スバル フォレスターvs日産エクストレイル徹底比較

スバル フォレスターは2018年にフルモデルチェンジし、先進予防安全装備「アイサイト」を全車に標準装備化した。優れた安全性能を誇るクルマだ。一方、日産エクストレイルは2013年にフルモデルチェンジし、すでにモデル末期にも関わらず2018年上半期の販売台数ランキングでは20位と好調だ。SUVマーケットで高い人気を誇る2台の、燃費や性能などの計8項目を比較、評価した。人気のSUVの購入を検討している方は、必見の記事だ。

この記事の目次 CONTENTS
スバル フォレスターと日産エクストレイルの特徴
1.燃費比較
2.価格比較
3.購入時の値引き額比較
4.内装デザイン比較
5.室内空間と使い勝手比較
6.安全装備の比較
7.走行性能の比較
8.リセールバリュー比較
9.まとめ・総合評価
10.今のクルマを高く売る方法

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

スバル フォレスターと日産エクストレイルの特徴

フォレスターの特徴

スバル フォレスターは、2018年にフルモデルチェンジし5代目となった。
今回のフルモデルチェンジでは、ターボエンジンの搭載が見送られ、2.5Lエンジンと2.0Lハイブリッドのe-BOXERの2タイプとなった。
そして、スバルのウリでもある、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備「アイサイト」を全車に標準装備化した。優れた安全性能を誇るクルマとなっている。

スバル フォレスター

エクストレイルの特徴

日産エクストレイルは、2013年にフルモデルチェンジし3代目となった。すでに、モデル末期ながら、2018年上半期の販売台数ランキングでは20位と好調だ。
搭載されるエンジンは、2.0Lガソリンと2.0Lハイブリッドの2タイプ。予防安全装備である「エマージェンシーブレーキ」などの装備も用意されている。

日産エクストレイル

同じSUVでも駆動、乗車人数が異なる

SUVとして高い人気を誇る2台だが、大きく異なるのは以下の点だ。
フォレスターは4WDしかないのに対して、エクストレイルはFFと4WDが用意されている。さらに、エクストレイルには7人乗りの設定がある。

1.燃費比較

ガソリンエンジン車の燃費レベルは同等だが、ハイブリット車では同じ2.0Lハイブリッドで差がついた。

フォレスターの燃費(ガソリン車)

フォレスターの2.5Lガソリン車の燃費(JC08モード)は、14.6㎞/L。フォレスターのガソリン車は2.5Lなので、2.0Lのエクストレイルより良いのは当然だ。

スバル フォレスター

フォレスターの燃費(ハイブリッド車)

フォレスターハイブリッドのe-BOXERの燃費は18.6㎞/L。エクストレイルハイブリッドの燃費が20.0km/Lとなるため、若干差が生まれている。
車重はほぼ同等なので、燃費差はハイブリッドシステムに違いがあることが理由だ。具体的には、フォレスターe-BOXERに使われているモーターの出力が、わずか10kWしかないことだ。
モーター出力が小さいため、モーターのみで走行できるシチュエーションが非常に少なくなる。この部分が、燃費差に表れている。

エクストレイルの燃費(ガソリン車)

エクストレイルの2.0Lガソリン車の燃費は、FFが16.4㎞/L、4WDが15.6㎞/L。
フォレスターのガソリン車とは排気量が違うため、燃費に差が出るのは当たり前だ。これを加味すると、燃費レベルは同等程度といったところだ。

日産エクストレイル

エクストレイルの燃費(ハイブリッド車)

エクストレイルハイブリッドの燃費は、FFが20.8㎞/L、4WDが20.0㎞/Lだ。
モーター出力は30kWと、出力がフォレスターと大きく異なるため、燃費に差がついた。ハイブリッド車らしさを求めるなら、エクストレイルハイブリッドだ。

フォレスターの燃費評価

3.0点

エクストレイルの燃費評価

4.0点

2.価格比較

重要な安全装備が標準装備化されているフォレスターが、ややお買い得な設定となっている。

フォレスターの価格

フォレスターの価格帯は、2,808,000~3,099,600円となっている。
フォレスターは、多くの基本的な装備が標準装備化している。オプションもシンプルな設定だ。

だが、エクストレイルでは、フォレスターには標準装備化されているサイド&カーテンエアバッグがオプションになっている。その他のオプション設定も、かなり複雑だ。

実際に買うグレードが決まったら、装備面もしっかり比較した方が良いだろう。

スバル フォレスター

エクストレイルの価格

エクストレイルの価格帯は、2,197,800~3,071,520円となっている。
エクストレイルのエントリーグレード(廉価版)の価格が安いのは、FFモデルであること、装備を簡素化した価格訴求用グレードであることが理由だ。価格訴求用グレードを、実際に買う人はほとんどいないだろう。

最上級グレードで比べると、ほぼ同等程度の価格帯といえる。

日産エクストレイル

フォレスターの価格評価

4.0点

エクストレイルの価格評価

3.0点

3.購入時の値引き額比較

値引きは渋めなフォレスター、大幅値引きが期待できるエクストレイル。

ライバル車との比較で値引きをプラス

フォレスターは2018年にデビューしたばかりなので、値引きは限りなくゼロに近い。いくらフォレスターが気に入っているとはいえ、指名買いでは値引きを引き出すのは難しい。

しかし、徐々に値引き額が拡大されていく時期に入っているので、エクストレイルやCX-5などのライバル車としっかり競合させることが重要だ。
競合させることで、少ないなりにも値引きはプラスされていくだろう。

決算期の2~3月が大幅値引きのチャンス

すでにモデル末期に入っているエクストレイルは大幅値引き中だ。
しかも、2018年11月に起きた日産の元会長カルロス・ゴーン問題以降、日産のイメージは下がっている。営業マンからすると、来店客を逃したくないという状況だろう。
大幅値引きをしてでも、1台でも多く販売台数を積み上げたいという状態になっている。

こうしたこともあり、値引き勝負では圧倒的にエクストレイルが有利といえる。
もちろん、大幅値引きを引き出すためには、フォレスターやCX-5の見積りを取り、競合させる必要がある。とくに、決算期の2~3月は、値引きの大チャンス時期だ。

フォレスターの値引き評価

3.0点

エクストレイルの値引き評価

5.0点

4.内装デザイン比較

SUVらしい力強さあふれるフォレスター、洗練さが際立つエクストレイル。

デザイン性だけでなく機能性も重視したインテリア

フォレスターのデザインは、スバル車共通のデザインフィロソフィー“DYNAMIC x SOLID”に基づき、SUVらしい存在感、力強さ、機能性が表現されている。
デザイン性だけでなく、機能性も重視されているのが好印象だ。視界が良く、運転しやすいのも特徴。
荷室にも、使い勝手の良さを重視されたデザインが採用されている。いかにもSUVらしいタフネスさも感じさせる。

太いセンターコンソールが、インテリア面でもSUVらしい力強さを強調している。水平基調のインパネは、広さを感じさせる。
各操作系は機能的に配置され、スイッチ類も適度に大きく使いやすい。

スバル フォレスター

洗練されたインテリアだがやや見にくいナビ画面

エクストレイルは、日産のデザインアイデンティティであるVモーショングリルが特徴だ。
2017年のマイナーチェンジでは、このVモーショングリルをより強調したものとなり、押し出し感や迫力がアップした。
全体的に洗練されたデザインが採用されており、都会派SUVといった印象がある。

インテリアは、翼を広げたような「グライディングウイング」が採用されている。このインテリアがあることによって、広さが強調されている。
全体的にシンプルなデザインとなっていて、乗用車的な洗練さがある。
しかし、ナビがセンターコンソール中央付近に設置されているため、視線移動も大きくやや見にくい。モデル末期ということもあり、ナビ画面が小さい点もネックだ。

日産エクストレイル

フォレスター内装デザイン評価

4.0点

エクストレイル内装デザイン評価

3.0点

5.室内空間と使い勝手比較

使い勝手のよさや、3列シートの選択肢があるエクストレイルが便利。

両車ともガソリン車の方が荷室容量は大きい

SUVで重要視されている荷室容量は、フォレスターが520L、エクストレイルは565Lとなっている。荷室容量は、エクストレイルが勝っていると言える。
ハイブリッドモデルの荷室容量は、両車ともガソリン車と比較すると少々小さくなっている。荷室の一部をハイブリット用バッテリーのスペースとして使うためだ。

スバル フォレスター
日産エクストレイル

居住性や使い勝手に優れるエクストレイル

全長は同じようなサイズの両車だが、ホイールベースはエクストレイルの方が長い。そのため、室内スペースは、エクストレイルがやや広く見える。
660㎜ものロングスライド機能をもつ、セカンドシートの居住性も良好だ。3列目シートが用意されているのも、エクストレイルの魅力のひとつだ。

多彩なシートアレンジも魅力的

セカンドシートはフォレスターが6:4分割可倒式なのに対して、マイナーチェンジ後のエクストレイルは4:2:4の可倒式に変更されている。
より多彩なシートアレンジが可能となり、長尺物を積み込むといったシーンでの使い勝手が良くなった。
全般的に、室内スペースや使い勝手面では、フォレスターよりエクストレイルの方が優れている印象だ。

フォレスターの室内空間と使い勝手評価

3.0点

エクストレイルの室内空間と使い勝手評価

4.5点

6.安全装備の比較

安全装備の充実度では、フォレスターが圧倒。

アイサイト全車標準装備化で安心できるクルマに

フォレスターは、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備「アイサイト」が、全車に標準装備化されている。
ほかにも、サイド&カーテンエアバッグも標準装備化されているので、どのモデルを選んでも安心できるレベルだ。

安全装備の標準装備化という面では、フォレスターの圧勝となっている。

スバル フォレスター

オプションのフル装備でフォレスターと同等に

エクストレイルは、歩行者検知式自動ブレーキ「エマージェンシーブレーキ」や、車線逸脱警報などは全車標準装備化されている。
しかし、車線維持機能や前走車追従式クルーズコントロールなどの「プロパイロット」機能は、一部グレードを除きオプション、もしくは装着不可という状態だ。
安価なグレードでは、オプション設定もできないので、どのグレードも同じ安全性能とは言えない。エクストレイルを購入する場合は、安全装備の有無をしっかりとチェックする必要がある。

もちろん、エクストレイルも安全装備のオプションをフル装備すれば、フォレスター並みにはなる。

日産エクストレイル

フォレスターの安全装備評価

4.0点

エクストレイルの安全装備評価

3.0点

7.走行性能の比較

卓越した運動性能を持つフォレスター、やや古さが目立ってきたエクストレイル。

余裕あるクルージングが可能なフォレスター

フォレスターには、最新世代のプラットフォーム(車台)であるSGP(スバル・グローブボックス・プラットフォーム)が採用されている。
このSGPは、走行性能と高い衝突安全性能が両立している。大きく重いSUVながら、カーブでの軽快感は群を抜く。乗り心地も良好だ。

2.5Lエンジンの出力も、184ps&239Nmと十分だ。速いとまではいかないものの、余裕あるクルージングが可能だ。

スバル フォレスター

市街地やオフロードではトップレベルの走行

2.0Lのe-BOXERは、やや中途半端な印象を受ける。
ほとんどモーター走行できないので、ハイブリッド感があまりないのだ。そのため、燃費も物足りない数値になっている。
ただし、ストップ&ゴーを繰り返す市街地走行では、モーターアシストがわずかに効いているので、アクセルレスポンスの良いクルマに仕上がった。

また、最低地上高は220㎜と、このクラスではトップレベルの高さを誇る。オフロード走行でも非常に高い性能を発揮する。

モデル末期で物足りないエクストレイル

エクストレイルは、モデル末期になってきたことがあり、やや古さが目立つ。ライバル車と比べると、乗り心地や静粛性は物足りなさがある。
2.0Lエンジンの出力は、147ps&207Nmで必要十分なスペックだ。しかし、高速道路などでは、もう少しパワーが欲しいと感じる場面が多い。

日産エクストレイル

力強く、燃費値も良好なハイブリッド

エクストレイルの2.0Lハイブリッド車は、十分な力強さを感じさせる。2.0Lエンジンの出力に、41ps&207Nmのモーターが加わるのだ。
このモーターも力強いとは言えないまでも、平坦路などでは積極的にモーター走行する。そのため、燃費値も良好だ。
ただし、ゴムを踏んでいるような協調回生ブレーキのフィーリングは今ひとつだ。

ガソリン車にはやや非力さを感じたが、ハイブリッド車は非力とは無縁だ。
アクセルを踏んだ瞬間、モーターが瞬時に最大トルクを発揮し、クルマを前に押し出す。わずかに遅れて、エンジンの出力がプラスされ、なかなかレスポンスのよい加速力が楽しめる。

エンジンのフィーリングは、同じ1モーター式のハイブリッドであっても、フォレスターのe-BOXERとはまったく異なる。

フォレスター走行性能評価

4.0点

エクストレイル走行性能評価

3.5点

8.リセールバリュー比較

両車とも高リセールバリューを誇るが、エクストレイルは売却時期を見極める必要がある。

人気SUVなので、高リセールバリュー確定!

世界的なSUVブームということもあり、フォレスター、エクストレイル共に、かなり高いリセールバリューがある。リセールバリューが高いということは、売却価格も高くなる。
次のクルマに乗り換えるときに高値で売れれば、支払総額が少なくなるということになる。

こういった視点で見ると、両車とも買って損はない車種といえる。

エクストレイルはフルモデルチェンジ前の売却がおすすめ

高いリセールバリューを誇る両車だが、エクストレイルは若干の弱みがある。それは、すでにモデル末期であるということだ。
近い未来にフルモデルチェンジすることが予想されているので、今後、それに合わせてエクストレイルのリセールバリューは徐々に下がっていくと思われる。
フルモデルチェンジ前の売却なら、より高値が期待できる。そのため、エクストレイルは早めの売却がよい。

スバル フォレスター
日産エクストレイル

フォレスターのリセールバリュー評価

4.5点

エクストレイルのリセールバリュー評価

4.0点

9.まとめ・総合評価

用途や目的に応じてベストな選択ができる、フォレスターとエクストレイル。

走行性能を重視ならフォレスター

クルマの走行性能を重視というのであれば、やはりフォレスターがオススメだ。
ターボ車が無いため圧倒的なパワフルさは無くなったが、ドライバーとの一体感という点では、このクラストップレベルの実力がある。
2.0Lのハイブリッドであるe-BOXERは、モーターのみで走行できるシーンが限定されるため、高価な割にはあまりメリットを感じない。
郊外や高速道路などでは、2.5Lガソリン車の方が燃費が良く感じる。

使い勝手や室内の広さならエクストレイル

エクストレイルは設計が古いため、走行性能面ではフォレスターに劣る。
しかし、居住性や使い勝手を重視するのであれば、エクストレイルがオススメだ。
シートは全車防水なので、アウトドアスポーツに便利なだけでなく、小さい子供の食べこぼしも気にならない。
3列目シートをもつ7人乗りも用意されているため、家族構成やシーンによってはさらに使い勝手が良いだろう。

オプション装備も含めれば両車同等レベルの安全装備

安全装備に関しては、標準装備化されているフォレスターの勝利だ。
エクストレイルもオプションの装備をフル装備すれば、フォレスターと同等のレベルになる。

10.今のクルマを高く売る方法

新車販売は、2~3月が多くのディーラーが決算直前ということもあり、売り手が有利な時期=大幅値引き連発の大セールとなる。

売却は最も高価買取が狙える1~2月に

売却に関しては、1~2月が最も高価買取が期待できる時期だ。中古車店が2~3月の繁忙期を前に、より良い中古車を仕入れるから、というのが理由だ。
そのため、人気車種や程度の良いクルマほど高値になることが多く、総じて買取り相場が上昇する傾向にある。

スバル フォレスター
日産エクストレイル

3月末までに売却することが高価売却のコツ

高価買取を実現するためには、こうしたタイミングに合わせ、多くの買取店で競合させることが重要だ。
地場の小規模買取店で、ピンポイントで高値が付くケースがあるが、それは稀なこと。

無難なのは、全国に販売チャネルがある買取店だ。
首都圏ではニーズが無くても、北海道や九州などでは、その中古車を欲しがっている顧客がいる可能性がある。すると、思わぬ高値がつくこともあるのだ。
こうした店舗を回り、最も高値を付けたお店に売ればいい。

4月は閑散期になるため、買取相場も急激に下落する。高価売却のコツは、自動車税の納付義務が回避できる、3月末までに売却することだ。

買取店での査定で、愛車の価値を事前に知っておく

新車下取りは、値引きと相殺されるケースがある。大幅値引きした分、下取り価格を下げるということだ。これでは値引きしてもらった意味が薄れてしまう。
これを避けるためにも、買取店での査定は必須だ。愛車の本当の価値を知っていれば、損をしない。

 
スバル フォレスター
 
日産エクストレイル

スバル フォレスターの総合点

29.5点/40点

日産 エクストレイルの総合点

30点/40点