この記事の目次 CONTENTS
BMWハイブリッドのラインナップは全5種類
2シリーズ「225xe iPerformance アクティブツアラー」
3シリーズ「330e iPerformance」
5シリーズ「530e iPerformance」
7シリーズ「740e iPerformance」
X5「xDrive40e iPerformance」

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMWハイブリッドのラインナップは全5種類

近年ではすっかり市民権を得たハイブリッド車。「ヨーロッパ車といえばディーゼルが主流」というイメージもあるが、そこは環境意識の高い地域。BMWを含むドイツの高級ブランドは、ハイブリッドモデルも数多く用意している。

BMWが展開しているハイブリッドモデルは、現状、以下の5種類。

・2シリーズ「225xe iPerformance アクティブツアラー」
・3シリーズ「330e iPerformance」
・5シリーズ「530e iPerformance」
・7シリーズ「740e iPerformance」
・X5「xDrive40e iPerformance」

ハイブリッドが欲しい場合はどのモデルにすべきか迷っている人のために、モデルごとの違いや購入のポイントなどをご紹介したい。

2シリーズ「225xe iPerformance アクティブツアラー」

BMW2シリーズアクティブツアラーは、Cセグメントに属する5ドアモデル。BMW史上初めてFF(前輪駆動)を採用し、話題となっていた。そんなアクティブツアラーにPHVを搭載したことで、全く新しい駆動体験ができるクルマに仕上がっている。

BMW2シリーズ225xe iPerformance アクティブツアラー_外観

FF/FR/4WDの3種類駆動形式

225xeには独自の駆動システムが採用されており、1.5リッター直3ターボエンジンで前輪を、88ps/16.8kgmの電気モーターで後輪を駆動する。これに3種類の作動モードを組み合わせることで、FF/FR/4WDの3種類の駆動方式を堪能できる。8.8インチのディスプレイ内の表示をチェックしていると、その動きはかなり面白い。

普段の駆動モードについては、デフォルトで「AUTO eDrive」モードを選んでおけば問題ない。電気モーターとエンジンのバランスを考慮したもので、約80km/hまではモーターだけの走行も可能だ。一方、ゼロエミッションで走りたい時は「MAX eDrive」モードを使えば125km/hまでのEV走行が可能だ。

中古車在庫はまだまだこれから

523万円〜の225xe iPerformanceアクティブツアラー。500万円台とBMWラインナップの中では手頃な価格帯で人気だ。オススメは、これもリセールバリューが高く装備なども充実しているMSport(544万円〜)。

「新車ではちょっと手が届かない」という人には、中古車扱いになっている未使用車という選択肢もある。流通量は少ないので、大手の中古車取扱店を中心にあってみると良いだろう。

3シリーズ「330e iPerformance」

BMW3シリーズは、初心者から熱狂的なファンまで幅広く愛される代表モデル。日本独自の交通事情や駐車場事情に対応するため、ETC対応車載器内蔵ルームミラーを搭載し、全幅1800mmに変更されるなどの、日本仕様車を展開している。現行車種は6代目だ。

そんな人気の3シリーズにハイブリッドのパワーユニットが搭載されている、330e iPerformance。2016年1月に登場した。

BMW 3シリーズ330e iPerformance_外観

安心装備も充実。抜群のコストパフォーマンス

2.0Lターボエンジンを搭載したPHVモデル、330eは、120㎞/hまでEV走行可能。最長36.8㎞のEV走行が可能だ。驚きなのは価格。700万円を超えるメルセデス・ベンツのPHV C350eに対して、330eは610万円という戦略的な価格で勝負に出ている。

この値段ながら、安全装備は充実。現行機種では先行車との車間維持はもちろん、渋滞時などには停止から再発進までサポートするアクティブクルーズコントロールが標準装備。長距離動などではドライバーの負担を大幅に軽減してくれる。

 

幅広く検討し賢い買い物を

2016年に発売されたモデルということで、新車でも値引き交渉がしやすくなってきている3シリーズ。ただしハイブリッドモデルはやや高価、さらに3シリーズが少しずつ値上げしていることもあり「3シリーズに600万円はちょっと」という人もいるだろう。

そういう人は、未使用車や中古車在庫も併せて検討してみてほしい。先代モデルも含めて検討すれば、かなりお買い得な車両も見つかるだろう。

新車/中古車、グレード、モデルなど、幅広く選択肢を検討して、賢い買い物をしてほしい。

5シリーズ「530e iPerformance」

日本ではBMWの主力といえば3シリーズというイメージが強いが、実は海外では5シリーズも人気。5シリーズの現行型は2017年2月に日本に導入され、初代から数えて7代目となる。全長4,945mm全幅1,870mmというボディサイズは中型乗用車に分類されるが、日本では十分に大型セダン。しかし、世界に目を向ければ5シリーズこそBMWの主力車種だ。

BMW 5シリーズ530e iPerformance_外観

世界標準の5シリーズに最新のPHVと安全装備

530eはそんな5シリーズのPHVモデルだ。530eに搭載されるパワーユニットは、2.0L直4ターボエンジンに、8速ATと一体化された高出力電気モーターが組み合わされている。システムトータルの最高出力は252ps。最大トルクは420Nmという余裕あるパワーとトルクを発揮する。モーターだけで120km/hまでの速度域で走行可能で、最長距離は50.0km。

その走りは極めて静か。はじめてドライブした時に感じる感動は格別だ。満充電からEV走行の静けさは当たり前だが、外からの音がほとんど気にならない。窓にたたきつける雨音が僅かに気になるくらいで、水の跳ね上げ音もほとんど聞こえてこない。ハイブリッド車の魅力である静粛性が極限に高められている。

 

他モデルも視野に中古車を

もちろん、パワーユニットと、それによって影響を受ける走行性能、ドライブフィール、燃費などを除けば、それ以外の点は他の5シリーズと同じ。部分自動運転システムなど、5シリーズに搭載されている最新の安全性能は当然装備されている。

そんな5シリーズ「530e iPerformance」の価格は新車で814万円から。ハイブリッドカーはバッテリーが高価な分、5シリーズの他のモデルと比べてもやや高い。2017年に現行モデルにモデルチェンジしたばかりということもあり、価格交渉もしにくいだろう。

価格がボトルネックになる人は、第6世代で販売されていたアクティブハイブリッド5の中古を検討してみても良いだろう。こちらはPHVではないためコンセントなどからの充電はできないが、こちらは燃費よりもドライブフィール優先のBMWらしい走り。先代モデルということもあり価格も手ごろになってきているため、併せて検討してみてほしい。

7シリーズ「740e iPerformance」

7シリーズは、BMWの大型高級サルーンだ。最も安価なモデルでも1,000万円以上。全長は5mを超え、全幅も1.9mという堂々たる大きさ。インテリアももちろん充実している。3mを超えるホイールベースが生み出す居住性に、高級レザーのリヤシート。まさに、BMWを代表するフラッグシップモデルだ。

BMW 740i 外観

フラグシップに敢えての4気筒

超高級路線のフラグシップセダンでありながら、環境時代に対応したPHV。それが740e iPerformanceだ。本来このクラスの車種に載せられるエンジンは、多気筒がステータスとして好まれる傾向がある。ところが、740e iPerformanceに搭載されたエンジンは2.0Lの直4ターボ。思い切ったダウンサイジングが施された。燃費や軽量化、そして効率的にはメリットは大きいが、マーケット的には、かなりリスクのあるダウンサイジングといえる。

この2.0L直4ターボエンジンは、最高出力190kW(258ps)/5,000rpm、および、最大トルク 400Nm(40.8kgm)/1,550-4,400rpm。2.0Lターボとしては、かなりハイパワーな仕様となっている。これにモーターを組み合わせると、システムトータルで最高出力240kW(326ps)、最大トルクは500Nm(51.0kgm)の卓越したパワーとトルクを発揮する。

0-100km/h加速は僅か5.4秒(ヨーロッパ仕様車値)と俊足。充分なパワーで巨大な7シリーズセダンを制御し、安定した走行体験をもたらす。ハイブリッド車であることを忘れてしまう乗り心地。さすが7シリーズだ。

価格にみる、BMWからのメッセージ

そして、注目したいのは価格だ。なんと価格は、1,093万円〜。ガソリン車の740iが1,424万円〜なので331万円ほど安い。ガソリン車よりPHVの方が安いという価格設定にBMWの「これからの時代、普及させるべきはPHVである」というメッセージを感じる。

BMWのフラグシップでありながら、メーカーのメッセージが詰まった740e iPerformance。もし予算が許すならば手に入れたい逸品だ。少しでもかしこく手に入れるために、気になる人は中古車情報をこまめにチェックだ。

X5「xDrive40e iPerformance」

BMWの誇るSUVシリーズのX5。ハイエンドラグジュアリーSUVのジャンルにあたる、堅牢性と居住性に優れた人気車種だ。BMWにとってはじめてのSUVとなったX5は、BMWの代用的なセダンシリーズである「5シリーズ」をベースに開発が行われた。X5は2013年にフルモデルチェンジがなされ、X5 xDrive40e iPerformanceは2015年に発売された。

BMW X5 xDrive40e iPerformance_外観

BMWのこだわり。加速性能抜群!

X5 xDrive40eに搭載されているエンジンは、2.0L直列4気筒BMWツインパワー・ターボ・エンジン。これに、8速ATと一体化された高出力の電気モーターを組み合わせ、システムトータルの最高出力は230kW(313ps)、最大トルクは450Nm(45.9kgm)を発揮する。

X5 xDrive40eのような1モーター式ハイブリッドの特徴は、アクセルを踏んだ瞬間、モーターのトルクが瞬時にクルマを押し出し、僅かに遅れて、エンジンの最大トルクが加わり、さらに力強さを増す。そのため、発進加速や中間加速が良い。こうしたモーターの特性と、エンジンの最大トルクが350Nmもあるため、0-100㎞/h加速は6.8秒となかなか俊足。PHVは低燃費化の技術ではあるが、ドライビングプレジャーを失わない。BMWのこだわりを感じる。

PHV化の犠牲と最新安全装備

X5 xDrive40eのラゲッジスペースは、500~1,720L。リチウムイオン電池をラゲッジ床下に配置していることもあり、X5 35dの650~1,870Lと比べると若干スペースは小さくなっている。ひとクラス下のX3が550~1600Lなので、通常使用時だと、X3よりやや小さい。たくさん荷物を積むという使い方をする人は、要注意だ。

装備関連では、他のグレードでオプションのアダプティブLEDヘッドライトが標準装備。安全装備面では、歩行者検知機能付きの自動ブレーキ関連の安全装備ドライビング・アシスト・プラスが標準装備されている。安全装備面は高いレベルにあると言える。

リセールバリューを高めるM Sport

ラグジュアリーな大型SUVであるX5。ハイブリッドモデルの新車価格は992万円からだが、オススメはM Sportモデル(1,057万円〜)だ。M Sportは、リセールバリューが高く装備なども充実しているので多少高価でもMSportを選択したほうが満足度も高い。PHVなので、エコカー減税は免税。

他方で「よりお安く買いたい」という人は、中古車を視野に入れると良いだろう。BMW X5 xDrive40eは、2015年に登場して3年目になる。中古車の在庫も徐々に増えてきており、年式が新しいもの、走行距離が短いもの、よりリーズナブルなものなど、豊富な選択肢からピッタリのクルマが見つかるだろう。