軽自動車でも高速道路の走行は可能
法律において「軽自動車は高速道路を運転できない」といったルールはなく、軽自動車でも高速道路の走行は可能です。時速100kmで走行したからと言って、車両が急に傷むこともありません。
ただし軽自動車は、普通車と比べて走行安定性が低いです。後の章でご紹介する注意点なども確認し、安全運転を心がけましょう。
最高速度は普通車と同じ
かつて軽自動車と普通車では、高速道路における最高速度(速度制限)が異なっていました。しかし現在は、どちらも速度指定がなければ最高速度は時速100kmです。また最低速度は時速50kmです。
なお高速道路の中には、最高速度が時速80kmや時速120kmの区間もあります。天候によって速度制限が変わることもありますので、走行時は小まめに標識や掲示板を確認しましょう。
高速料金は普通車より安い
高速道路の利用料金は、車両の種類によって変わります。軽自動車は「軽自動車等」の区分に分類され、一般に普通車と比べて料金が2割ほど安いです。
ここでは参考までに、東名高速道路の海老名⇔御殿場間の高速料金をご紹介します。
【海老名⇔御殿場の料金】
・普通車:1,580円
・軽自動車:1,300円
※ETC割引等を適用しない場合
軽自動車の高速料金が安い理由
軽自動車の高速料金が安いのは、他の車両に比べて車重が軽く、サイズも小さいからです。
高速道路では、「車両が道路に与える負荷」や「車両が道路を占める割合」などに応じて料金の設定がされています。軽自動車は車重の軽さから道路に対する負荷が抑えられ、占有面積も小さいため、高速料金が安くなっています。
ETC割引を使えばさらにお得に
ETCカードとETC車載器があれば、高速道路を利用する日にちや時間帯によって以下のような高速料金の割引を受けられます。
- 平日朝夕割引
- 休日割引
- 深夜割引
- ETC2.0割引(区間限定)など
割引を上手く使えば、高速料金を30%以上抑えることも可能です。適用条件は以下の記事で詳しくご紹介しています。
軽自動車は高速走行に向かない?
法律的には何の問題もなく高速道路を走れる軽自動車。しかし軽自動車での高速走行は、以下のようにデメリットも多いです。
- 普通車よりパワーや加速力が劣る
- 車重が軽く、風に煽られやすい
- 長距離運転では普通車より疲れやすい
軽自動車は普通車より搭載エンジンが小さく、その分だけパワーも劣っています。車によっては山道での加速や追い越し車線での走行に苦労するでしょう。
また軽自動車は短距離~中距離運転を前提としており、一般にシートが硬めです。そのため長距離運転ではお尻の痛みを訴える人もいます。
横風への弱さは特に注意
軽自動車の高速走行で最も気を付けたいのが、風の影響です。軽自動車は重さがない分だけ走行安定性に欠けており、強風でハンドルを取られることも少なくありません。
特にN-BOXやタントなど最近人気のスーパーハイトワゴンは、車両サイズの割に車高が高く、横風の影響を強く受けやすいです。
軽自動車で高速道路を走るポイント
軽自動車で高速道路を走る際には、以下の6つのポイントを押さえましょう。
- 事前に走行計画を立てる
- 事前に車両の整備をしておく
- 追い越し車線を走り続けない
- ハンドルを両手でしっかり握る
- 充分な車間距離を確保する
- 急にブレーキを踏まない
事前に走行計画を立てる
軽自動車で長距離移動をする前には、以下の点を調べておくと良いでしょう。
- 目的地までの距離と移動時間の目安
- 道路の渋滞情報や迂回路
- 途中にあるSAやPAの情報
- 当日の天気
特にSAやPAの情報はしっかり把握し、給油場所の目星も付けておきましょう。走る区間によってはSAやPAの数が少ないです。「気づいたらガソリンが少ない」といった状況になれば慌ててしまいます。
休憩は最低でも2時間に一度、高速走行に慣れていない場合は1時間に一度とりましょう。
事前に車両の整備をしておく
高速道路上で車両トラブルが起きると、事故などのリスクが非常に高いです。遠出の前にはガソリンを満タンにするだけでなく、以下のような点も確認してください。
- タイヤの空気圧と溝の深さ
- エンジンオイルの量
- 冷却水の量
- ウォッシャー液の量
- タイヤチェーンの用意など
追い越し車線を走り続けない
軽自動車は他のクルマに比べてパワーや加速力が劣るため、追越しでは普通車よりペダルを強く踏み込む必要があります。こうした運転はドライバーへの負担も大きいです。
追い越し車線を走り続けると他車の迷惑になることもありますので、利用は最低限に留めるようにしましょう。
ハンドルを両手でしっかり握る
軽自動車は突風に弱く、風でハンドルを取られることも多いです。そのため安易に片手で運転することは絶対に避けましょう。
横風などで煽られても、慌てずハンドルをしっかり握ってクルマの動きを制御しましょう。急ハンドルや急ブレーキをかければ、事故のリスクが高まります。
充分な車間距離を確保する
速度が速いほど停止距離は長くなるため、高速道路では一般道より長い車間距離が必要です。
高速道路での車間距離の目安は「車速と同じ数字分だけの距離」とされています。例えば「時速80kmなら80m」「時速100kmなら100m」といった具合です。各IC間には車間距離確認表示板が1ヶ所ずつ設置されていますので、確認に使いましょう。
看板やトンネルの出口などを基点に、前走車がその地点を通過してから自車が同じ地点を通過するまでの秒数を「ゼロイチ・ゼロニ…」と計ります。通過に3秒かかれば、車間距離は概ね80mほどと考えられます。
急にブレーキを踏まない
高速道路では、ブレーキペダルよりアクセルペダルで速度を調整するのが重要です。渋滞時にブレーキで減速するのは仕方ありませんが、速いスピードで走行している際に突然ブレーキを踏めば、追突事故のリスクが高まります。
高速走行に向くおすすめ軽自動車5選
ここからは、高速道路の走行におすすめの軽自動車を5種類ご紹介します。
高速走行に向く軽自動車の特徴
高速道路の走行には、以下のような機能を搭載した軽自動車がおすすめです。
- ターボエンジン搭載
- 車間距離制御装置(ACC)搭載
- 車線逸脱警報装置(LDW)搭載
- 安全性能が高い
軽自動車のパワー不足を補う上では、ターボエンジンがあると加速力が必要な場面で便利です。ただし「本線の流れに乗って走れれば良い」という場合は、なくても構いません。
この他にACCやLDWといった運転支援機能が搭載されていると、ドライバーの負担軽減や事故リスクの低減に繋がります。
ACCは「Adaptive Cruise Control」の略です。前走車との車間距離を一定に保って走行したり、前走車がいない場合は一定の車速を保って走行したりします。 また、LDWは「Lane Departure Warning」の略です。クルマが車線を逸脱した際に警告音などを発します。
おすすめ①ホンダ「N-BOX」
新車時価格 | 164.9万円 |
---|---|
中古車相場 | 5万円〜218.2万円 |
ターボエンジン搭載車 | あり |
車間距離制御装置 | 全車標準装備 |
車線逸脱警報装置 | 全車標準装備 |
現行N-BOXは、最新の予防安全装備や運転支援機能を備えています。渋滞にも対応するACCや、車線逸脱時にステアリング操作を支援する「車線維持支援システム(LKAS)」は全車標準装備です。
ターボ搭載車はN-BOXカスタムで選択可能です。車高が高く横風には弱いものの、荷物を積んでの移動も楽にできます。
おすすめ②スズキ「スペーシア」
新車時価格 | 153万円~ |
---|---|
中古車相場 | 5万円〜202.5万円 ※スペーシアカスタムを除く |
ターボエンジン搭載車 | あり |
車間距離制御装置 | 一部グレードで標準装備 |
車線逸脱警報装置 | 全車標準装備 |
現行スペーシアも最先端の運転支援機能を装備。ACCはスペーシアカスタムを中心に搭載されており、ACC搭載車には車線維持を支援する機能も備えられています。車線逸脱時の警告やステアリング支援は全車標準装備です。
スペーシアは燃費の高さも魅力です。N-BOXと同じスーパーハイトワゴンでありながら、最高燃費は25.1km/L(WLTCモード)とずば抜けた数値を誇ります。
おすすめ③日産「デイズ」
新車時価格 | 143.8万円~ |
---|---|
中古車相場 | 5万円〜219.8万円 |
ターボエンジン搭載車 | あり |
車間距離制御装置 | 一部グレードで標準装備 |
車線逸脱警報装置 | 全車標準装備 |
デイズは直進安定性に優れ、さらにN-BOXやスペーシアのようなスーパーハイトワゴンと比べて横風にも強いです。
デイズ最大の魅力は一部グレードに搭載されている「プロパイロット」。渋滞時を含めてアクセル・ブレーキ・ステアリングの操作を支援してくれます。フルモデルチェンジした2019年3月以降の中古車でプロパイロット搭載モデルを探しても良いでしょう。
おすすめ④スズキ「ハスラー」
新車時価格 | 136.5万円~ |
---|---|
中古車相場 | 9.7万円〜202.4万円 |
ターボエンジン搭載車 | あり |
車間距離制御装置 | ほぼ全車標準装備 |
車線逸脱警報装置 | 全車標準装備 |
ハスラーも広さと車体の安定性のバランスが優れたクルマです。また全車マイルドハイブリッド装備で、最高燃費は25.0km/L(WLTCモード)と優れています。ACCは価格重視の1モデルを除いて全車標準装備です。
一般的な軽自動車より最低地上高が高く、ちょっとしたオフロードを走行しやすい点も魅力です。 中古車でも流通量が多い車種なので、現行モデルになった2020年1月以降の中古車を探しても良いでしょう。
おすすめ⑤ホンダ「N-ONE」
新車時価格 | 166.2万円~ |
---|---|
中古車相場 | 6.8万円〜226.2万円 |
ターボエンジン搭載車 | あり |
車間距離制御装置 | 全車標準装備 |
車線逸脱警報装置 | 全車標準装備 |
1~2人乗りが中心で走行性能にこだわるなら、N-ONEがおすすめです。軽量ではあるものの低重心で、走行性能に特化したモデル「RS」なども展開しています。またデザイン性の高さも魅力です。
渋滞追従機能付(※RSのMT車除く)ACCや車線逸脱時にステアリング支援もする機能(LKAS)も標準装備。現行モデルは2020年11月発売なので、2021年式以降の中古車を購入しても良いでしょう。
他の軽自動車の記事をチェック
noricoでは、様々な視点から見た軽自動車のおすすめ車種やランキングをご紹介しています。軽自動車の購入を考えている場合は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
- Supervised by norico編集長 村田創
-
中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!