富津の森で聴く波の音

クルマでしか行けないVol.45
富津の森で聴く波の音＠Cafe GROVE
先日、公開されたジブリ映画「思い出のマーニー」をご覧になりましたか？
2人の女の子が心を通い合わせることで展開する物語は心温まるものでしたが、筆者が最も惹かれたのは優しく打ち寄せる穏やかな波や、森に差し込む柔らかな木漏れ日といった物語の世界観を創り出していた風景です。
物語の舞台となった海辺のように、海と森を同時に味わえる場所はないかと調べてみると、ありました。千葉県富津市にある亀田の森のとなりには海が広がり、海と森とを存分に味わえるとのこと。
ここに決めた！と、早速マーニーの世界へとクルマを走らせます。

対向車が来ないことを祈るような細い道をゆっくりと進みます

館山自動車道富津ICを降り、腰あたりまで成長した稲穂の絨毯の間を縫ってクルマを走らせること20分。クルマ１台がやっと通れるほどの道は行き止まりに。ここからはクルマを降りて徒歩で海へと向かいます。

秘密基地へとつながっているかのような路地をひたすら進みます

左右を草木に覆われ、少し上り坂となったあぜ道を一歩一歩進むこと約20m。
額に浮かぶ汗を拭きながら坂道を登り切ったと同時に視界へと飛び込んできたものは、視野180度に広がる、青い空と海。
不思議なもので、素晴らしい風景に出合うと、感動の後に、何故か「幸せー」と叫びたくなります(笑)。

登り坂をあがると目の前が急に明るくなり大きな空が広がります

視界を遮るものがなく、目の雨にあるものは空と海。
いつまでも眺めていたい景色がありました

景色を眺めていると五感がリフレッシュされていくのを感じます。
が、景色では満たされない場所がありました。お腹です。そこで、途中で見かけたカフェの看板を思い出し、足早にお店に向かいます。

Cafe GROVEさんへの入口。奥にはジブリのような世界が広がっていました

背の高い木々に囲まれた広場の中にウッドデッキの上に建てられたコテージのような建物Cafe GROVEさんを発見しました。
淡いブルーの壁色が森の緑と調和。木々の隙間から差し込む光の筋が照らす先は、無造作に置かれたテラス席。
ここもまたジブリに登場しそうな佇まいで訪れる人の心を和ましてくれます。

森の木陰に隠れるようにひっそりと佇むCafe GROVEさん

テラス席には木の葉の隙間から柔らかな光が差し込みます

地元の食材にこだわった野菜カレーを注文した後、深呼吸で森の空気を吸い込み、そっと目を閉じると聞こえてきたのは、さっき見た波の音。
「森の中で波の音が聴けるなんて！」と、うれしいサプライズに耳を澄ますこと10数分。木陰で聞く波の音に心地よさを感じていると「お持たせしました」と目の前に置かれたのは、トマトやオクラ、カボチャなど色鮮やかな野菜がトッピングされた野菜カレー。
あたりを包み込む香ばしい匂いに我慢できず、早速一口ほおばると、「あれ？想像と違う？」。カラフルな野菜の色使いからスパイシーな味を予想していましたが、穏やかな味といいますか第一印象は和風。

色鮮やかな野菜が盛られた器は、まるでおもちゃ箱のようにワクワクさせてくれます

オーナーの浜本さんにお聞きすると、「かつおなど魚介類をベースにしています。よくあるカレーと少しちがって食べやすいけど、カレーのピリリとした辛さも味わえる。せっかくここまできたんですから、普段とは違うものをという思いでつくりました」と、味付けの秘密を教えてくれました。

和風な味付けとカレーがこんなに合うなんて、これまで多くのカレーを食してきた筆者は目からウロコ。あっという間に新鮮なトッピングされた野菜までも完食。
五感だけでなくお腹も満たすこともできました。

「自然の中で違和感なく溶け込めるような場所にしたいという思いでオープンしました。ここでは四季折々の風景が楽しめるので、心が落ち着く季節を見つけにきてほしいですね」と、浜本さん。

オーナーの浜本さん（中）とスタッフのみなさん

ジブリのような世界で五感とお腹を満たした筆者。
プリシラ・アーンの「Fine On The Outside」。思い出のマーニーの主題歌を口ずさみながら家路へと向かいました。

＜アクセス＞
Cafe GROVE
住所：千葉県富津市亀田1237
TEL: 0439-66-0936
営業時間／11:00 〜 17:00
定休日／火曜・水曜
HP：http://cafe-grove.tumblr.com/