コンパクトカー編

安全なクルマ ランキング2025

安全なコンパクトカー選びのポイント

全長4m前後のコンパクトカーは、価格が重視される傾向が強い。そのため予防安全装備はオプションとされるケースが多い。コンパクトカーの購入時には、安全性を高めるためにオプションの予防安全装備を積極的に選択したい。少し予算に余裕をもっておくのがお勧めだ。

特に重要なのが、自動ブレーキ（衝突被害軽減ブレーキ）の検知対象と検知シーンだ。より多く対応していれば、事故リスクの低減に繋がる。

自動ブレーキ（衝突被害軽減ブレーキ）は、標準装備が義務化されている。国内で販売される国産新型乗用車には2021年11月から、継続生産車は2025年12月以降から対象だ。
現在販売されている多くの車種が自動ブレーキ（衝突被害軽減ブレーキ）を標準装備していることになる。

運転が苦手な人におすすめの機能

また、コンパクトカーは、運転初心者や運転が苦手な人が乗るケースも多い。こうした人にお勧めなのが、パノラミックビューモニター（トヨタ）だ。車体に取り付けられたカメラ映像を車両を真上から見た映像に変換し、死角を減らしてくれる機能だ。うっかり衝突リスクを減らしてくれる。

オプションになっているケースが多いが、後側方車両接近警報（車線変更時に隣接する車線に衝突するリスクが高い車両がいる場合警報を発する機能）や、後退時車両接近警報（バックで出庫時に後方左右から接近してくる車両を検知し衝突リスクが高い場合、警報を発する機能）などもお勧めしたい。初心者や運転が苦手な人にありがちな、注意不足から起きる衝突リスクを低減してくれる。

※今回のランキングでは、全長約4.6m以下のモデルをコンパクトカーと定義した

安全なコンパクトカーTOP5

TOP.1

トヨタプリウス

トヨタ プリウス

5代目にあたる60系プリウスは2023年1月に登場した。先代50系プリウスの予防安全装備は少々物足りなかったが、60系プリウスでは最新世代の予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」が全車標準装備された。

重要な自動ブレーキ（衝突被害軽減ブレーキ）は、車両と歩行者、自転車に加え自動二輪を検知可能だ。さらに交差点内では、右折時の対向車両、右左折時の対向歩行者と自転車を検知。さらに車両と自動二輪との出会い頭での衝突を回避・被害軽減もできる。プリウスの検知対象や検知シーンは、クラストップレベルの実力だ。

60系プリウスの予防安全装備は、グレードによってやや差がつけられている。最上級グレードのZには「緊急時操舵支援（アクティブ操舵機能付）」が標準装備された。この機能は、衝突が避けられないシーンで、自車線内に回避スペースがあるとシステムが判断した場合、操舵支援を行い衝突回避・被害軽減をしてくれる。

さらに、フロントクロストラフィックアラート（FCTA）も全車標準装備されている。見通しの悪い交差点に進入する際など、左右から接近する車両を検知。衝突の危険がある場合、警報を発する機能だ。
レーンチェンジアシスト（LCA）も標準装備されている。非常に頼りになる予防安全装備ながら、Ｇグレードではオプションでも選択できないのは惜しい点と言える。
同様に、パノラミックビューモニターもZグレードで標準装備。Gグレードでは、オプションとなっている。車両を真上から見たような映像で死角を減らす機能だ。

60系プリウスは、車両周辺の予防安全装備も充実している。ブライドスポットモニターも標準装備だ。車線変更時など、隣接する車線にいる車両を検知し衝突リスクが高い場合、警報を発してくれる。
この機能を使った安心降車アシストもセットで標準装備だ。後側方から接近する自転車や歩行者、車両などを検知しドアを開くと衝突の危険がある場合警報を発するものだ。

さらに、パーキングサポートブレーキも全車標準装備。これはバックでの出庫時に、後方左右から接近する車両や歩行者を検知し、衝突するリスクが高い場合、警報と自動ブレーキが作動する機能だ。日々使う機能が充実していると安心に繋がる。

ヘルプネットも標準装備化している。車体に大きな衝撃が加わった時など、ドライバーの意識がなくても専門オペレーターに通報。救急車や警察への通報を行う機能だ。

60系プリウスの予防安全装備は、グレード間で差が付けられていたり、オプション設定だったりと少々物足りなさがある。しかし、最上級グレードのZを選び、すべてのオプションを装備することでクラストップレベルの実力になることからナンバー1とした。

TOP.1

スバルインプレッサ

スバル インプレッサ

インプレッサとプリウスでは甲乙つけ難く、両車ナンバー1とした。
6代目にあたるGU系インプレッサは、2023年4月に登場した。スバルの予防安全装備パッケージ「アイサイト」はこのフルモデルチェンジで飛躍的に進化している。
従来のアイサイトにはステレオカメラが使われてきたが、GU系インプレッサでは広角単眼カメラが加わった。計3つのカメラを使うシステムに変更され「次世代アイサイト」と呼ばれるようになった。

3つのカメラを使うことで、自動ブレーキ（衝突被害軽減ブレーキ）の検知も進化した。検知対象は車両と歩行者、自転車に加え自動二輪にも対応。シーンでは右折時の対向車両、右左折時の対向歩行者車と自転車を検知。また、交差点での車両との出会いでの衝突を回避・被害軽減も可能となった。

また、ヘルプネットやドライバー異常警報システムなども標準装備されている。コネクティッド技術を使い、大きな衝撃が車両に加わるとドライバーの意識がなくても専門オペレーターに通報。救急車の手配や警察への通報を行ってくれる機能だ。

ただし、後側方警戒支援システム（車線変更時に隣接する車線にいる車両と衝突の危険がある場合、警報を発する機能）や、後退時支援（バック出庫時に、後方左右から接近する車両を検知し、衝突の危険がある場合警報を発する機能）が一部グレードでは、オプションでも選択できない状態。ローテク装備なので、少々物足りない仕様となっているのが惜しい。

一方、エアバッグ関連は充実している。サイド＆カーテンエアバッグはもちろん、運転席ニーエアバッグ、助手席シートクッションエアバッグも標準装備。さらに、歩行者エアバッグも標準装備だ。万が一歩行者と衝突した場合、歩行者の被害を軽減してくれる。このクラスで歩行者エアバッグを装備しているのは、GU系インプレッサだけだ。

プリウスと同様に、グレードによって一部オプションもしくは装備できない予防安全装備がある。しかしオプションを装着することで、とても高いレベルの予防安全性能を得られる。プリウスとの差がほとんどないため、GU系インプレッサもナンバー1とした。

TOP.3

トヨタカローラスポーツ

トヨタ カローラスポーツ

トヨタ カローラスポーツは2018年6月に新型車として登場した。2018年デビュー時の予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」では競争力不足になりつつあったため、2022年10月のマイナーチェンジで予防安全装備を大幅強化した。基本的には、同じCセグメントのコンパクトカーである60系プリウスと同等レベルとなった。

カローラスポーツの自動ブレーキ（衝突被害軽減ブレーキ）は、クラストップレベルの検知対象と検知シーンを持つ。検知対象は車両と歩行者、自転車と自動二輪、検知シーンは交差点内での右折時対向車両、右左折時の対向歩行者と自転車、出合い頭の車両と自動二輪にも対応している。
また、コネクティッド技術を使ったヘルプネットや、ドライバー異常時対応システムも標準装備なので安心だ。

以下の機能は一部グレードで標準装備、その他はオプション設定だ。

  • ブラインドスポットモニターと安心降車アシスト（車線変更時に隣接する車線内にいる車両を検知し、衝突のリスクがある場合、警報を発する機能）
  • パーキングサポートブレーキ（後方接近車両）（バックでの出庫時に、左右から接近する車両を検知し衝突リスクが高い場合、警報または自動ブレーキが作動する機能）

こうした装備は高い頻度で役立つ機能なので、装備しないと予防安全性能はグッと低下する。ローテク装備なので、標準装備化に期待したい。

カローラスポーツにはパノラミックビューモニターが用意されていない。車両の死角を無くし、うっかり衝突リスクを低減する装備なので、ぜひ用意してほしい。

カローラスポーツが予防安全装備のオプションをすべて装着した前提ならば、プリウスに近い予防安全性能を誇る。パノラミックビューモニターの設定が無い点をややマイナスとし、3位とした。

TOP.4

トヨタヤリス

トヨタ ヤリス

トヨタ ヤリスは、2020年2月に登場した。Bセグメントのコンパクトカーで、1.5Lハイブリッド車は32.6～36.0km/L（WLTCモード、FF）という超低燃費とスポーティな走りを得意とする。

デビュー時に装備された予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」は、2020年当時は高いレベルにあった。しかし日進月歩の先進技術なので、徐々に競争力を失ってきた。そこで、トヨタはヤリスを2024年1月にマイナーチェンジ。最新のトヨタセーフティセンスへアップデートした。

重要な自動ブレーキ（衝突被害軽減ブレーキ）の検知対象は、車両と歩行者、自転車と自動二輪だ。さらに、検知シーンは交差点内での右折時対向車両、右左折時の対向歩行者と自転車、出合い頭時の車両と自動二輪にも対応する。ヤリスはマイナーチェンジを経て、再びクラストップレベルの予防安全性能を得た。

ヘルプネットは標準装備だ。エアバッグが展開するほどの衝撃を車体が受けると、自動で専門オペレーターへ通報。救急車の手配や警察への通報を行ってくれる機能である。ただ、ドライバー異常時警報システムなどは装備されていない。

ヤリスが属しているBセグメントのコンパクトカーには、価格競争力が求められる。そのため、ブラインドスポットモニター＋安心降車アシスト、パーキングサポートブレーキなどは基本オプションで、装備できないグレードもある。パノラミックビューモニターなどもオプションなので、もう少し標準装備の幅を広げて欲しいところだ。

ヤリスはオプションをすべて選択してすると、優れた予防安全性能を得ることができるため4位とした。

TOP.5

スズキスイフト

スズキ スイフト

スズキ スイフトは、2023年12月にフルモデルチェンジした。スイフトの全長は、3,860mm。コンパクトカー中でも、小さめのモデルだ。

このフルモデルチェンジで、スイフトの予防安全装備は飛躍的に進化した。センサーは「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」という単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせに変更されている。
自動ブレーキ（衝突被害軽減ブレーキ）はクラストップレベルの予防安全性能を得た。検知対象は、車両と歩行者、自転車と自動二輪だ。交差点内では、右左折時の歩行者や自転車、右折時の車両も検知。衝突回避もしくは衝突被害軽減が可能となった。

高く評価したいのは、使用シーンの多い機能が標準装備されていることだ。ブラインドスポットモニター（車線変更時に衝突リスクの高い車両がいる場合に警報を発する機能）、リヤクロストラフィックアラート（バック出庫時などに後方左右から来る車両などと衝突するリスクが高い場合に警報を発する機能）などが含まれる。
ブラインドスポットモニターに安心降車アシストは無く、リヤクロストラフィックアラートにはブレーキ制御が無い。だがどのグレードを買っても安心して乗ることができる。

全方位モニターはオプションだ。車両周辺の死角が加工映像でひと目で分かる機能なので積極的に選択したい。
ヘルプネットは、オプション（一部グレードで標準装備）となっている。エアバッグが展開するような衝撃を受けると、自動で専門オペレーターに通報。ドライバーの意識がなくても、救急車の手配や警察への通報を行ってくれる機能だ。
車両価格が重視されるコンパクトカーということもあり、ドライバー異常時警報システムは設定されていない。

スズキコネクトを選択し、全方位モニターやヘルプネット機能を使える状態にすることが前提なら、スイフトは十分に納得できる高い予防安全性能を得ているため、5位とした。

まとめ

コンパクトカークラスの「安全な車　ベスト5」の結果は、多くの検知対象と豊富な検知シーンを誇る「トヨタセーフティセンス」を装備したトヨタ車が中心となった。

その中で、ユニークさをアピールしたのがインプレッサだ。3つのカメラを駆使する新世代アイサイトは、単眼カメラを使うトヨタセーフティセンスとは、まったく異なるアプローチである。後側方警戒支援システムや後退時支援が全車標準装備されていれば、プリウスを超え1位となってもおかしくない結果だった。
運転席ニーエアバッグ、助手席シートクッションエアバッグ、歩行者と衝突した場合に被害を軽減する歩行者エアバッグが標準装備されているのは、このクラスではインプレッサのみ。この部分は、高く評価できる部分だ。

特にコンパクトカーは、多くの自動車メーカーが自動ブレーキ以外の安全装備をオプションにして車両価格を安価に見せる工夫をしている。高価なグレードなら安全で、廉価なグレードだと予防安全性能が落ちてしまうのだ。

車の安全性は最重要といえる要素だ。物足りない仕様のグレードを選択することは、自らが事故の加害者になるリスクを増大させることに繋がる。コンパクトカーを選ぶ際に安全装備をケチってはいけない。

技術で守れるものがあるのであれば、積極的に標準装備化するのがメーカーの社会的責任と言える。特に後側方車両接近警報や後退時車両接近警報など、ローテクながら使用シーンの多い装備は標準装備化してほしいところだ。

安全装備比較表

  • ◯…全車標準装備
  • △…一部標準装備または一部オプション
  • ×…標準装備なし
トヨタプリウス スバルインプレッサ トヨタカローラスポーツ トヨタヤリス スズキスイフト
衝突被害軽減ブレーキ（自動ブレーキ）検知対象

車両、歩行者、自転車、自動二輪車

車両、歩行者、自転車、自動二輪車

車両、歩行者、自転車、自動二輪車

車両、歩行者、自転車、自動二輪車

車両、歩行者、自転車、自動二輪車
踏み間違い衝突防止アシスト

◯

◯

◯

◯

◯
サイドエアバック

◯


＊運転席ニーエアバッグ

◯


＊運転席ニーエアバッグ、助手席シートクッションエアバッグも標準装備

◯

◯

◯
カーテンエアバッグ

◯

◯


＊歩行者エアバッグも標準装備

◯

◯

◯
車線逸脱警報

◯

◯

◯

◯

◯
車線維持支援

◯

◯

◯

◯

◯
後側方車両検知警報

◯


＊安心降車アシスト付き。一部グレードオプション

◯


＊一部グレード装備不可

△


＊安心降車アシスト付き。一部グレード標準装備

△


＊安心降車アシスト付き。一部グレード装備不可

◯
後退時後方車両接近警報

◯


＊ブレーキ制御付き

◯


＊一部グレード装備不可

△


＊ブレーキ制御付き。一部グレード標準装備

△


＊ブレーキ制御付き。一部グレード装備不可

◯
オートマチックハイビーム

◯

◯

◯

◯

◯
ドライバー異常時警報システム

◯

◯

◯

×

×
SOSコール（ヘルプネットなど）

◯

◯

◯

◯

△


＊一部グレード標準装備
JNCAP

★★★★★


(2023年)

★★★★★


(2023年)

-

★★★★★


(2020年)

★★★★☆


(2023年)

※安全装備の詳細は各車メーカー公式サイトをご確認ください。

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