国産SUV編

安全なクルマ ランキング2023

安全なSUV選びのポイント

クルマ選びで重要視されている項目は、デザインや価格、燃費などが常に上位に上がっていた。しかし近年は事故を未然に防ぐ「予防安全装備」が重要視されている。
今回は、特にお勧めしたい安全なSUVを厳選した。SUVは人気が白熱しており、車種がとても多い。その中から予防安全装備に優れた車となると、高級車が中心となる。

高額車が続々フルモデルチェンジ。最高レベルの予防安全装備を用意

世界的なSUVブームの波に乗り、日本でも新型SUVの登場や、フルモデルチェンジが相次いでいる。特に高級車はより安全意識が強い顧客が多いため、各社最先端の予防安全装備が用意されている。
またSUVは人気カテゴリーなので、ライバルが多数存在している。コンパクトSUV系でも予防安全装備が充実しているのが特徴だ。

だが、予防安全装備の開発は日進月歩だ。なるべくデビューが新しいモデルほど、予防安全装備が充実している傾向にある。
事故の加害者となるリスクを減らすためにも、単純に欲しいSUVを選ぶのではなく、しっかりと予防安全装備の差をチェックして選択したい。

TOP.1

レクサスRX

レクサス RX

レクサスRXは2022年11月にフルモデルチェンジしたばかりの、レクサスブランドのフラッグシップSUVだ。レクサスの予防安全装備パッケージ「レクサスセーフティシステム+」も最新世代が採用されている。

自動ブレーキの検知対象は、昼夜の歩行者と自転車、昼間の自動二輪と幅広い。以下の機能はほぼ全車に標準装備されており、高い予防安全性能を得ている。

  • 後側方車両接近警報
  • 後退時車両接近警報
  • パノラミックビューモニター(車両を俯瞰から見た映像に変換し死角にある人や障害物を見つけやすくする機能)

さらにRXには「安心降車アシスト」も標準装備されている。降車時に後側方から接近する自転車や自動二輪、車両と接触する可能性があるとシステムが判断すると、ドアが開かなくなる機能だ。

街灯が無いような暗い夜道では「ブレードスキャンアダプティブハイビームシステム」が役に立つ。夜間で飛躍的に視認性を高めるハイビームシステムで、照射エリアと遮光エリアをきめ細かく調整する。遠方の歩行者や路肩、標識などをより早く認知できる配光を実現した。先行車や対向車に直接ハイビームを当てないように部分的に遮光する機能もあり、他車に迷惑をかけることなく夜間走行時のストレス減らし、事故リスクを軽減してくれる。

運転支援機能であるPDA(プロアクティブ・ドライビング・アシスト)も標準装備されている。歩行者や自転車を追い越す際、車両との距離が近い場合には、距離を開けるようにステアリング操作をアシストする機能だ。
横断歩行者がいる場合は、自動減速してくれる。先行車がいる場合、車間距離を一定に保ちながら減速する。信号などで停車するときは、自らブレーキを踏む必要があるが、アクセルとブレーキの踏みかえ回数が大幅に減り疲労軽減に大きく貢献してくれる。

同様の運転支援機能で「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」も高速道路上などでの疲労軽減し、事故のリスクを下げてくれる。高速道路などでの渋滞時(0km/h〜約40km/h)、システムが作動するとドライバーはハンズオフが可能になる。(一定の条件:レーダークルーズコントロール及びレーントレーシングアシスト作動中にドライバーが前を向いているなどを満たしている場合に作動する。)
疲労からくるうっかり追突などのリスクを低減してくれるシステムだ。

TOP.2

レクサスNX

レクサス NX

2世代目レクサスNXは、2021年11月に登場した。当時の最新世代である予防安全装備パッケージ「レクサスセーフティシステム+」を全車標準装備している。
自動ブレーキの検知対象は、昼夜の歩行者と自転車、昼間の自動二輪と幅広く、クラストップレベルだ。レクサスRXとほぼ同等レベルの予防安全装備になっている。

RXと比べると、以下の機能などがオプション設定になっているため2位とした。

  • パノラミックビューモニター
  • パーキングサポートブレーキ(後方歩行者)
  • フロントクロストラフィックアラート(交差点内で出会い頭の衝突事故リスクを軽減)

こうした装備をオプション選択すれば、RXと同等の予防安全性能を得ることができる。

他にもオプションとして「緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付)」が選べる。ドライバーによる操舵がなくても、システムが弱いブレーキをかけながら操舵を行い、車線内での衝突回避を支援する機能だ。歩行者、自転車運転者、自動二輪車、車両と衝突する可能性が高く、自車線内に回避するための十分なスペースがある場合に作動する。
一瞬で回避行動を取るのは、よほど訓練されたドライバーでなければ出来ないので、積極的に選びたいオプションだ。

TOP.3

マツダCX-60

マツダ CX-60

CX-60は、2022年9月に登場した新型車だ。価格帯は約300~630万円と幅が広いが、安価な価格帯のグレードでもオプションを選択すれば高いレベルの予防安全性能を得ることができる。

自動ブレーキは、歩行者と自転車、自動二輪に対応している。検知対象の多さは、クラストップレベルだ。

CX-60の予防安全装備で最もユニークなのが、ドライバー異常時対応システムである「DEA(ドライバー・エマージェンシー・アシスト)」だ。トヨタ系のドライバー異常時対応システムは、高速道路上でレーントレーシングアシスト制御中といった条件が付くが、マツダのDEAは高速道路上だけでなく一般道でも作動する。高齢者ドライバーが増えている中、自身の安全だけでなく、車両が暴走することで起きる2次被害回避・軽減が可能な、とても有用性の高い予防安全装備といえる。

DEAが作動するまでの流れは以下の通りだ。

  • ドライバー・モニタリングでドライバーを監視
  • ドライバーの異常を検知
  • ハザードの点滅を開始
  • まもなく緊急停止することを乗員に知らせる
  • 周囲に異常を知らせる(ハザード・ブレーキランプの点滅、ホーンを鳴らす)
  • 車両を減速・停止
  • ヘルプネットに自動接続し、救急・警察へ通報

DEAは、ほとんどのグレードに標準装備されている。だが一部グレードでは装備不可、もしくはオプション設定なので、しっかりと確認しておきたい。
その他、使用頻度の高い後側方車両接近警報、後退時車両接近警報は全車標準装備されているので安心だ。

TOP.4

トヨタクラウンクロスオーバー

トヨタ クラウンクロスオーバー

トヨタ クラウンクロスオーバーは、2022年9月に登場した新型車だ。最新世代の予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」が標準装備されている。

自動ブレーキの検知対象は、昼夜の歩行者と自転車、昼間の自動二輪と幅広く、クラストップレベルを誇る。
その他機能面では、レクサスRXやNXに近い機能を持つが、後側方車両接近警報と後退時車両接近警報は7グレード中2グレードがオプションだ。高級車としてはやや物足りなさを感じる。他のグレードは、後側方車両接近警報と安心降車アシストも標準装備されている。安心降車アシストは、警報のみでドアの開閉制御はない。

また、最上級グレードのRS、RSアドバンスドには、より高度な予防安全装備がセットのオプションとして選ぶことが出来る。

  • 緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付)
  • フロントクロストラフィックアラート
  • レーンチェンジアシスト
  • アドバンストドライブ

このセットオプションを選択すれば、かなり高い予防安全性能を誇る。

TOP.5

スバルクロストレック

スバル クロストレック

スバル クロストレックは、従来のスバルXVから、グローバルのモデル名であるクロストレックに車名を変更し2022年9月にフルモデルチェンジしたモデルだ。

スバルの予防安全装備パッケージ「アイサイト」に、クロストレックには広角の単眼カメラがプラスされている。これによって、検知能力が飛躍的に向上しており、交差点内での右左折時の歩行者や、右折時の車両、自動二輪にも対応する。交差点内での事故は非常に多いため、頼りになる機能だ。

また、前側方プリクラッシュブレーキも装備している。見通しの悪い交差点での衝突回避・被害軽減することができる機能だ。見通しの悪い交差点に進入する際、左右から来る車両を検知し、警報やアイサイトアシストモニターにより注意喚起してくれる。狭い路地などで運転する機会が多いドライバーにとっては、より安心できる装備と言える。

ただし、デジタルマルチビューモニターは、オプションとなっているグレードもある。車体を俯瞰から見た映像に変換して死角を無くし、人や障害物へうっかり衝突するリスクを軽減してくれる、日々使う機能なので、積極的に装備したいオプションだ。

クロストレックは、CセグメントのコンパクトSUVに属する。価格も重要視しつつ、ここまで高機能な予防安全装備を標準装備化しているモデルは他にない。クラストップレベルの予防安全性能をもつモデルだ。

まとめ

トヨタの予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」とレクサスの「レクサスセーフティシステム+」は基本的に同じ内容だ。そのため、上位にランクされるメーカーは、トヨタやレクサス車が中心となった。検知対象の多さと広角カメラによる交差点内での事故リスクが減ることが要因といえる。

だが、トヨタと協力関係にあるマツダとスバルも、広角カメラのメリットを活かし、トヨタセーフティセンスと同等レベルの自動ブレーキ機能を得るようになってきている。これは、大きなメリットだ。
コンパクトSUVであるスバル クロストレックのようなモデルにもこうした機能を使えるようになってくると、やや設計の古いSUVの予防安全性能も大幅に進化するだろう。高額車以外の予防安全性能向上は、これからだ。

今後注目したい予防安全装備が、マツダの「DEA(ドライバー・エマージェンシー・アシスト)」だ。高齢ドライバーが増えれば、事故も多くなるだろう。予防安全装備で防げる事故も多いが、危険なのは運転中に病気などで意識を失ったときに、クルマが暴走し2次被害が拡大することだ。こればかりは、現在の予防安全装備ではカバーしきれていなかった。

マツダの開発したDEAは、とにかく2次被害を低減することを目的としている。暴走する時間をとにかく短くして、クルマを安全に停止させることを重視している。機能が作動するための条件も少ないので、実用面でも大きなメリットがある。
CX-60では、DEAをほぼすべてのグレードに標準装備化している。運転不能になり得るのは、何も高齢者だけではないからだ。いつ、どこで、誰が運転不能になるかは分からない。だからこそ、マツダはDEAをほぼ標準装備化している。

安全装備比較表

  • …全車標準装備
  • …一部標準装備または一部オプション
  • ×…標準装備なし
レクサスRX レクサスNX マツダCX-60 トヨタクラウンクロスオーバー スバルクロストレック
対車両自動ブレーキ

歩行者検知式自動ブレーキ

ブレーキ踏み間違い衝突防止アシスト


*1グレードのみオプション

サイドエアバック

カーテンエアバッグ

車線逸脱警報

車線維持支援

後側方車両検知警報


*一部グレードオプション

後退時後方車両接近警報


*一部グレードオプション

オートマチックハイビーム

※安全装備の詳細は各車メーカー公式サイトをご確認ください。

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