この記事の目次 CONTENTS
完成検査問題でライバルCX-5が追撃中
先進予防安全装備を標準装備した特別仕様車
価格面ではお買い得感あり
日産エクストレイル特別仕様車の価格、装備など

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

完成検査問題でライバルCX-5が追撃中

日産は、ミドルサイズのSUVであるエクストレイルに特別仕様車「20Xi」、「20Xi HYBRID」を設定し発売を開始した。

日産の国内販売において、エクストレイルは非常に重要な車種だ。2017年の販売台数は、49,873台。これは、新車販売台数ランキングで19位となる。その他、日産車として、新車販売台数ランキングベスト30にランクインしている車種は、ノート、セレナのみ。エクストレイルは、3番目に売れている車種となっている。

そんな基幹車種でもあるエクストレイルの2017年販売台数は、6月にマイナーチェンジを施したのにもかかわらず前年対比88.8%と低迷。これは、日産の完成検査問題が大きく影響し、販売台数を伸ばせなかったことが大きな理由だ。

SUV販売台数ナンバー1を維持が日産の狙い

日産が自滅している間に着々と販売台数を伸ばしていたのが、ライバルのマツダCX-5。同じクラスには、スバル フォレスターも存在する。このフォレスターも日産と同じく、完成検査問題で自滅していた。こうした追い風を受け、CX-5は好調で、2017年は41,622台を売り新車販売台数ランキングでは26位に入った。

ライバルCX-5に販売台数で急接近されたエクストレイル。完成検査問題があったとはいえ、このクラスのSUV販売台数ナンバー1は維持したいところ。年度の最大繁忙期である2018年2~3月で、CX-5を大きく引き離したいはずだ。CX-5は、安全装備を含んだ価格面でも買い得感が出ている。その対抗策ともいえるのが、新登場した特別仕様車エクストレイル「20Xi」、「20Xi HYBRID」といえる。

先進予防安全装備を標準装備した特別仕様車

今回、新設定された2タイプの特別仕様車は、マイナーチェンジで用意された「プロパイロット」などの先進予防安全装備装備が標準装備化されている。

このプロパイロットは、高速道路などで同一車線内を維持しながら、前走車を追従走行する機能をもつ。渋滞時などでは停止まで自動で行う。再発進時は簡単な操作で再び前走車追従、車線維持を行う。追突事故軽減という安全面だけでなく、ドライバーの疲労軽減にも役立つのが特徴だ。

従来のグレードでは、他の予防安全装備も含んだセットオプションとして設定されていた。今回、投入された特別仕様車「20Xi」「20Xi HYBRID」には、このプロパイロットに加え、以下のような運転支援システムを標準装備化しているのが特長だ。

・インテリジェント LI(車線逸脱防止支援システム)
・RCTA(後退時車両検知警報)
・ハイビームアシスト
・インテリジェント アラウンドビューモニター
・インテリジェント ルームミラー

価格面ではお買い得感あり

特別仕様車エクストレイル「20Xi」、「20Xi HYBRID」は、価格面で少々買い得感がある仕様となっている。

エクストレイル「20Xi HYBRID」の価格は、ベース車の20X HYBRIDと比べると、約18万円高くなっている。この価格差で、プロパイロットなどの先進予防安全装備を装着したことになる。「20Xi HYBRID」にプラスされた装備は、オプションで約21万円相当程度なので、若干買い得感が出ている。

2.0Lガソリン車の「20Xi」は、さらに買い得感がある。ベースの20Xと比べると、こちらも約18万円の価格アップだ。ただ、プラス装備された分の価格は、約28万円分相当。ガソリン車は、かなり買い得感が出ている。

販売現場ではCX-5より安くなる可能性も

今回投入された特別仕様車の価格設定は、ほぼ値下げといっていいだろう。これは、ライバルであるCX-5をかなり意識してのものと予想できる。ガソリン車の20Xiは、CX-5 20S PROACTIVEに近付けていて、ハイブリッドの20Xi HYBRIDは、CX-5 XD PROACTIVEに近付けている。かなり、積極的に勝負に出た印象だ。

ただ、注意したいのは、両車とも装備差が微妙にある。エクストレイルにはサイド&カーテンエアバッグがオプションなのだが、CX-5には標準装備化されている。逆にエクストレイルには、リモコンオートバックドアが標準装備化されているが、CX-5に装備されていない。

価格面では、エクストレイルの方が高価な印象があるが、実際の販売現場では逆になる可能性が高い。CX-5は、ほぼ値引きゼロ戦略を取る。しかし、エクストレイルは、それなりの値引き額が提示されるだろう。こうなると、見積り上の支払総額はエクストレイルの方が安くなるケースもあるだろう。

エクストレイルは、上手く値引き額を引き出すことができればお得に購入できそうだ。また、最近のSUVは非常にリセールバリューが高くなっているので、短期の乗り換えでもお勧めできる。

日産エクストレイル特別仕様車の価格、装備など

【価格】
・20Xi FF 2列 2,803,680円/4WD 2列 3,009,960円
・20Xi HYBRID FF 2列 3,071,520円/4WD 2列 3,277,800円

【装備】
■エクストレイル20Xi特別装備
・プロパイロット
・インテリジェント アラウンドビューモニター
・インテリジェント ルームミラー
・ハイビームアシスト
・ステアリングスイッチ(プロパイロット)
・電動パーキングブレーキ
・オートブレーキホールド
・インテリジェント LI(車線逸脱防止支援システム)
・BSW(後側方車両検知警報)
・RCTA(後退時車両検知警報)
・LEDヘッドランプ
・インテリジェント オートライトシステム
・フォグランプ

■エクストレイル20Xi HYBRID特別装備
・プロパイロット
・インテリジェント アラウンドビューモニター
・インテリジェント ルームミラー
・ハイビームアシスト
・ステアリングスイッチ(プロパイロット)
・電動パーキングブレーキ
・オートブレーキホールド
・インテリジェント LI(車線逸脱防止支援システム)
・BSW(後側方車両検知警報)
・RCTA(後退時車両検知警報)