現在のディーゼル車(クリーンディーゼル車)は環境性能に優れ、燃費が良いです。しかしデメリットもあり、なかには「やめとけ」という声も。ここではディーゼル車とガソリン車の違いやメリット・デメリット、代表車種の一覧や人気車種をご紹介しています。
- ディーゼル車とはどんなクルマ?
- ディーゼル車とガソリン車の違い
- ディーゼル車のメリット
- ディーゼル車のデメリット
- ディーゼル車に向く人は?
- ディーゼル車の代表車種と人気車種
- ディーゼル車でよくある質問
- norico編集部オススメ記事
ディーゼル車とはどんなクルマ?
ディーゼル車とは、軽油を燃料とする内燃機関(エンジン)を搭載したクルマです。
軽油はガソリンと同じように石油を原料としていますが、ディーゼルエンジンはエネルギー効率が良く、燃費が良いのが特長です。また、トルク(タイヤを回す力のこと)が大きく加速力に優れている点も魅力です。
クリーンディーゼル車とは?
クリーンディーゼル車とは、有害物質の排出量が少ないディーゼル車です。
かつてのディーゼル車は、粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)といった有害物質の排出量の多さが問題でした。環境汚染の観点から、国内外で規制の動きもあったほどです。
クリーンディーゼル車は上記の有害物質の排出量を抑え、二酸化炭素の排出量もガソリン車より2割ほど低減。2023年までは、エコカー減税など税制優遇の対象にもなっていました。
ディーゼル車とガソリン車の違い
ディーゼル車とガソリン車の主な違いは、以下の通りです。
ディーゼル車 | ガソリン車 | |
---|---|---|
燃料 | 軽油 | ガソリン |
点火方式 | 自然着火 | 火花点火 |
燃費性能 | ◎ | 〇 |
燃料価格 | ◎ | 〇 |
環境性能 | 〇 ※クリーンディーゼルの場合 |
〇 |
走行特性 | 低回転から強いパワーを発揮 ※ただし高回転まで加速が続かない |
高回転でスムーズな加速性能を発揮 |
静粛性 | ある程度高い | 高い |
車両価格 | ガソリン車よりも高い | 安い |
ディーゼルエンジンは圧縮比が高い状態で自然着火により爆発的な燃焼を起こすため、パワフルに走ります。
そのため大型SUVやバン、バスやトラックといった大型車で多く採用されています。
ディーゼル車とガソリン車の得意領域
ディーゼル車は、エンジンの回転数が少ない低回転域で最大トルクを発揮。トルクとは、自転車でいうペダルを漕ぐ力です。「発進したてで、これからスピードを出したい」「追い越したい」というタイミングで力強く加速します。
一方、ガソリン車は高回転域で最大トルクを迎えるため、低速では力強さに欠けますが、スピードが出てきた段階でスムーズに加速します。
ディーゼル車のメリット
日本ではガソリン車のほうが普及していますが、ディーゼル車にも多くのメリットが存在します。
①ガソリン車より燃料代が安い
ここではマツダ「CX-5」を例に、ディーゼル車とガソリン車の燃費を比べます。
【CX-5(Smart Edition、2WD)の場合】
ディーゼル車 | ガソリン車 | |
---|---|---|
WLTCモード燃費 | 17.4km/L | 14.6km/L |
1Lあたりの燃料代※ | 154.2円 | 174.5円 |
1万km走行に必要な燃料 | 約574.7L | 約684.9L |
1万km走行時の燃料代 | 約8万8,619円 | 約11万9,515円 |
※燃料代は2024年8月21日付経済産業省発表の「石油製品価格調査」の結果より
同じモデルで比べると、ディーゼル車はガソリン車より燃費が良く、さらに軽油はガソリン価格に比べて1Lあたり20円ほど安いです。
そのため同じグレードのCX-5でも、1万km走行時の燃料代は、上記のようにディーゼル車のほうが3万円安くなっています。
②加速がスムーズで力強い
先述の通り、ディーゼル車は低速域を中心に、優れた加速力を発揮します。また全体的なトルク自体も大きく、大きな荷物を載せた状態や坂道でも力強く走るのが特長です。
③耐久性が高い
ディーゼルエンジンは、一般にガソリンエンジンより造りが頑丈です。トラックなどの大型商用車に採用されることが多いのは、こうした頑丈さも理由の一つです。
④最近のモデルは環境にやさしい
かつてのディーゼル車は大気汚染の懸念から規制の動きもありました。しかし現在のクリーンディーゼル車はガソリン車より二酸化炭素の排出量も少なく、電気自動車ほどではありませんが、環境にやさしいです。
⑤最近のモデルは静粛性が高い
ディーゼル車は構造上の課題として、音や振動が大きい欠点がありました。しかし現在のディーゼル車は静粛性が向上し、振動も少なくなっています。
振動が少なく、加速もスムーズなので体が疲れにくく、運転が快適です。特に、長距離運転では疲れにくさを実感できるでしょう。
ディーゼル車のデメリット
多くのメリットがある一方、ディーゼル車にはデメリットもあり、なかには「やめたほうがいい」という意見もあります。
①ガソリン車より車両価格が高い
ディーゼル車は、同じ車種・グレードのガソリン車に比べると車両価格が数十万円高いです。
たとえばマツダの「CX-5」(Smart Edition、2WD)の場合、ディーゼル車がガソリン車に比べて約30万円ほど高価です。
②ガソリン車より整備費用が高い傾向
クリーンディーゼル車には、窒素酸化物を浄化するためのシステムが搭載されています。このシステムにはアドブルー(高品位尿素水)の補充が必須で、定期的な購入が必要です。
また、エンジンオイルの交換もガソリン車より高頻度で行わなければいけません。
③寒いと燃料が凍結することも
軽油は低温で燃焼しにくい特徴があり、寒冷地では凍結のリスクもあります。冬場の寒冷地で長時間駐車した後は、特に注意が必要です。
なお、寒冷地で販売されている軽油(3号軽油)は、凍りにくくするための添加剤がブレンドされています。
クルマは、年式が古くなると自動車税や自動車重量税が重課されます。ガソリン車の場合、自動車税の重課のタイミングは新車登録から13年ですが、ディーゼル車は11年です。一方、自動車重量税はガソリン車と同じく13年です。
ディーゼル車に向く人は?
以下のような人は、ディーゼル車の購入に向いています。
- 長距離運転が多い
- 荷物を大量に積むことが多い
- 山道など坂を走ることが多い
ディーゼル車は、ガソリンのハイブリッド車と同様に燃料代を抑えられます。しかし車両価格が高いので、その差額を埋めるとなれば多く走行したほうが良いです。
また、荷物を多く積んだり、坂を上がったりする環境では、トルクフルで力強い走りをするディーゼル車の良さが活かされます。アウトドアが好きな人とは、相性が良いでしょう。
ディーゼル車の代表車種と人気車種
ここでは、ディーゼル車の代表車種や人気車種をご紹介します。
国産ディーゼル車の車種一覧
2024年8月現在、国産メーカーで販売されている主なディーゼル車は以下の通りです。
メーカー | 車種名 |
---|---|
トヨタ | ・ランドクルーザー250 ・ランドクルーザー70 ・ランドクルーザー300 ・ハイラックス ・グランエース ・ハイエース |
日産 | ・キャラバン |
マツダ | ・MAZDA2 ・MAZDA3ファストバック ・MAZDA3セダン ・MAZDA6ワゴン ・MAZDA6セダン ・CX-3 ・CX-30 ・CX-5 ・CX-30 |
三菱 | ・デリカD:5 ・トライトン |
輸入車では、現在でも多くのメーカーがディーゼル車を販売しています。たとえばベンツやBMW、アウディはそれぞれ多くのモデルでディーゼル車を扱っています。
他方で、ディーゼル車を含め内燃エンジン車の全廃を決定しているメーカーもあります。たとえばボルボは、2024年初頭でのディーゼル車の生産終了を宣言しました。
人気車種①マツダ「CX-5」
マツダは他の国産メーカーに比べてディーゼル車を数多く販売しています。なかでもCX-5は、長年マツダのけん引役として高い人気を誇る車種です。
サイズ感としては広さに余裕があり、かつ大きすぎることもありません。近年は乗り心地や走りの安定感も増しており、価格以上の上質感を味わえます。
人気車種②トヨタ「ランドクルーザー300」
本格オフローダーのランドクルーザー300は、ボディ自体の耐久性が非常に高く、ディーゼルエンジンとの相性も抜群です。大きな荷物を積んでアウトドアに出かけると楽しいでしょう。
本格オフローダーでありながら、上質感も備えています。世界的に人気が高い車種のため、国内では度々受注を停止しています。
人気車種③BMW「X1」
「駆け抜ける歓び」をキャッチコピーとしているBMW。ステアリングやペダルのレスポンスに優れた車種が多いからこそ、BMWのユーザーはディーゼル車を選ぶ人が多いです。
X1は2023年にフルモデルチェンジし、走行性能の高さから「2023-2024 インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれました。
人気車種④MINI「MINI クロスオーバー」
現行モデルでは「カントリーマン」と名称が変更されているMINIのSUVです。MINIはゴーカートのようなハンドリングを味わうことができ、BMWと同様走る楽しさを感じられます。
多くのモデルでディーゼル車を販売していますが、なかでもタフな走りに向いているクロスオーバー(カントリーマン)では、ディーゼル車を検討すると良いでしょう。
ディーゼル車でよくある質問
Q. ディーゼル車はいつまで乗れる?
日本政府は、2050年に自動車の生産・利用・廃棄を通じたCO₂ゼロを目指す方針を示しています。そのため、現時点では2050年にディーゼル車やガソリン車がが乗れなくなると予想されます。
また、2035年頃までにディーゼル車とガソリン車の新車販売を停止する目標も掲げています。
【関連記事】ディーゼル車はいつまで乗れる?エコカー減税廃止と気になる今後
Q. ディーゼル車にガソリンを入れるとどうなる?
ディーゼル車にガソリンを給油すると、エンジンはまともに掛かりません。仮にかかっても力が無く、白い排気ガスを出して停止します。故障により多額の修理費用もかかります。
誤給油しても、走らせずにガソリンを抜き、軽油を入れ直せば大きな問題はありません。気づいた時点でガソリンスタンドのスタッフに相談しましょう。走らせてから気づいた場合は、その場で停止し、ロードサービスを呼ぶなどの対応をしましょう。
【関連記事】ガソリン車に軽油を入れてしまった!対処法は?走るとどうなる?
Q. ディーゼル車は走行禁止区域があるって本当?
クリーンディーゼル以前の旧ディーゼル車は、以下の都府県の一部区域にて使用・運行が禁止されています。
東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、 愛知県、三重県、大阪府、兵庫県
(いずれも全域ではない)
norico編集部オススメ記事
noricoでは、クルマ選びや購入後のカーライフ、買い替えなどに役立つ最新情報をお届けしています。今後の販売規制の動きや、ディーゼル車の選択肢として多い外車の維持費についてもチェックしましょう。
- Supervised by norico編集長 村田創
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中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!