トヨタ アクアトヨタは、ハイブリッドコンパクトカーであるアクアをマイナーチェンジし発売を開始。

新車販売台数ナンバー1を維持した超人気モデル


アクアは、2011年12月に登場したコンパクトカーだ。ハイブリッド専用車で、1.5Lのハイブリッドシステムが採用された。デビュー当時の燃費は35.4㎞/Lという超低燃費を達成し、デビュー直後から大ヒットモデルとなる。その人気はすさまじく、4代目プリウスが登場するまで、しばらくの間、新車販売台数ナンバー1の座に君臨し続けた。

とにかく売れたので、2014年12月にマイナーチェンジするまでの3年間、トヨタはほぼ放置。なんの改良も施さなかった。その代わりに、マイナーチェンジ時には、細部にまで手が入れられ、大幅にアクアは熟成された。とくに、あまり評判が良くなかった乗り心地が改善。その他、高速安定性や燃費も向上。燃費は37.0㎞/Lとなった。

そして、コンパクトSUV人気にも対応し、クロスオーバー車であるXアーバンが投入された。

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あまりに売れすぎた反動

マイナーチェンジ後も、アクアは売れ続け、新車販売台数ナンバー1を4代目プリウスが出るまで守り続ける。ただ、販売台数面で前年比を超える月がどんどんと減っていたのだ。あまりに売れすぎた反動ともいえる。2016年度は155,566台を売り、新車販売台数2位となったが前年比80.9%と低迷したのだ。

さらに、強力なライバル車も登場した。2016年12月にはシリーズハイブリッドを搭載した日産ノートe-POWERに負け3位に転落する。本来ならそろそろフルモデルチェンジ時期なのだが、アクアはどうやら8年程度は売り続ける予定のようで、今回のマイナーチェンジでさらなるリフレッシュをした。

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飽きられたデザインに新鮮味をプラス。王者ならではの悩みを解消!?


トヨタ アクア今回のマイナーチェンジでは、外観デザインが大幅に変更された。これは、売れすぎたための対応とも言え、少しでも新鮮な印象を与えたいということだろう。新アクアのデザインは、「親しみやすさ」「軽快さ」はそのままに、より先進的で洗練されたデザインがされている。

フロントフェイスは力強いデザインに変更

とくに、フロントフェイスは、大胆に変更された。なんと、マイナーチェンジでは珍しくヘッドライトやフード、フェンダー、バンパーなどが新デザインとなっている。全体的に精悍さが出て、コンパクトカーとは思えない力強さも出た。

リヤデザインは、フロントほど大きな変化はないが、コンビネーションランプ内のデザインを変更され、全体に引き締まった印象があり高級感も増している。
インテリアは、大きな変更点はなく、センターメーターにTFTマルチインフォメーションディスプレイをLグレードを除き標準装備した。
走行性能面では、操縦安定性を向上させるためにボディ剛性をアップ。アップしたボディ剛性を生かし、タイヤサイズも175/65R15から185/60R15に変更している。

コンパクトカーらしい優れた機動性

トヨタ アクア注目すべきは、ホイールの大きさだ。マイナーチェンジで16インチのアルミホイールを装着できるグレードが、クロスオーバーだけとなっている。

マイナーチェンジ前では、16インチホイールを選択すると、最小回転半径が5.7mという大型ミニバン並みの数値になっていたのだ。コンパクトカーなのに、大型ミニバン並みに最小回転半径という、コンパクトカーなのに小回りが苦手というありえないような仕様だったのだ。

16インチホイール車を廃止したことで、すべてのグレードで最小回転半径は4.8mとなりコンパクトカーらしい優れた機動性を誇るようになった。これは、重要な改善点だ。

「X-URBAN」を廃止し、「Crossover」を追加


前回のマイナーチェンジでは、新たに「Crossover(クロスオーバー)」が投入された。このモデルの投入により、「X-URBAN」は姿を消した。

X-URBANが姿を消した理由は、クロスオーバーとして少々中途半端だったことだろう。パッと見た目は、それほど標準車のアクアと区別がつかない。ややお手軽に作りすぎた感もあった。また、SUV感がなく迫力にも欠けていた。

ラフロードや都市部でも使いやすいクロスオーバー

新投入されたクロスオーバーは、そうした反省点を一気に改善。フロントバンパーやグリル、ルーフモールなどをクロスオーバー専用とした。ブラックのフェンダーガードなども装備され、よりワイルドなデザインとされている点が特徴だ。最低地上高も30㎜アップされ170㎜となった。ちょっとしたラフロードなどにも対応可能だ。

最低地上高をアップしても、全高は1,500㎜。アクアは、空気抵抗を低減するため全高は低くしていたこともあり、1,500㎜という全高に収まった。この数値なら、多くの立体駐車場全高制限1,550㎜以下になっているので、都市部でも使いやすい。

ただし、クロスオーバーの最小回転半径は5.4mと大きい。これは16インチホイールを履いていることが理由だ。5ナンバーミニバン並みの最小回転半径なので、狭い駐車場などでの使い勝手は今一つ。自宅の駐車場が狭い場合は、しっかりとチェックする必要がある。

燃費へのこだわりはさらに加速! クラストップの38.0㎞/Lへ!


トヨタ アクアアクアは、燃費を重視したモデルということもあり、燃費性能にはかなりこだわっている。今回のマイナーチェンジでも、燃費性能を向上。エンジンの改良やハイブリッドシステムの制御を見直し、「L」はクラストップのJ38.0km/Lを達成。「S」「G」「Crossover」においても、34.4km/Lを実現した。

より自分好みのカラーに


ボディカラーは、新規開発色のクリアエメラルドパールクリスタルシャイン、ジュエリーパープルマイカメタリックをはじめ、新規設定色のベージュ(「Crossover」専用色)などを含む全14色の設定となった。ボディカラーと異なるカラーパーツを組み合わせたFLEX TONE 4色を加えたカラーバリエーションとした。アクアをより自分好みのカラーにすることができる。

トヨタ アクアの選び方


トヨタ アクアまず、歩行者検知式自動ブレーキではないことを知ることが重要だ。歩行者検知式自動ブレーキが欲しいのであれば、ノートe-POWERか、ホンダ フィットという選択になる。予防安全装備面では、トップレベルの安全性能を持っているとは言えない。

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オススメはSかG

その上で、燃費訴求用グレードであるLは外す。このグレードは、燃費と価格を訴求する'おとり'グレード。装備類は貧弱で、一般向けではない。そうなると、SかGという選択になる。価格差は、約18万円である。今回も予防安全装備への意識は低く、Sにはトヨタ セーフティセンスCが標準装備化されずオプション設定。Sを買う場合は、歩行者検知式自動ブレーキではないものの、ないよりはましなのでトヨタセーフティセンスCを装備したい。

その他の装備差で大きな部分は、クルーズコントロール、スマートエントリーパッケージ、シート表皮、加飾など。クルーズコントロールも前走車追従式ではない。予算重視でシンプルな仕様でいいというのであれば、Sにトヨタ セーフティセンスP(54,000円)をプラスする程度で十分といったところ。より安全性を重視するのなら、サイド&カーテンエアバッグ(43,200円)をプラスするといいだろう。

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上級グレードなら中古車でも十分満足

デザインにこだわらなければ、1回目のマイナーチェンジを受けたモデルでも十分だろう。アクアは売れすぎていることもあり、意外と中古車の価格も安くなっている。トヨタセーフティセンスCが装備されているモデルで、上級グレードなら中古車でも十分満足がいくだろう。

トヨタ アクア価格


トヨタ アクアの車両価格は以下の通り。

・L 1,785,240円
・S 1,886,760円
・G 2,062,800円
・G“ソフトレザーセレクション” 2,089,800円
・Crossover 2,062,800円

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。


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