自分で取得できる! 車庫証明の必要書類と書き方、申請の手順
更新日:2024/05/16
車の購入時や引越しの際に必要な車庫証明。自分で取得すれば、代行費用を節約できます。ここでは取得に必要な書類や記入例付きの書き方とともに、車庫証明の取り方を分かりやすく解説しています。
車庫証明書とはどんな書類?いつ必要?
車庫証明書の正式名称は「自動車保管場所証明書」いい、その名の通り、車の保管場所を示す書類です。
以下のようなケースでは、車庫証明書の発行が求められます。
- 新車、中古車を問わず車を購入する時
- 車を誰かから譲り受ける時
- 車の所有者が引っ越した時(※同じ車に乗り続けていても必要)
- 引越しはしていなくても車庫だけ変えたとき
車庫証明書が必要なのは陸運局での手続きで、主に普通自動車の場合です。軽自動車はあたらしい車検証になってから警察署で手続きを行うようになったため、不要になりました。また普通自動車でも、人口が少ない地域などでは車庫証明書が不要な場合もあります。
なお軽自動車は「人口が10万人未満の市町村」「都市部から30㎞以上離れた市町村」などのケースを除いて、警察署への「自動車保管場所届出」の提出が必要です。詳しくは近くの警察署や、警察署のウェブサイトで確認してください。
行政書士のポイント解説:車庫証明が必要になる主なパターン
車庫証明の必要があるパターンは主に、車の売買や引っ越しを理由に ①陸運局での手続きが必要なとき、引っ越しなどしてなくても ②車庫の場所を変えたとき の2つです。
車の売買や譲渡、引っ越しをしておらず①に当てはまらなくても、車庫を変えた場合は ②に当てはまります。
例えば、引っ越し当初は集合住宅の敷地内駐車場が借りられず、少し離れた場所に駐車場を借りていた。その後、敷地内駐車場に空きが出たため借りていた駐車場を解約して敷地内駐車場を契約した。
このようなパターンでは「自動車保管場所届出」のため、車庫証明が必要になります。
陸運局での手続きではないので忘れてしまいがちですが、適法な状態を保つためにも頭の片隅に入れておきたいポイントです。
車庫証明書の提出時期と有効期限
車庫証明書(軽自動車は自動車保管場所届出)の提出時期と提出先は、以下の通りです。
-
普通自動車を購入した場合:
車台番号が分かってから車両登録(=ナンバー取得や名義登録手続き)を行う際に陸運局へ提出。多くの場合車両登録手続き前までに、ディーラーや販売店に提出すれば代行してくれます。 -
軽自動車を購入した場合:
車両登録から15日以内に、管轄の警察署に車庫の届出 -
譲渡や引越しの場合:
譲渡や引越しを行ってから15日以内に、管轄の陸運局に提出(普通車自動車)・軽自動車では陸運局で登録手続きの後、警察署に車庫の届出
譲渡や引越しでは、車庫証明書の発行だけでなく、その後の名義変更や車検証の住所変更まで「15日以内」に行わなければいけません。譲渡後の名義変更手続きの方法はこちら、引越し後に必要な各種手続きの方法はこちらをご確認ください。
なお、車庫証明書の有効期限は「発行から概ね1ヶ月」です。あまりに早く取得しすぎると、必要なタイミングで無効になる可能性があるので注意しましょう。
行政書士のポイント解説:車庫証明の有効期限
車庫証明の有効期限が「発行から概ね1ヶ月」という解釈について、警察署と陸運局で少し違いがあります。
ほとんどの警察署では、有効期限は1ヶ月とされていて、わざわざ書面に「有効期限1ヶ月」のスタンプが押されたりします。一方で陸運局は?というと、令和6年3月現在のところ車庫証明の取得日の翌日から40日目(土日祝の場合はその次の平日)までが有効期限とされています。
なかなか時間が取れなくて車庫証明の有効期限が切れそう…!という時に安心ですので、覚えておきましょう。
とはいえ、運用内容は変わることもあるので、交付から1ヶ月を過ぎてしまった際は、いちど陸運局へ問い合わせて間に合うことを確認してから車両登録に向かいましょう。
車庫証明書の申請手順と費用、必要書類
車庫証明書は、以下の4ステップで取得できます。
申請に必要な費用は申請手数料と標章交付手数料の2種類で、手順3〜4のいずれかで支払います。金額は自治体によって異なりますが、申請手数料が2,000~2,500円程度、標章交付手数料が約500円です。
1. 申請書類の入手
申請に必要な書類は管轄の警察署で入手できる他、警察署のウェブサイトからダウンロードできる自治体も多いです。また車の購入時は、販売店から必要書類をもらえる場合もあります。
申請に必要な書類は、以下の通りです。
①②の申請書は東京都では各1通であったり必要通数が多少異なる場合があります。
書類 | 自分の土地で保管 | 他人の土地で保管※1 |
---|---|---|
① 自動車保管場所証明申請書(2通) | 〇 | 〇 |
② 保管場所標章交付申請書(2通) | 〇 | 〇 |
③ 保管場所の所在図・配置図(1通) | 〇 | 〇 |
④-A 保管場所使用権原疎明書面(自認書、1通) | 〇 | ー |
④-B 保管場所使用権原疎明書面(保管場所使用承諾証明書、1通)※2 | ー | 〇 |
⑤ 使用の本拠が確認できる書類(免許証等)※3 | 〇 | 〇 |
- 集合住宅や月極駐車場などの貸し駐車場、親の土地などを利用する場合。
- 駐車場の賃貸借契約書のコピーで代用できる場合もある。
- 施行規則で定められておらず、求めないように通達も出ていますが「協力書類」としてあるとスムーズな場合があります。
なお書類を家族などの代理人に提出してもらう場合は、上記の書類に加えて委任状も作成するのがおすすめです。
代理人による提出だけであれば、委任状は必要ありません。しかし作成済みの書類に不備があると、委任状がなければ不備の訂正ができないため、準備しておくと良いでしょう。
行政書士のポイント解説:賃貸借契約書を使う場合は内容に注意!
必要書類のうち、保管場所使用権原の疎明書面で賃貸借契約書を使う場合は、契約書の内容に注意が必要です。
下記のような内容だと書類不備で、契約書を使うことができません。
- 契約当時に乗っていた自動車に限定されており、乗り換えたい車両で使えることになっていない
- 契約名義が家族など別人
- 契約期間が1か月など極端に短い、または残存期間が同じように短いにも関わらず、自動更新の項目が無い
契約書の提出で済んだ場合には、保管場所使用承諾証明書を発行して貰わなくて済むため「はんこ代」が節約できます。わざわざ平日に窓口に行ったのに、契約書の内容で不備になり、手続きが出来なかった、手間が掛かった…なんてことが無いように覚えておくと安心です。
2. 申請書類の作成
申請書類に必要事項を記入していきます。記入の方法は次の章【記入例付】申請書類の書き方でご確認ください。
月極駐車場や集合住宅など他人の土地で車を保管する場合、「保管場所使用承諾証明書」を土地の所有者または管理会社等から発行してもらう必要があります。賃貸契約書のコピーなどで代用できない場合は、前もって管理人や不動産屋に発行を依頼しておきましょう。
行政書士のポイント解説:車庫に使う土地が共有名義の場合の書類
保管場所使用承諾証明書が必要なパターンに「土地(建物)の共有」があります。
車庫証明の申請では「不動産登記上、車庫に使う土地建物が誰のものか?」がポイントです。
警察で窓口職員から「自分の土地ですか?」と聞かれて「自宅です」と答えている姿を目にすることがあります。
車庫となる場所が申請者の単独所有であれば自認書1枚で良いですが、親族と共有名義などの場合は自認書にくわえ、その名義人全員から保管場所使用承諾証明書を発行してもらう必要があります。
登記の状況について分からなければ登記簿等を取り寄せて確認するのがおススメです。
3. 申請書類と申請手数料を提出
書類が準備できたら、車庫(保管場所の位置)を管轄する警察署で申請を行います。受付は平日の日中のみで、警察署によって細かい受付時間も異なるため、ウェブサイトなどで確認しましょう。
一般に、この申請書類の提出の際に申請手数料も支払います。標章交付手数料を支払うタイミングは警察署によって異なり、申請時か車庫証明書の受け取り時のいずれか、またはその都度支払います。
書類に不備がなければ、「納入通知書兼領収書」を渡されます。車庫証明書の受け取りに必要なものなので、紛失しないように注意してください。
4. 車庫証明書の受け取り(申請後数日~1週間)
車庫証明書は申請から早くて数日、遅くて約1週間後に申請した警察署で受け取れます。
納入通知書兼領収書を窓口に提出すると、以下のものが交付されます。
- 車庫証明書(自動車保管場所証明書)
- 保管場所標章番号通知書
- 保管場所標章
保管場所標章番号通知書は、車検証などとともに車に保管してください。また保管場所標章は車のリアガラスに貼り付ける義務があるため、受け取ったらすぐに貼り付けましょう。
更に
差がつく!
軽自動車の自動車保管場所届出に必要な書類
軽自動車の自動車保管場所届出に必要な書類は、以下の通りです。「自動車保管場所届出書」以外は、車庫証明書の取得に必要な書類と変わりませんが、必要部数などが異なります。
- 自動車保管場所届出書(1通)
- 保管場所標章交付申請書(2通)
- 保管場所の所在図・配置図(1通)
- 保管場所使用権原疎明書面または保管場所使用承諾証明書(1通)
- 使用の本拠が確認できる書類(免許証など)
なお届出に必要な費用は、標章交付手数料の約500円のみです。また書類を警察署に届け出るだけなので、手続きは即日で完了します。
【記入例付】申請書類の書き方
ここからは、申請書類の記入方法を解説します。自治体によって様式は少しずつ異なりますので、お住まいの地域の書類を用意すると受付がスムーズです。
また家族の土地に駐車する場合でも、車の名義と土地の名義が異なれば「他人の土地で保管」の書類が必要です。
自分単独所有の土地で保管 | 他人の土地で保管(貸駐車場含む) |
---|---|
① 自動車保管場所証明申請書(2通※) | |
② 保管場所標章交付申請書(2通※) | |
③ 保管場所の所在図・配置図(1通) | |
④-A 保管場所使用権原疎明書面(自認書、1通) | ④-B 保管場所使用承諾証明書(1通) |
⑤ 使用の本拠が確認できる書類(免許証等) |
- ①②の申請書は東京都では各1通であったり必要通数が多少異なる場合があります。
① 自動車保管場所証明申請書(2通)
- 「使用の本拠の位置」にはその自動車を使う拠点を記入
- 「保管場所の位置」には、駐車場番号まで記入(※戸建のカーポートなど「使用の本拠の位置」と同じでも「同上」は不可)
- 申請者の住所、氏名、フリガナ、電話番号を記入
車名、型式、車台番号、自動車の大きさは、車検証か登録識別情報通知書に記載されています。
車名は車種名でなく、「トヨタ」「ホンダ」などのメーカー名を記載します。また大きさの欄は、車検証などと単位が異なることがあるので注意しましょう。
なお新車購入の場合、車台番号は車両の製造後に販売店から聞きます。
車台番号が空欄でも申請はできますが、「発行」はできません。後日警察署に記入しに行かなければいけなくなるので、車台番号が分かってからの申請がおすすめです。
行政書士のポイント解説:申請者の住所氏名について
3.で記した申請者の住所氏名は印鑑証明など公的書類の情報と一致しなければなりません。
異なっている場合、別人の車庫証明を自動車登録の添付資料にしているのと同じだからです。
もし警察署からの連絡先をディーラー・販売店など別にしたい場合は、最下部の連絡先欄に希望する連絡先を記入しましょう。
② 保管場所標章交付申請書(2通)
名称は異なるものの、記載方法は「① 自動車保管場所証明申請書」と変わりません。
行政書士のポイント解説:窓口で申請するのが楽なことも…?
パソコンに不慣れな方は複写式の申請書を窓口で貰う方が便利かも?
ダウンロードしたファイルでは①自動車保管場所証明申請書と②保管場所標章交付申請書が別になっていることが多くパソコンに慣れていないと入力に手間がかかります。
じつは警察署窓口で貰える申請書はこの①と②が一体の複写式になっており、一度書けば両方の申請書に必要事項が転記されるすぐれものです。
パソコン操作が苦手、自宅にプリンターが無いという方は記載事項をメモし、申請日に警察署窓口で複写式の申請書を貰って記載するのをオススメしています。
③ 保管場所の所在図・配置図(1通)
- 自宅と駐車場の位置関係が分かるくらいの地図を作成。地図サービスの画像の貼り付けや添付でも可。学校や駅など目標になる建物、目印になる交差点や通り、自宅から駐車場までの直線距離を記載
- 敷地内での駐車場の位置、駐車場所の幅や長さを記入。屋根がある場合は高さも書き入れる。道路と出入口の位置と幅も記載
所在図については、インターネット上の地図を貼り付ける人が多いです。また印刷した地図を添付する場合は、所在図欄に「別紙」と記載し、印刷した地図を書類とともに提出してください。
この際、地図の使用許諾や著作権、利用規約などには十分注意してください。
④-A 保管場所使用権原疎明書面(自認書、1通)
- 普通自動車は「証明申請」、軽自動車は「届出」を選択
- 車庫が建てられている場合は「建物」にも『〇』、そうでない場合は「土地」に『〇』
自分の土地で車を保管する場合に必要な書類です。住所や氏名は「自動車保管場所証明申請書」と同じ内容を記入してください。
④-B 保管場所使用承諾証明書(1通)
- 駐車場の住所、駐車場番号を記入
- 住民票の住所、氏名、電話番号を記入
- 使用期間は、記入日から1年以上の期間を設定
貸し駐車場などを含めて、他人の土地(登記上の共有含む)に車を保管する場合に必要な書類です。上図の青い部分は、土地の所有者・管理者(大家や不動産屋など)に記入してもらってください。
保管場所の位置や使用者の住所・氏名は「自動車保管場所証明申請書」と同じ内容を記入してください。
なお、この書類は賃貸借契約書のコピーで代用できる場合があります。事前に管轄の警察署やウェブサイトで確認してください。
行政書士のポイント解説:契約者の欄がない様式もある
ご紹介している様式は契約者の記入欄がありますが、契約者の欄が無い様式も存在します。
権利者が使用者に対して「ここを使って良いですよ」と承諾していることが分かれば問題ありません。
とくに共有の場合は契約者の欄があることでかえって記入に悩んでしまうと思うので、お困りの場合は警察署のホームページや検索などで探してみると良いでしょう。
車庫証明書に関してよくある質問
ここからは、車庫証明書の発行に必要な車庫の規定や書類発行のタイミングなど、よくある質問にお答えしています。
Q 車庫証明書における「車庫」の条件は?
車庫証明書を取得するには、以下の条件を満たす車庫を確保する必要があります。
- 使用の本拠の位置(居住地・事業所の位置)から直線距離で2㎞以内にある。
- 道路から支障なく出入りでき、車全体を収容できる。
- 自分が所有している土地、或いは車の保管を所有者から許可されている土地である。
Q 車の買い替えでも車庫証明書は必要?
車を買い替える場合も、車庫証明書を新たに取得しなければいけません。前車と入れ替えて登録する場合は、警察署でその旨を伝えてください。
Q 車庫証明書の受け取りは代理人でも良い?
車庫証明書の発行申請(作成済みの書類の提出)や受け取りは、車両の持ち主本人でなくても可能です。またこの場合、委任状も必要ありません。ただし作成書類にミスがあった場合、委任状がないと代理人による修正ができないので、申請時は委任状を用意した方が良いでしょう。
行政書士のポイント解説:委任状があっても不備を訂正できない書類
保管場所使用承諾証明書は、申請者の委任状があっても、不備を訂正することができません。
発行権限が土地の所有者や管理者にあるので、その訂正の権限も土地の所有者と管理者に限定されます。
発行された保管場所使用承諾証明書の内容に間違いがないか、よく確認しておくようにしましょう。
購入とともに愛車の売却準備も
車庫証明書の発行は手間こそかかるものの、自分で取得すれば代行費用を抑えられます。「代行手数料が高い」と思った場合は、自力での取得に挑戦してみてください。
なお買い替えの場合は、車の購入とともに愛車の売却準備も必要です。売却ではディーラーでの下取りだけでなく、買取査定も検討してみてください。ディーラーに比べて中古車買取店は他店との競争が激しいため、高値をつける傾向があります。
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記事に関するまとめコメント
自動車は購入したらすぐ乗れるというものではなく、自賠責保険や名義変更などの細かい手続きが必要であり、車庫証明の処理も煩雑な事務手続きの一つです。車庫証明の取得自体は販売店で代行してくれる場合がほとんどと思われますが、自ら用意しなければならない書類もあります。購入する前に販売店にどのような手続きが必要となるか、費用や必要書類も含めてしっかり確認しましょう。