国産セダン

安全なクルマ ランキング2021

安全な国産セダンを選ぶポイント

国産セダンの価格は、レクサスLSのように1000万円をオーバーするモデルから200万円前後のものまで様々だ。当然、価格が高くなるほど予防安全装備の質は高くなる。
ただ、国内のセダンマーケットは低迷している。セダンが売れない状況が続いているためか、一部のモデルを除き予防安全装備のレベルはなかなか上がらない。レクサスLSの予防安全装備に近い機能をもつコンパクトカーやミニバン、SUVが登場しているほどだ。高級セダンだからといって、すべてのモデルが高い予防安全性能を持っている訳ではないので注意が必要である。しっかり確認してから購入する必要がある。

その一方で、ホンダはレジェンドに世界初となる自動運転レベル3を達成した「ホンダセンシング・エリート」を装備していた。(現在は販売終了)
このように突如として圧倒的に優れた予防安全装備を得たセダンもある。混沌としたカテゴリーともいえる。

BEST.1

レクサスLS

レクサス LS

レクサスLSは、2020年に行われたマイナーチェンジによって予防安全装備が飛躍的に向上している。予防安全装備パッケージは「レクサスセーフティシステム+A」となり、全車標準装備されている。

トヨタとレクサスの予防安全装備は、主に単眼カメラ+ミリ波レーダーの組み合わせがメインだ。しかし、 LSはフラッグシップモデルであるため、より高い性能を目指しステレオカメラ+ミリ波レーダーが組み合わされている。
このシステムによって、自動ブレーキは歩行者、自転車を検知し衝突回避・被害軽減する。さらに、交差点内右左折時の歩行者や右折時の対向車にも対応した。交差点内で頻繁に起きる事故パターンに対応することで、より安全性の高いセダンとなった。
また、この自動ブレーキはアクティブ操舵回避支援も行う。たとえばクルマがガードレールに向かっている場合、衝突を避けるようにステアリング操作を支援してくれる。歩行者との衝突が避けられないシーンでは、自車線内に回避スペースがあるとシステムが判断した場合に回避スペース方向へステアリング操作を支援してくれる。

2021年、システムがアップデートされ、自動運転レベル2相当となる運転支援機能アドバンストドライブが設定された。この機能は、自動運転にかなり近い機能をもつ。自動車専用道路での運転において、ドライバー監視下において車線・車間維持、分岐、レーンチェンジ、追い越しなどを自動で行ってくれる。しかも、部分的にハンズオフが可能だ。高速道路での移動が多い人にとっては、かなり疲労軽減が期待できる。安全性も高まり、より安心してクルマに乗れるだろう。

さらに、走行中にドライバーが意識を失った際のクルマの暴走を抑制する機能もついている。高速道路上で車線維持走行をするレーントレーシングアシスト(LTA)制御中、ドライバーが無操作状態を継続している場合、緩減速しつつ音と表示で警告し、ドライバーに操作を促す。ドライバーが操作不可能とシステムが判断すると、ハザードとホーンで車外に異常を報知しながら自車線内に減速停車する。停車後は、ドア解錠やヘルプネット自動接続による救命要請も行ってくれる。高齢化が進む日本において、非常に大きなメリットになる予防安全装備だ。

BEST.2

トヨタMIRAI(ミライ)

トヨタ MIRAI(ミライ)

トヨタ ミライは、2020年末にフルモデルチェンジし2代目となった。ミライは、水素を燃料として電力を発生させモーターで走行する燃料電池車(FCV)だ。
このミライの予防安全装備であるトヨタセーフティセンスは、単眼カメラ+ミリ波レーダーの組み合わせである。多くのトヨタ車やレクサス車と同じハードウェアを使用している。

自動ブレーキの機能は、昼夜の歩行者と昼間の自転車に対応している。さらに、交差点内での右左折時の歩行者、右折時の対向車も対応可能だ。交差点内は事故が多いので、こうした機能は非常にメリットがある。
トヨタの予防安全装備は、多くのモデルが交差点事故対応のトヨタセーフティセンスを標準装備化している。他車を一歩リードしている美点だ。

さらにミライは、車線変更時に後側方から接近する車両を検知する。接触の可能性がある場合に警報を発する後側方車両接近警報(ブラインドスポットモニター)や、踏み間違え防止機能などもほぼ標準装備化されているので、どのグレードでも安全性の高いクルマになっている。他のトヨタ車は、こうした機能がオプションの場合が多い。

そして、ミライの大きなポイントとなるのは、半自動運転的な運転支援機能である「アドバンストドライブ」だ。ナビで目的地を設定すると、高速道路上ではハンズオフ状態走行も可能だ。車線変更や分岐なども、ほぼ自動で行ってくれる。(ドライバーの監視が必要。)
最初はやや不安な気持ちになるが、使い慣れてくると、むしろ運転な下手なドライバーより運転も上手く信頼できるようになり、結果的にドライバーの大幅な疲労軽減が可能となっている。

BEST.3

レクサスIS/ES 
トヨタクラウン/カムリ

レクサス IS/ES トヨタ クラウン/カムリ

レクサスISとES、そしてトヨタ クラウンとカムリは、ほぼ同等レベルの予防安全装備である「レクサスセーフティシステム+」、「トヨタセーフティセンス」が標準装備化されている。

レクサスセーフティシステム+とトヨタセーフティセンスは、従来通り単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせだ。自動ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車に対応している。さらに、交差点右折時に前方から来る対向直進車や、右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能になった。よくある事故パターンに対応することで、より安全性の高いクルマに進化している。
さらに、緊急時操舵支援機能も装備している。これは歩行者、自転車運転者、車両と衝突する可能性がある場合に作動する。自車線内に回避するための十分なスペースがあるとシステムが判断した場合、ドライバーの回避操舵を支援し、衝突の回避や車線逸脱抑制を行ってくれる。

そして、高齢ドライバーにとって頼りになるのが、ドライバー異常時対応システムだ。高速道路上で車線維持機能が作動中、ドライバーが病気などで無操作状態が継続した場合にシステムが作動する。音と表示と緩減速による警告で、ドライバーに操作を促し続けながら、ハザードとホーンで車外に異常な状態であることをアピールしてくれる。ゆっくりと自車線内に減速停車し、自損加害事故の回避や事故被害低減を支援する。停車後には、ドアの解錠はもちろん、ヘルプネットに自動で接続する。救急車や警察への手配も自動で代行し、早期のドライバー救命・救護を支援する機能だ。

レクサスISでは、その他の予防安全装備がほぼ標準装備化されているので、どのグレードも高いレベルの予防安全性能を誇る。
ただしESに関しては、ややオプション設定が多い。パーキングサポートブレーキが、一部グレードを除きオプションなので、注意が必要だ。

少々残念なのはパノラミックビューモニターが、ほぼオプションとなっている点だ。カメラ映像を加工し、俯瞰から見た映像に置き換え死角を無くしてくれる機能である。軽自動車にも標準装備したモデルがあるくらいなので、高級車セダンには標準装備化してほしいものだ。

BEST.4

日産スカイラインハイブリッド

日産 スカイラインハイブリッド

日産スカイラインハイブリッドの自動ブレーキは、昼間の歩行者のみ検知する。夜間の歩行者や自転車には非対応なので、他の高級セダンと比べるとやや物足りない仕様になっている。
だがインテリジェント FCW(前方衝突予測警報)を装備している点はユニークだ。2台前を走る車両を監視し、前方の状況の変化を検知するとドライバーの注意を喚起してくれる。ブレーキの踏み遅れによる玉突き事故回避を支援する機能だ。

スカイラインハイブリッドの美点は、インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)が標準装備化されていることである。他車の多くは、オプション設定になっている。
この機能は、車両に装着されたカメラの映像を加工し、車両を俯瞰から見た映像に変換し死角を減らしてくれる機能だ。死角にある人や障害物へのうっかり衝突リスクを低減してくれる。
さらに、車両に近づく歩行者など移動物も検知する。今まではモニターだけを頼りに運転するドライバーが多く、モニター外から入ってくる移動物に気付かないで衝突するケースもあった。こうしたリスクさえも軽減し、より安全にクルマを動かすことができる。

その他、後側方車両接近警報・衝突防止支援や後側方車両接近警報など、360°で衝突を回避する予防安全装備を標準装備化している。とくにオプション選択する必要がなく、すべての安全装備が標準装備化されている点は高評価できるポイントだ。

さらなるスカイラインハイブリッドの魅力は、自動運転に近いレベルの運転支援機能にある。ナビに目的地を設定後、高速道路上をハンズオフで走行することが可能だ。ドライバーの監視下で一定の条件を満たすことが条件である。一部、渋滞時のみハンズオフが可能なモデルがあるが、スカイラインハイブリッドでは通常走行でもハンズオフができる。車線変更時もステアリングに手を添えるだけで、ほぼ自動で車線変更するなど自動運転に近いドライブが楽しめる。
ハンズオフできるメリットは、ドライバーの疲労軽減だ。実際にこの機能で高速道路を走ると、驚くほど疲労が軽減されリラックスして移動が可能になる。運転制御も普通のドライバー以上で、不快な動きはない。安全に、そしてリラックスしてロングツーリングしたい人にピッタリの機能だ。

BEST.5

ホンダアコード

ホンダ アコード

ホンダ アコードには、10の機能をもつ予防安全装備「ホンダセンシング」が全車標準装備されている。メインの自動ブレーキは、歩行者と自転車に対応している。自動ブレーキの機能としては、平均レベルだ。トヨタのように、右左折時の歩行者や右折時の対向車などには対応していないので、高級車としてはやや物足りない。高級車らしい先進予防安全装備が欲しいところだ。

その他、ドライバー異常対応システムなどの機能も無い。トヨタ系の予防安全装備と比べると、少々見劣りしてしまう。だが、後側方車両接近警報(ブラインドスポットインフォメーション)は全車標準装備だ。車線変更時などに後側方から接近する車両を検知し、接触の危険がある場合、警報を発してくれる。日々の運転で使う機能なので、標準装備化は評価できる。

まとめ

他のカテゴリーと同様に、国産高級セダンでもトヨタの「トヨタセーフティセンス」と「レクサスセーフティ+」が完全に他社をリードしている。交差点内の衝突リスクを軽減できる自動ブレーキは、大きなアドバンテージだ。オプションの機能も選択すれば、最も安全なクルマといえる予防安全装備になる。他メーカーは、更なる機能進化が必要だ。

このクラスは高級車カテゴリーなので、トヨタの「アドバンストドライブ」や日産の「プロパイロット2.0」といった高度な運転支援機能にも注目したい。自動運転時代を感じさせる機能で、ドライバーの監視のもと高速道路上ではハンズオフが可能になっている。普通のドライバーが運転するより上手に車線変更したり、カーブも自然に走り抜けたりする。直接安全とは関係ないかもしれないが、疲労軽減は安全運転にも間接的に大きなメリットになる。

安全装備比較表

  • …全車標準装備
  • …一部標準装備または一部オプション
  • ×…標準装備なし
レクサスLS トヨタMIRAI レクサスIS/ES トヨタクラウン トヨタカムリ 日産スカイラインハイブリッド ホンダアコード
対車両自動ブレーキ

歩行者検知式自動ブレーキ

ブレーキ踏み間違い衝突防止アシスト

一部グレード
オプション

サイドエアバック

カーテンエアバッグ

車線逸脱警報

車線維持支援

後側方車両検知警報

一部グレード
オプション設定

一部グレード
オプション設定

一部グレード
オプション設定

後退時後方車両接近警報

一部グレード
オプション設定

一部グレード
オプション設定

一部グレード
装着不可

オートマチックハイビーム

一部グレード
装着不可

※安全装備の詳細は各車メーカー公式サイトをご確認ください。

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