車のコーティングを自分で簡単にやる方法!整備士が解説

車のコーティングを自分で簡単にやる方法!整備士が解説

車のコーティング施工はプロのお店に頼むと高額なカーメンテナンスのひとつです。そのため、市販のものを使って自分でチャレンジしてみたいという方も少なくないでしょう。とはいえ、自分でやるには分からないことや不安なことも多いはずです。
そこで、現役の整備士が簡単にできるコーティングの方法を解説します。

車を自分でコーティングする際のポイント

車を自分でコーティングするときには、失敗しないためにもいくつか注意するべきポイントがあります。

晴れて風のない日に施工する

ガレージのような屋内で施工する場合には天候を気にしなくても良いこともありますが、施工時の環境はとても大切です。
屋外で施工する場合には以下の点に留意します。

  • 晴れまたは曇りの日に施工する
  • 日向よりも日陰が好ましい
  • 施工後も含めてしばらく雨の心配がない
  • なるべく風の少ない日を選ぶ
  • 周囲で砂埃が立つような場所を避ける
  • 暑すぎない・寒すぎない日を選ぶ

コーティング施工中から施工後はボディが水に濡れてはいけないので、天候はとても重要です。また、風が強いとボディに埃やゴミが付着してしまい施工品質を下げる妨げる要因になります。
必須ではありませんが、砂埃の立ちやすい場所を避けて風の少ない日を選んで施工します。また、真夏は避けた方が賢明です。暑い日は水やコーティング剤の乾きが早いので、施工環境がシビアになります。
逆に寒いときは、コーティング施工後のコーティング剤が硬化するまでの時間が長めにかかることがあります。

まとまった時間を確保する

コーティングの施工は、洗車(下地処理)からコーティングの本施工、その後のコーティング剤の硬化まで含めると、多くの時間を確保しておく必要があります。
コーティング剤の種類によりますが、施工の際は休みの日の朝一から始めて、その日の午後も含めてスケジュールを確保しておくことをおすすめします。

下地処理が重要

コーティングをより効果的なものにするためには、不純物の付着を取り除き、ボディの状態を綺麗な状態にリセットする「下地処理」が大切です。
新車であればボディはまだきれいな状態なので、下地処理に割く時間は最低限で構いません。
しかし、数年経過した車のボディは一見きれいに見えてもウォータースポットやウロコ、イオンデポジット、汚れや鉄粉といったものが付着しています。ボディにこうした不純物が残っている上からコーティングを施行しても本来のコーティング効果が発揮できません。

施工後は一定時間水に濡らさない

コーティング剤の種類によりますが、コーティング剤がしっかりと密着するまではボディに水がかからないようにするのが一般的です。
もし水がかかった場合は、すぐに優しく拭き取ることを心がけます。

自分でコーティングする際の費用、時間の目安

自分でコーティングする場合にはコーティング剤の費用と、洗車や下地処理に必要なケミカル用品、(マイクロファイバー)クロスといった洗車用品の購入費用が必要です。
自分で車のコーティングをする場合にかかる費用は6千円~2万円ほどかかり、作業時間は2時間~8時間ほどです。
費用、作業時間はコーティングの種類やどこまで作業をするかにより変わってきます。

自分でコーティングするときの費用の目安まとめ

コーティングをするうえで、主な用品を購入するために必要な費用の内訳は以下のとおりです。

用品名 費用
コーティング剤 3,000円〜12,000円
脱脂シャンプーまたはシリコンオフ 800円〜3,000円
水垢(スケール)除去剤 800円〜3,000円
鉄粉除去スプレー 700円〜2,000円
鉄粉取り粘土 600円〜1,500円
クロス(複数枚あるのが好ましい) 500円〜3,000円
合計費用 6,400円〜24,500円

これら以外にも、一から洗車用具を揃える際はバケツやスポンジ等も必要となるので、必要に応じて購入してください。通常時に使えるシャンプーもあれば良いでしょう。

自分でコーティングするときの時間の目安

仕上げに簡易的なコーティング剤を使用した洗車程度であれば、「2〜3時間程度」の作業時間で可能です。
下地処理も含めて本格的なコーティングを施工するときは、「5〜8時間程度」を見込んでおくと良いでしょう。
その後、コーティング剤が実際に硬化するまでは24時間(丸一日)は、水がかからないように注意しなければいけません。
コーティング剤の種類にもよりますが、その後コーティング剤が完全に硬化するには数週間〜1ヶ月程度かかるものもあります。
その間、水洗い程度の洗車は構いませんが、コーティングメンテナンス洗車や、シャンプーを使った洗車、その他のボディメンテナンスは控えるようにしましょう。

車を自分でコーティングするときの大まかな流れ

自分でコーティングするときの大まかな流れをまとめました。
(下地処理、コーティング施工の詳しい手順は後述します)

  1. 通常のシャンプーを使って洗車する
  2. 鉄粉を除去する
  3. 水垢取りをする
  4. 脱脂をする
  5. コーティング剤の施工
  6. コーティング剤の拭き取り
  7. コーティング剤を硬化させる(乾燥)

鉄粉除去や水垢取りは必要に応じて実施します。これらは新車であれば不要なケースが多いです。
また、プロにコーティングを依頼するときは、脱脂の前にポリッシャーを使ったバフ掛けをおこなうことで、塗装面を研磨してさらに下地を整えます。DIYでも設備が整っていれば可能ですが、ムラになったり磨きすぎないよう気を付けなければいけません。

車を自分でコーティングする際のおすすめグッズ

自分でコーティングをする際に便利なおすすめグッズをいくつかご紹介します。

誰でもすぐに簡単施工できるコーティングセット

この製品は、コンパウンドを含んだベース処理剤もセットになっており、これを使った下地処理をおこなえば脱脂も不要を謳っています。
コーティング剤そのものも硬化スピードが早いのがウリで、DIYでやるにはもってこいのコーティング剤です。
下地処理やコーティング施工に必要なクロスやスポンジもセットになっています。
新車などボディの状態が比較的綺麗な車であれば、このセットを購入するだけで十分なコーティング施工が可能です。
このようにDIYで簡単に施工できるように、キット販売されている便利なコーティング剤もあるので、こうした製品を選べば各工程で使う製品を別々で選ぶ必要や手間もなくなるのでおすすめです。

【補足】鉄粉除去のおすすめグッズ

近くに工場があったり電車が通っている…という地域の方は、車に付着した鉄粉除去がマストです。
さまざまな鉄粉除去グッズがありますが、もっとも効果的なのは「粘土クリーナー」タイプです。

お手頃な値段なので、今後のボディメンテナンスのためにも1つ持っておけば繰り返し使えるので便利です。

車を自分でコーティングする手順【下地処理】

コーティング前の下地処理の手順を、それぞれの項目ごとに掘り下げて解説します。

通常のシャンプーを使って洗車する

まずはボディに付着した汚れを落とすために、シャンプーを使った通常の洗車をおこないます。コーティング前の洗車なので、いつもより丁寧に念入りに行いましょう。

鉄粉を除去する

鉄粉除去は必要に応じて実施します。
鉄粉付着の有無は手でボディをなぞり、ザラつきを感じるか否かである程度の判断ができます。
溶剤タイプの鉄粉クリーナーを使用して大まかに落とした後、粘土クリーナータイプを使って除去すれば万全ですが、車の状態によってはいずれかのみでも構いません。
また、粘土クリーナーを使う場合はたっぷり水を掛けながら実施します。

水垢取りをする

洗車後のボディにシミやウロコ状のものが薄っすらと見られるようであれば、水垢取りを実施します。
ボディが濡れた状態でスポンジやクロスに水垢取りの溶剤を適量つけて、優しく塗り込むように水垢を落とします。
水垢取りには、コンパウンドを含むものとそうでないものがあります。
水垢が酷くないものや黒や紺などの濃色系のボディカラーの場合はノーコンパウンドタイプをおすすめします。
白やシルバー等の磨き傷が目立ちにくいボディカラーで水垢が酷い場合には、コンパウンドを含んだ水垢取りが手早く綺麗にできるのでおすすめです。
もしウォータースポットやウロコが簡単に落ちない場合には、無理に擦って落とそうとせずに、後戻りできないような状態になる前に専門業者に依頼すると良いでしょう。

ボディの脱脂をする

コーティング前の最後の下準備として、ボディの脱脂をします。
ボディ表面に付着した油分を除去することで、コーティング剤とボディがしっかり密着することを促します。
今回のコーティング施工までにワックスやコーティングの施工をしている場合は、より念入りに脱脂します。
シリコンオフや脱脂剤をクロスにつけてボディに塗布する方法と、すでにすこし触れたように脱脂能力のあるシャンプーでボディを洗う方法があります。
お好みの方法で構いません。

車を自分でコーティングする手順【コーティング作業】

下地処理が完了したら、いよいよコーティングの施工です。
手順は以下のとおりです。

  1. (必要に応じて)マスキングテープで養生
  2. コーティング剤の塗布
  3. コーティング剤の拭き取り
  4. コーティング剤の乾燥

コーティング剤の塗布と拭き取るまでに置く時間は、使用するコーティング剤の説明書などをよく読んで確認しておきましょう。
コーティング剤の塗布および拭き取りは、一度でボディ全体のすべてをやりきる必要があるので、作業に集中できる時間の確保を怠らないようにしましょう。

コーティング剤を塗布するときのコツ

基本的には1パネルごとの施工が、無理なく施工できて工程管理しやすいのでおすすめです。
また、ムラにならないように以下の点に気を付けます。

  • スポンジにはコーティング剤を適量つける。特につけすぎに注意
  • 塗布するときは縦⇔横とルールを決めて、たとえば上から下…など順に塗布する

また、コーティング剤がゴムモールや樹脂パネルに付着する恐れがある場合には、あらかじめマスキングテープを使って養生しておくと安心です。
もし付着すると、白くくすんでしまったりシミがでなかてしまう可能性があります。

コーティング剤の拭き取りと乾燥

コーティング剤の拭き取りは気温が高い夏の方が乾燥が早いので、時間の猶予がシビアです。
コーティング剤塗布から拭き取りまで置く時間は、各コーティング剤の施工方法・マニュアルを参考にしてください。
拭き取りは生地の柔らかいマイクロファイバークロスを使って、拭きムラが出ないように優しくおこないます。
拭き取りが終わった後は、コーティング剤がボディに密着するまで、かならず水に濡れない状態でしっかり時間をかけて乾燥させます。
万が一、雨が降るようなことがあったときは、素早く優しく水分を拭き取ってあげましょう。

整備士のまとめ

コーティング施工後は、せっかくのコーティング剤が落ちてしまったりムラが発生しないように、どうしても洗車する場合は念のため1ヶ月程度は水洗いに留めておきましょう。
コーティング効果の持続はコーティング剤によって様々ですが、より効果を長く持続させるためにはマメな洗車が重要です。
また、その際には専用のメンテナンス剤やシャンプーがあれば有効に活用しましょう。
コーティングは何度も施工を繰り返すことで、より強い被膜が形成されます。
長い目でボディメンテナンスを楽しんでいきましょう。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。