スバルのハイブリッド「e-BOXER」の特徴と実力は?搭載車種一覧と価格

スバルのハイブリッドシステムには「e-BOXER」という独自の名称がつけられています。ここではe-BOXERの特徴と実力、他社ハイブリッドとの違いなどを解説しています。

スバルのハイブリッド「e-BOXER」とは

スバル車のe-BOXER搭載のロゴ

e-BOXERは、スバルが開発したハイブリッドシステムです。日産の「e-POWER」やホンダの「e:HEV」のように、自社で独自の名称をつけています。

スバルのハイブリッドシステムは、一般に想像されるハイブリッド車のイメージと大きく異なり、燃費性能はあまり良くありません。しかし純ガソリン車のような走行フィーリングを楽しめるのが魅力です。

普通車では稀なマイルドハイブリッド

現在は、普通車と言えばトヨタや日産、ホンダのハイブリッド車のように「フルハイブリッド」が当たり前です。

これに対してe-BOXERは、マイルドハイブリッドシステムです。燃費向上性はごく僅かで、ガソリン車とは0.5~2.0km/L(WLTCモード)程度しか変わりません。

仕組みから見る他社との違い

種類 特徴 主な採用メーカー
パラレル方式 ・エンジン走行が主体。モーターはサポート中心
・構造が簡易的で安価
・スズキ
・スバル(e-BOXER)
シリーズ方式 ・エンジンの力で発電し、モーターで走行
・電気自動車のような鋭い加速感や乗り味を持つ
・日産(e-POWER)
スプリット方式 ・エンジンとモーターをシーンで使い分け
・走行用と発電用の2つのモーターを搭載
・「シリーズパラレル方式」とも呼ばれる
・トヨタ
・ホンダ(e:HEV)※

※ホンダの「e:HEV」は、パラレル方式とシリーズ方式の双方を取り入れたシステムだが、厳密にはスプリット方式と異なる

ハイブリッドシステムには、上記のように主に3種類の仕組みがあり、スバルはエンジン走行主体の「パラレル方式」を採用しています。モーターのサイズも小さく、燃費向上効果は限定的です。

これに対して日産のe-POWERは「シリーズ方式」を採用。パラレル方式より燃費向上が期待でき、電気自動車のような滑らかな加速と静粛性を味わえます。また燃費性能に関して他社よりリードしているトヨタは、「スプリット方式」を採用しています。

ライバルとの燃費性能比較

  スバル「フォレスター」
(X-EDITION/XT-EDITION、AWD)
トヨタ「RAV4」
(Xグレード、4WD)
ガソリン車 13.6km/L 15.2km/L
ハイブリッド車 14.0km/L 20.6km/L

ここでは参考例として、フォレスターのガソリン車(XT-EDITION)とe-BOXER搭載車(X-EDITION)、同じくミドルサイズSUVであるトヨタRAV4のガソリン車とハイブリッド車の燃費をご紹介します。スバルのe-BOXERによる燃費向上性はごく僅かで、RAV4のハイブリッド車には大差をつけられています。

e-BOXERはなぜマイルドハイブリッド?

燃費性能ではライバルに大きく差をつけられているスバル。しかしフルハイブリッドを採用しないのは、あくまで「スバルらしさ」を貫くための戦略のようです。

走行性優先のシステム

そもそもe-BOXERは、「走行性ありき」で考えられたシステムです。

スバルは多くの車種で、水平対向エンジンと独自開発の「シンメトリカルAWD」の組み合わせを採用しています。高い走行安定性とキレのあるハンドリングに欠かせないこの組み合わせは、まさにスバルの要です。この走行システム、ひいてはスバル車らしい走行性を損なわないために、同社は敢えて小型モーター(マイルドハイブリッド)を採用しました。

走行性はむしろ向上

一般に、ハイブリッド車ではガソリン車ならではの走行性が失われがちです。しかしe-BOXERは、モーターによりアクセルレスポンスを高めながら、ガソリン車らしいフィーリングを失わないよう開発されています。

そのためe-BOXER搭載車は、わずかながらも燃費性能を向上しつつ、走行性での魅力も増したクルマに仕上がっています。

走行モードでも燃費性能の調整が可能
スバル車はe-BOXERの有無に関わらず、走行モードを選べる「SI-DRIVE」システムを搭載しています。スポーツモード(S)では加速力のあるスポーティーな走行を、インテリジェントモード(I)では安定感と燃費を重視した走行をする仕組みです。

特にe-BOXER搭載車に関しては、両モードにおいてモーターを柔軟に活用し、それぞれの特性が生かされるようになっています。少しでも燃費を重視したい場合は、「I」に設定しましょう。

2025年にはフルハイブリッド車投入か

このように、これまでスバルは戦略的に「燃費よりも走行性ありき」のハイブリッドシステムを採用してきました。しかし現在は、多くのクルマユーザーが燃費の良さを求めています。

こうした状況を踏まえ、スバルは2023年5月、将来的にトヨタのハイブリッド機構(THS)を採用したハイブリッド車を投入予定であると発表。2025年には、生産に入る見込みです。

e-BOXER搭載車一覧

2023年12月現在、e-BOXERを搭載しているのは以下の3車種です。

①インプレッサ(ハッチバック)

e-BOXER搭載車の例:インプレッサの車両画像

  e-BOXER非搭載 e-BOXER搭載
新車時価格 229.9万円~ 278.3万円~
燃費(WLTCモード) 14.0km/L 16.6km/L

インプレッサは2WD車の展開があり、スバルが開発している車種の中では最も低価格です。また、新車なら2022年に発表された3眼タイプのアイサイトを搭載しています。

グレードは「ST」「ST-G」「ST-H」の3展開。このうちSTのみがe-BOXER非搭載です。STとST-Gでは、ランプの種類の違いやインフォメーションディスプレイの有無など、e-BOXERの搭載有無以外にも多くの違いがあります。そのため、e-BOXERだけで上記の価格差になっている訳ではありません。

走行性重視なら、中古で先代モデル(5代目)を買うのもおすすめです。

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②クロストレック(SUV)

e-BOXERの搭載車例:クロストレックの車両画像

  全車e-BOXER搭載
新車時価格 266.2万円~
燃費(WLTCモード) 16.4km/L

2023年のフルモデルチェンジを機に、XVから名称変更されたクロストレック。初心者でも運転しやすいコンパクトSUVで、こちらも3眼タイプのアイサイトを搭載しています。2WD車の選択もあり、車両価格もスバル車の中では安いです。

グレードは「Touring」「Limited」の2展開。どちらもe-BOXER搭載で、エンジンの種類も同じです。しかしランプの種類やインフォメーションディスプレイの有無、さらにアイサイトの一部機能の有無などに違いがあります。

走行性はフルモデルチェンジ前のXVと大きく変わらないため、こちらも走行性重視なら中古も含めて検討すると良いでしょう。

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③フォレスター(SUV)

e-BOXERの搭載車例:フォレスターの車両画像

  e-BOXER非搭載 e-BOXER搭載
新車時価格 346.5万円~ 306.9万円~
搭載エンジン 1.8Lターボ 2.0Lガソリン+モーター
燃費(WLTCモード) 13.6km/L 14.0km/L

フォレスターはAWD車のみの展開で、走行性重視のミドルサイズSUVです。7種類のグレードのうち4種類がe-BOXER搭載ですが、低価格のグレードが中心となっています。上位グレードはターボエンジン搭載です。

燃費性能はe-BOXER搭載の有無に関係なく、殆ど変わりません。上位グレードの方が、パワーシートや後席シートヒーターなどの装備が充実しています。

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燃費に対するユーザーの評価は?

スバル車の燃費性能に関するユーザー口コミを見ると、「燃費が悪い」と考える人も「走りを考えれば満足」と考える人もいるようです。
※以下口コミはガリバーの車カタログより引用

低重心で路面に吸い付くようにスムーズに走ります。FFはAWDよりも車体が軽いため軽快にキビキビ走る印象で、とにかく走るのが楽しかったです。(中略)悪い点と言えば、燃費が同クラスの車と比べると悪いという点です。(30代男性、愛車:インプレッサスポーツ)

インプレッサの四駆車の安定感は最高です。コーナーを走っている時、路面のグリップ感はこの上なく良く、とても安心してドライブをすることが出来ます。(中略)ただ、燃費は最近の車に比べて少し悪い感じがしますが、それは四駆ですので仕方ない部分だと思います。内装も豪華な感じがして所有感が満たされます。(40代男性、愛車:インプレッサ)

スポーツ走行ができるSUVで、オフロード走行をしたときに走破性の高さに感動しました。どこを走っても安定しており、恐怖感がないのです。(中略)街乗りで走行してもまったく問題はなく、燃費も満足いくレベルです。唯一の欠点があるとすれば、ライバルのSUVと比べてやや高額なことですね。(30代男性、愛車:フォレスター)

スバル車は走行性能で選ぼう

ここまでご紹介したように、e-BOXERにライバルのような燃費性能は期待できません。しかし、気持ちの良いアクセルレスポンスとガソリン車ならではの走行フィーリングの共存こそが、スバルのe-BOXERの魅力です。

現在スバル車ではモデルチェンジや一部改良が続いており、新車時価格が上がっています。ただし走行性は大きく変わらないクルマが多いので、予算を抑えたい場合は中古車も検討してみてください。

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インプレッサのカタログ情報

現行モデル
令和5年4月(2023年4月)〜現在
新車時価格
229.9万円〜321.2万円

インプレッサの在庫が現在20件あります

以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。

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221616 編集部

世の中の自動車ニュースとは一味違う視点でスローニュースを発信。編集部員はクルマ初心者からクルマをこよなく愛するマニアまで幅広いメンバーで構成。全国のガリバーで売れている中古車や車のスタッフレポートなど、生の情報をお届け中。