ダイハツは、通勤などでクルマを毎日使う女性のためのクルマとして開発された新型軽自動車、ミラトコット発売を開始した。

この記事の目次 CONTENTS
記事トップ
クルマを毎日使う女性のための軽自動車
女性プロジェクトによる開発ということだが、中途半端感は否めない
定番ながらも愛らしいデザインとなったミラトコット
トコットの内装デザインはわりと個性的?!
歩行者検知式自動ブレーキは、全車標準装備化されず
低価格重視から起こる課題も
おすすめグレードはX“SAⅢ”かG“SAⅢ”
安く買いたいなら、登録済み未使用車の登場を待つのがおすすめ
ダイハツ ミラトコットの価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

クルマを毎日使う女性のための軽自動車

新型ミラトコットは、ロールーフタイプの軽自動車だ。ロールーフタイプの軽自動車は、ミライースに代表されるように、生活の足という実用車のイメージが強い。

しかし、それではあまりに味気がなさすぎる。もう少し豊かなライフスタイル感を表現できる軽自動車として開発。コンセプトは「誰でもやさしく乗れる、エフォートレスなクルマ」となった。

女性プロジェクトによる開発ということだが、中途半端感は否めない

女性ユーザーがメインターゲットということもあり、より女性目線であることが重要視され、女性社員によるプロジェクトが発足した。ダイハツは、女性による女性のためのクルマ感をアピールするが、こうした開発方法が以前からよくあること。珍しい話ではない。

最後に決裁をするのは男性、というよく聞く話

新型トコットのこうしたプロジェクトも、結局最後は男性の開発責任者やマネージャーが決済する。こうした決裁権をもつ者が男性であれば、レビューを繰り返す度に、決裁権をもつ男性の意見が忖度されることになる。こうなると、もはや何のためのプロジェクトなのか? と、いうことになるのだ。女性のプロジェクトにするのであれば、決裁権をもつ者も女性にしなければ、あまり意味がないのではないか。

重視されたのはミライースをベースとした低価格車

結局、決めるのは男性ということもあり、新型ダイハツ ミラトコットは、従来通り想像できる範囲に収まっている。「さすが、女性のプロジェクト。今までにはない考え方」というような驚きはない。

新型トコットは、シンプルがコンセプトのひとつになっている。これも、必然的なコンセプトだ。新型トコットは、ミライースをベースとして、低価格であることが求められた。そうなれば、シンプルで高級車という考え方にはならない。シンプル=低価格という構図がすぐに浮かび上がる。

女性が求める本当の意味での軽自動車というよりも、低価格という裏コンセプトが重要視されているのが分かる。低価格という言葉をシンプルという耳障りの良い言葉に置き換えているだけにも見える。そもそも、女性が女性のために開発したクルマということをアピールする手法も、いかにも男性的だ。

定番ながらも愛らしいデザインとなったミラトコット

新型ダイハツ ミラトコットのボディサイズは、ベースとなるミライースに対して、30㎜全高が高くなった。全高を高くすれば、室内高も高くなるので余裕ある室内スペースになる。また、全高を高くすることにより、ミライースよりも大きく立派に見えるようになる。

新型トコットのデザインは、なかなか秀逸。角を丸くしたボクシィなデザインと、丸いヘッドライトやテールランプの組み合わせは、定番的な手法だが愛らしいスタイルになった。全体的に、スッキリしていて好感度は高い。

ボディサイズがつかみやすく運転しやすい

そして、水平基調でボクシィなスタイルが運転のしやすさにつながっている。前方や後方など、見切りがよいデザインになっているので、ボディサイズがつかみやすくいからだ。

また、ダイハツの生産技術力の高さを感じさせるのがボディパネル。シンプルなデザインということもあり、ボディパネルはストレートな板といった印象だ。シンプルでストレートな板状態なので、ちょっとした歪みが目立ってしまう。こうのようなパネル面を歪み無く成型するのは難しい。
新型トコットでは、より個性的なスタイルを求める顧客に対して、シボとプリントを組み合わせることで布のような質感を実現したキャンバス地調のデザインフィルムトップ(Dラッピング)を新開発した。ルーフ、バックドアアッパー、フロントバンパーに貼ることで、2トーンカラーのような個性をアピールする。

トコットの内装デザインはわりと個性的?!

新型トコットのインパネデザインは、水平基調で広さを感じさせるものとなった。
シートの背もたれ部は、明るい印象のベージュを採用。ベージュ系内装は、室内が明るくなり、広々とした印象になる。ただし、汚れが気になるとして、敬遠されることも多い。そこで、乗り降りの際に足や荷物が触れることがあるシート座面には、茶色を配色した個性的な 2 トーンカラーとした。最上級グレードのシートには、ホワイト系のパイピングが取り付けられて、オシャレな雰囲気をアップしている。

USB電源ソケットが2つあるのは便利

装備で気が利いているのは、スマートフォンの充電などに便利なUSB電源ソケットを2個をLグレードを除き標準装備化した点。今時、必需品ともいえる装備だが、しっかりと用意されている車種は少ない。ただ、残念ながらしUSBの電源ソケットはあっても、スマートフォンの置き場がない。こうした部分は、少々詰めが甘い。

最上級グレードにはシートヒーターを装備

そして、冬場にありがたい装備として、シートヒーター(運転席/助手席)が最上級グレードに標準装備化されている。座面、背もたれ部を温めてくれるので、寒い冬にとても快適だ。

歩行者検知式自動ブレーキは、全車標準装備化されず

残念なのは、安全装備に関してだ。歩行者検知式自動ブレーキであるスマートアシストⅢが、全車標準装備化されなかった。クルマは扱い方を間違えば、人を殺す商品。メーカーは、自動ブレーキ関連の安全装備を自ら積極的に標準装備化し、死亡事故を減らすための社会的責任がある。いくら新型トコットが、低価格がコンセプトとはいえ、安全装備をケチってしまうようではいけない。

低価格重視から起こる課題も

走行性能面で、重要な役割を担うスタビライザーが新型トコットには装備されていない。スタビライザーは、カーブでのクルマの傾きを抑え、クルマの操縦安定性を高める重要な部品。スタビライザーが装備されない理由としてあげられるのは、女性が街中で乗るクルマだから。高い操縦安定性は必要無いという判断だ。だが、クルマである以上、高速道路だって走るし、地方の幹線道では速度も高く操縦安定性は重要な要素だ。低価格コンセプトを重視するあまり、こうしたところにも影響が出ている。

ダイハツは、軽自動車の走りは頼りない、というマーケットの声に対し、軽自動車の枠を超えた走行性能を誇るムーヴを送り出した。ムーヴは軽自動車どころか、ひとつ上のコンパクトカーを超える優れた走行性能を誇った。ムーヴは、安いだけのクルマではない、ということを証明してみせた。そんな走りにこだわったダイハツが、あえてまた頼りない走りの軽自動車を感じさせるような過去に戻る選択をしてしまったのには少々疑問が残る。低価格コンセプトは、こうした部分にも悪影響を及ぼしている。

新型トコットのエンジンは、ミライースと同じKF型の660㏄直3エンジン。出力は52ps&60Nm。ミライースより少しだけパワフルになっている。組み合わされるミッションはCVTだ。残念ながら、よりパワフルなターボエンジンは用意されていない。

 新型トコットの燃費は、29.8㎞/L。ベースとなったミライースの燃費35.2㎞/Lに対して、大きく燃費性能が落ちている。これは、全高がやや高くなったことで、空気抵抗が増えたこと。そして、車重が重くなっていることが主な要因だ。

おすすめグレードはX“SAⅢ”かG“SAⅢ”

新型トコットは、エンジンの設定が1つしかないので、豪華装備と安全装備の有無で選ぶことになる。おすすめできないグレードは、先進予防安全装備スマートアシストⅢが装備されていないLグレードだ。このグレード以外は、スマートアシストⅢが標準装備されている。同じLグレードでもスマートアシストⅢを装備したグレードはL“SAⅢ”になる。
L“SAⅢ”は、スマートアシストⅢが装備されているものの、装備は簡素化されている。USB電源ソケットやシートヒーター、運転席リフターなどが装備されていない。とにかく価格重視、という人以外はあまりおすすめできないグレードだ。

できれば最上級グレードのG“SAⅢ”を選ぼう

残るはX“SAⅢ”かG“SAⅢ” になる。このグレード間の大きな装備差は、スーパーUV&IRカットガラス(フロントドア)、シートヒーター、オートライト、オートエアコン、パノラマモニター対応純正ナビ装着用アップグレードパックなど。グレード間の価格差は約8万円。あった方がよい装備ばかりなので、多少無理をしてでも最上級グレードのG“SAⅢ”を選んだ方が満足度は高い。

安く買いたいなら、登録済み未使用車の登場を待つのがおすすめ

新型トコットの買い時は、登録済み未使用車が出始めてから。よほど急いで買う理由がないのであれば、しばらく購入は見送った方がよいだろう。
ダイハツは、多くの登録済み未使用車を中古車マーケットに送り出す傾向がある。登録済み未使用車は、ディーラーなどが自社の都合で買い手がいないのに、自社名などで登録し売ったことにみせかけたクルマのことを言う。

コンディションはほぼ新車並み

未使用車は、一度登録しているので中古車扱いになる。中古車扱いなので、当然、新車よりかなり安価で売られる。コンディションは新車並みなので、好みのグレードや色が見つかれば、かなりお買い得だ。

ダイハツ ミラトコットの価格

ミラトコットの価格は以下の通り。

グレード 駆動方式 価格
L FF 1,074,600円
L 4WD 1,204,200円
L“SAⅢ” FF 1,139,400円
L“SAⅢ” 4WD 1,269,000円
X“SAⅢ” FF 1,220,400円
X“SAⅢ” 4WD 1,350,000円
G“SAⅢ” FF 1,296,000円
G“SAⅢ” 4WD 1,425,600円