国産高級セダンで唯一売れているトヨタ クラウン。しかし、クラウンを除く国産メーカーのセダンは、完全に衰退し多くの顧客は輸入セダンに流れている。

とはいえ「輸入セダンはちょっと高くて手が届かない…」という人もいるのではないだろうか。そんな人に検討してほしいのが、中古車という選択肢。新車のクラウンの値段で、ベンツEクラスやBMW5シリーズにも手が届くのだ。

この記事の目次 CONTENTS
新車クラウンを買うなら500万円から
中古車という選択肢でぐっと幅が広がる
現行Eクラスが400万円前半から買える!
2017年モデルの5シリーズも500万円台から
中古車ならより幅広い車種が手に入る

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

クラウンがなぜ今でも売れ続けている理由は、ほぼ日本専用車であるということ。日本人のために、日本人が考え抜いて開発されているのだから売れるのは当然だろう。

そんな国産セダンとしては、高いステータスをもつクラウン。しかし、クラウンにも弱点がある。それは、メルセデス・ベンツやBMWと比べると、ブランド力がやや弱い。「いつかはクラウン」というCMコピーがあったが、最近の傾向は「いつかはメルセデス・ベンツかBMW」といった状況だ。

新車クラウンを買うなら500万円から

クラウンの新車価格は、人気のハイブリッド アスリートで約440万円程度から。ただ、実際の売れ筋グレードはハイブリッド アスリートS以上で、価格は500万円オーバーからとなる。最上級グレードのハイブリッド アスリートGになると、約585万円からという価格になる。

その予算があればベンツやBMWも買える?

この新車クラウンの500~600万円という予算で、憧れのメルセデス・ベンツやBMWが買えると言われると、心穏やかではいられなくなるのではないだろうか?しかも、狙えるのが「クラウンより1クラス上」となるメルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズなのだ。

考え方をちょっと変える必要があるのだが、それだけで憧れの高級輸入セダンが身近になる。

中古車という選択肢でぐっと幅が広がる

考え方をどう変えるのか? それは「中古車」という選択を加えるということだけだ。それだけで、クルマ選びの選択肢は何百倍にもなる。

新車のデメリットは、選択肢が少ないこと。新車クラウンの予算500~600万円となると、買えるクルマは限られる。

しかし、中古車は年式や走行距離、装備、色などで価格は大きく変動する。例えば少し年式を古くするだけでも、1クラス上の車種や憧れのクルマまでターゲットに入ってくるのだ。しかも、輸入車はフルモデルチェンジサイクルが8年前後と長いのが特徴。そのため旧型ではなく、現行モデルを中古で買うことができるのだ。

現行Eクラスが400万円前半から買える!

新車クラウンの予算である500~600万円で、まず中古車のEクラスを探してみよう。現行Eクラスの価格は約700万円から。新車クラウンの予算では手が届かない。現行モデルは2016年にフルモデルチェンジしたばかりだ。

しかし中古車に目をけてみると、話が変わってくる。2016年式の現行Eクラスがでなんと400万円台前半から選べるようになってきている。当時、新車価格675万円だったE200アバンギャルドがずらりと並んでいる。また人気のディーゼル車であるE220dアバンギャルドも、現行モデルである2016年式で500万円台前半から手に入る。

運転支援システムや先進予防安全装備はクラウンを圧倒

この現行Eクラスは、自動運転技術を使った運転支援システムが充実。車線が不明瞭、または表示されていない場合にも自動で先行車に追従。さらに、「アクティブレーンチェンジングアシスト」だ用意され、ドライバーがウインカーを2秒以上点滅させると、行き先の車線に車両がいないことを確認後、自動で車線変更するという最新の運転支援技術が搭載されている。

クラウンハイブリッドの燃費性能にはかなわないが、こうした運転支援システムと先進予防安全装備はクラウンを圧倒する。

2017年モデルの5シリーズも500万円台から

そして、次はBMW5シリーズの中古車価格だ。現行の5シリーズも2017年にフルモデルチェンジしたばかり。そのためEクラスの2016年式と比べると、価格はやや高めになる。中でもエアロパーツなどを装備したMスポーツの人気が高く、高値傾向だ。

しかし逆にその他のグレードは安価傾向になる。デビュー当時、768万円したディーゼル車である523dラグジュアリーは、2017年式で400万円台後半から手に入る。Mスポーツにこだわらなければ、コストパフォーマンスに優れるグレードだ。523dMスポーツになると、価格は500万円台前半からといった状態になる。

未使用車の在庫が見つかることも

500万円台半ばの価格帯になると、なんと2017年登録の未使用車も、数が少ないものの流通している。グレードで多いのはディーゼル車である523dだ。

未使用車は登録しただけで、ほぼ新車コンディションだ。登録後1年近く経過しているとはいえ、新車のクラウンハイブリッドと同等の価格で買えるというのは非常に買い得感が高い。燃費はクラウンハイブリッドが勝るが、ディーゼル車なら20円/L以上燃料費が安くなるため、クラウンハイブリッドに同等レベルの燃料費になる。

走行性能、安全性能でクラウンを圧倒

また、5シリーズの魅力は、やはりスポーティな走行性能。キビキビとしたハンドリング性能や、卓越した高速安定性は誇る。現行5シリーズは、クラストップレベルの空力特性をもっている。また、こうした走行性能に優れた先進予防安全装備も装着。走行性能、安全性能でクラウンを圧倒する。

中古車ならより幅広い車種が手に入る

「なにがなんでも新車」という考え方さえ変えて中古車という選択肢を入れてみると、クルマ選びの幅は大きく広がる。

今回クラウンハイブリッドの新車価格帯をベースに比べてみたが、わずか1年経過しただけで、1クラス上のプレミアブランド車であるメルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズが十分に手に入れることができることが分かったと思う。しかも、Eクラスや5シリーズは、クラウンハイブリッドより1クラス上になるモデルなので、先進予防安全装備やその他の豪華装備も非常に充実している。積極的に選んでも損はない。

新車クラウンハイブリッドと同じ予算でも、中古車という選択をするだけで、1つ上のステータスを得ることができる。