国産コンパクトカーおすすめランキング-専門家が厳選【新車ベスト5】

目次

国産コンパクトカーの評価ポイント

コンパクトカーは日々使うクルマだけに、燃費や予防安全装備、走行性能を重視したい。

ガソリン価格高騰が続いている中、燃料費は削減したいものだ。加えて、避けて通れないのが予防安全性能だ。運転経験が浅い人や苦手な人は、どうしても交通事故を起こすリスクは高くなる。もしもの時に頼りになる予防安全装備は重要だ。

今回のランキングでは、燃費や予防安全装備を一定水準以上クリアしていることを条件とした。さらに走行性能も評価に加えた。そのため、ランキングで紹介する車種はマツダ2を除き、ハイブリッド車のみの評価。マツダ2はディーゼル車のみのでガソリン車を含まない評価となっている。

おすすめランキング ベスト5

  • RANKING BEST 1 国産コンパクトカー ランキング ベスト1 日産 オーラ

    日産 オーラ

    2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した上質なコンパクトカー

    オーラは、燃費ではヤリスやアクアなどトヨタ勢のハイブリッド車に敵わない。予防安全装備の機能も同様だ。
    それでも1位としたのは「上質なコンパクト」という他モデルには無い、コンセプト通りにオーラが仕上がっていたからだ。

    内装や装備が豪華なだけではない。クルマ全体が上質だ。特に驚いたのは、走りの質だ。第2世代に入った日産のハイブリッドシステムe-POWERは、非常に静粛性にも優れている。出力もノートより向上し、より余裕のある走りも上質さに磨きをかけている。

    走りの気持ちよさは、クラストップといえるレベルだ。中でもオーラNISMOは、最もお勧めしたいグレードである。趣味性は高くなるものの、意のままに走るハンドリングと快適な乗り心地は抜群だ。さらに、後輪側に高出力モーターを設置した4WDも非常に高い完成度を誇る。雪や滑りやすい路面はもちろん、乾燥舗装路でもリヤのモーターがしっかりと駆動し、気持ちよい走りをアシストしてくれる。4WDモデルもお勧めだ。

  • RANKING BEST 2 国産コンパクトカー ランキング ベスト2 トヨタ アクア

    トヨタ アクア

    万人受けする超実力派

    トヨタ アクアは、飛び抜けて何かが凄いわけではない。しかし、燃費や乗り心地、静粛性など多くの部分でクラストップレベルのパフォーマンスを誇る超実力派だ

    スッキリとしていて、誰にでも好かれるようなデザインもポイントだ。そのため、多くの人にお勧めできる。まさに、万人受けするコンパクトカーといえる。
    今回は、優れた走行性能を高く評価してオーラを1位としたが、道具としての評価であればアクアが1位といえる。こうした総合力を重視して2位とした。

    トヨタ アクアの口コミ・評価を見る
  • RANKING BEST 3 国産コンパクトカー ランキング ベスト3 ホンダ フィット

    ホンダ フィット

    使い勝手の良さと、シンプルさが際立つコンパクトカー

    フィットは、シンプルな内外装デザインと使い勝手の良さが魅力的なモデルだ。外観やインテリアデザインは、とてもスッキリとまとめられている。運転席からの視界も良好で、運転が苦手な人には特にお勧めだ。
    フィットはホンダ独自のセンタータンクレイアウトが採用されている。ガソリンタンクをフロントシート下付近に移動させたことで、リヤシートから後ろのスペースを有効に使えるようになった。リヤシートは跳ね上げて固定することもでき、長尺物を立てて収納することも可能だ。シートアレンジや収納スペースの広さは、クラストップの実力を持つ。

    燃費値は、トヨタのハイブリッド車には敵わない。だが使い勝手は良好だ。SUV風のクロスターやスポーティ仕様のRSなど、多様化するニーズに対応していることも高く評価して3位とした

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  • RANKING BEST 4 国産コンパクトカー ランキング ベスト4 トヨタ ヤリス

    トヨタ ヤリス

    世界トップレベルの超低燃費性能とスポーティな走りを両立

    ヤリスのキャラクターは、とにかく分かりやすい。端的にいえば、スポーティな走りと超低燃費に特化している。
    燃費性能は、1.5Lハイブリッドシステムを搭載し、このクラスでは世界トップレベルの36.0km/L(FF、WLTCモード)を実現した。高性能リチウムイオンバッテリーの電気の出し入れは非常にスムースだ。実燃費も優れている。

    重心が下がったおかげで、前後の重量バランスも良好だ。サスペンションは硬く、ハンドリングはシャープである。このクラスでは、トップレベルの運動性能を誇る。

    予防安全装備もクラストップレベルだ。自動ブレーキは、昼夜の歩行者、昼間の自転車にも対応し、交差点内の右左折時の歩行者、右折時の対向車も検知する。

    こうした分かりやすいキャラクターと、安全装備を含めた実力の高さを評価して4位とした

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  • RANKING BEST 5 国産コンパクトカー ランキング ベスト5 マツダ2

    マツダ2

    最後のBセグディーゼル?

    マツダ2の前身は、DJ系などと呼ばれるデミオだ。2019年、欧州などで発売されているマツダ2に車名を統一した。デミオは、2014年にデビューしているので、そろそろフルモデルチェンジ時期に入っている。
    欧州のマツダ2ハイブリッドは、トヨタからヤリスハイブリッドをOEM供給されているため、マツダはBセグメントのコンパクトカーから撤退する可能性がある、という憶測が噂されている。そうなると、国産Bセグメントのコンパクトカーでは、最後のディーゼル車となる可能性がある。

    マツダ2を高く評価したのは、クラス唯一のディーゼル車である点だ。燃費性能は21.6km/L(FF、WLTCモード)だ。ハイブリッド車には負けるが、軽油はレギュラーガソリンより約20円/L安価なこともあり、ハイブリッド車に近い燃料費になるメリットもある。

    経済性に加え、6速MTの設定グレードも広く、マニアックなユーザーへの対応も高く評価し5位とした

国産コンパクトカー おすすめ
5台を5項目で比較

国産コンパクトカーのおすすめ5台について価格、燃費・維持費、走行性能、乗り心地、デザインの5項目を比較評価した。燃費の良さで、よく比較検討される軽自動車との違いに言及した。また、デザインについては輸入車との違いについて言及したので購入検討前に各比較項目を参考にして欲しい。

価格比較

日産 オーラ

日産 オーラ
ダウンサイザーにピッタリ合う小さな高級車

オーラの価格帯は以下の通り。

  • 2,654,300円(G FF)~2,996,400円(G FOURレザーエディション 4WD)
  • 2,908,400円(NISMO FF)

オーラのコンセプトは「上質なコンパクト」であるため、車両価格は高めだ。
通常の状態だと、装備が上質感に欠ける。コンセプト通りのレベルにするには、多数のオプションを選択しなくてはならない。高速道路などで車線を維持しながら、前走車に全車速で追従走行できるプロパイロットやSOSコール、統合型インターフェースディスプレイなどを装着すると、かなり高価になる。価格もコンパクトカーではナンバー1だ。

高額なコンパクトカーは、今までミディアムクラス以上のモデルに乗っていたが、ダウンサイジングしたい人にピッタリと合う。ダウンサイジングすれば、燃料費や維持費も安価になり経済的だ。

トヨタ アクア

トヨタ アクア
割り切れれば、エントリーグレードのコスパがよい

アクアの価格は以下の通りだ。

  • 1,980,000円(B FF)~2,598,000円(Z 4WD)

アクアは、エントリーグレードが200万円を切り、ライバル車と比べて少し安価なイメージだ。

エントリーグレードのBは、考え方次第ではあるが、かなり買い得感がある。Bグレードのみ、他のグレードを上回る35.8km/L(FF、WLTCモード)という超低燃費を実現している。燃費だけを見れば、ヤリス並みだ。
Bグレードはハイブリッドシステムに電力を供給するバッテリーに、リチウムイオン電池を用いているからだ。その他のグレードは、より安価なバイポーラ型ニッケル水素電池を使っている。
ただしエントリーグレードなので、装備はかなり質素だ。一部のグレードでは、安全装備のオプションも選択できない。割り切れれば、かなりお買い得なグレードといえる。

通常であれば、中間グレードのGがお勧めだ。最上級グレードのZと比べるとやや装備はグレードダウンするものの、特に不満がないレベルである。Gをベースに必要なオプションを選択するとよい。

ホンダ フィット

ホンダ フィット
お買い得感ある最上級グレードのリュクス

フィットの価格は以下の通りだ。

  • 1,997,600円(ベーシック FF)~2,664,200円(リュクス 4WD)

フィットもハイブリッド車ながら、エントリーグレードは200万円を切る価格で設定されている。ただ、エントリーグレードだと装備が物足りないため、実際はホームグレードの2,175,800円を中心に考えるとよい。

フィットのシンプルな上質感を最も体現しているのが、最上級グレードのリュクスだ。本革シートが標準装備されているなど、充実している。オーラに近い上質なコンパクトカーだ。予算に余裕があるのであれば、積極的に選びたいグレードでもある。価格は250万円を切る2,499,200円。オーラよりお買い得感がある。

トヨタ ヤリス

トヨタ ヤリス
もう少し個性的なグレードが欲しい

ヤリスの価格は、以下の通りだ。

  • 2,013,000円(X FF)~2,548,000円(Z 4WD)

ヤリスの価格は、このクラスのハイブリッド車の平均的なレベルである。3グレード構成のシンプルな仕様で、フィットのような多様性への対応はされていないのが残念なところだ。

グレード選びで悩みどころは、最上級グレードのZでもオプション設定が多い点だ。予算を抑えるのであれば、中間グレードのGを選択して最低限のオプションを選択するとよい。

最上級グレードのZでお勧めのオプションは、以下の通りだ。

  • ブラインドスポットモニター+パーキングサポートブレーキ
  • パノラミックビューモニター
  • 100V1500Wアクセサリーコンセント

マツダ2

マツダ2
最上級グレードのLパッケージがお勧め!

マツダ2の価格は以下の通りだ。

  • 1,903,000円(XD FF)~2,678,500円(XD Lパッケージ 4WD)

価格の幅は、このクラスのハイブリッド車とほぼ同等レベルに収まっている。
最上級グレードのLパッケージは、本革シートが標準装備され、インパネなどには合成皮革が採用されているので上質感が高い。さらに、このクラスでは珍しい運転席パワーシートなどが標準装備されているなどを含めると、オーラよりリーズナブルといえる。

エントリーグレードのXDはまずまずの装備といえるが、レーンキープアシストが装備できない。予算重視なら、プロアクティブSパッケージに最低限のオプション選択がベストだ。

少し予算があるのであれば、ほぼフル装備になったLパッケージがお勧めだ。約30万円プラスすると、本革シートや運転席パワーシート、その他プロアクティブSパッケージでオプションだった予防安全装備などが標準装備になるので、結果的にお買い得といえる。

燃費比較

日産 オーラ

日産 オーラ
燃費は厳しいオーラ

オーラの燃費は以下の通りだ(すべてFF、WLTCモード)。

オーラ 27.2km/L
オーラNISMO 23.3km/L

オーラの燃費は、トヨタ系ハイブリッドに大きな差を付けられている。世界トップレベルの超低燃費を誇るトヨタ ヤリスハイブリッドの燃費は、35.4~36.0km/Lだ。これだけ大差が付くと、燃費重視の人にはお勧めできないモデルだ。

コンパクトカーは、軽自動車と比べられることが多い。ヤリスハイブリッドとの燃費比較では大敗したオーラだが、軽自動車と比べると優位に立つ。
レギュラーガソリン代165円/Lで1,000km走ったときの燃料費は、オーラの場合約6,100円だ。軽自動車の超人気モデルホンダN-BOXの燃費を21.2km/Lで計算すると約7,800円だ。なんと、オーラの燃費費のほうが1,700円も安価になった。
燃料費視点では、N-BOXなどのスーパーハイト系軽自動車よりも勝っている。

トヨタ アクア

トヨタ アクア
ヤリスには敵わないが、ライバル車には大きな差をつけた燃費性能

アクアの燃費は以下33.6~35.8km/Lだ。(すべてFF、WLTCモード)

アクアのエントリーグレードであるBのみ、高価なリチウムイオン電池が搭載されている。その他のグレードは、コストパフォーマンスに優れるバイポーラ型ニッケル水素電池だ。
電池のパフォーマンスは、リチウムイオン電池が勝るため、エントリーグレードのBだけが35.8km/Lとやや頭ひとつ抜け出している。クラストップの低燃費コンパクトカーであるヤリス並みだ。
ニッケル水素電池でも、他のライバル車と比べると燃費性能では上回っている。燃費面でもかなり高いレベルにあるので、それほど心配する必要はない。

アクアの中間グレードであるGと、軽自動車販売台数ナンバー1のN-BOXとで、維持費を比較してみよう。

車種 燃費値 1,000km走行時のガソリン代
アクア Gグレード 33.6km/L 約4,900円
N-BOX 21.2km/L 約7,800円

燃料費は大差がついた。また1,000km走行時のガソリン代(165円/L)は3,000円に近い差となった。
軽自動車は、自動車税などの維持費面では安価だが、燃料費などはむしろコンパクトカーのハイブリッド車が勝る。

ホンダ フィット

ホンダ フィット
対トヨタ車では、やや厳しい燃費値だが悪くはない

フィットの燃費は以下の通り27.1~30.2km/Lだ。(すべてFF、WLTCモード)
フィットの燃費は、アクアとヤリスの燃費値とは大きく離されてしまっている。燃費値を最重視するのであれば、なかなか選びにくいモデルだ。

燃費値で離されている大きな理由のひとつが車重である。フィットの最も重いグレードの車重は1,200kgだ。対するアクアは1,130kgと、フィットのほうが70kgも重い。先代フィットと同じプラットフォームを使うフィットなので、仕方のない部分でもある。
ヤリスやアクアと比べると厳しい燃費値のフィットだが、オーラやノートとは同等レベルだ。どんな項目を重視するのかで、選択肢は異なる。

トヨタ ヤリス

トヨタ ヤリス
実燃費も素晴らしい超低燃費性能

トヨタ ヤリスの燃費は35.4~36.0km/Lだ。(すべてFF、WLTCモード)
ヤリスは高効率のリチウムイオン電池を搭載しており、燃費値はこのクラスで世界トップレベルだ。信号が少ない郊外路で、平均速度が40km/h程度の試乗では、実燃費が45.0km/Lを超えるほどだった。燃費性能では、もはや敵無し状態といえるハイブリッド車だ。

マツダ2

マツダ2
燃料費を気にするが、ハイブリッド車は嫌いという人にお勧め

マツダ2の燃費は21.6km/Lだ。(すべてWLTCモード)
マツダ2の燃費は、ハイブリッド車とは大きな差がついた。
さすがにヤリスやアクア比較すると非常に厳しいが、オーラやフィットであれば、同等に近いレベルの燃料費になる。

ノートオーラとマツダ2の維持費を比較してみよう。

車種 燃費値 1Lあたりの燃料費 1,000km走行時の燃料費
ノートオーラ 27.2km/L ガソリン 165円/L 約6,100円
マツダ2 21.6km/L 軽油 145円/L 約6,700円

マツダ2のディーゼルエンジンは燃料が軽油なので、レギュラーガソリンに対して安価だ。ハイブリッド車に近い燃費値になる。
維持費の差をどう考えるかによって、選択肢は変わる。ハイブリッドには興味が無いが、燃料費が安価な方が良いのであれば、マツダ2のディーゼル車がお勧めだ。

走行性能比較

日産 オーラ

日産 オーラ
4輪の駆動力を絶妙にコントロール。楽しく走れる電動4WDもお勧め

オーラの出力は、136ps&300Nmだ。上質なコンパクトらしく、ノートよりも出力が20ps&20Nmアップされている。
300Nmは自然吸気3.0Lガソリンエンジン並みだ。小さなボディに、強大なトルクのモーターを搭載しているので、かなり力強い。しかもモーター駆動なので、スムースさと静粛性もとても高い。加速力は、クラストップレベルだ。

パワーユニットに第2世代のe-POWERを用いており、非常に洗練されている。停止時は、なるべくエンジンを始動しない制御になっているため、室内の静粛性はとても高く快適だ。ハンドリングは特にクイックではなく、自然なフィールである。車体はそれなりに傾くが、安定していて不安もない。

NISMOはクイックなハンドリングと車体の傾きをしっかりと抑えたスポーティな走りを披露した。クルっと瞬時に向きを変え、ビタっと路面に吸い付くような安定感はさすがNISMOモデルだ。

驚くほど良かったのが4WDだ。後輪側に68ps&100Nmという大きな出力のモーターで駆動する。FF(前輪駆動)モデルより、スムースにクルマの向きが変わり、とにかく安定している。前輪と後輪の駆動力が上手くコントロールされており、気持ちよく曲がるセッティングが施されている。
走りの楽しさだけでも、オーラが欲しくなるほどだ。走りの質もクラストップレベルだ。

トヨタ アクア

トヨタ アクア
穏やかで静かな室内

アクアの走行性能は、隙が無くバランスが良い。
ハンドリング性能は、ヤリスや日産ノートオーラほどスポーティではない。コンパクトカーにスポーティさを求める人は、ヤリスやオーラを選ぶとよい。
アクアのハンドリングは、普段使いの扱いやすさだ。特に、機敏なところも無ければダルでもない。ちょうどよい塩梅で、誰でも運転がしやすい。ゆったりとした気分で運転が楽しめる。

カーブで少しスポーティに走ってみると、意外なほど車体はピタッと安定している。前後の重量バランスが良いからだ。駆動用バッテリーの搭載位置や、低重心化された最新のGA-Bプラットフォームによる恩恵といえる。

そして、クラストップといえるのが静粛性だ。特に、市街地でモーター走行している状態の静粛性は極めて高い。まるで、高級セダンに乗っているような気分になれる。この部分を最も高く評価した。

ホンダ フィット

ホンダ フィット
ゆっくり流していても気持ちよい走行性能

先代フィットは、やや硬めのサスペンションを持ち、キビキビと走るスポーティさがウリだった。しかし、現行フィットは、まったく逆のテイストだ。ゆったりと動くサスペンションと適度にダルなハンドリングで、ゆっくりと流していても気持ちよさを感じる乗り味になっている。

1.5Lハイブリッドのe:HEVは、基本モーターで走行する。このモーターは123ps253Nmの出力を持つ。モーター駆動車ながら、過度なモータートルクを感じさせない制御で、穏やかで洗練された加速感を味わえる。誰もが違和感なく爽快に走れる性能だ。

マイナーチェンジでは、スポーティ仕様のRSが追加された。キビキビとしたよりスポーティな走りを望む顧客向けのグレードだ。

トヨタ ヤリス

トヨタ ヤリス
あふれ出るスポーツマインド

ヤリスは、ザ・スポーツモデルといえる。
プラットフォームは、アクアと同じGA-Bだ。だがヤリスのシートは、アクアよりかなり低い位置に設置されている。この時点で、スポーティな雰囲気が伝わってくる。

ヤリスのシステム出力は116psである。このクラスのモデルとしては、それほどパワフルな部類ではない。むしろ、スペック的には控えめにも感じるほどだ。
ところが、アクセルをグッと踏み込むとグイグイ、ビューンと力強く加速を始める。出力だけを比較するとライバル車の方がパワフルだが、ヤリスは軽量さが活き、同等レベルの加速性能をみせた。

さらに、ヤリスは低重心化に成功し、前後の重量バランスも良くなっている。大きく重いリチウムイオン電池をリヤシート下付近に設置したからだ。わずかな操舵にも反応するハンドリング性能と合わせ、ギュンギュン曲がる軽快感がたまらない。少し古典的なハンドリングと走行安定性だが、楽しい走りという点では、かなり高いレベルにある。

マツダ2

マツダ2
モータードライブ車と比べると、厳しいアクセルレスポンス

マツダ2に搭載されている直4 ディーゼルターボエンジンの出力は、105ps&250Nmだ。オーラの出力が136ps&300Nmとかなりパワフルなので、スペックは大きな差がついた。だが、オーラは、マツダ2より100kg以上重い。そのため、走行性能としては思ったほど大きな差にはなっていない。

しかし、オーラのような電動車と内燃機関であるマツダ2とでは、決定的な差がある。アクセルレスポンスだ。
電動車はモーターの特性で、アクセルを踏むと一瞬にして最大トルクを発揮する。マツダ2は1,500回転位まで回さないと、最大トルクを発揮できないのだ。内燃機関が絶対に電動車に敵わない部分だ。
また、マツダ2の排気量は1.5Lと小さい。6速MTはエンジンの回転が1,500回転付近を下回ると、アクセル操作に対するレスポンスが極端に悪くなる。エンジンの回転があまり下がらないよう、常にシフトチェンジする必要がある。ずぼらな運転はできない。ATでは、ミッションやエンジン回転を上手く制御しているので、それほどトルク不足を感じることはなかった。

乗り心地比較

日産 オーラ

日産 オーラ
硬めの基準車。乗り心地のよいNISMO

オーラの乗り心地は、硬めだ。軽快なハンドリングを得たことによる副作用ともいえる。速度が上がると乗り心地は少し改善されるものの、路面の大きな凹凸を通過するとドンドンとした力強い衝撃が伝わってくる。特に、後席の突き上げ感は大きめだ。
この要因は、ノートでは16インチタイヤだったのが、オーラでは17インチになったことにある。それでも、ヤリスよりも乗り心地はよいと感じた。

よりスポーティな走りを得意とするオーラNISMOは、さらに乗り心地が悪くなるはずだが、基準車のオーラより乗り心地がよい。さすがNISMO専用サスペンション装着車だ。ツボを押さえた乗り心地のよさに感動した。

トヨタ アクア

トヨタ アクア
ヤリスとは真逆!? ソフトで快適な乗り心地

アクアとヤリスは、同じ最新のGA-Bプラットフォームやパワーユニットを使っているため、姉妹車関係に近い。だが同じプラットフォームやパワーユニットを使っていても、乗り心地はまったくの別物だ。
アクアの乗り心地は、とてもソフトで快適だ。この乗り心地も、クラストップレベルの実力である。ハードに近いヤリスの乗り心地とはまったく異なる。
コンパクトカーにスポーティさを求めていないユーザーであれば、アクアがベストな選択といえる。

ホンダ フィット

ホンダ フィット
ストローク感あるマイルドなサスペンションセッティング

フィットの乗り心地は、ストローク感があるソフトな乗り味だ。クルマはゆったりと動く。大きな凸凹を通過した時も、突き上げ感はかなりマイルドに変換されており快適だ。RSグレードは、専用サスペンションを装着する。少し硬めで、よりキビキビした乗り味だ。

トヨタ ヤリス

トヨタ ヤリス
もっとも硬い乗り味

ザ・スポーツ系なヤリスなので、乗り心地はガッチリ硬め。大きな凹凸に侵入すると、ドンドンガンガンと突き上げ感が伴い振動がドライバーを襲う。このクラスは、乗り心地重視がトレンド。乗り心地だけでみれば、最も硬い乗り心地といえる。
しかし、この硬めのサスペンションセッティングにより、キレキレのハンドリング性能を生み出していると考えれば、スポーティな乗り味を求めている人であれば許容範囲といえるだろう。

マツダ2

マツダ2
設計が古く、やや厳しい乗り心地

マツダは、頻繁に改良を加えクルマを熟成させるメーカーのひとつだ。しかし、マツダ2は2014年デビューと古い。乗り心地も、最新モデルとなった他のライバル車と比べると厳しい。

乗り心地は、やや硬めだ。何度か改良されてきたが、リヤサスペンションからのゴツゴツ感はまだ少し残っている。ヤリスほどの硬さではないので、一定の快適さは担保されている。スポーティなハンドリングが好きな人にとっては、それほど気にならないだろう。

内外装・デザイン比較

日産 オーラ

日産 オーラ
40mmワイド化。より、スタイリッシュで大きく見えるデザインに

ノートとオーラは、基本的に同じクルマなので内外装デザインはよく似ている。しかし、オーラの方がスタイリッシュだ。オーラのほうが、全幅が40mmワイドな1,735mmだからだ。わずかな差だが、ノートよりもドッシリとした安定感がある。
ノートと異なる部分に、バンパーやフェンダー、リヤドアなどがある。特に、リヤまわりにボリュームが出てカッコよさが際立った。全体的なデザインはよく似ているが、オーラはよりスタイリッシュだ。

オーラは、他のコンパクトカーと比べても少し大きく見える。厚みのある大きなフェイスデザインの影響が大きい。またコンパクトカーは、5ナンバーサイズといわれる全幅1,695mmにこだわり続けているが、オーラは1,735mmだ。このボディのワイド化もオーラをより大きく立派にみせている。

インテリアなどは、色味や素材感が異なる程度だ。ライバル車と比べて先進感があるのは、12.3インチディスプレイを中心とした統合型インターフェースディスプレイにある。クラスを超えた贅沢な仕様で、欧州車と比べても見劣りしない。

トヨタ アクア

トヨタ アクア
クセの無い可愛らしいデザインが魅力

先代アクアのインテリアは、リヤシートの居住性が物足りなかった。燃費を重視した結果、空気抵抗を下げるためのデザインが優先されたからだ。
ボディサイズは、先代アクアより全高を30mm高めた1,485mmとした。後席の広さは先代を大きく上回り、ゆったりと座れるようになっている。

インテリアデザインもより洗練され、質感も大幅にアップした。ヤリスを上回るほどだ。ただし、オーラの先進感と比べると少し物足りない。差は液晶ディスプレイにある。

アクアの外観デザインは、好き嫌いの出にくい万人受けするタイプだ。愛着の湧く、可愛らしいデザインが魅力だ。

ホンダ フィット

ホンダ フィット
もっともシンプルなインテリアデザインとなった

フィットは、毎日使う道具として愛着をもってもらうため、シンプルながら飽きのこないデザインとした。強烈なキャラクターラインも入っておらず、クリっとしたカワイイヘッドライトがチャームポイントだ。
インテリアデザインは、とにかくノイズを減らし、シンプルにまとめられている。メーターバイザーを無くした液晶ディスプレイに映し出されたメーターもとにかくシンプルだ。
視界もよく運転しやすく、落ち着いた空間に仕上がっている。輸入車含めて、これだけシンプルなインテリアデザインは珍しい。

トヨタ ヤリス

トヨタ ヤリス
やる気満々の外観デザイン

ヤリスは、切れ長のヘッドライトに、カバっと開いたバンパー下部のエアダクトなど、いかにもやる気満々のフェイスデザインをもつ。リヤフェンダーの盛り上がり感もなかなかスポーティだ。

インテリアデザインは凝縮感のあるデザインだ。外観デザイン同様なかなかスポーティである。
しかし、質感という面では少し物足りない。高価な価格帯の輸入車コンパクトカーと比較すると、インテリアの質感は、どうしても差が大きくなってしまう。

マツダ2

マツダ2
未だ高いレベルにある質感とデザイン

上質感のあるインテリアは、マツダ2の美点だ。
スッキリとしたシンプルなデザインに、質感の高いマテリアルが使われている。デビュー時は圧倒的な上質感を誇った。

その実力は、今も健在だ。最新のヤリスと比べるとメーター周りに古さを感じるが、上質さではマツダ2が勝る。特にLパッケージの特別感は、輸入コンパクトカーさえも上回る質感やデザインといえる。

色にこだわるのもマツダの特徴である。中間色を巧みに使った特別仕様車は、なかなかオシャレだ。インテリアの上質さだけでも乗りたくなるコンパクトカーだ。

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ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員