ガソリン価格高騰が続き、家計を圧迫し続けている。一方、世界中の自動車メーカーは「カーボンニュートラル」を目指しEV(電気自動車)へシフトし始めている。現状、クルマ選びは非常に難しい。
そこで今回は、以下の二車種をピックアップした。
【三菱アウトランダーPHEV】
短距離移動が中心であれば、ほぼゼロ・エミッションとなる現実的な環境車
【マツダCX-8】
ガソリンより安価な軽油を使うことで、ハイブリッド車並みの燃料費になるディーゼル車
両車共に人気SUVであり、しかも7人乗りがメインのモデルだ。それぞれのメリットとデメリットを徹底比較評価する。
- この記事の目次 CONTENTS
- 三菱アウトランダーPHEVの特徴
- マツダCX-8の特徴
- PHEV優位は揺るぎなし!
- 補助金次第だが、コスパに優れるアウトランダーPHEV
- ある程度の値引きが期待できる
- キレイなCX-8、迫力のアウトランダーPHEV。異なる方向性
- ゆとりある室内区間と優れた使い勝手のアウトランダーPHEV
- 更になる進化に期待したい予防安全性能
- 路面状況を選ばないアウトランダーPHEV。ロングツアラーとして最適なCX-8
- アウトランダーPHEV、CX-8ともに高いリセールバリューが期待できる
- 悩ましい選択。カーボンニュートラルを意識するならアウトランダーPHEVか?
- 三菱アウトランダーPHEVの価格・スペック
- マツダCX-8の価格とスペック
三菱アウトランダーPHEVの特徴
PHEVは、Plug-in Hybrid Electric Vehicleの略である。
ハイブリッド車と異なるのは、外部電力を使い車両の走行用バッテリーを充電し、その電力が無くなるまで、基本的にEV(電気自動車)として走行する点だ。電力が無くなれば、ガソリンを使いハイブリッド車として走行する。短距離の移動はEVで走ることが多く、CO2の排出量はほとんど無くなる。長距離走行時はガソリンを使用するため、航続距離も長いというメリットがある。
EVのデメリットは、充電ポイントが少なく充電時間がかかる、航続距離がやや短いなどが挙げられる。だがPHEVであれば、ガソリンは容易に手に入り、給油時間も短いのでEVのようなデメリットはほとんどない。まさに、EVとガソリン車のいいトコ取りをした環境車といえる。
こうしたPHEVシステムと三菱独自のツインモーターAWDを組み合わせ、2013年に登場したのがアウトランダーPHEVだ。このツインモーターAWDは、当時、世界初となる技術で、2013-2014日本カー・オブ・ザ・イヤーでイノベーション部門賞を受賞している。
2021年12月には2代目アウトランダーPHEVが登場した。PHEVシステムは初代を踏襲しているものの、ほぼすべてが刷新されている。後輪側のモーター出力は70kWから100kWへと大幅にアップした。
基本骨格であるプラットフォーム(車台)も新しくなった。三菱・日産・ルノーのアライアンスで開発されたCMF-C/ Dと呼ばれるものだ。ボディサイズも拡大されたことにより、7人乗りモデルが中心となっている。
新しくなったPHEVシステムやプラットフォームによって、2代目アウトランダーPHEVは大幅に運動性能を高めた。
2代目アウトランダーPHEVの完成度は非常に高く、2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー、テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
マツダCX-8の特徴
マツダCX-8は、国内マツダのフラッグシップSUVとして2017年12月に発売された。CX-8は6、7人乗りの多人数乗車が可能となったラグジュアリーSUVだ。
CX-8は「走りやデザインを諦めたくない。でも家族や友人ともドライブを楽しみたい」と考える顧客向けに、多人数乗用車の新たな選択肢として提案された。
CX-8のパワーユニットは、デビュー直後は2.2Lディーゼルのみだった。その後、2.5Lと2.5Lガソリンが追加されている。
CX-8のインテリアは上質感があり、ラグジュアリーSUVに相応しい仕上がりだ。そのため、走りのキャラクターもロングツアラー的である。CX-5ほどの切れ味あるハンドリングではないものの、直進安定性に優れ、ゆったりとハイスピードで快適に移動できる。
PHEV優位は揺るぎなし!
1.燃費比較
アウトランダーPHEVの評価は 4.5
CX-8の評価は 3.5
燃費(WLTCモード)、EV航続距離、バッテリー容量は以下の通りだ。
燃費 | EV航続距離 | バッテリー容量 | |
---|---|---|---|
アウトランダーPHEV | 16.2~16.6km/L | 85~87km | 20kWh |
CX-8 | 15.4km/L(ディーゼル4WD) | ― | ― |
三菱アウトランダーPHEVのハイブリッド燃費とCX-8の燃費を比べると、ややアウトランダーPHEVが優れている。ただし、CX-8は燃料に軽油を使う。レギュラーガソリンより約20円/L前後安価なため、燃料費ではほぼ互角だ。
アウトランダーPHEVのメリットを活かせるのは、日々の短距離移動の繰り返しだ。通勤や送迎、買い物といった近距離走行であれば、ほとんどEV走行となりガソリンを消費しない。常に燃料を使い続けるCX-8と比べると、安価な電気を使うアウトランダーPHEVとの差はドンドンと大きくなる。使い方次第によるとはいえ、アウトランダーPHEVの方がメリットは大きい。
補助金次第だが、コスパに優れるアウトランダーPHEV
2.価格比較
アウトランダーPHEVの評価は 4.5
CX-8の評価は 3.5
価格は以下の通りだ。
三菱アウトランダーPHEV | 4,621,100〜5,320,700円 |
マツダCX-8(ディーゼル、4WD車) | 3,613,500~4,999,500円 |
三菱アウトランダーPHEVは、マツダCX-8より高価な価格となっている。駆動用の大容量バッテリーを搭載しているため、これは仕方が無いことだ。
だがアウトランダーPHEVには、国の令和3年度補正予算である「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」が出ていた。アウトランダーPHEVの場合、55万円も補助された。さらに自治体による補助金が加わる場合もあった。東京都だとトータルで100万円を超える補助金が出ていた。
令和4年度の補助金はどうなるか、まだ不明である。CX-8もわずかだが補助金が出ていたものの、補助金を含めるとアウトランダーPHEVのほうが安価になるケースが多くなる。
補助金次第で、かつ多少の装備差はあるとはいえ、アウトランダーPHEVのコストパフォーマンスは高いといえる。
またCX-8も、補助金を得たアウトランダーPHEVと比べるとやや高価になるものの、コストパフォーマンスは悪くない。このクラスの高級SUVとして名を馳せるトヨタ ハリアーハイブリッドは、3,800,000~5,040,000円(4WD車)なので、若干の装備差はあるが同等程度の価格だ。ただし、CX-8は7人乗りであることは含めば、CX-8は安価に感じる。
ある程度の値引きが期待できる
3.購入時の値引き術
アウトランダーPHEVの評価は 3.0
CX-8の評価は 3.0
三菱アウトランダーPHEVは、2021年12月に登場した。2022年4月現在、まだデビュー直後の新型車である。しばらくの間、基本的に値引きはゼロベースだ。
しかし三菱の場合、車種が少なく新型車もなかなか出てこない。そのため、店舗では1台でも多く売りたいので、「競合されれば値引き対応してでも受注したい」という流れになっているようだ。恐らく、トヨタRAV4 PHVなどと競合させれば、10~15万円程度の値引きは引き出させるだろう。
値引きを引き出すコツは、先に他車の見積りを取っておくことだ。アウトランダーPHEVが本命だと悟られれば、値引きしなくても買う客と判断されるからだ。
また、アウトランダーPHEVは多くのバックオーダーを抱え、納期が長くなっている。そのため値引きにはなかなか応じてくれないケースもあるだろう。こうした場合、商談期間を長くとり、ジワジワと値引きを上乗せさせていく方法もよい。
下取車がある場合、注意しなくてはいけないのが車検の問題だ。納期が長くなると、下取車の車検が先に切れることもある。こうなると、値引きもないまま慌てて注文せざるを得なくなる。車検が切れる日から逆算し、早めの商談がよい。
対するマツダは、値引きを抑制する営業をしている。特殊な場合を除き、大幅値引きはあまり期待できない。
ただしCX-8は2017年末にデビューしているので、モデル後期に入っている。商品力はやや下がり始めている時期だ。営業的には、値引きで対抗するしかない。
当然、何もしなければ値引きはゼロになる。同じ多人数乗車モデルであるアウトランダーPHEVや、トヨタ ハリアーハイブリッドなど価格帯の近いモデルと競合させることが重要だ。その上で、先にライバル車の見積りを取ることが大切である。
またCX-8の場合、それほど納期は延びていない。下取車がある場合、車検切れのタイミングと逆算して、6~7月、2~3月の繁忙期に登録できるタイミングで商談すれば、更なる値引きアップが期待できるだろう。
キレイなCX-8、迫力のアウトランダーPHEV。異なる方向性
4.デザイン比較
アウトランダーPHEVの評価は 4.0
CX-8の評価は 4.0
三菱アウトランダーPHEVの外観デザインは、とにかく大きく見えて迫力がある。ボンネットは、ほぼ地面に対して平行にすることで、大きな顔を創り出している。
その上で、三菱SUVのデザインアイコンである「ダイナミックシールド」を採用し、タフネスさと押出し感の強さをアピールしている。7人乗りなので、サイドビューはとにかく長くストレートなルーフとなった。横から見ても大きく見える。
開発コンセプトは「威風堂々」、デザインテーマは、「BOLD STRIDE(ボールド ストライド)」とした。まさに、開発コンセプト通りのデザインとなった。
アウトランダーPHEVのボディサイズは、全長4,710mm×全幅1,860mm×全高1,745mmだ。ややワイドなシルエットになっている。
対するCX-8のデザインは、アウトランダーPHEVとは異なりスッキリとしたキレイ系にまとめられている。
デザインテーマはマツダの「魂動デザイン」を採用した。普遍的な美しさと上質なデザインによって、日々の暮らしに心地よい刺激を受け続けて欲しいとの想いをこめて「TIMELESS EDGY(タイムレス・エッジ―)」がキーワードに掲げられた。
フロント&リヤデザインは、ひとクラス下のモデルになるCX-5と酷似している。見分けは付きにくいが、シットリして落ち着いた印象を受ける。6~7人乗りなので、CX-5よりもルーフが大幅に伸びているのも特徴だ。そのため、サイドビューは伸びやかで安定感あるシルエットにもなっている。
CX-8のボディサイズは、全長4,900mm×全幅1,840mm×全高1,730mmだ。全長はアウトランダーPHEVより190mm長い。
アウトランダーPHEVとCX-8の外観デザインは、かなり方向性が異なる。そのため、デザイン性というより好みで評価は大きく変わるだろう。とにかく大きく見え迫力重視が好きであればアウトランダーPHEV、キレイで飽きのこないデザインが好みならCX-8がおすすめだ。
ゆとりある室内区間と優れた使い勝手のアウトランダーPHEV
5.室内空間と使い勝手
アウトランダーPHEVの評価は 4.0
CX-8の評価は 4.0
三菱アウトランダーPHEVのインテリアデザインは、コッテリ系の外観デザインとは異なり、かなりスッキリ系になった。
アウトランダーPHEVの全幅は広いが、水平基調のインパネデザインによって、さらに広い空間に感じる。特に、ダッシュボードが平らで視界もよく運転しやすい。最新モデルらしくデジタルメーターも採用され、先進性や高級感もある。
アウトランダーPHEVには7つのドライブモードがある。ドライブモードの違いもメーター内に表示される画像によって走行シーンをイメージさせてくれるので使いやすい。
マツダCX-8のインテリアデザインは、「こだわりの書斎」を思わせる、上質と落ち着きに満ちた空間に仕立てたという。素材の質感や色味など、かなり高いレベルにあり、ドライバーや同乗者が共にリラックスできる空間に仕上がっている。
インパネデザインは、シンプルながら精緻感のあるデザインだ。だがメーターは通常の針を使っているので、やや古さを感じさせる。2017年末に登場したモデルなので、デジタルメーターを備えたアウトランダーPHEVなどと比べると仕方のない部分だ。
室内の広さは、ボディサイズの大きなCX-8が有利だ。各車のボディサイズとホイールベースは以下の通り。
全長×全幅×全高 | ホイールベース | |
---|---|---|
アウトランダーPHEV | 4,710mm×1,860mm×1,745mm | 2,705mm |
CX-8 | 4,900mm×1,840mm×1,730mm | 2,930mm |
数値からも分かる通り、全長とホイールベースは共にCX-8の方が長い。
特に3列目シートは、CX-8も短距離仕様でやや狭いが、全長が短いアウトランダーPHEVはさらにタイトだ。
またCX-8の2列目シートは、よりラグジュアリー感を味わえる6人乗りを設定しているが、アウトランダーPHEVは3人掛けのベンチシートのみとなる。
次に収納面を比較してみよう。
3列目シート使用時 | 3列目収納時 | |
---|---|---|
アウトランダーPHEV | 258~284L | 634~636L |
CX-8 | 239L | 572L |
荷室はアウトランダーPHEVがCX-8を上回る数値になっている。
また、狭い場所での駐車など、使い勝手の指標になる最小回転半径は、アウトランダーPHEVが5.5mなのに対して、CX-8は5.8mと少し大きい。全長とホイールベースが長いので仕方のない部分でもある。
使い勝手面では、アウトランダーPHEVのAC100V/1500W電源が非常に大きなメリットになる。この電源は、大容量バッテリーから1500Wまでの電力を取り出すことが可能だ。家電製品などがアウトランダーPHEVのコンセントから使えるようになる。
キャンプなどで家電が使えるようになり、楽しみ方の幅が広がるだけでなく、災害などによる停電時にも大きなメリットになる。クルマが電源車となるので、スマートフォンの充電に加え、冷房や暖房も使える。非常にも役立つ機能だ。
更になる進化に期待したい予防安全性能
6.安全装備の比較
アウトランダーPHEVの評価は 4.0
CX-8の評価は 3.5
三菱アウトランダーPHEVで重要な予防安全装備である自動ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車に対応している。その他、以下のような十分なレベルの予防安全装備が用意された。
- 踏み間違い防止アシスト
- 車線維持支援
- マルチアラウンドモニター(車両周囲のカメラ映像合成し俯瞰で見えるようにし死角を無くす)
運転支援機能には、クルーズコントロールも装備された。この機能は車線を維持しながら前走車に対して全車速で追従する。渋滞時には、簡単な操作でストップ&ゴーも繰り返し行えるので、ドライバーの疲労軽減に役立つ。
ポイントは、こうした機能が全車標準装備されている点だ。そのため、アウトランダーPHEVは、どのグレードを選んでも十分な予防安全性能を誇る。グレードにより安全装備に差を付けない姿勢は高く評価できる。
対するマツダCX-8の予防安全装備も、2017年末に登場したモデルであることを考えると高いレベルにある。ただし、自動ブレーキは昼夜の歩行者のみで、自転車にはまだ対応していない。その他、後側方車両接近警報や後退時車両接近警報など、日々安全確認として使える機能も標準装備化されている。
しかし、エントリーグレードには、全車速追従式クルーズコントロールとレーンキープアシストは装備されていない。やや物足りない部分だ。
ただし、両車ともに国産トップレベルの実力をもつ予防安全性能とは言いにくい。トヨタの予防安全装備パッケージであるトヨタセーフティセンスでは、すでに交差点内の右左折時歩行者や右折時対向車両、昼夜の歩行者と自転車、昼間の自動2輪車などにも対応している。アウトランダーPHEVやCX-8には、更なる進化を期待したいところだ。
路面状況を選ばないアウトランダーPHEV。ロングツアラーとして最適なCX-8
7.走行性能の比較
アウトランダーPHEVの評価は 4.5
CX-8の評価は 4.0
三菱は4WDへのこだわりが強い。意のままにクルマを操る4WD技術として、三菱独自の4WD制御S-AWC(Super All Wheel Control)をアウトランダーPHEVにも搭載している。
2代目となったアウトランダーPHEVの4WDにおける進化は、特に後輪側のモーター出力にある。リヤモーターは、先代の70kWから100kWへ大幅にパワーアップされ、フロントモーターも60kWから85kWへ増強されている。
出力アップされた前後モーターの前後トルク配分を、S-AWCにより自在にコントロールすることで、「安心・安定した走り」と「走る楽しさ」を両立しているのだ。
アウトランダーPHEVの走りの良さは、滑りやすい路面で分かりやすく体感できる。過信は禁物だが、「タイヤが滑り曲がり切れないかも?」と思うようなカーブでもS-AWCが4輪のタイヤをそれぞれ緻密に制御し、なんとか曲がれるようにアシストしてくれるのだ。この安心感は格別である。運転スキルの無いドライバーなら、クルマが制御し曲げてくれていることさえ感じないだろう。少し大袈裟だが、ドライバーは普通に減速してステアリング操作さえしていれば良いのだ。
アウトランダーPHEVのドライブモードは、全7モードある。少しモードが多いように感じるが、雪道やダートなどなど路面状態に合わせて最適な駆動力を得ることができる。どのモードを使用しても基本的に安心・安定した制御なので、ドライバーは「クルマに任せておけばよい」と思えるだろう。
こうしたオールマイティなS-AWCだが、ターマックモードを選択し横滑り防止装置をオフにすると、キャラが激変する。2トン級の重量級ボディながら、リヤタイヤを滑らせて走るドリフト走行も可能だ。まるで、スポーツカーのような走りもできる。これらを可能にしたのが、三菱のS-AWC技術だ。
アウトランダーPHEVの乗り心地は、ラグジュアリーSUVらしくややソフトな乗り味だ。悪路でも、ゆったりとストロークするサスペンションのおかげで、乗り心地は意外なほど快適である。逆に高速道路などでは、「もう少し引き締まったサスペンションセッティングでもよいのでは?」と、感じる人もいるかもしれない。
また、静粛性もとても高い。基本はEVなので、特に静かだ。エンジンが始動してハイブリッドモードに移行しても、静粛性の高さを維持している。エンジンはかなり遠くの方で動いている感覚になる。
対するマツダCX-8のハンドリングは、1クラス下のCX-5ほどのキビキビ感はない。ラグジュアリーSUVというクルマのキャラクターもあり、ゆったりとしたハンドリングになっている。とは言っても、ステアリング操作に対する反応はよく、しっかりと思った通りに動いてくれる。
CX-8は、高速道路などのロングツアラー的走りが得意だ。2.2Lディーゼルエンジンの出力は、200ps&450Nmと力強いが、低・中速域ではモーターで走るアウトランダーPHEVほどのアクセルレスポンスと力強さは無い。
しかし、逆に高速域ではアウトランダーPHEVには無いパンチのある加速感が続く。CX-8は、高い速度域で快適に移動できる印象が強く、長時間乗っていてもあまり疲れない。
CX-8は乗り心地も快適だ。アウトランダーPHEVのような柔らかな印象ではなく、少し締まったような乗り心地である。高速道路では、アウトランダーPHEVより快適に感じる。スポーティさを重視するのであれば、CX-8の方がおすすめだ。
CX-8の静粛性は、電動車であるアウトランダーPHEVには及ばない。だが、ラグジュアリーSUVなので遮音吸音は高いレベルにあり、不快な音は入ってこない。
そして、CX-8の4WD機能も優れた悪路走破性を備えている。アウトランダーPHEVほどマニアックではないが、険しい悪路でも高い走破性を実現する「オフロード・トラクション・アシスト」を搭載している。最低地上高も200mmもあるので、ラグジュアリーSUVとは思えないほど、悪路も得意だ。
アウトランダーPHEV、CX-8ともに高いリセールバリューが期待できる
8.リセールバリュー比較
2代目三菱アウトランダーPHEVはデビュー直後の新型車なので、リセールバリューは今のところ未知数だ。初代アウトランダーPHEVのリセールバリューで予想すると、人気SUVなので高値傾向になるだろう。
高年式となる2019年式の中古車相場は、おおよそ310~370万円だ。新車価格が約390~510万円だったので、新車価格の70~80%程度になっている。新車販売が絶好調だった2代目アウトランダーPHEVの人気が続くのであれば、リセールバリューは初代よりアップする可能性が高い。
より高い査定価格になると予想できるグレードは、最上級グレードのPだ。レザーシートも標準装備、さらに人気の7人乗りなので高値傾向になるだろう。逆に5人乗りはマイナス査定になる可能性が高いので、5人乗りは選択肢から外した方が無難である。
さらに査定アップが期待できるオプションは以下の通りだ。
- 電動パノラマサンルーフ
- 電動パワーシート
- ボーズプレミアムサウンドシステム
- ボディカラー…白・黒系
マツダCX-8もアウトランダーPHEVと同様、多人数が乗車可能な数少ないモデルだ。しかも2列目シートは3人掛けのベンチシートとキャプテンシートが選べるため、人気は高い。
CX-8も人気のSUVなので、リセールバリューは高値傾向にある。
2019年式の中古車価格は、ディーゼル車で260~350万円位が相場となっている。やや価格帯の幅が広い。新車価格は360~450万円程度なので、新車価格の72~78%だ。アウトランダーPHEVとほぼ同等程度の値落ちになっている。今後のリセールバリューは、CX-8がどれだけ人気を維持できるかにかかっているが、極端にリセールバリューが低くなることはないと予想できる。
より高い査定価格になりそうなのは、最上級グレードでかなり質感の高いエクスクルーシブモードだ。高品質なレザーシートなどが標準装備されたグレードである。
さらに査定アップが期待できるオプションは以下の通りだ。
- 10.25インチディスプレイ
- ボーズサウンドシステム
- サンルーフ
- ボディカラー…ブラックかグレー系
マツダ車は、赤系のボディカラーでも査定価格にそれほど影響しない。ただ、リセールバリューを考慮すると、無難なのはブラックかグレー系になる。
悩ましい選択。カーボンニュートラルを意識するならアウトランダーPHEVか?
9.まとめ・総合評価
三菱アウトランダーPHEVとマツダCX-8は、ほぼ同等程度の完成度を誇るモデルだ。デザインや走行性能など、方向性が異なるが、これは好みの問題だ。
ただ、悩ましいのは「カーボンニュートラル」という未来へのアプローチだ。アウトランダーPHEVは、EVへ完全シフトできない人向けの現実的な環境車でもある。日々の通勤や送迎、買い物といった短距離走行の繰り返しでは、ほとんどCO2を排出しない。しかも、電気は今のところ軽油よりも安価で経済性も高い。こうした環境性能を含んだ未来を考えると、軽油を使うディーゼル車よりPHEVという選択になる。
アウトランダーPHEV | CX-8 | |
---|---|---|
総合得点(40点満点) | 32.5 | 29.5 |
1.燃費 | 4.5 | 3.5 |
2.価格 | 4.5 | 3.5 |
3.購入時の値引きしやすさ | 3.0 | 3.0 |
4.デザイン | 4.0 | 4.0 |
5.室内空間と使い勝手 | 4.0 | 4.0 |
6.安全装備 | 4.0 | 3.5 |
7.走行性能 | 4.5 | 4.0 |
8.リセールバリュー | 4.0 | 4.0 |
三菱アウトランダーPHEVの価格・スペック
三菱アウトランダーPHEVの価格
グレード | 5人乗り | 7人乗り |
---|---|---|
M | 4,621,100円 | ― |
G | 4,904,900円 | 4,996,200円 |
P | ― | 5,320,700円 |
三菱アウトランダーPHEV燃費、航続距離、スペックなど
代表グレード | 三菱アウトランダーPHEV Pグレード |
---|---|
全長×全幅×全高 | 4,710mm×1,860mm×1,745mm |
ホイールベース | 2,705mm |
最低地上高 | 200mm |
最小回転半径 | 5.5m |
車両重量 | 2,110kg |
乗車定員 | 7名 |
駆動方式 | 4WD |
モーター搭載数 | 2基(フロント1、リヤ1) |
モーター最高出力 | フロント:85kW、リヤ:100kW |
モーター最大トルク | フロント:255N・m、リヤ:195N・m |
バッテリー種類/総電力量 | リチウムイオン電池/20kWh |
エンジン | 4B12型 2.4L 4気筒 MIVEC ガソリンエンジン |
最高出力/最大トルク | 98kw/5,000rpm/195Nm/4,300rpm |
ハイブリッド燃料消費率(WLTCモード) | 16.2km/L |
マツダCX-8の価格とスペック
マツダCX-8価格(ディーゼル車)
グレード | FF | 4WD |
---|---|---|
XD | 3,377,000円 | 3,613,500円 |
XD PROACTIVE | 3,828,000円 | 4,064,500円 |
XD Smart Edition(特別仕様車) | 3,520,000円 | 3,756,500円 |
XD Black Tone Edition(特別仕様車) | 3,999,600円 | 4,236,100円 |
XD L Package | 4,382,400円 | 4,618,900円 |
XD Exclusive Mode | 4,763,000円 | 4,999,500円 |
マツダCX-8ボディサイズ、燃費などスペック
代表グレード | マツダCX-8 XD Exclusive Mode 4WD 7人乗り |
---|---|
全長×全幅×全高 | 4,900mm×1,840mm×1,730mm |
ホイールベース | 2,930mm |
最低地上高 | 200mm |
最小回転半径 | 5.8m |
車両重量 | 1,840kg |
乗車定員 | 7名 |
駆動方式 | 4WD |
エンジン | SH-VPTS型 2.2L 直4ディーゼルターボ |
最高出力/最大トルク | 200ps/4,000rpm/450N・m/2,000rpm |
燃料消費率(WLTCモード) | 15.4km/L |
サスペンション形式(前:後) | マクファーソンストラット:マルチリンク |
関連ページ
アウトランダーPHEVのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和3年12月(2021年12月)〜現在
- 新車時価格
- 462.1万円〜630.4万円
アウトランダーPHEVの在庫が現在37件あります
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