この記事の目次 CONTENTS
BMW中型高級セダン、3シリーズと5シリーズ
広く機能的なのは大きなボディの5シリーズ
取り回しやすさは3シリーズ
エンジンのバリエーションは3シリーズが豊富
上位モデルの5シリーズは流石の充実装備
手軽な3シリーズ、最新装備の5シリーズ

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMW中型高級セダン、3シリーズと5シリーズ

BMWの中型高級セダンといえば、3シリーズと5シリーズ。BMWに乗ってみたい!という方の中には、どちらかで迷う人も多いだろう。予算重視なら3シリーズだが、ラグジュアリーな5シリーズも悪くない。どちらも完成度の高い車種だから、迷うのも無理はない。

そこで今回は、BMWの看板モデル3シリーズと5シリーズにスポットを当ててみたい。

BMWベストセラーモデルの3シリーズ

BMWベストセラーモデルの3シリーズ

3シリーズは、1975年から発売されている中型高級車で、Dセグメントに属する。BMWの看板モデルともいわれる所以はそのセールスにある。アメリカや日本では輸入車ベストセラーモデルになることも多く、おひざ元である欧州でも好セールスを記録している。

現行モデルの2012年から販売されている第五世代で、2015年にマイナーチェンジ。セダン、ツーリング、グランツーリスモの3タイプを展開、駆動方式はFRだ。

BMW上位モデルの5シリーズ

BMW上位モデルの5シリーズ 外観

5シリーズは、1972年から発売されている中型高級車で、Eセグメントに分類される。3シリーズとならぶ人気と歴史をもつモデルで、BMWの中核を担う。

2017年からは第7世代となる現行モデルが発売されている。ボディタイプはセダン、ツーリングの2タイプで、こちらも駆動方式はFR。グランツーリスモは海外では販売されているものの、2017年現在では日本に導入されていない。

広く機能的なのは大きなボディの5シリーズ

BMWはスポーツサルーンだから内装は質素というイメージがある方も多いと思うが、もはや過去の話。

特に5シリーズは質感のあるインテリアに仕上がっており、ダッシュボード、デジタルメーター、シートはもちろんのこと、ディテールにもこだわりが感じられる。その点、3シリーズだと機能性は高いものの、高級感という点ではややさみしい印象は否めない。

そんな5シリーズは、1クラス上になる分3シリーズより後部座席もトランクルームも広い。特にトランクルームは530Lあり、3シリーズセダンの480Lよりも50L大きい。利便性を考えるなら、軍配が上がるだろう。

シャープな3シリーズとワイドな5シリーズ

シャープな3シリーズとワイドな5シリーズ

エクステリアも、並べてみると佇まいが異なる。

5シリーズは2017年のフルモデルチェンジを受けて、3シリーズや7シリーズと同じくキドニーグリルとヘッドライトがつながったデザインが採用された。ボンネット先端がグリルまで伸び、路面をにらむようなヘッドライト、大きくサイドに回りこんだリアコンビライトなど、低重心のどっしりした印象を受ける。

一方の3シリーズ。2015年のマイナーチェンジでは、ヘッドライトのデザインが変わりLEDヘッドライトとLEDフォグランプ、テールランプが全車に標準装備されたほか、前後バンパーのデザインが少し変更になった程度。小さめのボディも手伝いシャープな雰囲気に仕上がっている。

取り回しやすさは3シリーズ

日本の道路事情を考えた時に使いやすい車幅は1,800mmといわれている。これは、日本の駐車場の中には、車幅1,800mmを超えると停められない駐車場があるから。その点、3シリーズは、全長4,645mm、全幅1,800mmというサイズなので、何とかおさまっている。また最小回転半径は5.4mなので、小回りに関しても日本車と変わらない。

対する5シリーズだが、全長4,945mm、幅1,870mmなので3シリーズより70mm大きく、最小回転半径は5.5m。大きさや小回りといった取り回しを考えると、3シリーズに軍配があがる。

乗り心地は5シリーズ

乗り心地は5シリーズ

5シリーズに乗ってみると、その乗り心地はかなり安定感がありスムーズ。それでいて、運転していて重さは感じない。

その理由は、新開発のシャシーとボディ。ボディは、アルミニウムや超高張力銅板などの使用範囲を広げることで軽量化された。組み合わされるサスペンションは、フロントに新開発のダブルウィッシュボーン、リアに5リンク式。ホイールベースが2,975mmと長いため、直進走行時の安定感もある。

一方の3シリーズは1シリーズとプラットフォームを共有。サスペンションは、フロントにダブルジョイントストラット式、リアに5リンク式を採用している。装着しているランフラットタイヤも進化、ノーマルタイヤと比べて5%硬い程度だという。その走りはスポーティーそのもので、特にシャープなハンドリングは「さすがはBMW」と言いたくなる。

乗り心地の快適さや安定感を求めるのなら5シリーズ、運転する楽しさを求めるのなら3シリーズをおすすめしたい。

エンジンのバリエーションは3シリーズが豊富

3シリーズは、1.5L直列3気筒DOHCガソリン、2.0L直列4気筒DOHCガソリン、2.0L直列4気筒DOHCディーゼル、3.0L直列6気筒DOHCガソリンの4種類を展開。対する5シリーズは、2.0L直列4気筒DOHCガソリン、2.0L直列4気筒DOHCディーゼル、3.0L直列6気筒DOHCガソリンの3種類を展開。ただし、3.0L直列6気筒ディーゼル「530d」は日本に導入されていない。

BMWには伝統的な直6モデルのシルキーシックスが有名だが、コスパを重視するなら1.5Lや2.0Lの直4モデルをおすすめしたい。最新技術を駆使した「BMWツインパワー・ターボ・エンジン」が搭載されているので、十分なトルクやパワーが得られる。

燃費は3シリーズが優勢だが5シリーズも健闘

BMW 外装

3シリーズはカタログ値(JC08)で13.5~21.4km/L。最低値は3.0Lの340iで、最高値は2.0Lディーゼルモデルの320dだ。一方の5シリーズは12.5~21.5km/L。最低値は3.0Lの540i、最高値は2.0Lディーゼルモデルの523d。

単純な比較をすれば3シリーズが低燃費に決まっているのだが、同じ排気量のディーゼルモデルと比較すると面白い。2.0Lの320dが21.4km/Lなのに対し、同じく2.0Lの523dは21.5km/L。320dの車重は1,570kg、5シリーズは130kg重い1,700kgなのに、同水準の燃費性能だから驚きだ。

上位モデルの5シリーズは流石の充実装備

5シリーズには、輸入車メーカー初導入のBMWコネクテッド・ドライブが標準装備される。事故や故障を対処してくれるBMW SOSコールやBMWドライバーサポートサービス、快適なカーライフをサポートするリモートコントロールパーキング、パーキングアシスタントプラス、BMWヘッドアップディスプレイ、Microsoft Exchangeなど、挙げればキリがないほど快適装備が充実している。

3シリーズの快適装備といえば、手を使わずにトランクルームを開けられるコンフォートアクセスや多彩な収納程度にとどまっている。上位モデルであり、2017年にモデルチェンジをむかえたばかりの5シリーズの方が、やはり3シリーズに比べると快適装備の面では有利だ。

BMW5シリーズセダン_外観

コストの面では3シリーズ

しかし、1クラス下の3シリーズはコスト面で優れている。318iよりもさらに廉化なグレード「318i SE」が用意されている。これは、318iよりも廉化なグレードで、ヘッドライトがハロゲン、ホイールデザインの違い、リアシートのエアコン吹き出し口がないなど、エンジンや足回り以外の内外装が簡略化されている。

ちなみに3シリーズの本体価格は419.0万円~、5シリーズは617.0万円~で、200万円ほどの価格差がある。安全装備などの差があるとはいえ、BMWの「駆け抜ける歓び」や日本での使いやすさを考えると、3シリーズの方がコスパは良いだろう。内容と価格差を考えると、3シリーズの方がお得感がある。

手軽な3シリーズ、最新装備の5シリーズ

最新装備やインテリアの高級感は、フルモデルチェンジから間もない5シリーズに軍配があがる。しかし予算をおさえて手軽に、しかしBMWらしい走りを味わうのであれば3シリーズしかない。

どちらにしても最低価格が400万円を超えるので、安い買い物とはいえない。「ちょっと手が届かない」「どうせなら上級グレードに乗りたい」という人は、コストパフォーマンスに優れる中古車も検討してみてはどうだろうか。

特に3シリーズは、現行モデルもかなり中古車として流通しており、走行距離や価格、カラーやグレードなど、希望する条件にピッタリのクルマも見つかりやすい。中にはお買い得な商品もあるので、在庫だけでもチェックしてみることをおすすめしたい。