高級セダンベスト5を徹底比較
自動車専門家の大岡氏が、おすすめの新車の高級セダンをランキング形式で発表!
価格や燃費、走行性能などさまざまな角度でも比較しました。
気軽にたくさん運転できる高級セダン選びの参考にしてください。
目次
おすすめランキング ベスト5
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BMW 3シリーズセダン
G20とも呼ばれるBMW3シリーズは、2019年3月デビューし7代目となった。このクラスのセダンもフルモデルチェンジする度に、ボディサイズは大きくなっている。全幅1,800mmを維持していた6代目3シリーズだったが、7代目は1,825mmとなっている。全幅が1,800mmを超えたことで、都市部に多い全幅1,800mm以下制限のある立体駐車場を車庫に使うユーザーは、サイズ的に7代目3シリーズを検討しにくくなった。
7代目3シリーズのボディサイズは、全長4,715×全幅1,825×全高1,430mm、ホイールベースは2,850mm。先代モデルに対して、全長は+70mm、全幅は+25mm、ホイールベースは+40mmも大きくなっている。ボディサイズが大きくなったことで居住性は向上した。また、全幅がワイドになったことで、スタイリッシュなワイド&ローシルエットに磨きがかかっている。7代目3シリーズの特徴として、予防安全装備と高度運転支援機能があげられる。例えば、歩行者検知式自動ブレーキや高度運転支援機能に重要なカメラは3眼タイプの仕様だ。3眼カメラにすることで、より多くの情報を収集できるようになり、より高精度な制御が可能となっているのだ。
カメラを中心としたセンシング技術の進化により、3シリーズには当時、日本初の高速道路渋滞時ハンズ・オフ・アシスト機能が可能となった。システムが一定の条件をクリアした時にハンズオフが可能となる。この機能により、ドライバーの疲労が大幅に軽減された。選択肢豊富なパワーユニットがある世界的なスポーツセダン
3シリーズは、多くのパワーユニットをもつことも特徴としてあげられる。現在、計6つものパワーユニットから選択できる。ガソリン車は、直4 2.0Lターボで、出力違いで3タイプ。さらに、高出力な直6 3.0Lターボを加えて、ガソリン車は計3タイプが用意されている。2.0Lディーゼルのほか、現実的な環境車である直4 2.0Lターボ+モーターのPHEVが用意されている。これだけ豊富な選択肢をもつのは3シリーズの強みでもある。顧客は、最も自分の使い方に合ったピッタリなパワーユニットを選択可能だ。
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日産 スカイライン
2014年に登場し、13代目となった日産スカイライン。多くのファンはV37型とも呼び、長い歴史のあるモデルだ。
スカイラインは、2019年に大幅マイナーチェンジが行われた。このマイナーチェンジでは、若干のデザイン変更が行われた。話題になったのが、ハイブリッド車に搭載された当時世界初となるプロパイロット2.0だ。プロパイロット2.0は、ナビと連動した高度運転支援機能だ。高速道路上で設定速度内でほぼ自動運転状態で走行することができる。
また、プロパイロット2.0作動時で、遅い先行車に追いついた場合、車両から車線変更の提案がある。提案をドライバーがOKした場合、ステアリングに手を添えウインカーレバーを操作するだけで、後方を確認し自動で車線変更する。追い越し終了後は、同じ操作で走行車線へ戻る。プロパイロット2.0の機能は想像以上に疲労軽減に役立つ。先進的か、 古典的か? 選べる個性
スカイラインにはハイブリッド車の他に、マイナーチェンジで新たに新開発のV6 3.0Lターボ(VR30DDTT)が採用された。V6 ターボは、古典的なエンジンで先進感はあまり感じない。一方、ハイブリッド車は、プロパイロット2.0も加わり、先進感をとても感じる。スカイラインは、まったく異なるモデルが混在する珍しいモデルとなった。
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トヨタ クラウンハイブリッド
トヨタ クラウンは、15代目と長い歴史をもつ。現行クラウンは、2018年にフルモデルチェンジした。そろそろ、マイナーチェンジでの時期に入っている。
クラウンは、日本専用セダンとして開発されている。日本に向けたセダンとして開発されているので、国内セダンの販売台数では常にトップレベルを走り続けている。
しかし、消費者のセダン離れの傾向を受けているのか年々販売台数は低迷している。
販売台数は低迷しているものの、クラウンはとても完成度の高いモデルだ。日本専用車として開発、国内ナンバー1セダン
このモデルから、プラットフォーム(車台)は刷新され、最新のGA-Lプラットフォームが採用されている。レクサスLSなどとも共通のプラットフォームだ。ただし、日本専用車なので全幅は1,800mmに抑えている。これは、都市部に多い全幅制限1,800mmの立体駐車場に車庫にするユーザーのためだ。
最新のGA-Lプラットフォームは、大幅に低重心化された。そのため、クラウンの走行性能は劇的に進化した。従来のクラウンとは思えないほど、スポーティな走りを披露する。
トヨタ クラウンハイブリッドの
また、従来のアスリートやロイヤルといったグレード名が廃止された。トヨタブランドの最高級車として位置付けられていたマジェスタも姿を消した。
従来のアスリートに対応するスポーティ仕様を「RS」系とし、乗り心地重視仕様はロイヤルから「G」系へとグレード名を変更した。従来のマジェスタに相当するラグジュアリー系の新グレードは「Gエグゼクティブ」となっている。
搭載されたパワーユニットは、2.5Lと3.5Lのハイブリッドの2タイプだ。ガソリン車は2.0Lターボが設定された。計3タイプのパワーユニットから選択できる。
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レクサス ES
レクサスLSは、2018年に新型セダンとして登場した。北米では、すでに7世代目となるモデルだ。国内には、同等サイズのFRセダンであるGSが存在した。そのため、レクサスは、共食いする可能性が高かったため導入を見送っていた。
しかし、セダンマーケットは低迷を続け、GSの販売が低迷し続けた。そこで、GSよりもかなり安価な価格設定がされたESが導入され、既納客の囲い込み、新規顧客の誘因を狙った。優れたデザイン、先進技術、リーズナブルな価格で人気
ESは、優れたデザインや先進装備、レクサス車としては安価な価格もあり、セダンの中では人気モデルとなる。
ただ、ESのボディサイズは、北米がメインのモデルと言うこともあり全長4,975×全幅1,865×全高1,445㎜でホイールベースは2,870㎜とかなり大柄だ。最小回転半径は5.9mもしくは5.8mとかなり大きく小回りはしにくい。ホイールベースが3,000mmもあるアルファードと同等レベル。狭い駐車場が多い日本では、少々扱いにくい。
ただ、アートのような造形となったスピンドルグリルなど、優れたデザインをもつ。いかにもラグジュアリーセダンらしいデザインは秀逸だ。
さらに、従来のドアミラーの代わりに小さなカメラが設置された。後側方を確認できる世界初のデジタルアウターミラーもあり、先進性がある。パワーユニットは、世界トップレベルの超低燃費性能を誇る2.5Lハイブリッドのみの設だ。
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ボディ関連では、最新のGA-Lプラットフォーム(車台)が採用された。低重心化や高剛性ボディの恩恵もあり、運動性能や乗り心地、静粛性は高いレベルにある。もはや、死角はないといえるほど完成度の高いラグジュアリーセダンだ。 -
ホンダ アコード
ホンダ アコードは、2020年にフルモデルチェンジし10世代目となった。アコードも基本的に北米をメインとしたモデルのため、ボディサイズは全長4,900×全幅1,860×全高1,450mmとかなり大きい。最小回転半径も5.7mと、トヨタの大型ミニバンであるアルファード並みだ。ライバル車は、トヨタ カムリだ。
新型アコードの開発コンセプトは、「ABSOLUTE CONFIDENCE ―絶対的な自信、純然たる信頼―」。また、アコード用に「新世代プラットフォーム(車台)」が開発されている。アコードは優れた走行性能とゆとりある室内を生み出している。
ホンダは10代目となったアコードは、先代モデルが2グレード構成だったのに対してかなり割り切った構成をしている印象を受ける。10代目アコードはEXと呼ばれるグレードのみだ。また、パワーユニットも2.0Lハイブリッドのe:HEVのみとしている。
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おすすめランキング の 5台を比較
価格比較
BMW
3シリーズ
セダン
お買い得感ある318iの価格
BMW3シリーズのエントリーグレードは、318iで価格は4,950,000円で、唯一500万円を切っている。同じ2.0Lターボエンジンを搭載し、高出力になっている320iの価格は5,450,000円。なんと、50万円もの価格差がある。
エンジン出力では、318iが156ps&250Nm。一方、320iは184ps&300Nmだ。エンジン出力にこだわらなければ、50万円安価な318iでも十分と言える。
装備面でも大差はない。安全装備は、両グレードとも共通で高速道路渋滞時ハンズ・オフ・アシストも装備されている。予算やコストパフォーマンスを重視するのであれば、318iの価格はコストパフォーマンスに優れている。
2.0Lディーゼルのエントリーグレードは、320d xDrive Edition Joy+で5,800,000円。PHEVのエントリーグレードは、330e M Sport Edition Joy+で6,250,000円。最もスポーティなM340i xDriveは、一気に高価になり9,990,000円という価格になっている。
おすすめはPHEVの330e(価格:6,250,000円)だ。ディーゼル車との価格差は45万円アップなのでお買い得と言える価格だろう。
日産
スカイライン
国産車としては高めの価格設定
日産スカイラインの価格は、ガソリン車とハイブリッド車共にやや高めの価格設定だ。
ハイブリッドのエントリーグレード価格は、GT(FR)で5,575,900円。最上級のGT Type SPは6,160,000円となっている。最上級グレードは、軽く600万円を超えている。最先端の運転支援システム(プロパイロット2.0)なので、高価になるのは仕方ないとはいえ、国産車としてはやや高めな印象だ。
ガソリン車の価格は、エントリーグレードのGT(FR)4,353,800円。最上級グレードのGT Type SPは、4,908,200円となっている。ハイブリッド車より安いとはいえ、最上級グレードだとほぼ500万円。しかも、走行性能を大幅に向上したガソリン車の400Rは、5,625,400円とこちらもかなり高価な価格となっている。
高価なハイブリッドシステムも無いガソリン車は、歩行者検知式自動ブレーキも装備されていない。純ガソリン車なのに、この価格はやや高価な印象を受ける。
ガソリン車とハイブリッド車の検討比較したい場合は、ハイブリッドシステムとプロパイロット2.0、歩行者検知式自動ブレーキ分を加味して選んだ方が良いだろう。
トヨタ
クラウン
ハイブリッド
ドイツ、プレミアムセダンと同等の価格帯に突入
トヨタ クラウンは、国産ナンバー1セダンで人気のハイブリッド車ということもあり、新車価格は非常に高めだ。また、レクサスLSと同じGA-Lプラットフォームを使ったこともあり、コストが急上昇し価格を上げるしかない、というのも理由のひとつと予想できる。
2.5Lハイブリッド車の価格帯は、4,899,000(FR、Bグレード)~6,513,000円(4WD、G-エグゼクティブFour)。3.5Lハイブリッドだと、なんと700万円越えとなり7,107,000(RSアドバンス)~7,393,000円(FR、Gエグゼクティブ)となっている。3.5Lハイブリッド車には、4WDの設定はない。
この価格帯は、ドイツのプレミアムブランドであるメルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズと同等レベル。グレードによっては、クラウンの方が高価だったりする。BMWのPHEVである330eは、6,250,000円と戦略的な価格設定だ。PHEVなのに、クラウンハイブリッドと同等か、それ以下の価格で買い得感がある。
国産セダンは、ドイツプレミアムセダンより、安価でコスパに優れていることが良い点であった。価格での比較検討が難しくなると、他要素を含めた検討になってくるだろう。
レクサス
ES
GSよりは安価だが、輸入車並みの価格設定
レクサスESのパワーユニットは、2.5Lハイブリッドのみで、グレードも3グレードのみとシンプルだ。エントリーグレードのES300hの価格は5,990,000円と、微妙に600万円切る価格設定にされている。GSの2.5Lハイブリッドを搭載した6,278,148円だったので、約29万円安価な設定だ。
ただ、ESのエントリーグレードは、ラグジュアリーセダンとしては装備が簡素化されている。ホイールは17インチとなり、LEDヘッドライトはオプションだ。割り切れれば安価だが、おすすめは最上級グレードのバージョンL(7,150,000円)だ。
セミアニリン本革シート(運転席・助手席ベンチレーション機能付き)、後席電動リクライニング機能、アクセサリーコンセント(AC100V・1500W/非常時給電システム付)、パフォーマンスダンパーなどの装備がプラスされるなど、満足度の高い設定だ。
スポーツグレードF SPORTの価格は6,510,000円となっている。
GSより安価とはいえ、さすがレクサス車という高額な価格設定だ。FR(前輪駆動)車のクラウン最上級グレードより、FF(前輪駆動)車のESの方が高価になっている。しかも、ES最上級グレードのバージョンLは、PHEVであるBMW330e(6,250,000円)よりも高い。
ホンダ
アコード
新開発プラットフォームにより価格アップ
ホンダ アコードは、EXグレードのみの設定で価格は4,650,000円。先代モデルのEXグレードより、約47万円も価格アップしている。新開発のプラットフォーム(車台)などの採用もあるが、少し高価なイメージだ。
ライバル車であるトヨタ カムリのGレザーパッケージの価格は、4,364,000円。アコードは約29万円高価なことになる。ただ、カムリには装備されていないダンパーの減衰力を4輪独立で制御するアダプティブ・ダンパー・システムなどが標準装備されている。こうした装備差は含めると、ほぼ同等レベルの価格といえる。
燃費比較
BMW
3シリーズ
セダン
純ガソリン車より、おすすめはPHEV
BMW3シリーズのガソリン車には、未だマイルドハイブリッド機能などの電動化技術は投入されていない。
そのため、WLTCモード燃費は118iで13.4㎞/L、320i で13.8㎞/L、330iで13.2㎞/L、M340i xDriveが11.7㎞/Lとなっている。この燃費値は、純ガソリン車としては、平均的な数値といえる。さらに、輸入車なので、すべてハイオクガソリン仕様だ。ガソリン価格が高騰し続けると、燃料費という部分では、やや選びにくい。
3シリーズで人気が高くなっているのが2.0Lディーゼル車。4WDとなる320i xDriveの燃費は15.3㎞/Lとなっている。ディーゼル車の燃料は軽油。ハイオクを使うガソリン車に対して、燃料費が30円/L前後も安価になるので経済的。とくに、昨今のようにガソリン価格が高騰し続けていると、メリットはより大きくなる。
そして、環境型パワーユニットであるPHEVの330eは、58.0㎞/Lもの距離をEV走行できる。ハイブリッドモードの燃費は、13.5㎞/Lだ。燃費値は、少々物足りないが、抜群のレスポンスで楽しい走りを支えている。
330eの場合、短距離通勤や日々の買い物、送迎など短距離の移動が多いのであれば、大きなメリットになる。EV走行で足りる移動が中心なら、ほとんどガソリンを使わない生活が可能になるだろう。
日産
スカイライン
燃費よりパワフルさ重視のハイブリッド
日産スカイラインハイブリッドの燃費は、12.4㎞/L(FR、WLTCモード以下同)と少々物足りない数値となっている。
ライバルとなるクラウンの3.5Lハイブリッド車の燃費は16.0㎞/Lなので大きな差がついた。
しかし、スカイラインハイブリッドの1モーター2クラッチ式は、アクセル操作に対するダイレクト感あるスムースで強烈な加速力はもつ。スポーティな走りが楽しめる。
スカイラインターボ車である304ps仕様の燃費は、10.0㎞/Lだ。燃費が良いとはいえないが、この3.0Lターボエンジンと言う点では、まずまずの燃費値といったところだ。そして、405psというハイパワーをアピールする400Rの燃費は、意外と良好で10.0㎞/Lとなっている。
また、ハイブリッド車とガソリン車ともに、使用燃料はハイオクガソリンだ。燃費もそれほどよいクルマではないので、昨今のようにガソリン価格の高騰が続くと、家計に厳しいクルマになるかもしれない。
トヨタ
クラウン
ハイブリッド
高価だが、世界トップレベルの超低燃費性能
トヨタのハイブリッド車の燃費は、世界中の自動車メーカーが追従できないレベルにある。それほど、優れた超低燃費性能を誇る。
クラウンハイブリッドの2.5Lハイブリッドの燃費は、20.0㎞/L(FR、WLTCモード以下同)だ。3.5Lハイブリッドが16.0㎞/Lとなっている。例えば、BMWのPHEVである330eのハイブリッド燃費は13.5㎞/L。この330eは、2.0Lターボなので同じ条件下にはないものの、V6 3.5Lクラウンハイブリッドの燃費の良さが分かるだろう。燃費重視なら、世界ナンバー1のセダンだ。
レクサス
ES
他の追随を許さない超低燃費性能
レクサスESのパワーユニットは、2.5Lハイブリッドのみの設定。燃費は22.3㎞/L(FF、WLTCモード以下同)となっている。もはや、他の追随を許さない圧倒的な超低燃費性能となっている。
同じプラットフォームとパワーユニットを使うトヨタ カムリの燃費は、24.3㎞/Lだ。カムリと比べるとESの燃費は低いが、主にESの方が車重が重いことが要因だろう。ESはカムリより車重が100㎏以上重い。
ホンダ
アコード
ライバル車を超えることができなかった燃費値
ホンダ アコードの燃費性能は、22.8㎞/L(FF、WLTCモード)。JC08モードにすると30.0㎞/Lとなっている。クラスモデルとしては驚異の燃費値といえる。
先代アコードハイブリッドの燃費は、30.0㎞/L(FF、JC08モード)となっていて、差はない。
これは、パワーユニットが先代の2.0L i-MMDから、2.0L e:HEVと名前は変わっているが、基本的に先代のパワーユニットと同じものを採用しているからだ。エンジン型式こそLFAからLFBに変わっているものの、モーターは同じで出力も同じだ。ただ、車重が40㎏軽くなっている。
e:HEVは、シリーズハイブリッドがベース。エンジンは発電がメイン。ほとんどのシーンで、エンジンで発電した電気を使いモーターで走行する。ただし、高速道路などエンジン負荷の低い領域で、発電するよりエンジンの力を使い走行した方が、燃費が良くなる場合のみエンジン直結モードで走行する。こうした機能をもたない純シリーズハイブリッドより、高速燃費が伸びる仕組みだ。
走行性能比較
BMW
3シリーズ
セダン
ガソリン車では味わえない、驚異のモーターレスポンス
BMWは、走行性能を追求し前後重量配分50:50にこだわっている。3シリーズも同様で、ドライバーはクルマの中心に座っている感覚がある。クルマとドライバーの一体感を強く感じるモデルだ。
また、こうした重量配分だけでなく、俊敏なハンドリグ性能も3シリーズの魅力だ。ミリ単位の微妙なステアリング操作に対しても、機敏に反応する正確無比なハンドリング性能は、ドライバーを虜にする。
また、エンジンのフィーリングも素晴らしい。どのエンジンもレスポンスがよく、高回転域まで、スムースに回る。とくに、直6 3.0Lエンジンは、まるで自然吸気エンジンのようなレスポンスで、高回転域でもトルクの落ちも少なく、パンチのあるパワーが持続する気持ちよいエンジンだ。
しかし、時代は電動化へ急速に進んでいる。そんな中、おすすめなのが2.0Lターボにモーターを組み合わせた330e。ハイブリッドモードでの燃費は、13.5㎞/L(FR、WLTCモード以下同)と物足りない。
BMWは、モーターを積極的に楽しい走りにするために使っている。アクセルと踏むと、瞬時にモーターのトルクで車体を押し出す。ターボエンジンのターボラグをモーターの力で完全に帳消し状態とした。
そこから、エンジン出力にモーターの力が加わり、怒涛の加速が始まる。アクセルオフからのオンの時の超絶高レスポンスは、まさにPHEVならではの走りだ。
日産
スカイライン
基本設計の古いプラットフォームを支える先進技術
日産スカイラインが使うFR車用プラットフォーム(車台)は、設計が古い。最新の輸入車や、クラウンに採用されたGA-Lプラットフォームなどと比べると、やや重心が高く運動性能面では少々厳しいものがある。
しかし、プラットフォームの古さをフォローしているのがDAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)と呼ばれる世界初の先進技術だ。この技術により応答遅れのないシャープなハンドリングや、不快な振動が伝わってこないなどのメリットがある。運転中の疲労も大幅に低減される。また、DASは自動運転とも相性がよく、プロパイロット2.0での車線維持や車線変更、カーブでの自然なステアリング操作に生かされている。
ハイブリッド車のシステム出力は364psとかなりパワフルだ。低回転時のエンジントルク不足をモーターが補ってくれるので、全域でアクセルレスポンスがよい。
また、モーターだけでのEV走行も可能なので燃費も向上される。
そして、ガソリン車の400RはV6 3.0Lターボで405ps&475Nmという大出力を誇る。古いプラットフォームなので、荒々しい加速かと思ったのだが、意外にも落ち着いた加速だ。ただ、停止時からアクセルを床まで踏み込むと、頭ごと後方に引っ張られるような加速力を誇る。まさに、スポーツセダンと言った印象だ。
トヨタ
クラウン
ハイブリッド
クラウンらしからぬ? サーキットで鍛えた優れた運動性能
従来のクラウンは、日本の高級車らしさを追求したモデルで、乗り心地にはこだわるものの走行性能は二の次だった。しかし、15代目となったクラウンは、ドイツプレミアムセダンを超える走行性能を目指し開発された。優れた走行性能を目指し低重心化や、新開発のGA-Lプラットフォームを手に入れた。結果、クラウンの運動性能は飛躍的に進化した。
とくに、スポーツグレードとして設定されたRS系は、なかなかキレのある走行性能が魅力だ。ステアリング操作に対して、素直に反応しキレはあるがクイック過ぎないハンドリングがよい。
また、RS系はフラットライドな走りが魅力でもある。専用フロントスタビライザーによるロール剛性の向上や、リニアソレノイド式AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)が採用されている。路面から大きな入力が入っても、適切な減衰力を瞬時に発生させ、余分なクルマの動きを抑え走行性能向上に貢献している。スポーツセダンというより、グランドツーリングセダンといった印象だ。
対して、ラグジュアリー系のG系は、やや穏やかなハンドリングでゆったりとした走りが楽しめる。ガツガツと飛ばして走るクルマではない。大人の余裕を感じさせる走りだ。
レクサス
ES
絶妙なハンドリングをもつF SPORT
レクサスESに採用されている最新のプラットフォーム(車台)GA-Kは、低重心設計とし運動性能を高めている。こうしたプラットフォームを使うため、ESはラグジュアリーセダンながら、意外と走行性能が高い。
スポーツセダンのような機敏さは無いが、ステアリング操作に対して忠実にクルマが反応する。
ラグジュアリーセダンは、乗り心地重視でカーブでは車体が大きく傾き曲がらないイメージが強いが、ESはグイグイよく曲がる。
レクサスESをややスポーティに仕上げたグレードがF SPORTだ。新型のアクチュエーターを用いた最新鋭リニアソレノイド式AVSが採用されている。ショックアブソーバーの減衰力可変幅を拡大することで、低速域では上質な乗り心地、高速域では操舵応答性や安定性を両立した。カーブでは、F SPORT専用チューニングしたやや硬めのサスペンションにより、他のグレードとは異なるややスポーティな走りが楽しめる。
ホンダ
アコード
新世代プラットフォームがもたらす高い操縦安定性
ホンダ アコードには、新世代プラットフォーム(車台)が採用された。この新プラットフォームは、「低重心・低慣性プラットフォーム」を目指した。先代モデルより重心高を15mm下げ、車両重量は50㎏軽量化されているなど、走行性能の数値は向上している。さらに、高剛性ボディとするためにインナーフレーム骨格や構造用接着剤が積極的に採用された。
こうしたプラットフォームを採用したことで、大きなボディながら意外と軽快だ。低重心化したことも効いていて、カーブでの安定性は高い。操縦安定性が高いが、ハンドリング性能面では適度にダル系。それほど、機敏にクルマが動く感じはなく穏やかだ。
ハイブリッドシステムであるe:HEVのモーター出力は、184ps&315Nmと先代と同じだ。ボディサイズ的には、それほどパワフル感はない。ただ、モータードライブなので、アクセルを踏んだときのレスポンスは抜群。315Nmというトルクを十分に使い切り、自然でスムースに加速する。
また、アコードでは、手元で減速度が操れる減速セレクターを装備されている。アクセルオフ時、減速度を4段階でコントロールできる。少し、回生ブレーキをかけて車間をあけたり、山道でスポーティな走りをするときに便利だ。
乗り心地比較
BMW
3シリーズ
セダン
Mスポーツさえ外せば、想像以上に快適な乗り心地
基本的に、BMW3シリーズの乗り心地は、とても快適だ。路面追従性がよく、ランフラットタイヤの硬さもあまり感じない。
乗り心地を重視するのであれば、Mスポーツとあるグレードはあまりおすすめできない。
このグレードは、スポーツ仕様だからだ。見た目はスポーティでカッコよく、走りもグッとスポーティな味付けになる。
そのため、サスペンションがかなり硬め。路面の凹凸もしっかりとドライバーに伝えてくるが、不快というレベルではない。低速ではゴツゴツ感が強いが、速度が上がるとしなやかさが増してくる。ステアリング操作に対する反応も高く、より俊敏なハンドリングとなり、カーブではピタッと安定して走り抜ける。3シリーズの魅力は、やはりMスポーツに凝縮されていると言ってもいい。
日産
スカイライン
ハイブリッド車より乗り心地がよい400R
日産スカイラインのハイブリッド車には、ダブルピストンショックアブソーバーが標準装備されている。このショックアブソーバーは、クルマの振動周波数の違いより減衰力を切り換える機能をもつ。
ただ、スカイラインハイブリッドは、硬い乗り心地になりやすいランフラットタイヤと硬めのサスペンションセッティングになっている。そのため、路面の凹凸に対してタイヤのゴツゴツ感が伝わってくる傾向が強いが、ダブルピストンショックアブソーバーで乗り心地はややマイルドになっている。
とくに、最もスポーティなグレードであるタイプSPに履かれている19インチタイヤは、よりゴツゴツ感がある。乗り心地を重視するのであれば、18インチタイヤ装着車のタイプPの方が乗り心地はマイルドになる。
また、DAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)は、より進化し不快な振動もステアリングから伝わってこないので快適。操舵フィールも良くなった。
そして、V6 ターボの400Rには、インテリジェント ダイナミックサスペンション(電子制御ショックアブソーバー)が装備されている。多くのセンサーから得た情報を元に、4輪それぞれショックアブソーバーの減衰力を最適化する。
400Rは、最もスポーティなモデルなので、ガチガチに硬いサスペンションセッティングかと思いきや、ビックリするくらい乗り心地は快適だ。ハイブリッド車より、乗り心地がよいと感じるほどだ。
トヨタ
クラウン
ハイブリッド
乗り心地重視のG系、スポーツティなRS系
トヨタ クラウンは、大きく分けてRS系とG系にグレードが分けられた。RS系は従来のアスリート系、G系はロイヤル系となる。端的に言えば、RS系はスポーティな乗り心地だ。G系は、ソフトで快適性重視の乗り心地になる。
クラウンの乗り心地は、最新のGA-Lプラットフォームが採用されたこともあり、どちら快適といった印象だ。RS系は、ややスポーティな乗り心地という印象で、誰が乗っても違和感はないだろう。
クラウンには、AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)と呼ばれるサスペンション制御が装着されたモデルがある。色々と異なる走りが楽しめるので、おすすめの装備だ。この機能には、ノーマル、エコ、コンフォート、スポーツ、スポーツプラスという多彩なモードが設定されている。走る場所や気分によって、クルマの性格を少し変えることができ、より自分好みのクラウンにできるメリットがある。
レクサス
ES
乗り心地と操縦安定性を両立
レクサスESらしさを最も体現しているラグジュアリーグレードのバージョンLとエントリーグレードには、スウィングバルブショックアブソーバーが装備されている。このショックアブソーバーが、ある意味ESの乗り心地の良さを支えている重要なパーツだ。
一般的なショックアブソーバーでは、低速域での乗り心地と高速域での車両安定性を両立させるのは難しい。しかし、このスウィングバルブショックアブソーバーは、低速域の細かな路面の凹凸から、高速域での車両の安定性を両立した。
とくに、街中での乗り心地は非常に快適だ。低速域などでは、小さな路面の凹凸まできれいに吸収してくれる。
さらに、バージョンLとS SPORTには、パフォーマンスダンパーが装備されている。ボディの微小な振動を吸収し、ボディのねじれも抑制するため、反応のよいハンドリングやより優れた乗り心地となる。
中でも、お勧めはF SPORT。電子制御で減衰力をコントロールするAVSを装備。バージョンLより、わずかに硬めのサスペンションセッティングとなっている。これが、いい塩梅で、硬めといってもわずかに硬い程度だ。ESの魅力であるラグジュアリーセダンらしい快適な乗り心地を十分に保ちながら、操縦安定性も高い。
ホンダ
アコード
フラットライドで快適な乗り心地
ホンダ アコードの乗り心地は、なかなかしなやかだ。スポーツセダン的な硬さは感じない。颯爽と路面の凹凸を吸収しながら走る。これも、サスペンションにしっかりと仕事をさせる新世代プラットフォームと高剛性ボディによる恩恵だ。
また、アコードでは初となるダンパーの減衰力を4輪独立で制御するアダプティブ・ダンパー・システムを装備した。NORMAL、SPORT、COMFORTから選択できる。乗り心地の振り幅は、それほど広くなく、ハンドリングやアクセル操作の反応が良くなるSPORTがNORMALでもいいかと思うほどだ。
内外装・デザイン比較
BMW
3シリーズ
セダン
フルデジタルメーターで視線移動量も軽減
7代目BMW3シリーズのデザインは、6代目3シリーズのデザインがベースとなっている。
7代目3シリーズは、6代目3シリーズの良さを生かしながら、より彫りの深い濃い顔になった。膨らみを強調したリヤフェンダーは、いかにもFR(後輪駆動)車らしい力強さがある。
インテリアはシャープなラインのダッシュボードやセンターコンソールに囲まれ、相変わらずのコックピット感あるデザインになっている。全体的にスピード感あるデザインと言える。インテリアで大きな変化は、メーター類だ。メーターは、12.3インチのフルデジタルメーターを採用している。見やすさだけでなく、ドライバーの好みにより情報がある程度選択できる。また、ナビゲーションマップも表示可能なので、ドライバーの視線移動量が減り、より安全に運転に貢献することも可能だ。
日産
スカイライン
日産エンブレムに戻りVモーショングリルも装備
2019年のマイナーチェンジでは、インフィニティエンブレムから日産エンブレムに変更がされた。さらに、日産のデザインアイコンであるVモーショングリルも装着された。
Vモーショングリルが装備されたことにより、スカイラインのフェイスデザインは、ややスッキリとスポーティな印象になっている。
インパネデザインは、ほとんど変更がないが、プロパイロット2.0装備したことで、メーター内はアドバンスドドライブアシストディスプレイ(7インチ)が装備されている。
400Rのインテリアは、インパネ部分はハイブリッド車と大差ないが、ダイヤキルティング&レッドステッチの本革シートなど、特別感のある仕立てになている。
トヨタ
クラウン
ハイブリッド
6ライトウインドウを採用し、クーペルックの優雅さを表現
先代となるクラウンに比べ、現行クラウンは高級車らしい風格のあるデザインになった。
凝縮された強さと、洗練されたエレガンスの両立するために、ロングノーズのFRらしいプロポーションと、6ライトウインドウが採用された。クーペのような流麗なシルエットをもつルーフデザインをもち、エレガントさを表現。こうした6ライトウインドウというデザイン手法は、セダンデザインのトレンドだ。さらに、ボディを凝縮してタイヤの張り出しを強調した低重心に見せることで、スポーティな骨格を表現している。
インテリアは、滑らかな曲線と重厚感ある面の組み合わせにより、高級車らしい包み込まれるような安心感を表現している。
レクサス
ES
アートのようなグリルデザイン
レクサスのデザインアイコンであるスピンドルグリルは、縦基調のL字ユニットの集合体で構成されている。押出し感もあり、アートように精緻で美しい。彫りの深い顔や、フロントバンパーから滑らかにつながるボンネットのプレスラインなど、ESのデザインは美しい。レクサスブランドの基幹セダンとしての風格がある。
インパネデザインは、水平基調で広さを表現しながら、ドアトリムまで流れるように連続する構成だ。広がりを感じさせ、ゆとりある空間に守られている安心感もある。助手席柄のインパネは、高さを抑え足元をより広くしている。大きくゆったりとしたシートも含め、まさにラグジュアリーな空間にまとめている。
ホンダ
アコード
個性的な外観デザインと広大な室内
ホンダ アコードのデザインは、動感のある美しいスタイルを目指した。磨き上げた走りの性能からイメージを膨らませ、動体としての在るべき姿を追求したという。リングなどを用いないで、アウターレンズの存在感を薄くした9灯LEDヘッドライトは、なかなか個性的だ。
インテリアは、「上質な空間で圧倒的に気持ちよく走るという<体験>」がコンセプト。大きく翼を広げたような広がりあるダッシュボードのラインは、ドアまでつながり一体感ある広大な室内を表現。センターコンソールは、スイッチ類もスッキリとまとめられていて、高級感もある。
アコードの室内空間は、とにかく広い。先代アコードより55mmホイールベースが伸ばされたこともあり、後席も余裕タップリ。クラストップレベルの室内空間を誇る。また、先代アコードでは、ハイブリッドシステムの一部に占領されていたトランクだったが、新型アコードでは、配置を見直し573Lというトランク容量を確保した。ハイブリッドセダンとしては、トップの容量だ。