日産ルークス新旧比較レビュー!

日産ルークスの新旧比較レビュー。
日産が企画、三菱が開発・生産を担当した2代目デイズ ルークス。
デイズをベースにスーパーハイト系に仕上げ、好調な販売を記録した。
一方、日産が企画・開発、三菱が生産を担当した3代目ルークスは、安全装備や乗り心地も大幅に進化。
あらゆる面で優れた仕上がりとなっている。
今回はこの2代目と3代目を、内装・外装、安全装備面で比較評価する。

この記事の目次 CONTENTS
日産ルークスの歴史・概要
コンセプト&外装デザイン
安全装備
内装
走り、メカニズム
おすすめは3代目?それとも2代目?
新車値引き交渉のポイント
日産ルークスの価格・スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

日産ルークスの歴史・概要

日産ルークスの歴史は複雑だ。
初代ルークスは、スズキからOEM供給されたパレットで、2009年に登場した。
この後2014年に、デイズ ルークスに車名を変更。
そして、現行モデルは2020年3月に発売が開始された。
このモデルから、デイズ ルークスからデイズの名が外され、ルークスに戻っている。
そのため、ルークスとしては2代目、デイズ ルークスを含むと3代目となる。
今回は、現行のルークスを3代目、デイズ ルークスを2代目と表現する。

2014年に登場した2代目にあたるデイズ ルークスは、日産にとって大きなチャレンジとなった。
日産と三菱の軽自動車に関する合弁会社、NMKVによるモデルだからだ。
主に日産が企画、三菱が開発・生産を担当している。
開発・生産を三菱が担当していることもあり、三菱色の強い仕上がりとなったこのモデル。
先に発売されていたデイズをベースにスーパーハイト系に仕上げ、販売面は好調となった。
ルークスは、日産・三菱に大きなメリットをもたらした。

2代目デイズ ルークス

しかし2016年に三菱の燃費偽装が発覚すると、一時期、販売が中止された。
販売再開後は、少々厳しい販売状況が続いたが、しばらくすると燃費偽装発覚前の販売台数に戻った。

そして、3代目ルークスは2020年3月に発売を開始。
先代デイズ ルークスとは異なり、日産が企画・開発を担当、三菱が生産を行った。

3代目ルークス

日産では、初の軽自動車開発。
かなり力の入ったモデルとなっており、同一車線内を維持し先行車に追従走行をする運転支援機能「プロパイロット」が用意されるなど、充実した装備を誇る仕上がりとなった。

コンセプト&外装デザイン

大きく見えるデザインと高い質感の3代目。躍動感と広さを感じる2代目

家族向けに、広い室内、便利で快適な使い勝手、誰もが楽しい移動空間、そして安全性を考え抜いてデザインされた3代目。
外観デザインは基準車の他に、他社のカスタムにあたるハイウェイスターが用意されている。

基準車のデザインは、スッキリとした上品さが魅力。
ツリ目のヘッドライトにより、精悍さを出している。

3代目のフロントフェイス

ハイウェイスターは、日産のデザインアイコンでもあるVモーショングリルを採用。
太めのフレームとすることで、力強さを演出した。
この他、基準車をベースに質感を高めたカスタマイズモデル、オーテックも用意されている。
どれも、洗練されたデザインだ。

対する2代目も、基準車とハイウェイスターの2タイプがある。
2代目のデザインは、室内の広さが感じられるように、グラスラウンドキャビンを採用。
ドア下部からリヤフェンダー、そしてバンパーに流れるようにつながるキャラクターラインが、ボディに厚みを与えている。

2代目のフロントフェイス

スーパーハイト系は背が高く幅が狭い。そのため、非常に不安定に見える。
しかしボディに厚みを与えたことで、安定感あるシルエットに仕上げている。
デザインについては、2代目の中でも特に後期のモデルは、3代目と比べてもそれほど古臭く見えない。

安全装備

安全装備は比べ物にならないほど進化した3代目

安全装備の進化は、日進月歩。
それゆえに、3代目は2代目に対して、比べ物にならないくらい進化した。

デビュー時、2代目の安全装備は非常に物足りないものだった。
自動ブレーキは無く、今では装着が義務化されている、横滑り防止装置も標準装備されていなかったのだ。
その後、対車両のみの簡易型自動ブレーキの装備から始まり、2018年の改良では歩行者検知式自動ブレーキが装備されるようになった。
この改良以降は、一定の安全性能を得ている。
2代目は、年式によって安全装備が大きく異なることがあるので、中古車購入時には必ずチェックする必要がある。

一方、3代目は、歩行者検知式自動ブレーキや踏み間違い衝突防止アシスト、車線逸脱防止支援システム、サイド&カーテンエアバッグなどが全車標準装備化されているので安心だ。
さらに一部グレードには、事故発生時にエアバッグ展開と連動し自動通報、専門のオペレーターが警察や消防への連携をサポートするSOSコールを装備している。
軽自動車の枠を超えた安全装備が用意されているのだ。

内装

2代目の広い室内空間を、さらに広大に進化させた3代目

2代目の室内は広大なものだった。
しかし、3代目はプラットフォーム(車台)を一新。
ホイールベースは2,495mmで、2代目より65mmも長くなった。
ホイールベースの長さは、室内スペースの広さに直結する。
そのため、3代目は2代目よりも、さらに余裕ある室内空間となった。

2代目の後席
3代目の後席

また、インテリアの質感も3代目は大幅に向上。
軽自動車を超えたレベルになっている。
2代目との差は、非常に大きい。
ただ、装備や質感が向上した分、車両価格も大幅にアップしている。

2代目のインパネデザイン
3代目のインパネデザイン

走り、メカニズム

静粛性と操縦安定性に優れ、クラストップレベルの乗り心地を誇る3代目

2代目、3代目ともに660㏄の直3エンジンであることには変わりはない。
しかし、開発が三菱から日産に変わったことで、3代目のエンジンは日産開発のエンジンとなっている。

2代目の出力は49ps&59Nmで、燃費は22.0km/L(JC08モード)。
ターボは64ps&98Nmで、燃費は22.2km/L。
一方、BR06型と呼ばれる3代目のエンジンは、52ps&60Nmを発揮、燃費は27.2km/L(JC08モード)だ。
ターボエンジンは64ps&100Nmで、燃費は22.6km/L。
それぞれ、このエンジンに小さなモーターがプラスされる。
また3代目は、全車マイルドハイブリッド仕様だ。

2代目のエンジン
3代目のエンジン

出力は2代目より、3代目が若干パワーアップしており、モーターの出力が加わっていることもあって、2代目よりパワフルに感じる。

しかし何より大きな差になっているのは、静粛性と操縦安定性だ。

3代目はマイルドハイブリッドなので、アイドリングストップ時からの再始動が非常に静か。
キュルキュルというセルモーターの音と、エンジン始動時の振動がほとんど感じられない。
アイドリングストップは幾度も繰り返されるので、この静粛性の差は大きい。
また、走行時の静粛性も3代目が圧倒的に優れている。

操縦安定性も、もはや比べ物にならないほどの差となっている。
2代目は、心地よさを重視したやや柔らかめな乗り心地だった。
しかしその割には路面の凹凸を吸収しきれず、常にグラグラと揺れていた。
カーブでは車体は大きく傾き、やや安定感に欠けていた。
しかし3代目は、やや硬めだが意外なほど乗り心地がよい。
路面の凹凸も、しなやかにいなす。
カーブでは、クルマの傾きを見事に抑え、安定した姿勢で走行できる。

2代目の運転席
3代目の運転席

このように2代目は、すべての面で3代目に劣るといった状態だ。
2代目は設計が古いため、仕方ない。
まして、3代目はこのクラスでも最新のモデルで、クラストップレベルの実力をもつ。

おすすめは3代目?それとも2代目?

予算が十分なら3代目

当然ながら、3代目は最新の新型車なので、すべての面で2代目を上回る。
これは、仕方のないことだ。しかもルークスの場合、3代目の進化の幅が大きい。
予算が十分なら、3代目を買った方が満足度は圧倒的に高い。

予算重視なら2代目

予算重視なら2代目という選択肢も悪くはない。デザイン的には古臭さを感じない。
おすすめは2018年5月の改良以降のモデルだ。
このモデルから、歩行者検知式自動ブレーキが装備されているからだ。

また、2代目の購入を検討するなら、登録済未使用車※もおすすめだ。
登録済未使用車とは、メーカーやディーラーの都合で買い手がいないのに届出(登録)してしまった車両で
一度、届出(登録)してしまうと中古車扱いになるが、ほとんど新車コンディションだ。
2代目はモデル末期時に大量の登録済未使用車を生み出しており、まだ大量に売れ残っている。
ハイウェイスターの中古車価格のボリュームゾーンは120~150万円くらいだ。
3代目のハイウェイスター新車価格が約170~190万円なので50万円くらい安く買える。

ただ、悩みどころは、この「50万円安く買える」という価値だ。
個人的には、多少無理してでも3代目をおすすめしたい。
性能差は、50万円をはるかに超えるものとなっているからだ。
軽自動車はリセールバリューが高いので、残価設定ローンや個人リースなどを使って購入するのもよい。

※初度登録された車両で、かつ使用または運行に供されていない中古車

新車値引き交渉のポイント

買い手有利なマーケット状況。新型車でも値引き対応中!

一般的に、新型車はデビューしてからしばらくの間は、値引きゼロが基本となる。
ところが現在は、新型コロナウイルスの影響で、クルマが売れない。
まして軽自動車は、さらに売れない状況になっている。
数少ない顧客を奪い合っているので、買い手が非常に有利な状態だ。
クルマの購入を考えているのなら、大幅値引きが狙える今が買い時といえる。

しかし、いくら買い手有利とはいえ、単純に商談していても、大幅値引きは期待できない。

しっかりとライバル車と競合させることが重要だ。
ルークスの場合、ライバル車はホンダN-BOXやダイハツ タント、スズキ スペーシアになる。
ルークスの商談前に、こうしたライバル車の見積りを2台分くらい取っておくことと良い。

初商談時には、「事前に見積りをとってあるライバル車が本命。ルークスは通りがかりに寄ってみた」くらいの雰囲気で商談を始めると良いだろう。
ルークスが本命であると、悟られてはいけない。
一定の説明を受けた状態で「ルークスもありかなぁ」とつぶやくと効果的だ。
営業マンは、「ライバル車から顧客を奪える」と思い、臨戦態勢になる。
そこで「予算がなぁ」とつぶやき、軽く値引きを要求してみよう。
営業マンによっては「どれくらいの値引きをご希望ですか?」と探りをいれてくるので、こちらの考えを悟られないように大きく「100万円くらい」などと答えるとよい。
そうすると「御冗談を…、そんな値引きは…」とくるので、「できる限りの値引きをお願いします」と答える。
その後、出てきた見積りを見て、多くを語らず「こんなもんなんだ…」と言って、一度家に帰る。
追って、営業マンから電話がかかってくるので「もう少しお願いします」と、さらに値引きを要求。
これを何度か繰り返すと、徐々に値引き額がアップするだろう。

また、まったく逆のやり方として、値引きの逆指定という技がある。
これは、「30万円値引きしてくれたら、今、注文書にサインする」というやり方だ。
事前に値引き可能な上限を調べておくことと、駆け引き上手な人におすすめ。
「今、購入を決めるので、この値引きでOKか責任者に確認してください」とプッシュしたい。
営業マンは「今、買う」という言葉に弱いからだ。

日産ルークスの価格・スペック

2WD(前輪駆動)価格

 
  • S 1,415,700円
  • X 1,546,600円
  • ハイウェイスター X 1,734,700円
  • ハイウェイスター Xプロパイロットエディション 1,843,600円
  • ハイウェイスター G ターボプロパイロットエディション 1,932,700円

4WD価格

 
  • S 1,549,900円
  • X 1,680,800円
  • ハイウェイスター X 1,868,900円
  • ハイウェイスター Xプロパイロットエディション 1,977,800円
  • ハイウェイスター G ターボプロパイロットエディション 2,066,900円
代表グレード ハイウェイスター G ターボ
プロパイロットエディション
全長/全幅/全高 3395/1475/1780 mm
ホイールベース 2495 mm
車両重量 1000 kg
最小回転半径 4.8 m
燃料消費率 JC08モード 22.6㎞/L / WLTCモード  18.8㎞/L
エンジン型式 BR06
総排気量 659cc
最高出力 (kW[PS]/rpm) 47[64]/5600
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 100[10.2]/2400-4000
モーター型式 SM21
最高出力 (kW[PS]/rpm) 2.0[2.7]/1200
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 40[4.1]/100
動力用主電池 種類 リチウムイオン電池
ミッション CVT
タイヤ 165/55R15