、上級グレードのみに標準装備され、売れ筋グレードのSやエントリーグレードのLにはオプション設定だ。
サイド&カーテンエアバッグも全車オプション設定で、購入時には必ずオプションを選択しなければならない。
アクアには、標準車の他にSUVテイストをプラスしたクロスオーバー、専用のエアロパーツやサスペンションなどを装備したGRスポーツも設定されていて選択肢は豊富だ。
おすすめランキング の 5台を比較
価格比較
デミオ
装備が良いので価格は高め
エントリーグレードの価格は、ガソリン車のデミオ15Cが1,393,200円、人気グレードの15Sツーリングは1,733,400円だ。
ディーゼル車のエントリーグレードであるXDは1,814,400円、人気グレードのXDツーリングは2,014,200円となっている。
ツーリンググレード比較では、ガソリン車とディーゼル車の価格差は、約30万円といったところだ。
デミオの価格は、他のコンパクトカーと比べるとやや高めだが、予防安全装備やサイド&カーテンエアバッグは全車標準装備となっている。ライバル車では、オプションになっていることが多いので、その分を差し引けば、デミオの価格はそれほど高価ではない。
ノート
e-POWER
やや高めの価格設定。値引き前提なら割安か
ノートe-POWERの価格は、エントリーグレードのSで1,901,880円だ。
このグレードには歩行者検知式自動ブレーキさえも装備されておらず、他の装備もやや貧弱で推奨できないグレードだ。
おすすめは、売れ筋のXグレード(2,021,760円)以上になる。
全般的にやや高めの価格帯だが、ノートはモデル末期のため、値引き額も大きくなる。大幅値引き前提であれば納得できる範囲だ。
また、ノートe-POWERには、スポーツモデルであるNISMOの設定もあり、価格は2,488,320円となっている。このNISMOグレードは、内容が充実しておりコストパフォーマンスも高い。リセールバリューも高いのでおすすめのグレードだ。
フィット
フルモデルチェンジ前の大幅値引き前提ならお買い得!
フィットハイブリッドの価格は、1,699,920円からと一見安く見える。
しかし、このエントリーグレードは、歩行者検知式自動ブレーキなどの予防安全装備が装着されていない。
安心して乗れるグレードは、予防安全装備であるホンダセンシングが標準装備されているLからで、価格は2,079,000円となる。
1.3Lのガソリン車は13G・Lグレードからが安全装備も充実していておすすめで、価格は1,653,480円だ。
そして、1.5Lはガソリン車の最上級グレードということもあり、装備は充実。価格は15XLで1,853,280円だ。スポーツモデルのRSは、2,050,920円となっている。
やや高めの価格設定なのだが、フィットは2019年秋にフルモデルチェンジを予定している。
それまでの間は、赤字覚悟の大幅値引きが予想できる。大幅値引きが前提であるのなら、お買い得感が出てくる。
スイフト
やや高めの価格設定となったハイブリッド車
スイフトのエントリーグレードは、XGリミテッド(CVT)1,461,240円からとなる。
スイフトの1.2Lガソリン車は、今時アイドリングストップ機能さえ装備されていない。スポーティグレードのRS(CVT:1,690,200円)も同様だ。
1.0LターボのRStは1,800,360円だ。マイルドハイブリッド車の上級グレードであるハイブリッドRSの価格は1,787,400円。スタイリッシュで、バランスの良い装備でおすすめグレードである。
そして、ハイブリッドSLの価格は1,949,400円とやや高価だ。この価格になると1クラス上のBセグメントコンパクトカーのハイブリッド車が手に入る。
アクア
オプションが多く、結果的に価格アップ
アクアのエントリーグレードであるLの価格は1,785,240円だ。かなりお買い得な価格に見えるが、かなりシンプルな装備となっている。
実質的には、Sグレード(1,886,760円)がエントリーグレードと考えるとよい。
標準車の最上級グレードGの価格は2,059,560円で、最上級グレードであることを考えると安価なのだが、サイド&カーテンエアバッグやアルミホイール、ナビを装着するために必要なナビレディパッケージもオプションとなっている。
これらをプラスしていくと、ライバル車並みの価格帯になる。
アクアはモデル末期なので、大幅値引きが期待できる車種だ。オプション分は、値引きで相殺できればお買い得感が出てくる。
燃費比較
デミオ
どのエンジンタイプを選んでもOK
デミオのガソリン車で、15Sツーリング(AT)の燃費は19.0㎞/L(WLTCモード)、6速MT車だと19.8㎞/Lだ。ディーゼル車のXDツーリング(AT)の燃費は26.4㎞/L(JC08モード)となっている。
ディーゼル車の燃費はかなり優秀だ。軽油を使うディーゼル車は、レギュラーガソリンより20円/L前後価格が安い。燃料費で考えると、ハイブリッド車並みになる。
また、ガソリン車の燃費も優秀なため、燃費面では、どのエンジンを選択しても十分に納得できるレベルにある。
ノート
e-POWER
街乗りでの燃費に優れるe-POWER
ノートe-POWERの燃費は、Sグレードが37.2㎞/L(JC08モード)と非常に優れた燃費値になっている。実際の売れ筋グレーであるXは34.0㎞/Lだ。
e-POWERはシリーズハイブリッド方式なので、主に市街地などストップ&ゴーの多い環境での燃費値に優れる。60㎞/h程度以下の道なら、ライバル車のハイブリッド車以上の燃費値を期待できる。
その一方で、高速道路など速度が高いシチュエーションションは苦手で、ライバル車に一歩譲る燃費値になる。
フィット
ハイパワーながら低燃費な1.5Lガソリンエンジン
フィットハイブリッドの燃費は、グレードによりやや差が大きく31.8~37.2㎞/L(JC08モード)となっている。
売れ筋Lグレードの燃費は、34.0㎞/Lで優れた燃費値だ。1.3Lガソリン車13G・Lの燃費は24.6㎞/Lとまずまずの燃費値となった。
そして、1.5Lガソリン車の燃費が22.2㎞/Lと良好だ。100psの1.3Lに対して132psとハイパワーな1.5Lだが、燃費は1.3Lとそれほど変わらない。
フィットのスポーツグレードであるRSには6MT車の設定があり、このグレードの燃費は19.2㎞/Lだ。
スイフト
燃費はよいが、安全装備が貧弱な1.2Lガソリン車
スイフトのマイルドハイブリッドML、RSの燃費は27.4㎞/L(JC08モード)とまずまずの燃費値となった。
そして、微妙なのがハイブリッドSLで、このモデルの燃費は32.0㎞/Lだ。
マイルドハイブリッド車よりは優れた燃費値だが、1.2Lという小さな排気量なのに、ひとクラス上の1.5Lハイブリッド車の燃費値より悪い。車両価格が高いので、コストパフォーマンスという点では少々微妙だ。
また、1.2Lガソリン車の燃費は24.0㎞/Lとかなり優秀だが、アイドリングストップ機能さえ装備されていない。
これを装備すれば、マイルドハイブリッド車並みの燃費になることが考えられる。そのため、あえてアイドリングストップ機能を装備していないのでは? という疑念がわいてくる。
アクア
圧倒的な燃費性能
アクアのエントリーグレードLの燃費は38.0㎞/L(JC08モード)、売れ筋グレードのSは34.4㎞/Lになっている。燃費性能にこだわったアクアだけに、この燃費値はクラストップレベルといえるものだ。
スポーツグレードのGRスポーツも34.4㎞/Lになっている。
街中で、より実燃費をアップさせるテクニックは、アクセルのちょい抜き。ジワリとアクセルを踏みEV走行を心がけ、エンジンが始動したらアクセルをちょっと抜くのがコツだ。
そうすると、エンジンは再び停止しEV走行できる。そこで、またアクセルをジワっと踏み、なるべくEV走行させると実燃費も向上する。
走行性能比較
デミオ
重厚なディーゼル車。軽快なガソリン車
デミオのガソリン車とディーゼル車の走行フィーリングは大きく異なる。
ディーゼル車の方が、80㎏前後車重が重い。その重量分は主にフロント部分に集中している。高速道路などでは、どっしりとした重厚なクルージングが得意だ。
対してガソリン車は、軽快感あるハンドリングが魅力だ。おすすめはディーゼル車で、最大トルクは250Nmもある。そのため、非常に力強い。
この余裕ある最大トルクの恩恵で、小さなクルマだが、ロングドライブでも疲労が少ないのも美点だ。
ノート
e-POWER
ユニークな瞬発力と1ペダルドライブが魅力
ノートe-POWERは、リーフのモーターを使い254Nmという大トルクを発揮する。
日産のe-POWERドライブは、アクセル操作ひとつで発進から停止まで可能だ。
アクセルを床まで踏み込むと、この254Nmがイッキに立ち上がり、イッキに速度を上げていく。この瞬発力は、クラストップといえる実力だ。
さらに、その加速はスムースなうえ、モーターで走行するため、アクセルを戻すと強い回生ブレーキが働く。
この1ペダルドライブや圧倒的な瞬発力が、ノートe-POWERのユニークさを際立たせており、高い人気を得ている。
フィット
ハイブリッドとRSの走りは秀逸
販売面で不調が続いていたことから、2017年6月のマイナーチェンジではボディ剛性のアップなど、大幅な改良が行われた。その効果が明確に出ていたのがハイブリッド車だ。
乗り心地や操縦安定性は大幅に向上した。
ステアリング操作に対してより忠実な走りを披露し、気持ちの良い走りを実現している。とくに、スポーツモデルのRSは爽快な走りを堪能できる。
ただ、全体的にお上品にまとまっており、スポーツグレードらしい尖ったところが感じられない。逆に言えば、多くの人が違和感なくRSの走りを楽しめる。
スイフト
エンジン再始動時に振動がほとんどないマイルドハイブリッド車
1.2Lガソリン車は、軽量ボディの効果もあり必要十分といった動力性能だ。
1.0LターボのRStは150Nmのトルクを誇るため、なかなか鋭い加速を誇る。ただ、速さという点では、スイフトスポーツがあるので、立ち位置的には微妙だ。
マイルドハイブリッド車の走りそのものは1.2Lガソリン車と大差ないが、アイドリングストップからのエンジン再始動にISG(モーター機能付発電機)が使われるため、振動や音が非常に少なく快適である。これだけで、マイルドハイブリッド車を買ってもいいと思えるほどだ。
ハイブリッド車は、MTとATの利点を兼ね備えたトランスミッションAGS(オートギヤシフト)が採用されている。クラッチとシフトの操作をコンピューター制御で行なう。
MTのようなダイレクト感ある走りを楽しめるものの、シフトチェンジに空走感がある。少々慣れが必要だ。
アクア
低重心でバランスがよく、意外なほどスポーティ
アクアは、大きく重いハイブリッド用バッテリーをリヤシート下付近に設置している。
そのため、前後の重量バランスがよくなって重心も下がり、非常にスポーティで気持ちよい走りを楽しめる。
ただし、重量バランスに優れているものの、サスペンションにあまりお金をかけていないせいか、標準車はやや雑な乗り味だ。
一方で、スポーツグレードのGRスポーツは秀逸な運動性能をもつ。
スポット溶接増しやボディ剛性をアップするための補強パーツ、専用のローダウンサスペンションなどを装備し、乗り心地も上質で、アクアの重量バランスの良さを引き立てた軽快でスポーティな乗り味を実現している。
乗り心地比較
デミオ
熟成されたコシのある乗り味
デミオのデビューは2014年とやや古い。そのため、現在までの間に何度も改良を施されてきた。モデル末期ということもあり、かなり完成度は高い。
デビュー時こそ、タイヤの硬さを感じさせる部分もあったが、現状ではかなり熟成されてきている。このクラスでは、トップレベルの乗り心地だ。
ガソリン車、ディーゼル車ともに欧州車的な、コシのある乗り味で、クルマを操ることが好きな人には、ピッタリのセッティングになっている。とくに上質なのがディーゼル車で、車重の重さがいい影響を出している。
ノート
e-POWER
乗り心地は改善の余地あり
ノートe-POWERの弱点ともいえるのが乗り心地だ。
ガソリン車よりは少し良くなったが、路面の凹凸をしっかりと拾い乗員にしっかりと伝えてくる。サスペンションの動きがシブく、路面追従性は良いとは言えない点は、もう少し改善が必要だ。
スポーツモデルのNISMOは、基準車に比べると硬めのサスペンションセッティングとなっているが、乗り心地そのものは悪くない。むしろ、基準車がNISMOくらいの乗り心地にしてほしいと感じるほどだ。
フィット
やや物足りない1.3L車。柔らかめなハイブリッド
フィットハイブリッドは、上質な乗り心地を重視した結果、やや柔らかめな乗り心地になった。普通に走っているレベルだと、なかなか気持ち良い。ただ、高い速度域や、タイトなカーブで高Gがかかるとやや曲がりにくくなる傾向だ。静粛性は高く、1クラス上のレベルになっている。対してRSは、全域でコシのある乗り心地で、しかも爽快な走りを見せる。乗り心地も悪くない。1.3Lはコストダウンを重視したのか、乗り心地面ではやや粗さがありハイブリッドやRSと比べると安っぽさを感じる。静粛性も同様だ。
スイフト
締まったフットワークのRSは好感度大
スイフトの乗り心地は、標準車系とRS系の2つに分けられる。
標準車系は、乗り心地重視といった印象で、カーブではやや車体が傾く傾向が強い。日常的な使い方なら、これで十分といったところだ。
RS系は、欧州などで高速移動をメインとした足回りのセッティングで、やや硬めのフットワークをもつ。硬めといっても、標準車に対して硬めなだけで、スポーツモデルにありがちなタイヤのゴツゴツ感はそれほど伝えてこない。どちらかというと、しなやか系なフットワークだ。
アクア
優れた重量バランスを生かし切れていない乗り心地
アクアの初期モデルは、とにかく乗り心地が悪かった。
ゴツゴツ、ザラザラとした感覚が強く、動かない足なのに機敏性を高めようとしていた。
しかし、何度も改良が加えられ、ボディ剛性もアップしたことから、最新のアクアの乗り心地はかなり良くなっている。良くなったと言っても、このクラスのクルマとしてはなんとか合格といえるレベルだ。
また、乗り味もマイルドになっていて、優れた重量バランスを生かし切れていない。敏捷性に優れ、乗り心地もよいGRスポーツの足回りを標準車にも採用すれば、かなり良いクルマになる。
内外装・デザイン比較
デミオ
上質だが、やや新鮮味に欠けてきた
マツダの魂動デザインが採用され、コンパクトなボディながら躍動感のあるデザインとなった。
このクラスのコンパクトカーは、あまり好き嫌いの出るデザインを採用しにくい。販売台数が多いモデルだけに、失敗が許されないからだ。
そんな中、デミオのデザインはかなりエモーショナルだ。ある意味、好きな人だけ買ってくれればいいといったメッセージにも思える。
何度か微妙な変更が加えられてきたなかで、少々新鮮味に欠けてきた感がある。
インテリアは、クラストップレベルの質感をもつ。色にもこだわっており、さまざまな内装色をもった特別仕様車がリリースされている。
ノート
e-POWER
モデル末期ゆえに、そろそろ賞味期限切れ?
日産のデザインアイコンであるVモーショングリルが特徴的なノートの外観デザイン。ボディサイドのキャラクターラインは、シャープで個性的だ。
ただ、ノートは2012年登場のモデルなので、すでにモデル末期に入っている。
現在までの間に、何度かデザインはリフレッシュされたものの、さすがに古さが隠し切れない。
インテリアも同様に古さが目立ってきてたなかで、ライバル車のインテリアの質感はかなり向上されてきたこともあり、ノートe-POWERの内装質感はややチープに見えてしまう
フィット
やや好き嫌いが出る外観デザイン
外観のデザインが、フィットの販売不調理由のひとつとしてあげられている。
上質感はあるものの、やや好き嫌いが明確になるデザインで、センタータンクレイアウトを使っていることからやや腰高に見える。
RSは専用エアロパーツを装備することで、見た目の腰高感を若干薄めていることもあり基準車と比べると、やはりスポーティに見える。
インテリアの質感は高く、ソフトパッドを使うなどして高級感もある。質感レベルでは、このクラスでもトップレベルだ。
スイフト
派手さはないが、バランスの取れた落ち着いたデザイン
歴代スイフトのシルエットを継承しながら、重心の低いプロポーションとフェンダーの張り出し感を強調し、力強さと安定感のあるスタイリングにまとめられた。
また、切れ上がったヘッドライトや大型グリルにより、スポーティさも表現されている。
インテリアにはセンターコンソールなど、操作系を5度ほど運転席側に傾斜させコックピットのような雰囲気を演出した。
ただ、好き嫌いが出るデザインを避けたかったのか、やや地味な雰囲気にまとめられていて、もう少しエモーショナルなデザイン要素が欲しいところだ。
アクア
やや質感が低いインテリア
アクアはモデル末期なのだが、何度か外観デザインをリフレッシュしたこともあり、意外と古臭さを感じさせない。むしろ、徐々に洗練されてきているのと同時に高級感も出てきている。
こうしたデザインの深化もアクアが売れ続けている理由のひとつだろう。
ただ、インテリアはやや古く見えてきた。センターメーター内の液晶画面も小さく見にくい。
また、上級グレードはまだ多少納得できるレベルだが、売れ筋グレードのSなどは、ライバル車と比べても少々質感が低く感じる。