コンパクトカーベスト5を徹底比較
自動車専門家の大岡氏が、おすすめの新車のコンパクトカーをランキング形式で発表!
価格や燃費、走行性能などさまざまな角度でも比較しました。
気軽にたくさん運転できるコンパクトカー選びの参考にしてください。
目次
おすすめランキング ベスト5
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日産 ノートオーラ
日産ノートオーラは、2021年8月に発売された。プラットフォーム(車台)など基本骨格部分など、多くの部分がノートと共通化されているクルマだ。
ノートオーラは、上質感にこだわったプレミアムコンパクトカーを目指し、外観デザインもより精悍さが増している。総合力に優れたコンパクトカー
横一文字に点灯するLEDリヤコンビネーションランプは、夜間のノートオーラらしさをひと目で連想させるアイテムだ。リヤフェンダーは、ノートよりワイド化され、安定感のあるシルエットになっている。
内装は、とくに質感を重視した。12.3インチのフルTFTメーターも装備され、クラスを超えた高級感もある。
オーディオにもこだわった。BOSEパーソナルサウンドシステムはシートのヘッドレストにスピーカーが埋め込まれており、高品質なサウンドを楽しめる。
パワーユニットの1.2Lシリーズハイブリッドシステムe-POWERも、ノートより進化している。余裕のある走りには、プレミアムコンパクト感がある。
ノートオーラは高出力のリヤモーターを装備し、スポーティで気持ちよい走りを実現した4WDなど、総合力に優れたコンパクトカーといえる。 -
トヨタ ヤリスハイブリッド
トヨタ ヤリスは、2020年2月にデビューした。日本のマーケットにおいて、ヴィッツの後継となるモデルだ。ヴィッツは欧州などでヤリスと呼ばれていたのを、このモデルから統一したことになる。
ライバル皆無!世界トップレベルの圧倒的燃費性能
ヤリスは、このフルモデルチェンジで最新のプラットフォーム(車台)であるGA-Bを採用した。低重心・軽量がウリのプラットフォームで、ヤリスの運動性能は飛躍的に向上している。
トヨタ ヤリスの口コミ・評価を見る
軽量化と同時に、ハイブリッドシステムも一新された。1.5Lハイブリッド車は、世界トップレベルの燃費値といえる36.0km/L(WLTCモード)を達成した。1.5Lガソリン車も用意されている。
予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」も大幅に進化し、クラスを超えた予防安全装備となった。 -
トヨタ アクア
2代目トヨタ アクアは、2021年7月に登場した。同じクラスにトヨタのヤリスが投入された影響で、アクアは姿を消すかと思われた。販売面で共食いが発生し、効率が悪くなるからだ。しかしトヨタは、それを承知の上、Bセグメントコンパクトカーマーケットのさらなるシェアを得るためにアクアを投入した。
ヤリスとは対照的な走りと乗り心地
共食いを防ぐため、アクアはヤリスとは異なる方向性を選んだ。超低燃費性能と優れた安全性能は共通とし、ヤリスはスポーティで走行性能を前面に出している。対するアクアは、あくまで生活のツールとしての価値を追求し、乗り心地や静粛性を重視した。乗り味はまったく異なっている。アクアはより多くの人に合い、後席も広い。
トヨタ アクアの口コミ・評価を見る
アクアはAC100V・1500Wのアクセサリーコンセントを標準装備とした。これにより、アクアが発電機となり、家電などに電力を供給できるようになった。移動の道具としてのクルマの価値に加え、災害による停電時などにはとても頼りになるクルマとなった。 -
ホンダ フィットe:HEV
4代目ホンダ フィットのプラットフォーム(車台)は、3代目フィットからのキャリーオーバーだ。ただし、大幅に改良され熟成されている。
プラットフォームにはホンダ独自のセンタータンクレイアウトが採用され、室内スペースを最大化させている。未だライバル車と比べても広く使い勝手がよい。
インテリアの視界がよいのも特徴だ。開放感があり運転もしやすいので、初心者からお年寄りまで幅広い顧客層に対応する。広い室内、運転しやすい視界など、実用性重視のコンパクトカー
ハイブリッドシステムは、3代目フィットの1モーター式SPORT HYBRID i-DCDから2モーター式になり、呼称もe:HEVに変更された。e:HEVは、従来、中大型系の車種に使われていたハイブリッドシステム、SPORT HYBRID i-MMDがベースとなっている。
ホンダ フィットハイブリッドの
4代目フィットの走行性能は、3代目フィットと大きく異なる。3代目フィットは、スポーティな走りを重視したやや硬めの乗り味だった。4代目フィットでは、乗り心地重視の快適でゆったりとした乗り心地に変更されている。
口コミ・評価を見る -
日産 ノートe-POWER
日産ノートe-POWERは、約8年振りとなる2020年11月にフルモデルチェンジし、大きな進化を遂げた。
車体の基本骨格となるプラットフォームは、最新のCMF-Bとなり、運動性能は飛躍的に向上した。これは、ルノーや三菱のアライアンスによって開発されたプラットフォームだ。8年振りのフルモデルチェンジで、超絶進化!
ノートe-POWERは、かなり割り切った仕様となった。ライバル車のヤリスやフィットがガソリン車を設定しているのに対し、ノートe-POWERはハイブリッドのみの設定だ。電気自動車を積極的に推進する日産らしさをアピールしている。
日産 ノートの口コミ・評価を見る
また、シリーズハイブリッドシステムであるe-POWERも第2世代に進化した。燃費も28.4~29.5km/Lと大幅に向上し、よりコンパクトでパワフル&スムースになった。
そして、4WD車には68ps&100Nmの高出力モーターを装備した。単なる悪路脱出用ではなく、新たなモータードライブ車の楽しい走りをアピールしている。
おすすめランキングの5台を比較
価格比較
日産
ノートオーラ
プレミアムコンパクトなので、価格は最も高価
日産ノートオーラのグレードは、FF(前輪駆動)と4WDを合わせて計4グレードだ。エントリーグレードのG(FF)で2,610,300円。このグレードに本革シートを装備したG leather editionが2,699,400円となる。4WD車は、約26万円高くなる。ヤリスなどと比べると、ザックリ30万円ほど高価だ。
ただし、少し残念な点もある。プレミアムコンパクトを標榜しながら、日産自慢の運転支援機能であるプロパイロットとSOSコールがオプション設定なのだ。シートヒーターもオプションで、パワーシートの設定もない。プロパイロットとSOSコール、ナビ、BOSEサウンドシステムなどのセットオプションを選択すると、約40万円ものオプションになり、軽く300万円オーバーのクルマになる。
トヨタ
ヤリス
ハイブリッド
高価だが価値のある予防安全装備。しかし、まさか手引きのパーキングブレーキが!
トヨタ ヤリスの最上級グレードであるハイブリッドZ(FF)の価格は2,324,000円だ。日産ノートオーラと比べるとかなり安価に見える。しかしノートオーラと同様、最上級グレードながらオプション設定が多い。
たとえば、ホイールの標準は15インチスチールホイールだ。16インチアルミホイールはオプションである。
右左折時の歩行者や右折時の対向車にも対応するクラストップレベルの高性能を誇る「トヨタセーフティセンス」は標準装備だ。しかし以下のオプションを装備すると、さらに高額になる。
- 後側方車両接近警報
- 後退時車両接近警報&自動ブレーキ
- パノラミックビューモニター(車両付近のカメラ映像を合成し俯瞰から見た映像に加工し、死角を無くし接触リスクを下げる)
しかも、現在軽自動車でも電動パーキングブレーキが普及しているのに、未だに手引きのパーキングブレーキが装備されている。そのため、全車速追従式クルーズコントロールが装備されているのに、渋滞時の停止保持機能がない。さらに、信号待ちでブレーキを踏み続ける必要がないオートブレーキホールド機能も用意されていない。
ただ、8インチのディスプレイオーディオが標準装備なのは、高く評価できる。高価な純正ナビは必要なく、スマートフォンのナビで代用できるので、車両価格を抑えることも可能だ。
最新高性能装備とクラスの平均以下の装備が混沌としているのは残念な部分だ。価格も同様に、オプションフル装備にすると車両価格はやや高めになるが、燃費性能や予防安全性能が非常に高いので、納得できる価格ともいえる。このクラスのハイブリッド車としては、標準的な価格といえる。
トヨタ
アクア
オプションの予防安全装備を充実させると高額化する
トヨタ アクア最上級グレードZの価格は、2,400,000円(FF)となっている。ヤリスハイブリッドZグレードの車両価格が2,324,000円なので、7万円ほど高価だ。アクアに標準装備でヤリスに無い大きな装備差は、100V・1500Wのアクセサリーコンセントと10.5インチのディスプレイオーディオなどがある。この装備差を加味すると、約7万円の価格アップは妥当であり、このクラスのハイブリッド車としては標準的な価格といえる。
しかしヤリス同様、以下のような安全装備がオプションなのが残念である。
- 後側方車両接近警報
- 後退時車両接近警報&自動ブレーキ
- パノラミックビューモニター(車両付近のカメラ映像を合成し俯瞰から見た映像に加工し、死角を無くし接触リスクを下げる)
こうしたオプションを選択すると、どんどん車両価格はアップする。後側方車両接近警報などのローテク安全装備は、同じクラスのマツダ2では標準装備だ。安全装備をオプションにせずに、そろそろ標準装備化してほしい。
ホンダ
フィット
e:HEV
平均的な価格だが、豊富なグレードでより好みの1台が選べる
ホンダ フィットe:HEVの最上級グレードであるリュクスの価格は2,426,600円だ。ライバル車でアクアよりも約3万円程度高価だが、ほぼ同等程度の価格帯と言える。
ただ、装備は少し異なる。アクアには標準装備されていないが、リュクスでは標準装備のものが多々あるのだ。以下は一例である。
- 本革シート
- 運転席・助手席シートヒーター
- ステアリングヒーター
- 16インチアルミホイール
- VGR(可変ステアリングギアレシオ)
- ワイヤレス充電器
逆にリュクスには、アクアに標準装備されている100V・1500Wアクセサリーコンセント、ディスプレイオーディオなどが装備されていない。
また、フィットe:HEVは、グレードが豊富なのも特徴だ。フィットe:HEVは、全5グレード用意された。やや特殊なモデューロXを加えると6グレードにもなる。オプションを増やすのではなく、グレードの選択肢を顧客に与えている。
日産
ノート
e-POWER
安価に見えるが、セットオプション設定が多くやや高価に
日産ノートe-POWER最上級グレードXの価格は2,186,800円だ。この価格だけ見ると、クラス最安値である。ところが、とにかくオプション設定が多い。
ライバル車の最上級グレードでは標準装備になっているLEDヘッドライトや、運転支援機能のプロパイロットとSOSコールなどもセットオプションだ。
しかも、Xグレード以外はプロパイロットやSOSコールをオプション選択できない。そのため、ノートe-POWERのグレード選びは、実質Xグレードの一択となり、選択肢がかなり少ない。こうしたセットオプションを選択すると、やや高価になる。
燃費比較
日産
ノートオーラ
燃費がライバル車に敵わない理由は?
日産ノートオーラの燃費は、27.2km/L(FF、WLTCモード)だ。世界トップレベルの超低燃費性能を誇るヤリスの燃費が36.0km/L(FF、WLTCモード)となので、約25%も悪い数値になっている。燃費性能は、トヨタ系ハイブリッド車に敵わない。ノートオーラだけでなく、フィットも同様だ。
ノートオーラやノートは、ハイブリッド車のみの設定である。CO2減が叫ばれる中、未だ、ガソリン車の設定があるヤリスやフィットに比べれば潔い。国内のハイブリッド車比率も上がり、CO2減に貢献するだろう。
この大きな燃費差になった大きな理由は、車重だ。ノートオーラの車重は、1,260kg。これに対して、ヤリスは1,050~1,090kgと軽量である。170~210kgも車重が異なれば、燃費差も大きくなるのは当然だ。
トヨタ
ヤリス
ハイブリッド
郊外路なら40.0km/Lもあり!? 実燃費でもライバルを圧倒する驚愕の燃費値
トヨタ ヤリスハイブリッドの燃費は、あまりにも驚異的。これから4~5年はヤリスハイブリッドを超えるハイブリッド車は出てこないと思えるレベルだ。
ヤリスハイブリッドの燃費は、35.4~36.0km/L(FF、WLTCモード)だ。ライバル車のホンダ フィットや日産ノートe-POWERなどに対しても、約20%以上もの差をつけている。
この超低燃費性能は、刷新された直3 1.5Lハイブリッドシステムだけでなく、大幅な軽量化が施されたGA-Bプラットフォームの影響も大きい。ライバル車と比べると、ヤリスハイブリッドは100kg以上も軽量なのだ。
ヤリスハイブリッドには高性能なリチウムイオンバッテリーを搭載している。電気の出入りが早く、とにかく短い時間で回生し、アクセルを踏めばできる限りモーターで走行しようとする。
そのため、実燃費も非常に良好だ。信号が少なく50km/h程度で走行できる郊外路では、燃費値が45.0km/Lを超えたほどだ。こうした道路で使用する頻度が高ければ、ヤリスハイブリッドの超低燃費性能を存分に享受できる。
トヨタ
アクア
ヤリスには負けたもののクラストップdレベルの超低燃費
トヨタ アクアの燃費は、33.6~34.6km/L(FF、WLTCモードだ)。カタログ上、Bグレードが35.8km/Lとなっている。だが、このグレードのみヤリスと同じリチウムイオン電池が使われているので除外した。
アクアの駆動用バッテリーは、世界初の高出力「バイポーラ型ニッケル水素電池」が採用されている。最上級Zグレードの燃費をヤリスと比較すると、アクアは33.6km/Lだ。ヤリスは35.4km/Lと、わずかだがヤリスの方が優れた燃費になっている。これは駆動用バッテリーの違いによるものだろう。
実燃費面でも、ヤリスの方が優れている。アクアもかなりモーター走行できる範囲が増えたが、ヤリスほど小まめに回生とEV走行を繰り返すことはなかった。この差が実燃費にも影響している。
ヤリスに燃費で負けているものの、ノートやフィットなどのモデルと比べると大差での勝利となる。これは、ヤリス同様、車重が大幅に軽いことが大きな要因だ。
ホンダ
フィット
e:HEV
トヨタに完敗したホンダのe:HEV、その理由は?
ホンダ フィットe:HEVの燃費は、27.2~29.4km/L(WLTCモード、FF)となっている。ヤリスハイブリッドの燃費は35.4~36.0km/L(WLTCモード、FF)なので、フィットe:HEVは大差を付けられてしまっている。まさに、ホンダの完敗だ。
仮にカタログ最高値で、1万km走行するとする。ガソリン価格を155円/Lとすると、フィットe:HEVは、約5.3万円の燃料費となる。ヤリスハイブリッドは、約4.3万円だ。1万km走行すると、ヤリスハイブリッドはフィットe:HEVより約1万円節約できる計算になる。
これだけの燃費差になった理由は、車重が大きく関係している。フィットe:HEVの車重は、1,180~1,200kg(FF)だ。ヤリスハイブリッドは、1,050~1090kgと軽い。その差は110~130kgも違うのだ。これだけフィットe:HEVが重いのであれば、燃費も悪化するのも当然だ。
ヤリスハイブリッドは、最新のプラットフォームであるGA-Bを使っている。対して、フィットe:HEVは先代フィットハイブリッドのプラットフォームを流用していること。フィットe:HEVのプラットフォームは、設計が古いので仕方がない。しかしこれだけ燃費値に差が出ると、販売面でも少々厳しい状況になるのは確実だ。
日産
ノート
e-POWER
トヨタのハイブリッド車に大差を付けられた燃費
日産ノートe-POWERの燃費は、28.4~29.5km/L(FF、WLTCモード)だ。ライバル車のフィットとは同等程度だが、ヤリスハイブリッドやアクアと比べると大差となり、やや物足りない数値となった。
ヤリスハイブリッドの燃費は35.4~36.0km/L(FF、WLTCモード)である。燃費でこれほど大きな差になると、いくらノートe-POWERが気に入っていたとしても一考してしまうだろう。
この燃費差は、やはり車重だ。最新のプラットフォームを使っているノートe-POWERだが、車重は重く1,190~1,220kg。ヤリスハイブリッドは、1,050~1090kgと軽い。130~140kgも重いと、当然、これだけの燃費差になる。フィット同様、ノートe-POWERも軽量化が今後の大きなテーマになる。
走行性能比較
日産
ノートオーラ
クラス最強の力強さ
日産ノートオーラは、ノートベースのシリーズハイブリッドシステムであるe-POWERを使っている。ノートオーラは上質な走りを目指し、e-POWERシステムをさらにパワーアップさせた。ノート比で、最大トルクは7%アップし300Nmに、最大出力を18%アップし100kWとしている。
ノートオーラは、この300Nmという最大トルクにより、力強さではクラストップレベルの実力をもつ。
アクセルをグッと踏み込むと、瞬時クルマを前方に押し出す。このレスポンスの良さは、さすがモータードライブ車だ。ガソリン車とは、明確に違う。しかもノートオーラは、より高速域でのパワーの伸びもあり、気持ちよく走れる。
しかもハンドリングは軽快感あり秀逸だ。ヤリスほどのキレは無いが、フィットほどダルでもない。多くの人に違和感なく乗れる。
トレッドはノートより20mm広げられ、カーブでの安定感も一段と増している。サスペンションもしなやかに動き、乗り心地も抜群だ。しかも、静粛性も高い。これもクラストップレベルの実力だ。
秀逸だったのが、4WD車だ。リヤに50kW&100Nmという高出力モーターを設置したことで、悪路走破性だけでなく走行性能面でも大きなメリットを与えている。走りを楽しむようなシーンでは、FR(後輪駆動)車のように後ろから押されるような駆動力がかかり、アクセルオンでもグリグリ曲がる。前後のトラクションを自在に変化させ、より曲がりやすい状態にクルマを制御する。
通常走行のアクセルオフ時、FF(前輪駆動)車ではフロントが前方に沈み込むようなピッチング減少が起きるが、4WD車はこうした動きも20%軽減した。クルマはよりフラットな姿勢を保ち、運転しやすさを感じる。
ヤリス4WD車のリヤモーター出力は、3.9kW&52Nmなので、いかにノートオーラのリヤモーター出力が大きいか分かる。ノートオーラの4WDは、さらに熟成が加われば、今まで体感したことの無いような新たな電動車の走りを予感させるものだ。
トヨタ
ヤリス
ハイブリッド
低重心で切れ味抜群の走行性能
トヨタ ヤリスハイブリッドは、大きく重いリチウムイオン電池をリヤシート下に設置している。そのため、前後の重量バランスが向上し低重心化した。そもそも低重心設計なGA-Bプラットフォームがより活かされる設定になっているのだ。
こうした設計の影響で、ヤリスハイブリッドの走りは切れ味鋭いハンドリングとなっている。ステアリング操作に対するレスポンスは、まるでスポーツカー並だ。俊敏にノーズがイン側に向く。コーナーリング中は、前後の重量バランスがよいので非常に安定し、限界も高い。「ハイブリッド車は、エコカーで楽しくない」という考えは、ヤリスハイブリッドには当てはまらない。ヤリスハイブリッドは、このクラスで最もスポーティな走りを魅せる。
ヤリスハイブリッドのシステム出力は116psだ。数値的には、少々物足りなく感じる。ところが、アクセルを踏むと瞬時にモーターのトルクでクルマを前方に押し出すのが電動車らしい。このレスポンスも良好で気持ちがよい。
トヨタ
アクア
万人受けする穏やかな走行性能だが、意外とスポーティ
トヨタ アクアとヤリスは、同じGA-Bプラットフォームを使っているものの、キャラクターはまったく異なる。
アクアは、誰もが違和感なく安心して走れる走行性能をもつ。ステアリング操作に対しても、ダルでもなければクイックでもない適度な塩梅だ。これは、わずかなステアリング操作に対しても、俊敏に反応するヤリスとはまったく異なる。
ところが、アクアもヤリスと同様、低重心で前後の重量バランスがよい。そのため、スポーティな走りも意外と得意なのだ。
アクアのシステム出力は116psである。モータードライブ車らしく、アクセルを踏み込むと瞬時にモータートルクによって車体をグイっと前方に押し出す。この感覚は、116psというシステム出力以上の力強さを感じる。高速道路などでのクルージングもスムースで気持ちよい。
ホンダ
フィット
e:HEV
自然なフィーリングが際立ち、視界もよいので運転しやすい
先代ホンダ フィットハイブリッドは、俊敏なハンドリングによるスポーティな走行性能をもつモデルだった。RSと呼ばれるスポーツグレードも用意されていたほどだ。
ところが、フィットe:HEVはガラッと方向性を変え、穏やかで扱いやすいハンドリングをもつモデルに生まれ変わった。ステアリング操作に対して、俊敏な動きがないものの、非常に自然なフィールが特徴だ。味付けも絶妙で、機敏過ぎずダル過ぎないセッティングで、ゆっくり走っていても気持ちよい。スポーツドライビングでも不満のないレベルだ。より多くの人が気持ちよいと感じるハンドリングといえる。
フィットe:HEVのパワーユニットは、シリーズハイブリッドシステムをベースとした2モーター式である。高速道路などの高速域で、「モーター走行よりエンジンの出力で走った方がエンジン負荷が低く、燃費もよい」とコンピューターが判断した場合、エンジン直結モードで走行し燃費を向上させる。この機能は、日産のe-POWERには装備されていない。
フィットe:HEVのモーター出力は、109ps&253Nmだ。自然吸気2.5L車並みの大トルクを誇る。これだけの大トルクを持ちながら、フィットe:HEVは穏やかで自然な走りを披露する。ノートe-POWERは、グッとモーターのトルクを感じさせ力強さをアピールする。対するフィットe:HEVは、あえて力強さを抑え、扱いやすさを重視した。こうしたフィーリングは、実際に試乗してみて、どちらが自分の好みに合うか判断するといいだろう。
フィットe:HEVは、独自の技術でAピラーを極細化した。メーターバイザーが無く、フラットなダッシュボードも加わり、前方の視界が極めて良い。視界が開けているので、当然、歩行者・障害物などの死角が減り、運転しやすさと同時に安全運転にもつながる。
日産
ノート
e-POWER
1ペダルドライブ制御は、クラストップレベル
日産ノートe-POWERは、第2世代のe-POWERシステムが搭載され116ps&280Nmとなった。先代ノートe-POWERの最大トルクは254Nmとだったので、さらに力強い加速力を得た。ノートオーラを除けば、クラストップレベルの力強さを誇る。
フィーリングは、アクセルをグッと踏み込んだ瞬間から強大なトルクで、車体を強烈に前方へ押出し一気に加速する。コンパクトカーなのに、頭を後方に引っ張られるような加速感だ。モータードライブ車らしい分かりやすいセッティングで、誰もがその力強さに驚くだろう。
また、モータードライブなので、アクセルを戻すと強い回生ブレーキが働き減速する。ノートe-POWERは1ペダルドライブ機能をもつ。強い回生ブレーキを上手に制御し、アクセル操作ひとつで発進から停止まで可能なのだ。この機能は、アクセルとブレーキの踏みかえ回数が大幅に減るので、ドライバーの疲労軽減にも貢献する。アクアにも同様な機能が装備されているが、やはり制御はノートe-POWERが上回り運転しやすい。
ノートe-POWERのハンドリングは、俊敏でもダルでもないバランス系だ。最新のプラットフォームであることや、床下に大きく重いリチウムイオン電池を設置している。低重心化されているため、カーブでの操縦安定性も高い。パワフルなパワーユニットも相まって、なかなか気持ちよい走りが楽しめる。
乗り心地比較
日産
ノートオーラ
快適な乗り心地だが・・・
日産ノートオーラの乗り心地は良好だ。新開発された次世代コンパクトカー用プラットフォーム(車台)CMF-Bの効果が大きい。このプラットフォームは、グループであるルノーと三菱でも使われる。国内ルノーでは、すでにルーテシアに採用された。
ボディ剛性が大幅にアップされたことにより、ノートオーラのサスペンションはスムースに動く。この乗り心地の良さを支えているのが、本革3層シートだ。このシートは、高級車並みの30mmソフト層を持たせた3層構造をもつ素材が使われている。このシートが上質な乗り心地に貢献している。
ただ、このシートは乗り心地を重視したため、カーブなどで体にGがかかると、シートのクッションが潰れ上半身や下半身を支えるのが難しくなる。ドライビングにこだわる人にとっては悩ましい。
トヨタ
ヤリス
ハイブリッド
硬めの乗り心地だが、不快感は少ない
トヨタ ヤリスハイブリッドは、スポーティな走りを追求したモデルでもある。そのため、サスペンションは、このクラスで最も硬い。この硬さが、俊敏なで楽しいハンドリングを支えている。
そのため、乗り心地もかなり硬めだ。路面の凹凸をしっかりとドライバーに伝えてくれる。速度が上がるとしなやかさが増すが、大きな路面の凹凸を通過するとドライバーの体をドンドンと揺らす。国産Bセグメントコンパクトカーのトレンドとは逆で、ルノー ルーテシアやプジョー208といった欧州Bセグメントコンパクトカーに近い乗り味だ。
とにかくサスペンションは硬めなのだが、不快か?と問われると、それほどでもない。路面の凹凸はしっかりと伝えるものの、頭に響くような尖った突き上げ感などはなく、角の取れた少しマイルドな突き上げ感に変換されているからだ。とはいえ、もう少ししなやかさが加われば、より多くの人に合う乗り味になると思われる。今のままでは、走り重視の人に向けたマニアックなセッティングだ。ヤリスハイブリッドの乗り心地は、かなり振り切った設定なので、しっかりと試乗して好みに合うかチェックしてから購入するといいだろう。
ヤリスハイブリッドの静粛性は、かなり賑やかだ。アクセルをグッと踏み込むと、エンジンもかなり主張してくるし、ロードノイズもしっかりと入ってくる。走っている感はあるが、静粛性という面では少々物足りない。3気筒エンジンの音も、ややノイジーだ。
トヨタ
アクア
クラストップレベルの快適な乗り心地と静粛性
トヨタ アクアの乗り心地は、とてもソフトで快適だ。最上級グレードZのフロントサスペンションには、スウィングバルブショックアブソーバーを設定している。このアブソーバーは、わずかな路面の凹凸やボディの動きをスムースに吸収する。小さな路面の凹凸程度なら、まるで滑っているかのように走る。この乗り心地は、クラストップレベルの実力だ。
また、EV走行時の静粛性も高い。エンジンが始動しても、低回転域ならほとんど気にならない。こうした乗り心地の良さと静粛性の高さは、ヤリスとは大きく異なる。
ホンダ
フィット
e:HEV
ストローク感あるゆったりとした乗り味
ホンダ フィットe:HEVの乗り心地は、サスペンションのストローク感があり、ゆったりとした乗り味になった。大きな路面の凹凸のいなし方が上手く、衝撃をあまり乗員に伝えない。先代のプラットフォームを流用しているとはいえ、サスペンション取り付け部の補強やボディ剛性のアップなどが効いている。
静粛性に関しては、ノートオーラやアクアと比べると、少々分が悪い部分もあるものの、総じて静かで快適だ
日産
ノート
e-POWER
物足りない乗り心地
最新のCFM-Bプラットフォームを手に入れたことにより、日産ノートe-POWERの乗り心地は非常に快適だ。
サスペンションもしなやかに動き、乗り心地を重視した設定だということが分かる。路面追従性が良いので、直進状態ではサスペンションのみが動いて、ボディはフラットな状態を保つ。
だが、カーブでは、それなりに車体が傾く。この傾くスピードも上手くコントロールされている。ゆっくり傾き、素早く元に戻るためカーブでの安心感も高い。サスペンションは柔らかめだが、ヒラヒラと右へ左へと切り返しも早い。
そして、静粛性も高い。よほどバッテリーの残量が少ないなどを除き、基本的に、低速域で走っているときにはエンジンが始動しない設定。さすがに、エンジンが全開で回ると存在感が出てくるが、通常走行であればエンジンが始動しても静粛性は高いままだ。
内装・外装デザイン比較
日産
ノートオーラ
ちょっとだけ上質に止まった質感
日産ノートオーラは、乗る人の感性に訴える本質的な上質さをコンセプトに開発されている。
外観デザインは、ノートと似ているのだが、より薄型のLEDヘッドライトが採用され、精悍さが増している。全幅を1,735mmで、ノートより40mmワイド化し、ドッシリとした安定感がプラスされている。国産Bセグメントコンパクトカーで3ナンバーとなっているのは、ノートオーラだけだ。ただし、ボディサイズは40mmワイドになっているが室内スペースがノートと同じだ。
同様に、インテリアも上質感を高めている。12.3インチカラーディスプレイの見た目の先進感はもちろん、情報量も豊富だ。ドライバーが必要とする情報を選択できるので機能的でもある。この質感は、国産モデルの中ではクラストップレベルだ。
インパネはツイード調織物・合皮(ステッチ付)を部分により使い分け、質感を向上させた。
さらに、高級感のある木目調フィニッシャーも採用している。表面に微細な凹凸加工を施し15工程を経て生み出された、こだわりの装備だ。
ノートオーラの質感はレベルが高いものの、アイテムや色味がやや保守的だ。新鮮味はなく、もう少し冒険してもよいのでは? と、感じる。そのため、1クラス上というよりは、0.5クラス上のクオリティといった印象に留まっている。
トヨタ
ヤリス
ハイブリッド
ややアクの強い個性派迫力系フェイス
トヨタ ヤリスハイブリッドは、「B-Dash!」がデザインコンセプトになっている。このBという文字には、大胆(BOLD)に、活発(BRISK)に、そして美しく(BEAUTY)という意味が込められている。
そのため、全体的なシルエットはスピード感あるスポーティなデザインとなった。とくに、フロントフェイスに強いこだわりが表れている。精悍さをアピールしたツリ目のヘッドライトや、ハの字型に大きく開いたグリル、ボトム部にボリューム感を出し視覚的な低重心化を出したバンパーなど、優れた走りを予感させるデザイン手法が織り込まれた。
なかなかカッコいいと思える一方で、コンパクトカーにスポーティさを求めないようなユーザーにとっては、やや尖り過ぎているようにも感じるかもしれない。フィットハイブリッドのような、愛嬌があり愛着がわくようなデザインとは対極にあるデザインだ。
こうした個性派外観デザインとは逆に、インテリアはシンプルにまとめられている。フードレス双眼デジタルTFTメーターをトヨタ車初採用した。ただ、外観デザインほどのインパクトはなく、凡庸な印象が強い。しかも、電動パーキングブレーキ時代に未だ手引きのパーキングブレーキが装備されていて、ひと昔前のクルマ感が出ているのが残念だ。質感もやや物足りないものとなった。
トヨタ
アクア
万人受けするクリーンで塊感あるデザイン
トヨタ アクアのデザインコンセプトは「Harmo-tech」(知性・感性を刺激する、人に寄り添う先進)。上質・シンプル・クラスレスなデザインを目指した。外観デザインは、先代アクアの面影も感じさせる。
アクアのデザインは、なかなか塊感がある。滑らかな面で構成されているが、面の張りが強い。少し筋肉質な印象もあり、力強さがある。とくに、少し張り出したリヤフェンダーまわりは象徴的なパーツだ。ヤリスほどアクが強くないので、多くの人に好まれるデザインだろう。
インテリアデザインは、シンプルでクリーンなデザインを目指した。小さなシフトレバーの周辺に操作系スイッチを集中配置し使いやすさにも配慮した。その上部には、10.5インチの大型ディスプレイを設置している。最上級のZグレードで標準の7インチ、中間グレードのGはオプションだ。さすがに10.5インチのモニターは、大きく見やすい。質感もヤリスよりも高く高級感がある。
残念なのは、足踏み式のパーキングブレーキが使われている点だ。軽自動車でも、すでに電動パーキングブレーキが主流になっており、信号などで停車中、ブレーキを踏み続ける必要がないオートブレーキホールドが装備されている。アクアは足踏み式パーキングブレーキなので、オートブレーキホールドが装備されていない。少々残念なポイントだ。
ホンダ
フィット
e:HEV
目指したのは、誰からも愛されるデザイン
ホンダ フィットe:HEVのデザインは、人に近しいクルマの在るべき姿を追求し、コンセプトを「日常に最も心地よいパートナー」に設定。「親しみ」、「安心感」、「走り」をキーワードに、誰からも愛されるデザインを目指したという。
全体のデザインは、とてもシンプル。迫力あるグリルや、個性を主張するキャラクターラインなどは、できる限り抑えた。そんなシンプルなデザインに、クリっとした愛嬌あるヘッドライトが組み合わせられていて、なんとも愛嬌ある顔になった。ホンダの狙い通り、道具というよりは、相棒といった印象がある。スポーツ系コンパクトカーとしては、少々不向きなデザインだが、より幅の広い層に支持されるはずだ。
インテリアデザインは、日常の移動を心地よい時間に変える、乗員みんなの快適空間とした。独自技術により極細フロントピラーを開発し、開放感あふれる視界を確保した。
さらに、インパネはバイザーレスデザインとした。ダッシュボードも水平でスッキリし、より開放感をプラスした。
メーターは、ホンダのコンパクトクラスとして初となる7インチフルカラー液晶パネルを採用した。シンプルさにこだわり、表示できる要素を極力減らし見やすさを重視しているのだが、逆にシンプル過ぎて先進感や高級感が足りなくなっているようにも見える。
日産
ノート
e-POWER
「日本の風景に溶け込むデザイン」を目指した
日産ノートe-POWERのデザインは、先代ノートの面影が一切ないほど大きく変更されている。日産のデザインアイコンであるVモーショングリルは、先代ノートではいかにも取って付けたような印象があった。しかし新型ノートe-POWERでは、薄型のヘッドライトと上手く融合し、一体感あるデザインとなった。
そのVモーショングリルの後端は、フロントからリヤまで一本の線でつながるキャラクターラインとなる。派手さはないものの、張りのある面の抑揚があり塊感を演出している。
フロントグリルは、日本の伝統工芸である組子からインスパイアされたパターンを採用し、「日本の風景に溶け込むデザイン」としている。
インテリアは、先代ノートとはデザインだけでなく、質感も一気に向上した。メーターは、先進感と高級感のあるデジタルメーターを装備している。センターディスプレイと一体化したように見えるデザインメーター採用した。
また、鳥が翼を広げたように中央部からサイドに広がるようなインパネデザインもなかなか斬新だ。
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アクアのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和3年7月(2021年7月)〜現在
- 新車時価格
- 198.0万円〜259.8万円
アクアの在庫が現在384件あります
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