車用コーティング剤のおすすめ9選!用途別に整備士が解説

車用コーティング剤のおすすめ9選!用途別に整備士が解説

車をきれいに維持するために今や当たり前となったコーティング剤には、用途に応じてさまざまな種類のものが販売されています。
手軽なものからプロも使う本格的なものまで多様なコーティング剤のなかで、どれを選べば良いのか分からないという方も多いはずです。
この記事では。車に使うコーティング剤のおすすめを現役の整備士が用途別にまとめてご紹介します。

車用コーティング剤の用途について

車用のコーティング剤は主に以下のような箇所と用途で使われます。

コーティング施工箇所 用途
ボディ 塗装面の保護、艶出し、日常のボディメンテナンスの負担軽減
ガラス 撥水や親水による良好な視界確保
ドアミラー 親水効果による良好な視界確保
樹脂パーツ 部品の保護、艶出し
ホイール 汚れをつきにくくする、錆発生の軽減、ホイールの保護
シート 汚れをつきにくくする、シートの保護

基本的にコーティング剤を塗ることで、対象物を保護する効果があります。
その結果、汚れがつきにくい、劣化を抑える、手入れが楽になるといったメリットが得られます。
また、コーティング被膜のできた表面の艶感やしっとりとした滑らかな手触り感は、コーティングを施行したからこそ得られる特権で、思わずクセになるほどです。

車のボディに使うコーティング剤の種類

車に使うボディコーティング剤にはいくつか種類があります。
コーティング剤を素材別に大きく分けると以下の4種類です。

  • 油脂系コーティング剤(ワックス)
  • 樹脂系コーティング剤(ポリマー)
  • ガラス系コーティング剤
  • セラミック系コーティング剤

一般的に上から順に施工難易度が高くなります。
コーティング剤によってはさらに細かく種類を分けることもできます。
各素材別のコーティング剤について解説していきます。

油脂系コーティング剤(ワックス)

油脂系コーティング剤とは、いわゆる「ワックス」のことを指します。
カルバナ蝋と呼ばれる固形ワックスをスポンジを使って塗り込み、その後拭き取る方法でコーティングをおこなうのが一般的です。スプレータイプもあります。
コーティング剤の中では比較的安価なものが多く、洗車のついでに手軽に施工できます。
撥水効果が高いですが持続性に劣り、数週間〜2ヶ月程度で再施工が必要となります。

樹脂系コーティング剤(ポリマー)

樹脂系コーティング剤はポリマーコーティングと呼ばれることが多く、フッ素やシリコン素材で形成されたコーティング剤です。
油脂系コーティング剤(ワックス)と比較してボディに密着するコーティング剤なので、ワックスよりも耐久性に優れています。(目安:3ヶ月〜半年程度)
プロショップでできる安価なコーティングは、樹脂系コーティングであることが多いですが、素人でも比較的施工しやすいコーティングです。
ガラスコーティングと比べると被膜が柔らかく耐久性に劣りますが、定期的に繰り返し施工することで被膜が強くなる特徴があります。

ガラス系コーティング剤

現在、車屋やディーラーで扱っているコーティングはガラス系コーティングが一般的です。
施工難易度が高く下地処理や施工に必要な時間管理が重要なので、DIYでもチャレンジすることは可能ですが、基本的にはお店でコーティングすることになります。
被膜は硬く強固なので耐久性に優れており、目安として1年〜3年、中には高額なものだと5年もの長期間再施工なしでも、艶感やコーティング効果を持続させることができます。
強固な被膜により、樹脂系や油脂系コーティングでは難しいボディの保護効果にもひと役買ってくれます。

セラミック系コーティング剤

ガラス系コーティング剤よりもさらに強固な被膜を形成するのがセラミック系コーティング剤です。
コーティング剤同士が結合するガラスコーティング剤に対して、セラミック系コーティング剤はさらにボディの塗膜と結合することで、さらに長い耐用期間を得ています。(目安:5年以上〜)
コーティングの被膜が厚いので傷にも強い特徴があり、さまざまな種類があるコーティング剤の中でもボディの艶感も圧倒的です。
ガラス系コーティングと同様にDIYでもチャレンジすることは可能ですが、難易度が高く施工時間も要するので、基本的にプロのお店に任せることをおすすめします。

コーティング剤の水の弾き方

コーティング剤による水の弾き方は主に「撥水」「親水」「疏水(滑水)」の3パターンに分けられます。
これらは、以下のようにボディに付着する水滴の接触角度の違いによって分けられています。

コーティングによる水の弾き方 撥水 疎水(滑水) 親水
ボディに対しての水の接触角度 40°以下 40°〜90°以下 90°以上

撥水効果

コーティング剤のなかでももっともポピュラーなコーティングによる効果が「撥水」でしょう。
ボディに付着した水がコーティング剤によって弾くことで水滴ができます。
その水滴が無数の球状になってポロポロと流れることで、汚れをボディに残りづらくしていますが、基本的に水滴はボディに残りやすい特徴があります。

親水効果

親水効果は水を弾く撥水と違って、水が塗装面に馴染む効果があります。
ボディの表面を平たい膜で覆うように水が引いていく特徴があるので、ボディに水滴が残りづらいです。
撥水効果と比較して洗車時の拭きあげも楽です。

疎水(滑水)効果

疎水効果は一見、親水効果との違いが分かりづらいです。
しかし、別名「滑水」という言葉からも分かるとおり、水が付着した直後はボディに水が平たく拡がるイメージですが、その後ボディを滑り落ちるように水が落ちていく特徴があります。
撥水と親水の良いところ取りをしたようなコーティングで、もっとも新しいコーティングの種類です。

車用コーティング剤(ボディ用)のおすすめ5選

DIYで使える車用のコーティング剤でおすすめのものを、使いやすさやコーティングによる効果等も踏まえて紹介します。

手軽に高品質な撥水コーティングを実現

こちらのコーティング剤はガラス系の成分を配合した、スプレータイプで手軽に施工できる人気のコーティング剤です。
加えてボディとの密着性を高める「耐久レジン」を配合することで、手軽に強靭なコーティング被膜を形成できます。
高撥水を謳っており、弾いた水が流れ落ちやすいので、撥水コーティングによくある水滴がボディに残って乾いた後に汚れも残るというデメリットをカバーしています。
洗車後にスプレーして拭きあげるだけの簡単仕様です。
ガラスや樹脂パーツなど、ボディ以外の場所にも使えるので初めての施工でも安心です。

手軽に親水コーティング

先ほど紹介したコーティング剤と同じく、洗車のついでにササっと手軽に施工できるスプレータイプのコーティング剤です。
大きな違いは、ガラス系特殊シリコーン素材を使った「親水タイプ」である点です。
わたし自身も過去に愛用していたことがあり、施工後のボディはしっかりとヌルテカ感が出ており満足度は高かったです。
1ヶ月程度のスパンで施工するのがおすすめです。
先ほど紹介したコーティング剤と同様に、ボディ以外の場所に付着しても問題ありません。

やり甲斐を感じる昔ながらの固形ワックス

車のボディメンテナンスは、固形ワックスにこだわりたいという方もいらっしゃるでしょう。
こちらの商品は洗車用品で有名なシュアラスターのものです。
固形ワックスのラインナップの中でも、性能面でちょうど中間にあたるものです。
研磨剤は入っておらず、全カラー対応タイプなので安心です。
施工後の深い艶感に満足とのレビューが多く見られます。
ただし固形ワックスはボディの塗装面以外に付着しないように注意が必要です。
また、拭き残しがあると白く目立ってしまいます。

本格的なガラスコーティング剤を簡単スプレー施工

よくあるガラス系…を謳ったスプレータイプの手軽なコーティング剤ではなく、使用前に2液を混ぜて使うタイプの本格的なガラスコーティング剤です。
しかし、プロが使うような塗り込みタイプではなくスプレータイプとすることで、DIYでも簡単に短時間で施工することを可能とした製品です。
ただしプロの施工する高価格なガラスコーティングと比較して耐久性は劣るので、実際には1年程度を目安に再施工がおすすめです。

塗り込みタイプの滑水セラミックコーティング剤

施工難易度が高いと言われる硬度が高いセラミックコーティング剤を、DIYでも施工できるように販売されている製品です。
「簡単に施工できた」「深い艶が美しい」というユーザーからの声も実際に多いです。
滑水性の特徴から、防汚性にも優れています。
傷にも強いコーティング剤なので、車をとにかく大切に綺麗に維持したい方に、新車時からの施工をおすすめしたいです。ただし、樹脂パーツには施工できません。

車用コーティング剤(樹脂パーツ用)のおすすめ2選

樹脂パーツは塗装もされておらず部品の素材がむき出しの状態なので、放置していると白化してしまい、経年劣化が顕著に分かりやすいです。
樹脂パーツを経年劣化から守る、または元の艶感を復活させるコーティング剤を紹介します。

車屋も愛用する安心のワコーズ

ワコーズの「スーパーハード」は多くの車屋さんも愛用する、たしかな品質の樹脂コーティング剤です。
少量でも伸びが良くムラになりづらいので、DIYでも施工がしやすくおすすめです。
硬化系コーティング剤で、耐久性にも優れている点が評価されています。
買って間違いないコーティング剤です。

樹脂パーツにもガラスコーティングで劣化予防

こちらの製品は未塗装樹脂専用のガラスコーティング剤です。
白化した樹脂部品の艶出しはもちろんですが、新車時から施工することでガラス系の被膜により樹脂部品を保護し、紫外線からの劣化を守ってくれます。
細かい部分の施工にも便利なスティックタイプのスポンジも付属しており、素人でも簡単に扱える製品です。

車用コーティング剤(ガラス、ミラー用)のおすすめ2選

車のガラスやミラーのコーティング剤には、安全に運転するための良好な視界確保の効果が求められます。

フロントガラスには撥水コーティングがおすすめ

車のフロントガラスには撥水系のコーティングを施工することで、走行中の視界をクリアにする効果があります。
コーティング被膜で水玉になって走行風でコロコロと吹き飛んでいきます。
カー用品店やホームセンター等でも取り扱いのあるガラコシリーズは、フロントガラスコーティング剤の定番です。

【関連記事】窓ガラス(フロントガラス)のコーティング剤おすすめを整備士が紹介

ドアミラーには親水コーティングがおすすめ

ドアミラーに使うコーティング剤は親水タイプのものがおすすめです。
ドアミラーはフロントガラスのように走行風が当たらず水が飛んでいかないので、通常は撥水すると水玉が鏡面に残ってしまって視界不良になります。
付着した水が引いていく親水タイプであれば、水滴が鏡面に残らないので良好な視界を確保できます。
こうした用途にあったドアミラー専用のコーティング剤も販売されています。

【関連記事】親水と撥水どっちが良い?ミラーの水滴対策を整備士が解説

整備士のまとめ

車のコーティング剤には、施工場所や用途に合ったさまざまな種類のものがあります。
特にボディコーティング剤は、コーティングの耐久性や厚み、素材や効果の種類は千差万別です。
選ぶときは非常に迷うことになると思いますが、レビューやクチコミはもちろんのこと、YouTube動画やSNSなどで実際の施工の様子やコーティングの効果を確認することで、コーティング施工後のイメージが湧きやすくなります。
コーティングで愛車を美しく維持して、より充実したカーライフを過ごしてみませんか?

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。