ダイハツ ミライース<パワーとトルクを犠牲にしてまで達成したガソリン車トップの低燃費35.2㎞/L!>

ダイハツミライースダイハツ ミライースは、2011年9月にデビュー。デビュー前から「第3のエコカー」というキーワードで、CMなどが大量投下された。ハイブリッド車が全盛だったこともあり、第3のエコカーという言葉は、非常に話題となった。そして、その第3のエコカーとは、どんなクルマなのか期待が高まった。

そんな大きな期待の中登場したミライースだったが、ある意味期待を裏切った。良くも悪くもただのガソリン車だったからだ。誇大広告のようなものだったが、軽自動車の本質である低燃費・低価格を徹底追求。燃費は、当時ガソリン車トップの30.0㎞/Lを達成。そして、価格は79.5万円からという驚きの価格を実現したのだ。

そんなミライースが一部改良で、燃費を35.2㎞/Lとしてガソリン車トップとなる低燃費を実現した。また、一部グレードにブラックシート表皮などをセットにした「ブラックインテリアパック」をオプション設定。上質で落ち着いた室内空間を演出している。

デビュー当時、軽自動車の主流はムーヴ やワゴンR といったハイト系 ワゴン 。ロールーフ型と呼ばれるミライースなどは、ほとんど人気が無く、購入層は価格重視の顧客か営業車といった状況だった。そんな一般顧客に見捨てられていたマーケットに、再びスポットライトをあてたのがミライースなのだ。その結果、再びこのクラスのマーケットは復活。ミライースを中心にマーケットは拡大傾向になった。

当然、ライバルの関係にあるスズキも黙ってみていることはなかった。スズキもアルトの低燃費バージョンであるアルトエコを投入。その後、アルトエコとミライースの永遠に終わらないと思われる燃費戦争に突入することになる。お互いに、ガソリン車燃費ナンバー1の座を争い続けている。直近の燃費トップは、アルトエコの35.0㎞/Lだったので、ミライースはわずか0.2㎞/L上回ったことになる。

0.2㎞/Lのアップなど、実際の実燃費にそれほど影響することはないとし、不毛な燃費い戦争だという意見もある。確かにその通りだ。ただ、この2台はそれを繰り返した。その結果、3年弱の年月で30.0㎞/Lから、35.2㎞/Lへ燃費が向上している。なんと、この短い期間で約17%も燃費が向上したことになる。微妙な差だと逃げることなく、燃費技術を磨き続けたことが、わずか3年で大きな進化となっているのだ。0.2㎞/Lの燃費アップも無駄ではないということだ。

ミライースが、35.2㎞/Lという低燃費を実現できた技術は、「パワートレーンの進化」「車両の進化」「エネルギーマネジメント」をそれぞれ改良。熱効率の向上や走行抵抗の低減、エネルギー効率の向上などを徹底的に追求した。

ダイハツミライースまず、エンジンが大幅に進化した。低燃費化への定番メニューともいえる高圧縮比化がされた。圧縮比化は11.3から12.2へアップ。さらに、アトキンソンサイクル化が施され、デュアルインジェクターも採用。もはや、安価な軽自動車とは思えないくらいの高コストなエンジンとなった。

ただし、高圧縮化とアトキンソンサイクルが導入されたことで、パワーとトルクのスペックがダウンしている。52ps&60Nmとう従来のスペックから、49ps&57Nmへとパワーとトルクがややダウンした。アルトエコのパワーとトルクは52ps&63Nmと、ミライースを上回る。さらに、アルトエコの方が車重がわずかに軽い。そのため、スペック上ではアルトエコの方が加速性能などは高そうだ。アルトエコとミライースのどちらかを購入しようとしているのであれば、試乗して加速感などを確認したほうがよい。

スペック的には、走行性能より燃費重視となってきた感じが強いミライース。ミライースには、アルトエコのように、リチウムイオン電池をもつエネチャージなどの技術はないし、変速比幅の広い副変速機付きのCVTもないからだ。当然、ダイハツもこうした技術を投入すれば、さらに燃費は伸びる可能性もある。

対するスズキは、簡易型のハイブリッドシステムを開発済みで、ワゴンRに搭載予定だ。この技術がアルトエコにも投入されれば、さらなる低燃費化が期待できる。

驚きなのは、これだけの改良を施し、新型ミライースの価格は据え置き。こういった競争で、良いクルマがより安く手に入るようになることは、歓迎したい。

価格:D 766,286円 (FF)~Gf“SA” 1,316,572円(4WD)