目次
国産SUVの評価ポイント
今回のランキングをつけるにあたって国産SUVの評価は、予防安全装備と運転支援機能を重視している。今回のランキングにはガソリン車の設定があるモデルは含まれているが、ガソリン車にアイドリングストップ機能が付いていないモデルは除外している。
その上で、乗り心地や操縦安定性、走行性能などを加味して順位を付けた。
2021~2022年にかけて、ミドルサイズSUVのフルモデルチェンジが相次いだ。そのため今回の国産SUVのランキングでは、ミドルサイズのSUVが中心となった。
国産SUV おすすめランキング ベスト5
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レクサス NX
初代NXから超絶進化を果たした予防安全装備
2代目となるレクサスNXは、2021年11月に発売された。
初代NXはミドルクラスのSUVだ。高い人気を誇り、レクサスブランドの基幹車種となった。だが予防安全装備は少々物足りない部分があった。しかし、2代目NXで予防安全装備である「レクサスセーフティシステム+」が劇的進化を遂げた。この予防安全装備の機能だけでNXを買ってもよいと思えるほどの高性能だ。国産車トップレベルの実力だ。
レクサスNXは、優れた予防安全装備に加え、超低燃費のハイブリッド車とPHEVをラインアップしている。ただ、国内で販売されるモデルは、ほとんどがハイブリッドだ。
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三菱 アウトランダーPHEV
走る楽しさと優れた環境性能を両立
2代目三菱アウトランダーPHEVは2021年12月に発売された。初代アウトランダーPHEV同様、前後に駆動用モーターを設置した4WDだ。
2代目アウトランダーPHEVは、フロントよりリヤモーターの方が高出力化された。大きなSUVらしからぬ、リヤタイヤを滑らせるドリフト走行も可能なレベルの走る楽しさを得ている。2代目アウトランダーPHEVは、日常使いでは、ほとんどガソリンを使わないので優れた環境車といえる。通常時、モーター走行での航続距離は先代モデルから大幅に向上し83~87kmとなった。
上級グレードは7人乗り、エントリーグレードは5人乗り、中間グレードは選択が可能だ。
お勧め2位とした理由は、高い環境性能をもつPHEVであることだ。加えて、走る楽しさが凝縮されていることや、7人乗りなど使い勝手もよいバランスの高さを評価した。
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日産 エクストレイル
EV感の強いハイブリッド車
日産エクストレイルは、2022年7月に発売されたばかりの新型車だ。このフルモデルチェンジでエクストレイルは4代目となった。
4代目エクストレイルは、ガソリン車の設定が無い。これは、日産がEV(電気自動車)を推し進めていることや、カーボンニュートラルを重視した結果だ。4代目エクストレイルでは、日産こだわりのシリーズハイブリッドであるe-POWERを搭載している。さらに使用エンジンは可変圧縮比機能を持つ。日産が世界で初めて量産化に成功した1.5L VCターボとなった。
燃費性能は大幅に向上し、さらに静粛性も高められている。
グレードは、後輪側に高出力モーターを設置し、車両の姿勢や走破性を高めるe-4ORCEも用意されている。お勧め3位の理由は、日産独自のVCターボにより、e-POWERがまだまだ進化し低燃費性能の向上に期待できる点だ。そして、純ガソリン車をから決別し燃費性能と共にカーボンニュートラル時代に貢献していることを評価した。
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トヨタ RAV4 PHV
圧倒的な低燃費性能
トヨタRAV4 PHVは、2020年に満を持して登場した。
2.5Lのハイブリッドシステムは、システム出力306psとなかなかパワフルだ。モータードライブ車らしく、0-100km/hの加速が6.0秒と、ちょっとしたスポーツカー並みだ。リチウムイオンバッテリーは18.1kWhもの大容量だ。EV航続距離は95kmを達成している。日々の通勤や送迎、買い物などであれば、ほぼガソリンを使わない生活が可能だ。
ガソリンタンク容量は、55Lを確保している。EV航続距離に加え、22.2km/L(WLTCモード)というクラストップレベルの低燃費性能が加わると、航続距離は1,300km以上にも及ぶ。多くのライバル車には急速充電口が標準装備されているケースがほとんどだが、RAV4 PHVは普通充電のみだ。
4位である理由は、世界トップレベルの燃費性能であることだ。 -
マツダ CX-60(XDハイブリッド)
マツダの社運をかけた後輪駆動ベースのSUV
マツダCX-60には、以下を含む多くの新開発アイテムが投入された。
- 後輪駆動をベースとしたプラットフォーム(車台)
- 3.3L直6ディーゼルエンジン
- 8速AT
- PHEVシステム
新型車とはいえ、かなり多額の投資がされている。まさに今後のマツダの命運を握るモデルといえる。また、やや遅れてマツダ初となるPHEVも投入された。
CX-60のPHEVやディーゼルエンジンは、高い環境性能を誇る。予防安全装備も高いレベルとなった。ドライバーの意識が無いとシステムが判断した場合、車両を停止させ通報するドライバー異常時対応システム、歩行者や自転車、自動二輪も検知できる自動ブレーキなども用意されている。
お勧め5位の理由は、究極の燃費性能を目指し、技術へこだわった点だ。そして、高齢者の事故低減を目指した予防安全装備への進化を評価した。
国産SUV おすすめ の
5台を5項目で比較
国産SUVおすすめ5台について価格、燃費、走行性能、乗り心地、使い勝手の5項目を比較評価した。価格帯については人気の輸入車との比較も視点として入れてみた。また、SUVは燃費の悪さや乗り心地の硬さのほか、サイズ感が大きく使い勝手が悪いといった印象を持っている人が一定数いる。そのため、これらの点も踏まえて言及をしている。
価格比較
レクサス NX
トヨタブランドと比べ高価だが、輸入車より安価という絶妙な価格設定
レクサスNXの価格帯は以下の通りだ。
- 4,550,000円(NX250 FF)~7,380,000円(NX450h+F SPORT AWD)
レクサスは高級ブランドなので、かなり高価な設定だ。
NX450h+とRAV4 PHVは、ほぼ同じプラットフォームとパワーユニットを使っている。RAV4 PHVの価格が5,390,000円なので、約200万円も高価だ。
ただ、優れた予防安全装備や豪華装備や質感の高い内装などを比べると、納得ができる範囲の価格といえる。
レクサスをBMWやメルセデス・ベンツなどの輸入プレミアムブランドと同等と考えると、NXはややコストパフォーマンスに優れている。
三菱 アウトランダーPHEV
優れたコストパフォーマンス
三菱アウトランダーPHEVの価格は以下の通りだ。
- 4,621,100円(M)~5,320,700円(P)
アウトランダーPHEVのコストパフォーマンスは高い。
最上級グレードのPには、以下のような豪華装備が充実している。
- ヘッドアップディスプレイ
- セミアニリンレザーシート
- BOSプレミアムサウンドシステム
下2つは、ライバル車であるRAV4 PHVには無い。だがRAV4 PHVより安価だ。
さらに、高出力のリヤモーターなどを含めて考えれば、国産SUVのPHEVとしてトップレベルのコストパフォーマンスと言える。
日産 エクストレイル
やや高めの価格設定だが、価値あるe-4ORCE
日産エクストレイルの価格は以下の通りだ。
- 3,198,800円(S)~4,499,000円(G e-4ORCE)
日産エクストレイルFF(前輪駆動)のエントリーグレードは、RAV4ハイブリッドと比べるとやや安価だ。
最上級グレードの4WD車を比較すると、エクストレイルの4WDモデルであるe-4ORCE車が少し高価になっている。
価格の差は機能差が要因だ。
エクストレイルの後輪側モーターの出力は136ps&195Nmなのに対して、RAV4ハイブリッドの後輪モーターの出力は54ps&121Nmと大きな差がついている。
機能部分の差があるため、エクストレイルのe-4ORCEが少々高価になっているのは仕方ない部分でもある。ちなみに、エクストレイルの初期受注では約9割の顧客が4WDのe-4ORCEを選択している。
トヨタ RAV4 PHV
やや高めの価格設定
トヨタRAV4 PHVの価格は以下の通りだ。
- 4,690,000円(G)~5,390,000円(BLACK TONE)
トヨタは圧倒的な営業力を誇る。そのためRAV4 PHVの価格は三菱アウトランダーPHEVに大きな影響を与えた。
後出しのアウトランダーPHEVは、価格帯こそRAV4 PHVと同等レベルにしながら、7人乗りをメインとして装備をかなり充実させている。その結果、RAV4 PHVの価格はやや高めに見える。
RAV4 PHVのグレードで注意したいのはGだ。500万円を切る価格設定だが、このクラスでは必須といえる以下の装備などがオプションの設定だ。
- パーキングサポートブレーキ
- 高側方車両接近警報(BSM)
- パノラマビュー
- パワーバックドア
購入するなら、G Zグレード以上がお勧めだ。
マツダ CX-60
高価に見えるが、実はお買い得!?
マツダCX-60の価格は以下の通りだ。(すでに発売済みのe-SKYACTIV D搭載車のみ)
- 5,054,500円(XDハイブリッド エクスクルーシブスポーツ/モダン)~5,472,500円(XDハイブリッド プレミアムスポーツ/モダン)
マツダCX-60の価格は、アウトランダーPHEVやRAV4 PHVと比べ、やや高めの価格帯だ。
価格に比例し、装備も全グレードでかなり充実している。
- 運転席&助手席シートベンチレーション
- リヤシートヒーター
- ボーズサウンドシステム
- ナッパレザーシート
- ワイヤレス充電
このような贅沢な装備などが標準装備化されている。もちろん、予防安全装備もオプション設定がなく、全車安心して乗れる仕様となっている。こうした装備の良さを含めると、むしろお買い得感がある。
燃費比較
レクサス NX
電動車は、世界トップレベルの超低燃費性能
燃費値は以下の通りだ。(すべてWLTCモード)
グレード/駆動方式 | FF | AWD |
---|---|---|
NX450h+ | - | 19.8km/L |
NX350h | 20.9~22.2km/L | 19.9~21.6km/L |
NX350 | - | 12.2km/L |
NX250 | 13.9~14.4km/L | 13.5~13.9km/L |
NX350hを含め、この燃費値はクラス世界トップレベルを誇る。NX450h+はPHEVなので、通常はモーターのみで走行する。航続距離は88kmと十分だ。通勤や送迎、買い物など日々の使い方では、ほぼガソリンを使うことがない。電力が無くなれば、ガソリンを使いハイブリッド車として走行できるので便利だ。
ガソリン車の燃費値は、ハイブリッドやPHEVの圧倒的な数値と比べるとかなり物足りなくなる。だがNX350とNX250は共に、このクラスの同等排気量車と比べると、こちらもクラストップレベルだ。ガソリン車でも燃費がよい。
三菱 アウトランダーPHEV
ハイブリッドモード燃費は、更なる改善が必要
三菱アウトランダーPHEVの航続距離と燃費値は以下の通りだ(すべてWLTCモード)。
航続距離 | 83~87km |
---|---|
燃費 | 16.2~16.6km/L |
PHEVは基本的に自宅で充電する。電気代はガソリンよりかなり安価なので経済性にも優れている。
アウトランダーPHEVは、電力が無くなるとエンジンで発電し、モーターで走行するシリーズハイブリッドとなる。この時の燃費は16.2~16.6km/L(WLTCモード)だ。RAV4 PHVやエクストレイルに大差を付けられている。ハイブリッドモードの燃費値は、更なる向上が望まれる。
日産 エクストレイル
ライバルに燃費で負けるものの、自動車税はお得
日産エクストレイルの燃費値は以下の通りだ(すべてWLTCモード)。
駆動方式 | 4WD | FF |
---|---|---|
燃費値 | 18.3~18.4km/L | 19.7km/L |
日産エクストレイルの燃費値は、RAV4ハイブリッドと比べるとやや負けている。RAV4ハイブリッドの燃費は、20.3~20.6km/L(4WD)なので、約10%の差がついた。
この差には、エクストレイルの方が車重がやや重いことも影響している。ただ、エクストレイルの方がパワフルなので、それを含めれば十分許容範囲といえるだろう。
トヨタ RAV4 PHV
世界トップレベルの超低燃費性能
トヨタRAV4 PHVの航続距離と燃費値は以下の通りだ(すべてWLTCモード)。
航続距離 | 95km |
---|---|
燃費 | 22.2km/L |
トヨタRAV4 PHVのEV航続距離は、このクラスではトップレベルを誇る。バッテリーは18.1kWhもの大容量だ。家庭で充電する時の電気代は、ガソリンに比べ非常に安価。そのため車両価格は高いものの、燃料費は非常に安価になる。
また、長距離走行時には、ガソリンを使いハイブリッド車として走行する。燃費は22.2km/Lと、世界トップレベルだ。RAV4ハイブリッドより燃費がよいのも特徴だ。
マツダ CX-60
燃費を重視した3.3Lディーゼルエンジン
マツダCX-60の燃費値は以下の通りだ(WLTCモード)。
XDハイブリッド燃費 | 21.0km/L(AWD) |
---|
マツダCX-60 XDハイブリッドの燃費値は、3.3Lディーゼルという大排気量車としてはかなり優秀な数値となった。
XDハイブリッドには、直6の3.3Lディーゼルターボに48Vのマイルドハイブリッドシステムが組み合わされている。このエンジンは、欧州のディーゼル車のような強大なトルクではない(3.0Lディーゼルターボを搭載した欧州車の最大トルクは、700Nm級)。
環境性能を重視した結果、CX-60のトルクは550Nmに抑えられている。
また、他車と比較してみるといかにCX-60が低燃費なのか分かる。直6、3.0Lエンジンを搭載するBMW X3 M40dの燃費は、13.8km/L。CX-60と比べると、約66%の燃費値となっている。
走行性能比較
レクサス NX
イチオシは、圧倒的な静粛性とスムースさを誇るPHEV
レクサスNXは、搭載パワーユニットによって個性が異なる。
最上級グレードであるNX450h+はずば抜けている。モーターによる超絶ハイレスポンスと強烈な加速力をもちながら、静粛性は極めて高い。耳を澄ましていなければ、エンジンが始動したことが分からないほどだ。また、前後の重量バランスもよく、AWDなので操縦安定性も高い。システム出力は309psだ。
NX350hはバランス型だ。NX450h+ほどの力強さは無いものの、スムースさと静粛性は高レベルだ。システム出力は243psとなっている。
NX350は、新開発の2.4Lターボを搭載し279ps&430Nmを発揮する。高回転までスムースに回りなかなか気持ちよいエンジンだ。
NX250の出力は201ps&241Nmだ。必要十分な出力だが、高級車であることを考えると、もう少し力強さが欲しい。高回転型のエンジンで、レヴリミットまで回すと少し賑やかになる。
三菱 アウトランダーPHEV
クルマを操る楽しさを凝縮
悪路の走破性にもこだわっているアウトランダーPHEVには、7つのドライブモードが用意されており、路面状況により最適な駆動力が得られる。
そして、三菱アウトランダーPHEVは後輪側のモーター出力が高いのが特徴だ。前輪側には85kW、後輪側が100kWという高出力モーターが装備されている。
また、三菱独自のAWDシステムであるS-AWC(Super All Wheel Control)も加わり、アウトランダーPHEVはドライバーの意図通り自由自在にクルマをコントロールできる。国産SUVのPHEVで、こうした走りができるのはアウトランダーPHEVだけだ。
日産 エクストレイル
パワフルで安定性重視のe-4ORCE
日産エクストレイルは、ルノーと三菱のアライアンスにより、アウトランダーPHEVのプラットフォーム(車台)を最適化して使用している。しかし、乗り味はまったくの別物だ。操縦安定性では、床下に大きく重いバッテリーを搭載するアウトランダーPHEVの方が低重心で安定しているように感じる。
力強さでは、前輪側にパワフルなモーターを搭載するエクストレイルが勝る。
日産の4WD制御であるe-4ORCEは、車両の安定性を重視する傾向が強く安心感がある。また、e-4ORCE制御の恩恵もあり、大きなボディサイズながらタイトなカーブでも容易に向きを変えてくれるので、山道も走りやすく楽しい。
トヨタ RAV4 PHV
優れた静粛性と高い操縦安定性
トヨタRAV4 PHVの静粛性はハイブリッドモードに移行しても高く、耳を澄ましていないとエンジンが始動したことが分からないレベルだ。エンジンは目の前にあるのに、5メートルくらい前にあるような感覚になる。
RAV4 PHVは、システム出力306psとパワフルだ。モーター駆動車なので、アクセルを踏んだ瞬間から豪快に加速する。レスポンスも抜群だ。操縦安定性も十分に高いレベルにある。
走る楽しさはアウトランダーPHEVが上回るだろう。なぜなら、RAV4 PHVの後輪モーター出力は40kW&121Nm。アウトランダーPHEVと比べると小さいからだ。アウトランダーPHEVは、後輪に100kW&195Nmのモーターを装備している。
マツダ CX-60
大きいのに軽快!?
マツダCX-60 XDハイブリッドの出力は254ps&550Nmと、それほど高出力とはいえない。しかも、車重は1,900kg台と重い。そのため、欧州の直6 3.0L級ディーゼル車に比べると、かなりマイルドな印象を受ける。速くはないが遅くもないといったような感覚だ。これは燃費や環境性能を重視した結果だ。
マイルドハイブリッドシステムのモーターは16.3ps&153Nmと小さく、やや存在感が薄い。平坦路でエンジン負荷が低いとエンジンが停止し、モーターで走行できるが、そのシチュエーションになることがやや少ない。
ハンドリングは良好だ。フロントには、ダブルウィッシュボーン式の豪華なサスペンションが採用され、マツダの車両制御技術が加わる。大きなボディながら、タイトなカーブでもスイスイと軽快に走る抜けることができる。
乗り心地比較
レクサス NX
高級車らしい上質な乗り心地
レクサスNXには3つのグレードがある。
- 基準車
- バージョンL
- Fスポーツ
Fスポーツには、他のグレードには無いパフォーマンスダンパーとAVSが装備されている。パフォーマンスダンパーは、ボディのしなりや微振動を吸収する。AVSは、サスペンションの減衰力を自動で最適化してくれる。
Fスポーツはこの2つの技術によって、俊敏なハンドリングと快適な乗り心地を実現した。他のグレードと比べると、ややカッチリとした乗り味だが、Fスポーツの乗り心地はベストな選択といえる。
他のグレードも乗り心地は快適だ。車体の妙な揺れはしっかりと抑えられている。
NXには、一部のグレードを除き235/50R20というサイズの20インチランフラットタイヤを装着している。タイヤの特性上、低速では少しゴツゴツ感を感じるかもしれない。
三菱 アウトランダーPHEV
意外にもソフトな乗り心地
走る楽しさを凝縮した三菱アウトランダーPHEVだが、乗り心地は意外なほどにソフトだ。
長めに取られたサスペンションストロークを十分に生かし、路面の凹凸も上手に吸収し、ラグジュアリーSUVらしい快適性を誇る。走る楽しさよりも、乗り心地を重視する人にもピッタリと合うセッティングになっている。20インチもの大径タイヤを装着して、この乗り心地は高く評価できる。
だがボディが上下に動く感覚があるので、欧州車のような多少硬めでもフラットな乗り心地を求める人にとっては、やや物足りなく感じるかもしれない。
日産 エクストレイル
タイヤでやや異なる乗り心地
日産エクストレイルは、やや引き締められた乗り心地だ。ソフトで快適な乗り心地だった三菱アウトランダーPHEVとは異なる。大径の19インチホイール装着車は、ルックスはよいものの、少しタイヤのゴツゴツ感やバタバタするような動きを感じる。
スポーティさを重視するのであれば19インチなのだが、乗り心地が最も大切であるなら18インチホイール装着グレードがお勧めだ。シートもやや柔らかいので、乗り心地の向上に貢献している。
日産独自の4WD制御e-4ORCEによって、減速時に前方へ大きく沈み込むよう車体の姿勢も抑制されていて、なかなか快適だ。
トヨタ RAV4 PHV
しっかり感ある乗り心地
トヨタRAV4 PHVの乗り心地は、なかなか快適だ。タップリあるサスペンションストロークを生かし、すこしフワフワしたタイプとは異なる。RAV4 PHVは、ややシッカリと揺れを抑えたタイプだ。タイヤは路面の凹凸を多少伝えてくるものの、刺すような突き上げ感は無い。
高速道路で速度を上げてもその印象はあまり変わらない。路面の凹凸による揺れをすぐに抑えてくれる。いつまでも揺れが続くタイプではないので、乗り物酔いしやすい人にも比較的安心なクルマと言えそうだ。
マツダ CX-60
とにかく硬く上下に動く乗り心地
マツダCX-60の乗り心地は、かなり硬めだ。タイヤの硬さや、路面の凹凸による衝撃があまり緩和されないままドライバーや同乗者に伝わってくる。その分、カーブでは軽快に走るのだが、街中では少々厳しい乗り心地になる。
CX-60は前後にクルマが動くピッチ挙動を嫌い、上下に変換するようなサスペンションセッティングが施された。高速道路では上下にピョコピョコ動く挙動となる。路面の悪い高速道路では上下の動きが続き、あまり乗り心地がよいとはいえない状態になる。
マイルドハイブリッド仕様ながら、アイドリングストップ時からの再始動時にエンジン音が大きく車体も振動するのは残念なポイントだ。
内外装・デザイン比較
レクサス NX
ややワイドな全幅と大きな最小回転半径
レクサスNXのメインマーケットは北米だ。そのため、全幅は1,865mmとワイドだ。
最近ではSUVのワイドボディ化が進み、1,865mmもの全幅でもそれほどワイドではなくなった。ただ、狭い道の多い日本では、さすがに気を使う。
最小回転半径が5.8mであることにも注意したい。アルファードなどのLサイズミニバンと同等レベルだ。狭い駐車場や狭い道でのUターン時では、何度も切り返しが必要だろう。
室内の広さは、このクラスのSUVでは標準的だ。ただし、デザイン性重視のためか、リヤシートの上部スペースは少なめだ。
三菱 アウトランダーPHEV
お勧めは、やはり7人乗り?
三菱アウトランダーPHEVのホイールベースは、このクラスでは長めの2,705mmだ。そのため、2列目シートの足元空間や頭上スペースは十分な広さを確保している。
アウトランダーPHEVには7人乗りの3列目シートも用意されている。3列目シートは床に収納できるタイプなので、それほど邪魔にならない。普段は5人乗りとして使うのであれば、荷室容量は634~646Lと大きいので便利だ。
3列目シートの居住性は、あくまで短距離用のタイトな空間で、頻繁に使えるタイプではない。とはいえ、いざというときには便利なのでお勧めは7人乗りだ。
アウトランダーPHEVの全幅は1,860mmとかなりワイドだ。狭い道では気を使うが、視界が良いので運転はしやすい。また、ロングホイールベースの7人乗りモデルながら、最小回転半径は5.5mに抑えてある。このクラスのSUVでは、小回りが利くタイプだ。
日産 エクストレイル
大きいのに狭い駐車場も楽!?
日産エクストレイルのプラットフォーム(車台)は、アウトランダーPHEVをベースとしているため、ホイールベースは同じ2,705mmだ。ただし、エクストレイルは5人乗りがメインの設定なのに対して、アウトランダーPHEVは7人乗りがメイン。上手くすみ分けしている。
室内の広さは、ややエクストレイルが有利。しかし、荷室はアウトランダーPHEVが少し広いので、ほぼ互角といえる。
全幅は1,840mmと、エクストレイルのほうが20mm狭くなっている。さらに、エクストレイルの最小回転半径はアウトランダーPHEVより0.1m小さい5.4mだ。そのため、狭い所での使いやすさという点では、わずかな差ながらエクストレイルが上回っている。
トヨタ RAV4 PHV
グレードによって最小回転半径が異なるので注意が必要
トヨタRAV4 PHVのプラットフォーム(車台)は、GA-Kを使用しており、レクサスNXと共通だ。荷室容量はレクサスNXが520Lで、RAV4 PHVが490Lとやや小さい。ボディサイズがやや小さめなのもあるが、荷室はそれほど広いタイプではない。
RAV4 PHVの全幅は1,855mmとワイドだ。狭い道では多少気を使うサイズである。しかし、最小回転半径は5.5mでブラックトーングレードのみ5.7mだ。5.5mであれば、狭い駐車場でもそれほど扱いにくくないが、さすがに5.7mとなると少し面倒になる。狭い駐車場をよく使うのであれば、ブラックトーン以外のグレードがお勧めだ。
マツダ CX-60
かなりワイドな全幅だが安心機能が満載
マツダCX-60は、かなり大きい。全幅は1,890mmもあり、このクラスの中でも相当ワイドなボディだ。狭い道が多い日本では運転に気を使う。
使い勝手の悪さを無くすため、CX-60には360°ビューモニターに加え、シースルービューを採用した。
シースルービューは、大きなボディのCX-60をより安全に運転しやすくする機能だ。車両周辺のカメラ画像を加工する。画面に障害物などが表示され、車両進行方向や後退方向のガイドに合わせてステアリングを切ると狭い道でも安心して走行が可能になる。
さらに、20インチという大径タイヤを履きながら、最小回転半径は5.4mとした。この数値位なら、多少狭い駐車場でもあまり面倒なことにはならないないだろう。