軽自動車は、日本の新車販売の約4割を占めている。車種も豊富で、価格帯も広く選びやすい。その一方、軽自動車を買って「失敗した!」「後悔した!」という声もある。そこで、買ってはいけない軽自動車や失敗事例などを紹介する。購入の参考にして欲しい。
- 軽自動車が売れている理由は?
- 失敗・後悔しない軽自動車の選び方
- スーパーハイト系の軽自動車購入の失敗例1
- スーパーハイト系の軽自動車購入の失敗例2
- ロールーフ系の軽自動車購入の失敗例
- 買ってはいけない軽自動車「低年式&過走行のスーパーハイト系中古車」
- 軽自動車のお勧め購入方法は「未使用車」を狙え!
軽自動車が売れている理由は?
安全性や走行性能、便利装備による総合性能の大幅向上
軽自動車が売れている理由のひとつは、「税金の安さ」だ。しかし、最近は税金の安さ以外の理由で売れている。
それは、「予防安全性能」だ。昔は安全性能面で不安視されていた軽自動車。だが予防安全装備は、ここ数年で一気に進化した。歩行者検知式自動ブレーキや、踏み間違え防止機能など、多くの機能がパッケージ化され、様々なモデルに標準装備されている。また、最近のモデルにはサイド&カーテンエアバッグが標準装備されている。保安基準が引き上げられたからだ。
軽自動車は、小さなボディで運転がしやすいこともあり、女性ユーザーが多いことも特徴のひとつだ。その多くの女性が、軽自動車の予防安全性能に共感したことも、売れている理由のひとつである。
同様に、他のボディタイプに比べて物足りなさがあった走行性能も大幅に進化し続けている。静粛性や乗り心地などは、一世代モデルが違うだけで、まったく異なるほどだ。
その昔、軽自動車の内装の品質はそれなりだった。しかし、品質は徐々に向上し、1クラス以上うえのコンパクトカーを超えるモデルがあるほどだ。両側スライドドアや多彩なシートアレンジなど、便利な機能が満載である。
品質が向上したことで、経年劣化が少なくなり「軽自動車も長く乗れる」状態となった。こうした軽自動車の完成度の高さが、多くの世代に認められてきている。さらに、「軽自動車を買ってよかった」が広まり、軽自動車の人気が高まっている。ひと昔前、軽自動車は「生活の足、セカンドカー」としての使い方がメインだった。しかし、現在の軽自動車は「ファーストカー」として使われてきているのだ。
失敗・後悔しない軽自動車の選び方
カテゴリー毎のメリット、デメリットを理解する
軽自動車は、大きく分けて3つのカテゴリーがある。カテゴリー毎のメリットやデメリットを知らないと、後悔することになるため注意が必要だ。
スーパーハイト系の軽自動車
※上図:N-BOXカスタム
代表車種:
ホンダN-BOX、ダイハツ タント、スズキ スペーシア、日産ルークスなど
スーパーハイト系軽自動車の特徴:
- 最も人気のあるカテゴリーだ。
- 全高が1,800mmのため、とても高く、上方のスペースが広い。
- 両側スライドドアを装備し、乗り降り時の利便性が高い。
メリット(こんな人にお勧め):
- 両側スライドドアを装備しているので、高齢者や小さな子供の乗り降りに便利だ。とくに、狭い駐車場で、隣のクルマにドアが当たるリスクもない。
- 高さのある荷物や、自転車などの積載も可能である。
- アウトドアを意識したクロスオーバー系など、選択肢も豊富だ。
デメリット:
- 車両価格が高い。スライドドアなど利便性の高い装備が装着されているため。
- 全高や車体の重心が高いため、カーブでは不安定になりがちだ。
- 強い横風を受けると、車体がフラフラしやすい傾向がある。
- 車重が重い。軽自動車の中で最も燃費が悪いカテゴリーである。
- 高速道路などでは非力感がある。
ハイト系の軽自動車
※上図:ワゴンR
代表車種:
スズキ ワゴンR、日産デイズ、ホンダ N-WGNなど
ハイト系軽自動車の特徴:
- スーパーハイト系とロールーフ系の中間にあるバランス型だ。全高は1,650mm前後で、ヒンジ式ドアが主流である。
- 顧客ニーズの多様化に対応している。最近ではワゴンRスマイルやムーヴキャンバスなど、ハイト系でも両側スライドドアを装備したモデルも登場した。
- 日産サクラや三菱eKクロスEVなど、EVのラインナップもある。
- 悪路走行を想定したクロスオーバー車の選択が可能だ。スズキ ハスラー、ダイハツ タフトなど。
メリット(こんな人にお勧め):
- バランス重視。スーパーハイト系とロールーフ系の中間となる全高のため、室内スペースや燃費、価格、走行性能なども中間にある。
- 無難な軽自動車。
デメリット:
- 小さな子供や高齢者の乗り降りはやや不便だ。多くのモデルがヒンジ式ドアのため。
- バランス型のため、燃費や価格ではロールーフ系に負ける。
- スライドドアや室内の広さではスーパーハイト系より劣る。やや中途半端な印象もある。
ロールーフ系の軽自動車
※上図:ミライース
代表車種:
スズキ アルト、ダイハツ ミライースなど
ロールーフ系軽自動車の特徴:
- 軽自動車で最も低い全高をもつモデル。全高1,500mm前後。
- 生活の足として低価格モデルから、オシャレな個性派モデルまで選択肢も豊富だ。
- 燃費がよい。
メリット(こんな人にお勧め):
- 全高が最も低いため、車重が軽く燃費がよい。
- 価格帯が広く、全体的に安価だ。
デメリット:
- ヒンジ式ドアのため、高齢者や小さな子供の乗り降りは不便だ。
- 全高が低いため、室内スペースは軽自動車の中で最も狭い。
スーパーハイト系の軽自動車購入の失敗例1
広大なスペースを有効活用ができなかった。
スーパーハイト系軽自動車を買ってはいけない人とは?
・独身者で日々の使い方は、通勤や買い物がメインの人
スーパーハイト系は、広大なスペースが魅力で最も人気の高いカテゴリーだ。しかし、人気が高いからという理由だけで購入すると、失敗する可能性が高いモデルでもある。
スーパーハイト系軽自動車購入者の失敗例は、メリットを有効活用できないことだ。メリットは、広い上方室内スペースと、乗降性に優れたスライドドアである。使用する目的が、ファミリーカーや、高齢者の送迎の人におすすめだ。
しかし、独身者で、通勤や買い物が中心の使い方であれば、広い室内スペースはそれほど必要が無い。また、小さな子供や高齢者の送迎などがない場合、スライドドアの必要もなくなる。そのため、使用目的が通勤や買い物程度の人が、スーパーハイト系軽自動車を使うと、広大なスペースを上手く活用することができない。
また、スーパーハイト系軽自動車は車重がとても重い。全高が高く、スライドアを装備しているからだ。そのため、燃費が3つのカテゴリーのなかで最も悪いのである。日々の通勤や買い物がメインで使うと、燃料費が高くなってしまう。
そのため、独身者や、日々の買い物程度の使い方の人は、ロールーフ系もしくはハイト系がおすすめだ。
スーパーハイト系の軽自動車購入の失敗例2
高速道路の走行中、乗り心地が良くない。安定して走れない。
スーパーハイト系軽自動車を買ってはいけない人とは?
・高速道路での移動が多い人
スーパーハイト系軽自動車は、高速移動が苦手なモデルだ。車重が900kg前後と非常に重い。また、全高が高いため、空気抵抗が大きい。660ccの自然吸気エンジンでは、かなり非力だ。
長い登り坂では、車速を維持するのも難しく、アクセルを大きく踏み込む時間が長くなる。当然、エンジンの回転数は高くなり、静粛性と燃費が悪化する。その結果、燃料費も高くなり、賑やかな車内、快適な高速移動とはいかなくなる。
さらに、高い全高と狭い全幅のため、重心が高く、操縦の安定性面で不安を感じることがある。特に横風が強い時は、操縦が不安定になり、怖さを少し感じることがある。
そのため、高速道路での移動が多いのであれば、よりパワフルなターボエンジン車がお勧めだ。
ロールーフ系の軽自動車購入の失敗例
結局「安物買いの銭失い」になってしまった
ロールーフ系軽自動車を買ってはいけない人とは?
・高齢者や小さな子供の送迎、自転車を積載する頻度が高い人
ロールーフ系は、最も購入しやすい軽自動車だ。安価なグレードだと100万円前後で売られているからだ。しかし、「とにかく安価であれば、なんでもいい」という考えから、ロールーフ系軽自動車を購入すると後悔することがある。
ロールーフ系軽自動車は、1人もしくは2人での近隣移動がメインで、通勤やちょっとした買い物といった使い方に限定される。全高が低いので、荷室も広くない。大きな荷物の積載には不向きである。
例えば、子供が学校に行くため、自転車で駅まで送って行く。しかし、途中で雨が降り、自転車を置いて公共交通機関を使い、帰宅する。その後、駅にいる子供を車で迎えに行き、自転車を積載して帰宅する。ロールーフ系では、こうした使い方ができない。
背が高い自転車などを載せるのであれば、スーパーハイト系がよいだろう。
また、高齢者の送迎にも不向きだ。ヒンジ式ドアのため、狭い駐車場では気を使うからだ。着座位置も低めのため、腰や膝が悪い高齢者だと、乗り降りも楽とは言えない。こうした使い方であれば、スーパーハイト系をお勧めする。予算を抑えたいというのであれば、ヒンジ式ドアで多少不便さはあるものの、ハイト系でも十分だ。
注意したいのは、ロールーフ系のエントリーグレードだ。価格は100万円前後と安価だが、多くの部分が簡素化されている。中には、安全装備であるリヤシートのヘッドレストが無いモデルもあるほどだ。こうしたモデルを選んでしまうと、後々物足りなくなってしまうので、結果的に安物買いの銭失いになってしまう。
買ってはいけない軽自動車「低年式&過走行のスーパーハイト系中古車」
新車、中古車の軽自動車は「安価」というイメージが強い。そのため、軽自動車のリセールバリューは高い傾向にある。下記のモデルと比べてみよう。
車種 |
新車価格 |
中古車相場2012年式 |
初代ホンダN-BOXカスタム |
約140~180万円 |
約30~80万円 |
初代トヨタ アクア |
約170~190万円 |
約30~70万円 |
BMW 1シリーズ |
約300~400万円 |
約40~70万円 |
※中古車相場は2023年5月調べ
初代N-BOXのリセールバリューは、クラスや新車価格が上のモデルと比べ、ほぼ同等を維持していることが分かる。つまり、低年式中古スーパーハイト系軽自動車は「安価ではない」のだ。「中古車は安価」というイメージだけで購入しないように、注意が必要だ。
注意したいのは、月々の支払金額と故障リスクだ。スーパーハイト系の軽自動車を新車で残価設定ローンを組んで支払う場合、リセールバリューが高い分、支払期間を長くすると月々の支払いを抑えることができる。
一方、中古車をローンを組んで支払う場合は、支払期間が長くなくても、年式が10年ほど古い低年式であれば、月々の支払いは安くなる。しかし、故障のリスクは高くなる。新車の場合、故障しても保証内で修理が対応できる可能性が高い。そのため、「何年乗るのか」を想定したうえで購入を決めることが大切だ。
軽自動車のお勧め購入方法は「未使用車」を狙え!
軽自動車で最もお勧めなのが「未使用車」だ。未使用車とは、ディーラーやメーカーの都合で、一度登録(届出)した車両のことである。一度登録(届出)すると、中古車扱いになり、中古車店の店頭に並ぶ。登録(届出)しただけで、ほぼ新車コンディションの車が、中古車になるのがポイントだ。
中古車扱いとなった未使用車は、新車より安価で販売される。20~30万円以上安いケースがあるため、お買い得だ。
ただし、多少デメリットがある。現車販売のため、一般的に人気のあるグレードやオプション、カラーの組み合わせがほとんどだ。新車のように、好みのグレードやオプション、カラーを選ぶことができない。また、自宅付近に好みの車がないこともある。その場合、全国に多くの店舗をもつ大手中古車店であれば、他県のお店から取り寄せることが可能だ。
車を選ぶときに登録日(届出日)を必ずチェックしたい。登録日(届出日)が、購入時から半年以上経過した車両は注意が必要である。長い期間店頭に並び続けると、新車コンディションとは言いにくくなるからだ。
例えば、お店に行った日が2023年5月だと仮定し、車両の登録日(届出日)が、2022年10月だとする。すでに登録(届出)から7ヵ月が経過したことになる。つまり、7ヵ月間、店頭に並び続けたことになる。さらにデメリットとして、購入から1回目の車検までの期間が短くなる。出来れば、登録(届出)日から3~4ヵ月くらいまでの車両を選びたい。
また、未使用車でも残価設定ローンが可能なお店がお勧めだ。月々の支払金額を抑えることができる。残価設定ローンを使う場合、必ず残価の確認をして、なるべく金利が低く残価が高いローンを選ぶとよい。