セダン編

安全なクルマ ランキング2023

安全なセダン選びのポイント

クルマを選ぶ際、デザイン・価格・燃費などが重要視される傾向にある。これらに加え、近年は「予防安全装備」が注目されている。
国も予防安全装備を重要視している。今回は、お勧めしたい安全なセダンを厳選してお伝えする。

セダンが売れない! その影響で、予防安全装備の進化もやや停滞中

SUVブームの影響で、セダンの売れ行きが芳しくない。各メーカーのセダンモデルはほぼ撤退状態だ。このカテゴリーでは、トヨタ車とレクサス車ばかりになってしまった。

そんなトヨタ車やレクサス車も、モデルサイクルが長期化傾向にある。一般的には、高級車ほどより高機能な予防安全装備を得ている場合が多い。だがセダンは、必ずしも高級車=安全なクルマという方程式が成り立たないのが現状だ。

その一例が、トヨタ カローラである。いままで旧世代(2019年)の予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」が装備されていたが、2022年10月に最新世代へとバージョンアップされた。
これによって、レクサスESやISなどの自動ブレーキでは従来検知できなかった自動二輪車も、検知可能になった。さらに、運転支援機能であるPDA(プロアクティブ・ドライビング・アシスト)も標準装備化されている。

より安全なセダンを望むなら、既存のモデルがフルモデルチェンジするのを待つか、予防安全装備がカローラ並みに進化するのを待つという選択肢も良いだろう。

TOP.1

レクサスLS

レクサス LS

レクサスLSは、2017年にフルモデルチェンジしたフラッグシップセダンだ。
高級車らしく、後側方車両接近警報や後退時車両接近警報などの予防安全装備も標準装備化されており、万全な仕様といえる。

2020年のマイナーチェンジでは、予防安全装備パッケージが「レクサスセーフティシステム+A」に進化し、予防安全性能が飛躍的に向上している。

レクサスLSは、フラッグシップモデルということもあり、他のレクサス車やトヨタ車とは異なるハードウェアを使用している。他車のほとんどが、単眼カメラ+ミリ波レーダーの組み合わせを用いているが、LSではより高性能なステレオカメラ+ミリ波レーダーが組み合わされている。

自動ブレーキは以下を検知し、衝突回避・被害軽減する。

  • 歩行者
  • 自転車
  • 交差点内右左折時の対向歩行者
  • 交差点内右折時の対向車

事故は交差点内で起こりやすいので、より現実的な事故パターンに対応している。だが、自動二輪などは検知できていない。

レクサス車の中でも最も優れた機能と言えるのが「アクティブ操舵回避支援」だ。
ガードレールに向かっている場合:衝突を避けるようにステアリング操作し衝突を回避
歩行者との衝突が避けられないシーン:回避スペース方向へステアリング操作し衝突回避(システムが自車線内に回避スペースがあると判断した場合)
こうした操舵回避支援機能は、他のモデルでも装備されている。だが、クルマ自らが自動でステアリング操作するのは、この「アクティブ操舵回避支援」機能だけだ。

自動運転時代を予感させるのが、2021年に設定された自動運転レベル2相当の運転支援機能「アドバンストドライブ」だ。
この機能は、自動車専用道路での運転において、車線・車間維持、分岐、レーンチェンジ、追い越しなどを自動で行ってくれる(ドライバー監視下が条件)。しかも、部分的にハンズオフも可能だ。高速道路での移動が多い人ほど、疲労軽減が期待でき、安全に移動することが可能になる。

「ドライバー異常時対応システム」も用意されている。走行中にドライバーが意識を失った際に起きる「クルマの暴走」を抑制する機能だ。(レーントレーシングアシスト(LTA:高速道路上などで車線維持走行をする機能)制御中であることが条件など、運転シーンは限定される。)

  • ドライバーが無操作状態を継続
  • 緩減速しつつ音と表示で警告
  • ドライバーが操作不可能とシステムが判断
  • ハザードとホーンで車外に異常を報知
  • 自車線内に減速停車

停車後には、ドア解錠やヘルプネット自動接続による救命要請も行ってくれる。クルマの暴走で起きる2次被害リスクを軽減する機能といえる。高齢化が進む日本において、非常に大きなメリットのある予防安全装備だ。

TOP.2

トヨタMIRAI(ミライ)

トヨタ MIRAI(ミライ)

2代目ミライは、2020年末にフルモデルチェンジした。ミライは、水素を燃料として発生させた電気を使い、モーターで走行する燃料電池車(FCV)だ。究極のエコカーとも呼ばれている。

ミライの予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」には、グレードにより2つのハードウェアが用意されている。Z“Executive Package Advanced Drive”とZ“Advanced Drive”は、レクサスLSと同じステレオカメラ+ミリ波レーダーの組み合わせだ。その他のグレードは、単眼カメラ+ミリ波レーダーの組み合わせになる。

ハードウェアによる機能の違いは2つある。
1点目は「アクティブ操舵回避支援」だ。ガードレールに向かっている場合、衝突を避けるようにステアリングを自動操作し衝突を回避する機能である。歩行者との衝突が避けられない状態で、自車線内に回避スペースがあるとシステムが判断した場合、回避スペース方向へステアリングを自動操舵する。衝突を回避し、被害軽減をしてくれる機能だ。

2点目が、自動運転レベル2相当の運転支援機能「アドバンストドライブ」だ。
システムが起動すると車線・車間維持、分岐、レーンチェンジ、追い越しなどを自動で行ってくれる。部分的にハンズオフも可能になるため、高速道路での移動が多い人にとっては、疲労軽減に一役買ってくれるだろう。(高速道路などの自動車専用道路でドライバー監視下での使用が条件。)

この2つの機能に加え、見通しの悪い交差点での出会い頭衝突リスクを避けるためのフロントクロストラフィックアラートもがプラスされている。ミライの場合、Z“Executive Package Advanced Drive”とZ“Advanced Drive”の2グレードが最も安全なクルマといえる。

だが、自動ブレーキの機能は基本的に同じだ。昼夜の歩行者と昼間の自転車、交差点内での右左折時の歩行者、右折時の対向車も対応している。
以下も標準装備化されており、予防安全性能に優れたクルマに仕上がっている。

  • 後側方車両接近警報(ブラインドスポットモニター)(車線変更時に後側方から接近する車両を検知し、接触の可能性がある場合に警報を発する)
  • 後退時車両接近警報
  • 踏み間違え防止機能

TOP.3

トヨタカローラ

トヨタ カローラ

カローラは、2019年にデビューしたコンパクトセダンだ。カローラシリーズには、このセダンの他にワゴンのツーリング、5ドアハッチバックのスポーツが設定されている。

カローラには旧世代(2019年)の予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」が装備されていた。しかし、2022年10月に大英断ともいえる改良が行われ、「トヨタセーフティセンス」が最新世代へとバージョンアップされた。

この改良により、自動ブレーキの検知対象が拡大された。

  • 昼夜の歩行者
  • 昼夜の自転車
  • 昼間の自動二輪車
  • 右折時の対向直進車
  • 右左折時の対向方向から来る横断歩行者・自転車
  • 見通しの悪い交差点で交差する車両・自動二輪車

衝突の可能性が高い場合、自動ブレーキを作動させ衝突回避または被害軽減をサポートしてくれる。コンパクトセダンで、これだけ幅広い検知性能を得ているのはクラスを超えトップレベルの実力だ。

ただし、使用頻度の高い後側方車両接近警報、後退時車両接近警報は全車オプションだ。踏み間違え防止機能も一部グレードではオプションとなっているのが惜しい。
こうした機能は約3~5万円程度のオプションなので、積極的に装備したい。

TOP.4

レクサスES

レクサス ES

現行レクサスESは、2018年デビューなので、すでにモデル後期に入っている。予防安全装備パッケージである「レクサスセーフティシステム+」は、旧世代ではあるものの良好なレベルといえる。
自動ブレーキは以下を検知する。

  • 昼夜の歩行者
  • 昼間の自転車
  • 交差点右折時の対向直進車
  • 交差点右左折時に前方から来る横断歩行者

こうした交差点内でよくある事故パターンに対応することで、より安全なクルマとなっている。

緊急時操舵支援機能も装備しているが、LSやミライのような、自動でステアリング操作をするタイプではない。歩行者、自転車運転者、車両と衝突する可能性があり、自車線内に回避するための十分なスペースがあるとシステムが判断した場合、ドライバー自らの回避操舵を支援し、衝突の回避や車線逸脱抑制を行ってくれるタイプだ。

ESにはユニークな「デジタルアウターミラー」がオプションで設定されている。ドアミラーがカメラになっており、インパネサイド部分に設置されたモニターで後方を確認できる機能だ。少し慣れが必要だが、夜間や雨での視認性は通常のドアミラーより明らかに鮮明に見える。他車の見落としなどによる接触リスクの低減に効果的だ。カメラ映像をよりワイドにすることもできるので、死角も減る。

ESの予防安全装備は、一定水準以上のレベルにある。だが、パノラミックビューモニターが一部グレードでオプションなのが物足りない。後方歩行者に対応するパーキングサポートブレーキや車両を俯瞰から見たカメラ映像に変換して、車両の死角を無くす機能だ。
頻繁に使う機能は、ためらわずにオプション選択したい。

TOP.5

レクサスIS

レクサス IS

現行レクサスISのデビューは、2013年とかなり古い。そのため、何度もマイナーチェンジや改良が行われ熟成されてきた。予防安全装備は年代によって大きく異なるため、中古車を買う場合には注意が必要だ。

2020年の改良後モデルである、最新ISの予防安全装備パッケージ「レクサスセーフティシステム+」は、良好なレベルに達している。
自動ブレーキは以下を検知し、衝突回避・被害軽減に繋がる。事故が多い交差点内でも活用できる機能だ。

  • 昼夜の歩行者
  • 昼間の自転車
  • 交差点右折時の対向直進車両
  • 交差点右左折時に前方から来る歩行者

その他、後側方車両接近警報や後退時車両接近警報も標準装備されているので安心だ。ESと比べると後方歩行者に対するパーキングサポートブレーキが用意されていない。さらに、パノラミックビューモニター(車体を俯瞰から見た映像に変換し死角を無くす機能)も、1グレードを除きオプション設定だ。高級車としては、やや物足りない設定になっている。

まとめ

トヨタ、レクサスを除く各メーカーが、セダンマーケットからほぼ撤退した。日産スカイラインやマツダ6など、わずかに残っているモデルもある。しかし長寿化しているため、予防安全装備は少々物足りないのが現状だ。

その中で、予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」と「レクサスセーフティシステム+」の性能は、完全に他車をリードする高いレベルに達している。
自動ブレーキで最も検知対象が多いのが、コンパクトセダンであるカローラだ。昼夜の歩行者と自転車に加え自動二輪まで検知できるのは、トヨタとレクサスモデルの中でも最も高性能だ。

今後、他のモデルもカローラに準じたレベルか、それ以上へ進化すると思われる。より高い予防安全性能を求めるのであれば、進化かフルモデルチェンジまで待った方がよい。

レクサスLSやミライに設定されている運転支援機能「アドバンストドライブ」も積極的に選びたいオプションだ。一般的な運転技術をもつドライバーよりも的確で、ハンドリングも丁寧に感じる。むしろ、クルマに任せてしまったほうが安全で快適と思えるほど、運転がうまい。こうした機能を積極的に利用すれば、より自らが事故の加害者になるリスクを減らしてくれるはずだ。

安全装備比較表

  • …全車標準装備
  • …一部標準装備または一部オプション
  • ×…標準装備なし
レクサスLS トヨタMIRAI トヨタカローラ レクサスES レクサスIS
対車両自動ブレーキ

歩行者検知式自動ブレーキ

ブレーキ踏み間違い衝突防止アシスト


*一部グレードオプション

サイドエアバック

カーテンエアバッグ

車線逸脱警報

車線維持支援

後側方車両検知警報

後退時後方車両接近警報


*オプション設定。一部グレード装着不可

オートマチックハイビーム

※安全装備の詳細は各車メーカー公式サイトをご確認ください。

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