ミニバン ハイブリッドおすすめランキング-専門家が厳選【新車ベスト5】

目次

ミニバンハイブリッドの評価ポイント

ミニバンのランキングにおいて、最も重要視したのが予防安全装備である。家族を乗せるクルマでありながら、大きく重いクルマなので、大事故になるリスクもあるからだ。その上で、燃費性能や乗り心地を加味して評価した。
サイズが異なるモデルを入れての評価なので、室内の広さについてはあまり重要視していない。

2022年、Mクラスミニバンの大ヒットモデルが次々とフルモデルチェンジした。大ヒットモデルであるヴォクシー&ノアや、そして先代モデルは不振に終わり起死回生を狙ったステップワゴンなどが当てはまる。

ミニバンは人気カテゴリーだが、ほぼ国内専用車だ。車種はそれほど多くない。そのため、フルモデルチェンジした時期によって大きな差が付いたモデルもある。
典型的な例が日産セレナだ。2022年度中にはフルモデルチェンジする予定ではあるものの、現時点では少々不利なランキング結果になっている。

ミニバンハイブリッド おすすめランキング ベスト5

  • RANKING BEST 1 ミニバン ランキング ベスト1 トヨタ ヴォクシー&ノア

    トヨタ ヴォクシー&ノア

    国産車トップレベルの予防安全装備と運転支援機能で圧倒

    ヴォクシーとノアは、2022年1月のフルモデルチェンジで4世代目となった。このモデルは、3代目を大幅に超える進化を果たしている。
    特に進化したのが、予防安全装備パッケージ「トヨタ セーフティセンス」だ。フルモデルチェンジを経てライバル車を圧倒するレベルの機能となった。
    現在の平均的な自動ブレーキの検知レベルは、昼夜の歩行者と昼間の自転車だ。しかしヴォクシーとノアは昼夜の歩行者と自転車に加え、昼間の自動二輪まで検知する。さらに、右左折時の歩行者、右折時の対向車にも対応した。

    トヨタ セーフティセンスの中でも、自動運転時代を予感させる運転支援機能であり、予防安全装備でもあるのがPDA(プロアクティブドライビングアシスト)だ。
    こうした機能も含め、トヨタセーフティセンスのレベルは他社を圧倒する。クラスを超え国産車トップレベルの実力といえる。
    オプションの予防安全装備や運転支援機能を装着すれば、最も安全なミニバンと呼ぶにふさわしい。この安全性能だけでヴォクシー&ノアを買ってもいいと思えるくらいだ。

    燃費性能や運動性能もかなり高いレベルにあり、予防安全装備を含め総合力でも高いレベルにあるので1位とした。

    トヨタ ヴォクシーの口コミ・評価を見る トヨタ ノアの口コミ・評価を見る
  • RANKING BEST 2 ミニバン ランキング ベスト2 トヨタ シエンタ

    トヨタ シエンタ

    優れた予防安全装備とライバルを凌駕する低燃費性能

    3代目となるシエンタは、2022年8月に発売されたコンパクトミニバンだ。コンパクトなボディながら、3列シートを持つグレードもあり5~7人乗車を可能とした高効率パッケージを誇る。このクラスのライバル車は、ホンダ フリードしかない。

    シエンタを2位とした理由は、ヴォクシー&ノアと同じく、非常に高いレベルの予防安全装備パッケージである「トヨタセーフティセンス」と、優れた低燃費性能だ。実用車であるコンパクトミニバンにとって、安全と燃費は重要な評価ポイントとした。

    高性能な予防安全装備が標準装備化されており、しかも1.5Lハイブリッドシステムの燃費は、ライバルを圧倒する。燃料費の節約やカーボンニュートラル時代に貢献できる。

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  • RANKING BEST 3 ミニバン ランキング ベスト3 ホンダ ステップワゴン

    ホンダ ステップワゴン

    突出して優秀な部分はないものの総合力で評価

    ステップワゴンは、2022年5月にフルモデルチェンジし6代目となった。先代の販売で苦戦が続いたため、6代目はデザインを大幅に変更している。
    原点回帰ともいえるボックス型で塊感あるデザインと、シンプルで誰にでも似合うような自由なフォルムを表現した。人気の高い、迫力重視デザインのトヨタとは異なる方向に舵を切っている。
    また、13もの機能がある予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」を全車に標準装備している点は高評価だ。安全に直結する視界の良さや、パワフルながら低燃費なハイブリッドシステム「e:HEV」、国内ホンダ車史上最大の室内空間などを評価し3位とした。

    ホンダ ステップワゴンの口コミ・評価を見る
  • RANKING BEST 4 ミニバン ランキング ベスト4 日産 セレナ

    日産 セレナ

    モデルチェンジ間近だが、まだまだ戦える!?

    セレナのライバル車であるヴォクシーとノアやステップワゴンは、2022年にフルモデルチェンジした。対するセレナは2016年デビューで、完全にモデル末期であり、2022年度中にフルモデルチェンジを予定しているという。すでに、一部グレードのみの販売になっている。
    そのため、2022年デビューのヴォクシーとノアやステップワゴンと比べると、かなり不利だ。しかし、セレナもハイブリッドシステムであるe-POWERによって低燃費化している。さらに、予防安全装備である360°セーフティアシストや、広い室内など、顧客ニーズはしっかりと押さえている。
    Mクラスミニバン比較では厳しい部分もあるが、他のクラスのミニバンと比べると総合力では上回る部分も多いため4位とした。

    日産 セレナの口コミ・評価を見る
  • RANKING BEST 5 ミニバン ランキング ベスト5 トヨタ アルファード&ヴェルファイア

    トヨタ アルファード&ヴェルファイア

    ハード面の古さが目立ってきた

    本来ならば、Lクラスミニバンのアルファードとヴェルファイアは、もっと上位に入って当然のモデルである。だが、現行アルファードとヴェルファイアのデビューは2015年だ。すでに7年が経過しており、古さがかなり目立ってきている。

    予防安全装備やハイブリッドシステムの進化は早い。2015年デビューのアルファードとヴェルファイアでは、もう1クラス下のヴォクシーとノアにも敵わない状態だ。そのため、アルファードとヴェルファイアを5位とした。

    ボディサイズが大きいアルファード&ヴェルファイアは、車内の広さではMクラスミニバンを圧倒する。高級ミニバンなので、乗り心地もよい。

    トヨタ アルファードの口コミ・評価を見る トヨタ ヴェルファイアの口コミ・評価を見る

ミニバンハイブリッド おすすめ
5台を5項目で比較

ミニバンのおすすめ5台について価格、燃費、運転のしやすさ、乗り心地、使い勝手の5項目を比較評価した。ボディサイズが大きいため、気になるのは運転のしやすさや燃費が悪いかどうかだろう。また、3列シートの使い勝手も気になるところだ。ファミリーカーとして購入を検討している方は各比較項目を参考にして欲しい。

価格比較

トヨタ ヴォクシー&ノア

トヨタ ヴォクシー&ノア
大幅性能向上分を含めれば、意外とリーズナブル!?

ヴォクシーとノアの価格は以下の通りだ。

車種 エントリーグレード ハイエンドグレード
ヴォクシー S-G(FF)
3,440,000円
S-Z E-Four(4WD)
3,960,000円
ノア X(FF)
3,050,000円
S-Z E-Four(4WD)
3,890,000円

4代目ヴォクシーとノアは、フルモデルチェンジによって、3代目よりも大幅に価格がアップした。40万円ほど高価になっている。プラットフォームやパワーユニット、予防安全装備の大幅向上を考えると十分納得できる。

ライバル車と比較すると、新型になったステップワゴンも同等程度の価格帯になっている。ヴォクシーとノアだけが高価という訳ではない。そういう意味では、なかなかリーズナブルな価格設定と言える。

ノアのXは305万円とかなり安価な価格設定だ。しかしこのグレードは、かなり装備が簡素化されている。しかも、他のグレードでは選択できるオプション装備も選べない。Xグレードはあくまで価格訴求用として、選択肢から外した方がよいだろう。ノアの場合、Gグレード以上から選びたい。

トヨタ シエンタ

トヨタ シエンタ
安くはないが納得できる価格

シエンタの価格は以下の通りだ。

車種 エントリーグレード ハイエンドグレード
シエンタ X(FF、5人乗り)
2,380,000円
Z(4WD、7人乗り)
3,108,000円

シエンタの価格設定は、少々微妙だ。エントリーグレードのXは、2列シートの5人乗りであるからか、ライバル車のフリードよりかなり安価な価格設定になっている。
Xの一部安全装備はオプションだが、装備がシンプルでもよいというのであればコストパフォーマンスに優れたグレードと言える。

最上級グレードのZと、エントリーグレードXとの価格差は、7人乗りFF車で49万円となる。装備差を考えると、妥当だ。
お勧めはZグレードだ。中間グレードのGに必要なオプションをプラスしていくと、すぐにZグレードの価格に近くなるからである。
シエンタはライバル車よりやや高めの価格だが、燃費差や安全装備差も含めると、むしろシエンタのほうがコストパフォーマンスに優れる。

ホンダ ステップワゴン

ホンダ ステップワゴン
装備面ではステップワゴン有利だが、性能差まで含めると・・・

ステップワゴンの価格は以下の通りだ。

車種 エントリーグレード ハイエンドグレード
ステップワゴン 3,382,500円
(エアー、FF、7人乗り)
3,846,700円
(スパーダプラミアムライン、FF、7人乗り)

ステップワゴンの価格は若干ヴォクシーを下回り、さらにステップワゴンのほうが装備もやや充実している。
以下はヴォクシーではオプションだが、ステップワゴンでは1グレードを除き標準装備だ。

  • ブラインドスポットインフォメーション
  • パワーバックドア

しかし、ステップワゴンのプラットフォーム(車台)は、先代からのキャリーオーバーだ。対するヴォクシーは新開発のプラットフォームで、より高度な安全装備など持つ。

総合的には、ヴォクシーとノアの方がコストパフォーマンスに優れているように思える。

日産 セレナ

日産 セレナ
値引き次第では、一考の余地あり?

日産セレナの価格は、以下の通りだ。

車種 エントリーグレード ハイエンドグレード
セレナ 3,582,700円
(ハイウェイスターV、FF、7人乗り)
3,846,700円
(ハイウェイスターV防水シート車、FF、7人乗り)

セレナは、フルモデルチェンジが間近だ。2022年10月現在、ハイウェイスターV 1グレードのみを販売している。従来のハイウェイスターグレードの中で、中間に位置するグレードだ。

セレナは、ヴォクシーのS-Gと比べるとやや高価だが、最上級のS-Zと比べるとやや安価という価格設定だ。元々、セレナの価格設定は高めであることを踏まえると、もはやモデル末期のセレナは、燃費、走行性能などではライバル車と勝負にならない。性能差から考えるとかなり高価に感じるだろう。価格評価では、今のところMクラスミニバンで最も評価が低くなる。

ただ、モデル末期なので、大幅値引きが期待できるモデルでもある。ヴォクシー&ノアの見積りに対して、50万円以上セレナの見積りが安価になれば一考の余地がある。

トヨタ アルファード&ヴェルファイア

トヨタ アルファード&ヴェルファイア
寡占状態ゆえに、強気の価格設定

アルファードの価格は以下の通りだ。

車種 エントリー
グレード
ハイエンド
グレード
アルファード 4,656,000円
(X 4WD 7人乗り)
7,599,000円
(エグゼクティブラウンジ 4WD 7人乗り)

※ ヴェルファイアは、2022年9月末現在、特別仕様車のみの販売になっているため除外

アルファードのグレード間の価格差は、なんと300万円弱もある。
人気グレードは、専用エアロパーツが装着されたSR Cパッケージで、価格は5,720,000円だ。最上級グレードのエグゼクティブラウンジより安価とはいえ、ヴォクシーの最上級グレードと比べると約180万円も高価だ。
Lクラスミニバンのハイブリッド車は、トヨタが独占しているマーケット。やや強気の価格設定といえる。

燃費比較

トヨタ ヴォクシー&ノア

トヨタ ヴォクシー&ノア
クラストップの超低燃費性能が、さらにアップ!

ヴォクシーとノアの燃費値は以下の通りだ。(すべてFF、WLTCモード)

車種 燃費
ヴォクシー 23.0km/L
ノア 23.0~23.4km/L

ヴォクシーとノアはフルモデルチェンジでは、従来の1.8Lハイブリッドシステムを刷新した。小型化しつつ、モーターやバッテリーを高出力化。力強さをアップしながら、低燃費化を実現している。燃費を重視するのであれば、ヴォクシーとノアがベストな選択といえる。

トヨタのハイブリッドシステムは、多くのカテゴリーでトップレベルの燃費値を叩き出している。
例えば、Mクラスミニバンでライバル車となるステップワゴンの燃費は19.5~20.0km/Lだ。ステップワゴンは、ヴォクシーとノアより排気量が大きい2.0Lエンジンを搭載し、モーターもパワフルである。なので、単純な燃費比較では不利になるものの、大きな差となっているのは事実だ。

トヨタ シエンタ

トヨタ シエンタ
大差を付けた低燃費性能

シエンタの燃費は28.2~28.8km/L。(FF、WLTCモード)
シエンタの燃費は、とても優れている。ライバル車であるフリードの燃費20.9km/Lと比較すると、圧倒的な差だ。
大差の理由は、フリードが世代の古いハイブリッドシステムを使っているからだ。フリードがフルモデルチェンジし、最新のハイブリッドシステムを手に入れた場合、シエンタを超える燃費値となるかもしれない。

ホンダ ステップワゴン

ホンダ ステップワゴン
燃費差の理由は車重?

ステップワゴンの燃費は19.5~20.0km/L。(FF、WLTCモード)
ステップワゴンの燃費は、ヴォクシーとノアに大敗している。この結果は、排気量の違いやシステムの効率というより、車重が大きく影響している。
ヴォクシーとノアの車重は、1,640~1,670kgだ。対するステップワゴンは1,810~1,840kgとかなり重い。この差が燃費差に直結している。
ヴォクシーとノアは、新開発のプラットフォーム(車台)を使っているのに対して、ステップワゴンのプラットフォームは先代モデルのキャリーオーバーである。こうした部分も大きく車重に影響している。

日産 セレナ

日産 セレナ
もはや、旧タイプのe-POWERでは戦えない!?

セレナの燃費は18.0km/L。(FF、WLTCモード)
セレナは、1.5Lのシリーズハイブリッドシステムであるe-POWERを使用している。
このe-POWERは、初期のものだ。新型エクストレイルなどは、最新世代のe-POWERを用いているため、ライバル車と比べると燃費値は大きく見劣りする。
先代モデルのヴォクシーとノアやステップワゴンであれば、なんとか互角に近いレベルだった。モデル末期のため、Mクラスミニバンの中では、非常に厳しい結果となった。

トヨタ アルファード&ヴェルファイア

トヨタ アルファード&ヴェルファイア
旧型の2.5Lハイブリッドだが、なかなかの低燃費性能

アルファードとヴェルファイアの燃費値は14.8km/L。(4WD、WLTCモード値)
アルファードとヴェルファイアに搭載されている2.5Lハイブリッドシステムは、2AR-FXE型エンジンを搭載した旧型だ。デビュー当時は、2.1t越えの車重をもつモデルとしては、優れた低燃費だった。

ちなみに、ハリアーなどに搭載されている最新の2.5Lハイブリッドシステムは、システム出力を222psまでアップした。アルファードとヴェルファイアが197psなので、大幅な進化だ。ハイブリッドシステムとして燃費を大幅に改善されているものの、アルファード&ヴェルファイアへの搭載は見送られている。

走行性能比較

トヨタ ヴォクシー&ノア

トヨタ ヴォクシー&ノア
ワイドボディ化されたが、まずまずの運転のしやすさ

4代目ヴォクシーとノアは、先代に比べ全幅が1,695mmから1,730mmになり、少しワイドになった。それほど気にならないレベルではあるが、駐車場が狭い場合は試乗車でチェックしてみるとよい。

小回りが利くかどうかも重要なポイントだ。日本の道や駐車場は狭い箇所が多い。使い勝手が悪いと、移動するのが嫌になったり、焦って他のクルマや障害物に接触したりする可能性もあるからだ。
ポイントとなるのは、最小回転半径だ。ヴォクシーとノアは、全グレード5.5mと標準的で、まずまずの数値だ。

ただしライバル車の中には、グレードにより5.7mになるケースもあるので注意が必要だ。今まで1回で入った駐車場も、切り返ししなくては入らなくなることもある。運転に自信がない人は、最小回転半径をしっかり確認してグレード選びをしたい。

トヨタ シエンタ

トヨタ シエンタ
小回りが利き駐車も楽々

シエンタのボディサイズは、全長4,260mm×全幅1,695mm×全高1,695mmだ。やや背が高いものの、全幅はいわゆる5ナンバーサイズである。日本の狭い道や駐車場では、全幅は狭い方が扱いやすい。また、全高が高いことで、着座位置もやや高くなっているので運転もしやすい。

狭い駐車場などでの扱いやすさの指標となる最小回転半径は5.0mだ。この数値であれば、狭い駐車場などの取り回しも楽にできる。このクラストップの数値だ。

さらに、パノラミックビューモニター(床下透過表示機能付)付きの車両なら、車体のカメラ映像を俯瞰から見た映像に変換し、周囲の障害物もひと目で分かるようになっている。バックでの駐車をサポートしてくれるので、より安心・安全に駐車が可能だ。

ホンダ ステップワゴン

ホンダ ステップワゴン
17インチタイヤになるプレミアムラインは要注意

ステップワゴンは、今回のフルモデルチェンジで1,695mmだった全幅を55mm拡大し1,750mmとした。実際に走行したときには、それほどワイドになった感覚は無い。ただし、自宅の駐車場が狭い場合などは、試乗車を借り、実際に入るか、無理はないかチェックした方が無難だ。

ステップワゴンのダッシュボードは、水平基調でフラットだ。さらに、ボンネットやAピラーの工夫により視認性が大幅に向上している。視界がよく周りがしっかり確認できるので、狭い道でも運転しやすい。

ステップワゴンの最小回転半径は、5.4mだ。ヴォクシーとノアの5.5mよりやや小さい。ただ、全幅がヴォクシーとノアより20mmワイドなので、ほぼ互角の小回り性能といえるだろう。

ステップワゴンで小回り性能を重視するのであれば、最上級グレードのプレミアムラインを選択してはいけない。16インチから17インチタイヤに変更されたことで、最小回転半径が5.7mとなっているからだ。この数値は、アルファードとヴェルファイア並みだ。運転が苦手な人だと、狭い駐車場などで苦労しそうな数値でもある。

日産 セレナ

日産 セレナ
大きさ、小回り性能はクラス平均レベル

セレナの全幅は1,740mmと、他のMクラスミニバンと同等レベルだ。それほど狭い道でも気にならない範囲である。最小回転半径5.5mはこのクラスの平均レベルなので、狭い駐車場でもそれほど困ることはないだろう。

オプションのインテリジェントアラウンドビューモニターを装備すれば、さらに駐車が楽になる。この機能は、車体に取り付けられたカメラの映像を加工し、自車を俯瞰から見た映像に変換してくれる。自車周囲の障害物や車両などがひと目で分かるため、うっかり接触などのリスクが軽減される。さらに、歩行者などの移動物も検知できるので、より安全に運転できる。

トヨタ アルファード&ヴェルファイア

トヨタ アルファード&ヴェルファイア
一世代前の予防安全装備なのが物足りない

アルファードとヴェルファイアのボディサイズは、かなり大きい。人気グレードSR Cパッケージのボディサイズは、全長4,950mm×全幅1,850mm×全高1,950mm、ホイールベースは3,000mmだ。
これだけ大きなボディサイズだと、さすがに運転が苦手な人は苦労する。とくに全幅が大きいので、狭い道でのすれ違いでかなり気を使うだろう。

一方、最小回転半径は5.6mと小さめだ。慣れれば駐車はしやすくなるかもしれない。また、着座位置はかなり高く視界はよい。

予防安全装備や運転支援機能は、2015年にデビューした古いモデルなので、やや物足りない。自動ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車検知のみという旧世代のものが使われている。ブラインドスポットモニターなども一部を除きオプション設定だ。

乗り心地比較

トヨタ ヴォクシー&ノア

トヨタ ヴォクシー&ノア
フラットで快適な乗り心地性能

ヴォクシーとノアの乗り心地はMクラスミニバンの中ではやや硬めだ。
先代モデルのようなボディ上部から揺らされるような動きは無くなり、フラットな姿勢を保つ。操縦安定性を重視したため、サスペンションはやや引き締められている。

ボディ剛性を大幅に高めた影響で、路面からの振動や衝撃は上手く抑え込まれていて、なかなか快適な乗り心地となっている。どちらかというと、スポーティな乗り味を好む人に向く。

3列目シートの乗り心地は、多少路面の凹凸やゴトゴトとした振動を伝えてくる。Mクラスミニバンの中では良好なレベルだが、アルファードといったLクラスミニバンと比べると大きな差が付いた。

トヨタ シエンタ

トヨタ シエンタ
3列目シートの乗り心地は妥協が必要

シエンタには、最新のプラットフォーム(車台)であるGA-Bが使われている。
車両の主要骨格には構造用接着剤を使用した。ルーフパネルに採用されているマスチックシーラーの一部を高減衰タイプとすることで、操縦安定性、乗り心地、静粛性を向上させた。

乗り心地そのものは、やや硬めだ。運動性能も意識したしっかりとした乗り心地で、不快なショックはない。車体がフラットに保たれるので、なかなか快適に感じる。

3列目シートの乗り心地は、スペースもタイトでゴトゴトした振動が伝わってくる。ボディサイズが小さく、後輪サスペンションの上は振動が伝わりやすい箇所なので仕方のない部分ではある。それでも、ライバル車より快適だ。

ホンダ ステップワゴン

ホンダ ステップワゴン
クラスで最もソフトな乗り心地

ステップワゴンは、ややソフトでしなやかな乗り心地となった。
先代モデルの、やや硬めでスポーティな乗り心地とは異なる。その分スポーティさは薄まっており、ゆったりのんびり走りたくなる乗り心地といえる。

だが、3列目シートではやや物足りなさを感じる。ゴトゴトしたタイヤの動きが伝わってくるのだ。とはいえ、先代モデルやセレナほどのゴツゴツ感はない。ヴォクシーやノアとは、テイストが異なるサスペンションセッティングだが、3列目シートの乗り心地は同等レベルだ。

日産 セレナ

日産 セレナ
やや物足りない3列目シートの乗り心地

セレナの乗り心地は、ファミリーカーとしての価値を重視しているのでソフト系だ。低・中速走行であれば、それなりに快適な移動が楽しめる。その分、高速移動で大きな入力があると、車体の揺れが収束するのにやや時間がかかる。

3列目シートには、高めのタイヤ空気圧とサスペンションからのゴトゴト感が加わる。乗り続けられないレベルでは無いが、乗り心地はよいとはいえない。
モデル末期のため、他のMクラスミニバンと比べても物足りない部分だ。

トヨタ アルファード&ヴェルファイア

トヨタ アルファード&ヴェルファイア
3列目シートの乗り心地は、ミニバン中トップ!

アルファードとヴェルファイアは、しっとりとした落ち着いたソフトな乗り心地だ。シートも大型タイプが使われていて、ゆったりとしたソファーのような座り心地になる。
乗り心地や座り心地は、上級グレードになるほど向上する。

3列目シートスペースはボディサイズが大きいので、最も余裕がある。リヤサスペンションは、上級のダブルウィッシュボーン式が使われている。Mクラスミニバンの3列目シートはゴトゴトした振動を感じるが、アルファードとヴェルファイアでは突き上げ感含めかなり快適だ。3列目シートの乗り心地は、ミニバンの中でトップといえるだろう。

内外装・デザイン比較

トヨタ ヴォクシー&ノア

トヨタ ヴォクシー&ノア
コストを抑えたカラクリで使い勝手を向上

ヴォクシーとノアの使い勝手は良好で、色々な工夫がされている。

最も高く評価したいポイントは、カラクリ=簡単で機械的な仕組みを用いた、使い勝手の向上だ。センサーやモーターなど電動制御系は、どうしても高価になる。便利ではあるものの、車両価格はどんどん上がってしまう。カラクリなら安価に装備が可能なので、車両価格のアップもわずかとなり顧客の負担は少ない。

パワースライドドア車には、ユニバーサルステップのオプションが用意された。カラクリを使ったため、ステップを安価に展開・収納できるようになった。ステップ高は200mmと低いため、小さな子どもやお年寄りが乗り降りしやすくなった。

ミニバン特有の大きなバックドアは、後方に一定のスペースが無いと開けることができない。そのため、ヴォクシーとノアでは、任意の位置で開閉角度を維持できるフリーストップバックドアを世界で初めて採用した。後方が狭い場所では、障害物ギリギリまでバックドアを開け維持できるので、荷室内の荷物の出し入れが容易になる。

トヨタ シエンタ

トヨタ シエンタ
より広くなった2列目シートのスペースと荷室

シエンタは、ほぼ国内専用車=日本仕様車なので、使い勝手はとてもよい。
前後カップルディスタンスはクラストップレベルとなる最大1,000mm(従来型比+80mm)を実現し、2列目シートの居住性を向上させた。

また、子どもや高齢者の後席アクセスが容易になり、より便利なクルマになっている。
フロア高は330mmと低い。さらにパワースライドドア開口部の高さは1,200mm(従来型比+60mm)に広がった。

荷室はより広くなっている。バックドア開口部の高さは15mm(従来型比)拡大し、荷室高も20mm(従来型比)高くした。その結果、27インチタイヤの自転車でもハンドルを開口部にとられることもなく積載が可能だ。
ただ、3列目シートを床下収納したり出したりする場合、やや工数が多く面倒な部分もある。

ホンダ ステップワゴン

ホンダ ステップワゴン
シートアレンジの多彩さと3列目床下収納が特徴

ステップワゴンは、全幅を拡大し、国内ホンダ車史上最大の室内空間になった。クラストップレベルの広さを誇る。
2列目のキャプテンシートには、左右方向の横スライド機構を新たに装備した。ぴったり寄せたり距離を取ったりと、より多彩なシートアレンジができるようになった。

このクラスのミニバンは、3列目シートが跳ね上げサイド吊り下げ式が多い。しかし、ステップワゴンだけが、3列目シートを床下収納できる。どちらもメリットとデメリットがあるが、荷室がスッキリとして使いやすいのが床下収納だ。跳ね上げタイプは、フロア下にスペースがあるので、小物や背の高いものを立てて収納できるメリットがある。

日産 セレナ

日産 セレナ
デュアルバックドアは、セレナだけのメリット

歴代セレナは、室内空間の広さにこだわり続けてきた。モデル末期となった現在でも、トップレベルの広さを誇っている。
現在販売されているグレードは、すべてe-POWER車だ。2列目がキャプテンシートの7人乗りのみ用意されている。

2列目シートのスライド量は最大690mmである。足を伸ばしてリラックスした姿勢で移動が可能だ。だがライバル車のスライド量は700mmを超えているので、やや物足りなく感じる。

セレナのユニークなデュアルバックドアは、ライバル車には無い機能である。バックドアの上部約半分が分割して開閉が可能なのだ。ミニバンのバックドアは大きいので、後方に十分なスペースが無いと開閉できない。だが、セレナなら上部半分のみを開けることができるので、荷物の出し入れに便利だ。

トヨタ アルファード&ヴェルファイア

トヨタ アルファード&ヴェルファイア
リラックスキャプテンシートが超快適

アルファードとヴェルファイアのシートアレンジは、Mクラスミニバンほどではないものの、多彩なシートアレンジが用意されている。
2列目シートをリラックスキャプテンシート装着車とした場合、最大で830mmものロングスライドが可能だ。グレードによりオットマンも用意され、非常に快適な空間になる。

3列目シートは、跳ね上げ式でサイドに固定するタイプである。そのため、床下収納スペースが使え、長尺物を立てて収納することも可能だ。ボディサイズが大きいこともあり、荷室はかなり広大だ。

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ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員