軽自動車

2022年 安全な車ランキング【軽自動車編】

安全な軽自動車を選ぶポイント

いままで、軽自動車に対する自動車メーカーの考え方は、「価格が重要。自動ブレーキなどの予防安全装備を充実させても高価になるだけで売れない」としてきた経緯がある。
ところが近年、高齢者事故が目立つようになってきた。今や自動ブレーキや踏み間違え防止機能がないと、売れないマーケットとなっている。さらに自動ブレーキが義務化され、一部の車種・グレードを除きほとんどの車種で標準装備化されている。
しかし、価格偏重の考え方はまだ強く残っている。装備の機能面が抑制され、1クラス上のコンパクトカーレベルに届いていないモデルが多い。

自動ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車検知機能くらいは欲しいところだ。だが、まだそこまで到達しているモデルは少ない。対するコンパクトカーは、右左折時の歩行者や右折時の対向車も検知できるレベルになっている。
衝突安全の法規制が変更され、新型車の多くはサイド&カーテンエアバッグ、さらに車種によってはニーエアバッグも標準装備されている。デビューがやや古いモデルになると、エアバッグ類が未装着な場合がほとんどなので、必ずチェックした方が良い。軽自動車は小さく軽いクルマなので、衝突すれば大きなダメージを負いやすいからだ。

BEST.1

ホンダN-WGN/N-ONE

ホンダ N-WGN/N-ONE

ホンダN-WGNとN-ONEの予防安全装備は同等レベルにあり、両車ナンバー1の実力を誇る。ホンダの予防安全装備である「ホンダセンシング」は、10の機能を集約しパッケージ化されている。このホンダセンシングは、車種により若干機能が異なる。
他の自動車メーカーは、グレードによって機能を簡略化する傾向が強い。しかし、ホンダは全グレード標準装備が基本だ。そのため、安価なグレードでも最上級グレード並みの安全性能を誇っている。すべてのグレードに同じ安全性能が与えられているので、どのグレードでも安心して乗れる。

たとえば、全車速前走車追従式クルーズコントロールは、他メーカーだとオプション設定や装備無しになるケースが多い機能だ。だがホンダセンシングには含まれているので全車に標準装備されている。

設計がやや古いN-BOXとの差は、サイド&カーテンエアバッグも全車標準装備化されている点だ。N-BOXは、一部グレードで装備不可、もしくはオプションとなるため、N-WGNとN-ONEを1位とした。

自動ブレーキは、このクラスでは高機能な昼夜の歩行者と昼間の自転車に対応する。もちろん、誤発進抑制や車線維持支援機能もあるので安心だ。また、N-ONEにはMT車が設定されている。MT車であっても、先行車追従式クルーズコントロールと車線維持支援機能が装備されている。これは、MTの軽自動車初となる装備だ。

BEST.2

ホンダN-BOX

ホンダ N-BOX

ホンダN-BOXはサイド&カーテンエアバッグが標準装備化されればナンバー1の実力であろう。
N-BOXも、N-WGNやN-ONEと同じ予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」を標準装備化している。そのため、どのグレードを買っても安心できる。
ただ、N-BOXは2017年に登場しており、1位の2台と比べると設計がやや古い。当時、まだ衝突安全の法規制前であったため、サイド&カーテンエアバッグがオプションもしくは一部グレードでは装備不可になったままになっている。全車標準装備化されているN-WGNとN-ONEと比べると、安全面では若干劣る。

メインの歩行者検知式自動ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車に対応している。軽乗車で、自転車にも対応している自動ブレーキをもつのは、N-BOXの他にはN-ONEとN-WGNだけだ。自動ブレーキの検知機能において、ホンダセンシングはライバル車をややリードしている。

N-BOXのホンダセンシングには、全車速前走車追従式クルーズコントロールが装備されている。だが渋滞時のストップ&ゴーに対応してはいなかった。
しかし、2021年末の改良オートブレーキホールド付電子制御パーキングブレーキが装備されたことで、渋滞時対応のクルーズコントロールとなった。そのため、高速道路での渋滞時における疲労軽減が可能となっている。

BEST.3

日産デイズ/ルークス

日産 デイズ/ルークス

日産デイズとルークスは、両車共に共通のプラットフォーム(車台)を使ったモデルだ。デイズはハイト系、ルークスはスーパーハイト系に属する軽自動車である。そのため予防安全装備は、ほぼ共通である。

自動ブレーキは、昼間の歩行者に対応している。夜間の歩行者に対応していないのは、やや残念な部分だ。
ただ、その他の機能は充実している。ユニークな機能として、インテリジェントFCW(前⽅衝突予測警報)がある。この機能は玉突き衝突などのリスクを軽減してくれる。2台前を⾛る車両の車間・相対速度をミリ波レーダーでモニタリングし、自車からは見えない車両の急減速を検知し警報を発する機能だ。

また、以下の機能も標準装備化されている。

  • インテリジェント LI(車線逸脱防止支援システム)
  • LDW(車線逸脱警報)
  • 誤発進抑制機能

さらに運転支援機能では、軽では初となるプロパイロットを一部グレードに標準装備した。プロパイロットは、高速道路で使用できる全車速前走車追従式クルーズコントロールに、車線維持機能をプラスしたものだ。渋滞時も簡単な操作で再発進が可能であるため、渋滞によるドライバーの疲労を大幅に軽減してくれる。とくに、高速道路を頻繁に使う人には必須ともいえる。

加えて、もしもの時に役に立つSOSコールを多くのグレードに標準装備している。SOSコールは、エアバッグが開くような衝突事故が発生した場合、システムが自動で専門オペレーターに通報する機能だ。専門オペレーターは、事故の状況を確認後、ドライバーの意識が無い場合でも救急車の手配や警察に通報する。
デイズでSとXグレードがオプション。ルークスは、Sグレードに装備不可、Xグレードではオプションとなる。

エアバッグ類も充実している。サイド&カーテンエアバッグは標準装備だ。さらにデイズ、ルークス共にSとXグレード以外には、ニーエアバッグが標準装備されている。

アラウンドビューモニターという、死角に潜む障害物などをひと目で確認できる機能も用意されている。これは車両に取り付けられたカメラの映像を俯瞰で見た映像に加工する機能だ。死角を無くし、障害物がひと目で分かるため、衝突リスクを軽減してくれる。加えて移動物検知式機能は、人や自転車など周囲に動くものがいる場合、表示とブザーで警報を発してくれるのだ。
アラウンドビューモニターは、とても便利で安全性が増す。オプション設定のグレードは、必ず選択したい装備だ。

デイズ&ルークスは、三菱との共同開発車であるため、三菱eKワゴン、eKスペース系と姉妹車関係になる。そのため、予防安全装備などの呼称は異なるものの同じ機能になる。ただ、eK系にはSOSコールの設定がないため、デイズやルークスと比べると予防安全性能面ではやや物足りなく感じる。

BEST.4

ダイハツタフト

ダイハツ タフト

ダイハツ タフトとタントには、予防安全装備パッケージである「スマートアシスト」が用意されている。タフトとタントの機能差はほぼ無いが、タントは一部スマートアシスト非装着モデルがあり少々物足りない仕様となっている。自動ブレーキ義務化前のモデルなので仕方がない部分だ。タフトはスマートアシストが全車標準装備なので、どのグレードを買っても安心できる。

タフトの自動ブレーキは、昼夜の歩行者に対応するが、自転車には非対応だ。その他、車種によっては警報だけというモデルもあるが、タフトは車線逸脱抑制機能も標準装備されているのでより安全性が高い。衝突安全装備であるサイド&カーテンエアバッグも全車標準装備されている。

運転支援機能では、全車速前走車追従機能付クルーズコントロール(アダプティブクルーズコントロール)と車線維持機能(レーンキープコントロール)をセットで用意している。Gターボには標準装備だが、Gではオプション、X系では装備不可だ。

また、車両周囲のカメラ映像を加工し360°の映像に変換し死角を無くし、ひと目で障害物が分かるようにしたパノラマモニターは全車オプションとなっている。

BEST.5

スズキハスラー

スズキ ハスラー

スズキ ハスラーは、人気のSUV系軽自動車だ。スズキの予防安全装備パッケージ「スズキセーフティサポート」の中でも、新しい世代が装備されている。

自動ブレーキは、昼夜の歩行者に対応するものの、自転車には対応していない。平均レベルの機能だ。ハスラーは自動ブレーキ義務化前のモデルだが、未だ1グレードのみスズキセーフティサポート非装着車がある。このグレードは安価だが、買うのは避けたほうが良い。
また、ハスラーはグレードにより予防安全装備と運転支援機能に差がある。XターボとGターボに標準装備されているのは、車線逸脱抑制機能と全車速前走車追従式クルーズコントロールだ。このレベルで、ホンダNシリーズ系とほぼ同等といえる。しかし、他のグレードには設定されておらず、オプション選択もできない。高速道路を走らないなら、クルーズコントロールは不要かもしれない。しかし、せめて車線逸脱抑制機能くらいは標準装備化してほしい。

全方位モニターは全車オプション設定だ。クルマの周辺360°を俯瞰から見た映像にして死角を無くしてくれる機能である。
また、狭い道での走行で役立つのが「左右確認サポート機能」だ。見通しの悪い場所で、人などが近づいてくると警報を発してくれるので死角の多い狭い路地での衝突リスクを軽減している。
衝突安全装備は、サイド&カーテンエアバッグが全車標準装備化だが、ニーエアバッグの設定はない。また、デイズやルークスなどに用意されている、事故時などに自動通報してくれるSOSコールもないのが少々残念だ。

まとめ

1クラス上のコンパクトカーは、トヨタ車が右左折時の歩行者や右折時の対向車との衝突回避・被害軽減が可能な予防安全装備を得ている。だが、軽自動車は予防安全装備の機能が遅れている。軽自動車の自動ブレーキにおける平均レベルは、昼夜の歩行者検知に留まっている。

また、未だ軽自動車は価格重視である。安価にすることが優先され、グレードにより装備の差がある点も残念だ。どのクルマも同じ公道を走るのだから、本来同じ機能の安全装備が欲しいところである。

全車標準装備化や予防安全装備の機能面で、軽自動車ナンバー1の実力を誇るのがホンダの「ホンダセンシング」だ。昼夜の歩行者だけでなく、自転車対応の自動ブレーキも装備されている。しかも、渋滞対応の全車速追従式クルーズコントロールや車線維持機能も全車標準装備だ。どのグレードを選択しても安全な軽自動車といえる。

日産デイズ&ルークスに用意されたSOSコールは、もしもの時に頼りになる機能だ。さらに、日常的に使う機能としてアラウンドビューモニターは、移動物まで検知できる。オプションながら必ず装備したい予防安全装備の機能だ。

ホンダN-WGN、N-BOX、N-ONE以外は、車種やグレードにより機能が異なるケースがほとんどだ。自身が必要と感じる装備が装着されているか、しっかりと確認してから購入する必要がある。

安全装備比較表

  • …全車標準装備
  • …一部標準装備または一部オプション
  • ×…標準装備なし
ホンダN-WGN/N-ONE ホンダN-BOX 日産デイズ/ルークス ダイハツタフト スズキハスラー
対車両自動ブレーキ

一部非装着
グレードあり
歩行者検知式自動ブレーキ

一部非装着
グレードあり
ブレーキ踏み間違い衝突防止アシスト

一部非装着
グレードあり
サイドエアバック

一部グレード
オプション

カーテンエアバッグ

一部グレード
オプション

車線逸脱警報

一部非装着
グレードあり
車線維持支援

一部グレード
オプション

一部非装着
グレードあり
後側方車両検知警報

×

×

×

×

×

後退時後方車両接近警報

×

×

×

×

×

オートマチックハイビーム

一部非装着
グレードあり

一部非装着
グレードあり

※安全装備の詳細は各車メーカー公式サイトをご確認ください。

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