BMWの主力モデル3シリーズ。現在販売されているのは6代目、F30型にモデルチェンジをしている。現行の6代目と先代である先代5代目、E90型のスタイルや走行性能、試乗フィール、さらには装備やスペックなどを比較し、購入のポイントもご案内します。

この記事の目次 CONTENTS
BMWの主力モデル3シリーズのあゆみ
3シリーズ史上最大サイズの6代目
華やかで精悍さの増したエクステリア
最新のモジュラーエンジン
現行モデルの強みは安全装備

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMWの主力モデル3シリーズのあゆみ

BMW3シリーズは、それまで小型2ドアセダンとして人気のあった02シリーズの後継モデルとして、初代E21型が1975年に誕生。今でこそDセグメントに分類され、日本ではマークXやアテンザと同じカテゴリーの3シリーズだが、初代は全長4,355mm、全幅1,610mmとコンパクトなボディを持つCセグメントだった。

初代の316と318は2灯式、上級モデルである320と320iは4灯式のヘッドライトとなる。1982年にデビューした2代目のE30型は、ボディサイズが拡大し、全グレード4灯式ヘッドライトを採用したことにより、今ではお馴染みのBMW顔になる。

その後、E36(3代目)→E46(4代目)→E90(5代目)と進化していくことになるが、モデルチェンジする度にボディサイズは拡大し、5代目のE90型からDセグメントに分類される。3シリーズは、どの世代においてもBMWの主力であり、常に世界中のメーカーからベンチマークにされるモデルである。

バリエーション豊かになった6代目

3シリーズ 外観

6代目となる現行のF30型は、2012年2月より販売を開始。モデルコードがこれまで初代から続く「E」ではなく、「F」となったことで、新たな時代に入ったことがくみ取れる。それを象徴する出来事と言えば、先代まではラインナップされていた2ドアやカブリオレといったモデルが4シリーズとして分かれたことだろう。

2015年には、BMWが推し進めるモジュラーエンジンへと刷新。また、セダンのほか、ステーションワゴンや5ドアファストバックなどのボディバリエーション、エンジンは1.5L/2.0L/3.0Lガソリン、2.0Lディーゼル、PHVなど、実に多彩なラインナップが揃う。

3シリーズ史上最大サイズの6代目

現行型(F30型)は先代と比較して、全長で93mm、ホイールベースは50mm延ばされ、さらに一回り大きくなったことになる。また、前後のトレッドも、フロント20mmリヤ45mm拡大され、ホイールベースの伸長と合わせて室内空間の拡大と走行安定性が向上。さらには、よりワイド&ローなスタイリングとなり、実車を見れば先代以上に迫力が増している。

日本専用仕様のドアハンドル

BMW 外観

BMWは世界各国に展開している自動車メーカーだが、その中でも日本市場はとても重要な市場と位置付けられている。その証拠に、日本仕様の3シリーズでは、本来LEDが仕込まれているドアハンドルをLED無しの薄型にするなどの工夫で、全幅を1,800mmに収めている。これは、日本に多く見られる機械式駐車場の横幅制限に対応するための措置である。

華やかで精悍さの増したエクステリア

現行型3シリーズのエクステリアも、先代までと比較して大きく変わった。BMWのアイデンティティであるキドニーグリルと繋がったヘッドライトや、クロームパーツを多用するなど、華やかでエレガントな印象に変化。さらに、ヘッドライトと共にテールランプも横長になったことで精悍な印象もプラスされた。

 

BMW 外観

先代(E90型)はどちらかと言えばシンプルで、シックな雰囲気を持っていたが、現行型のエクステリアは華やかで、スポーティテイストが盛り込まれている。デザインに関しては個人の好みが大きく影響するため、どちらが良いとは言い難いが、E90とF30でははっきりと好みが分かれるのは間違いない。

機能的で豪華になったインテリア

BMW 内装

エクステリアと同様に、先代F90はシンプルで機能的。対して、現行型のF30は、機能性はそのままに立体感をプラス。また、ドライバー中心のレイアウトになるよう工夫されており、オーディオやエアコンなどの操作パネルはドライバー側に傾けられる。そして、先代まではインパネに埋め込まれていたセンターディスプレイは独立し、視認性が向上している。

最新のモジュラーエンジン

冒頭でも触れたように、現行型3シリーズでは、2015年から最新のモジュラーコンセプトを採用したエンジンに刷新されていることが、大きなトピックとなっている。1気筒あたり82.0 × 94.6(ボア×ストローク)の500㏄とし、3気筒であれば1.5L、4気筒なら2.0L、6気筒なら3.0Lというように、気筒数によって排気量がそのまま変化する。

3シリーズに限らず、BMWでは、すべてのモデルのエンジンをモジュール化することで、開発コストを圧縮し、共用部品が増えることにより部品コストも下げることができる。また、モジュール化するメリットとしては、モデルによる性能格差が無くなり、どのモデルであっても、最新型エンジンを搭載することができることだろう。

1.5Lダウンサイジングターボを搭載

BMW 外観

歴代の3シリーズでは、6気筒の高出力モデルよりもリーズナブルな4気筒モデルの方が販売台数は多い。現行型のF30では、今まで4気筒の220iが担ってきた価格を抑えた戦略的なポジションを、3気筒1.5Lエンジンを搭載する318iが担うことになる。

往年のBMWファンからすれば3気筒を積んだ3シリーズなど考えられないかもしれないが、絶対的なパワーは無いものの、136ps/22.4kgmという2.0Lクラスに匹敵するパワー発揮。さらにJC08燃費17.2km/Lという燃費性能は、BMWユーザーの裾野を広げることに大きく貢献するだろう。

現行モデルの強みは安全装備

新旧のモデルを比較した際、もっともその差がハッキリしてしまうのが安全装備である。現行型3シリーズには、フロントガラスに設置されたカメラと、前後バンパーに仕込まれたレーダーにより、先行車や障害物はもちろん、歩行者や車線なども認識。車線逸脱警告や衝突回避と被害軽減を支援する自動ブレーキなどが標準装備される。

アクティブクルーズコントロール装備でさらに疲労軽減

3シリーズ

現行型では、先行車との車間維持はもちろん、渋滞時などには停止から再発進までサポートするアクティブクルーズコントロールが標準装備。長距離動などではドライバーの負担を大幅に軽減してくれる。これらの先進装備が備わることで、真の駆け抜ける歓びを体感することができるのである。

先進の安全装備や、最新のモジュラーエンジンなど、どうしても6代目の魅力が際立つ。しかし、先代は中古車になった分相場が下がり、かなりお買い得感のある価格になっている
だけでなく、6代目と同じ価格帯で上級グレードが狙うことが可能。予算を抑えたい、上級グレードを購入したいという人は、是非中古車も検討してみてほしい。