ミニバン編

安全なクルマ ランキング2023

2022年、2023年はミニバンもフルモデルチェンジが多く、安全なミニバン選びに迷う人もいるだろう。

今回はお勧めしたい安全なミニバンを5車種ピックアップしてお伝えする。

安全なミニバン選びのポイント

安全な車の観点は事故の被害をなるべく抑えるといった「衝突安全性」と事故を未然に防ぐといった「予防安全性」があるが、ミニバンは、より予防安全性に重きをおいて車を選びたい。
ミニバンは、車体が大きく重い傾向にある。ミニバンが歩行者と衝突すれば、より被害が大きくなるのは当然だろう。それだけに、大きなクルマほど予防安全装備が重要といえる。

多くのミニバンがフルモデルチェンジ。より高度な予防安全装備を設定

国内のミニバンは、2022~2023年にかけてフルモデルチェンジした車種が多い。より高度な予防安全装備を得たモデルも多く、予防安全性能は大幅にアップしている。
ただし、予防安全装備はメーカーによって機能や性能が異なる。今のところ、自動ブレーキ機能はより多くの事故シーンに対応可能なトヨタ車が一歩リードしている状態だ。

また、自動ブレーキが予防安全装備のすべてではない。以下のような、頻繁に使う機能も重要だ。

  • 後側方車両接近警報(車線変更時に接近車両の有無を検知し警報を発する)
  • 後退時車両接近警報(バック出庫時など後退から接近する車両を検知し警報を発する)

しかし、オプション設定になっている車種も多い。その他の機能も含め、しっかり理解したうえで積極的にオプション選択したい。

TOP.1

トヨタヴォクシー&ノア

トヨタ ヴォクシー&ノア

ヴォクシー&ノアは、2022年1月にフルモデルチェンジを果たした。予防安全装備パッケージである「トヨタセーフティセンス」は機能を飛躍的に向上している。

自動ブレーキ機能は、昼間であれば、道路にあるほぼすべての移動物を検知し、衝突回避・被害軽減する能力をもっている。

  • 昼夜の歩行者
  • 昼間の自転車
  • 昼間の自動二輪
  • 右左折時の対向歩行者
  • 右折時の対向車両
  • 出会い頭の車両と自動二輪

交差点内など、交通事故が起きやすいシーンに対応しているので、より安全なクルマといえる。2023年3月現在でクラストップの実力を誇る。

さらに、ヴォクシー&ノアにはPDA(プロアクティブ・ドライビング・アシスト)いう運転支援機能も設定されている。とても秀逸な機能で、予防安全装備といえるレベルだ。

PDAは、走行中のリスクを低減してくれる。

  • 進行方向かつ車両の近くに歩行者や自転車がいる場合、車両が距離を取るように減速や操舵支援を行う
  • カーブ手前で自動減速し、曲がりやすくする
  • 街中で先行車との距離を一定に保ちながら自動減速(アクセルオフ状態の場合)

停止直前までのアクセルとブレーキを踏みかえる回数が大幅に低減するため、ドライバーの疲労軽減に役立つ機能だ。

また、安心降車アシスト(ドアオープン制御付き)は、小さな子どもがいる場合に安心できる機能だ。パワースライドドアを使って車両から降りる際に、後方から接近する車両や自転車と衝突する可能性がある場合、パワースライドドアの自動開作動を停止する。小さな子どもが勢いよく飛び出し、後方から来る車両や自転車と衝突するリスクを低減してくれる。

こうした装備により、ヴォクシー&ノアは、クラストップと言える予防安全性能を手に入れている。

TOP.2

トヨタシエンタ

トヨタ シエンタ

3代目シエンタは、2022年8月にデビューした。このシエンタにも最新世代の「トヨタセーフティセンス」が搭載されている。

自動ブレーキの検知機能は、ヴォクシー&ノアと同じだ。

  • 昼夜の歩行者
  • 昼間の自転車
  • 昼間の自動二輪
  • 右左折時の対向歩行者
  • 右折時の対向車両
  • 出会い頭の車両と自動二輪

ライバル車であるフリードは、自動ブレーキでここまで検知することはできない。他メーカーのMクラスミニバンよりも優れている点だ。

シエンタの一部グレードには、ドライバー異常時対応システムが搭載されている。システムが「運転者が異常な状態にある」と判断すると、車線内で減速、停車する機能だ。(レーントレーシングアシスト制御中に、手放しなどの無操作運転状態が続くときなどに発動する。)
衝突事故の回避・衝突被害の低減に寄与する機能だ。
シエンタの場合、最上級グレードのハイブリッドZのみ標準装備されている。その他グレードには、装備不可だ。
1位のヴォクシー&ノアには、全車標準装備されている。この差は大きい。

後側方車両接近警報や後退時車両接近警報などは、エントリーグレードのみオプション扱いだ。その他のグレードは標準装備されており、コンパクトミニバンとしてはなかなか充実した予防安全装備になっている。
パノラミックビューモニターは全車オプション設定だ。カメラ映像を合成し車両を俯瞰から360°で見ることができる機能で、車両の死角にある障害物や小さな子どもを見つけやすくなる。接触リスクが低減できる予防安全装備なので、積極的に選択したいオプションのひとつだ。

TOP.3

日産セレナ

日産 セレナ

C28型日産セレナは、2022年11月にフルモデルチェンジした。このモデルも先代セレナのプラットフォーム(車台)を改良し継続採用している。
日産の予防安全装備装備パッケージ「360°セーフティアシスト」は、全車標準装備されている。セレナは、どのグレードを買っても一定の予防安全性能を得ているので安心だ。

自動ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車に対応している。右左折時の対向歩行者や右折時の対向車両などには対応していないのが惜しい。
だが予防安全装備を「360°セーフティアシスト」と呼ぶだけあり、使用頻度の高い後側方車両接近警報や、後退時車両接近警報は全車標準装備されているので安心だ。

アラウンドビューモニターは、一部グレードを除きオプション設定だ。車両を俯瞰から見た映像に変換。死角を無くし、接近する人なども検知できる機能である。ミニバンは車体が大きく死角が多いので、オプション選択は必須といえる。

セレナの最上級グレードであるルキシオンには、自動運転時代の到来を予感させる運転支援機能である「プロパイロット2.0」が標準装備されている。ナビで目的地を設定後、高速道路上で条件を満たすと、同一車線上であれば手離し運転が可能になる。非常に高精度な運転支援機能で、運転が苦手なドライバーの運転よりも、安心できるほどのレベルを有する。ドライバーの疲労軽減に大きく貢献し、安全運転に寄与してくれる。

TOP.4

ホンダステップワゴン

ホンダ ステップワゴン

ステップワゴンは、2022年5月にフルモデルチェンジし6代目となった。先代のプラットフォーム(車台)を改良して使っているため、ホンダの予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」も全車標準装備されている。どのグレードを買っても一定の予防安全性能を得ることができる。

自動ブレーキ機能は、歩行者や自転車を検知し、衝突回避もしくは被害軽減が可能だ。ヴォクシー&ノアのように、右左折時の対向歩行者や右折時の対向車両、自動二輪車には対応していない。
ホンダセンシングは、誤発進抑制機能など15もの機能をもつ。ただ、後側方車両接近警報は、一部グレードには装備されない。

マルチビューカメラシステム(車両を俯瞰から見た映像に変換し死角を無くす機能)は、一部グレードに標準装備されているが、その他はオプション設定だ。車体が大きく死角が多いミニバンにとって、安全面では必須といえる装備なので必ず装着したい。

TOP.5

三菱デリカD:5

三菱 デリカD:5

デリカD:5は、2019年にフルモデルチェンジ相当の改良が行われた。予防安全装備は、従来のモデルでは物足りなかったものの、大幅改良により平均レベルの予防安全性能を手に入れている。

自動ブレーキの検知対象は、歩行者のみとやや物足りない。また、誤発進抑制機能も前進時のみだ。後側方車両接近警報、後退時車両接近警報も1グレードのみ標準装備で、オプションが1グレード、装着不可が2グレードとなっている。自動ブレーキの検知機能がやや物足りないので、せめてこうしたローテク予防安全装備は標準装備にして欲しいところだ。
マルチアラウンドモニター(車両を俯瞰で見た映像に変換し死角を無くす機能)も1グレードが標準、2グレードがオプション、1グレードが装着不可となっている。

デリカD:5は、第5位にランクインしたものの、1~4位までの車両とは大きな差が付いている。本来なら、トヨタ アルファード&ヴェルファイアがランクインするところなのだが、受注が停止し、2023年春にフルモデルチェンジ予定ということもありランク外とした。

まとめ

ミニバンでの予防安全性能は、最新のトヨタセーフティセンスが完全にリードしている。ただ、ヴォクシー&ノアやシエンタ共にオプション設定が多いので、こうしたオプションを全部選択することが条件になる。

セレナは、トヨタセーフティセンスのように右左折時の対向歩行者や右折時の対向車両などに対応していない。だが使用頻度の高い後側方車両接近警報と後退時車両接近警報を標準装備しているので、比較的安心して乗れるクルマに仕上がっている。

ステップワゴンもセレナと同様だが、後退時車両接近警報が一部装備されないグレードがあるので注意が必要だ。

また、サイドポール(電柱などと側面衝突した場合の乗員保護保安基準)が加わったため、ミニバンも新型車を中心にサイド&カーテンエアバッグが標準装備化された。ただし、一部保安基準前の仕様になっているフリードなどは、サイド&カーテンエアバッグが標準装備されている車両が少なく、オプション設定の場合もあるので、注意が必要だ。

予防安全装備は機能が複雑で、グレードによって装着の有無が変わる。とても分かりにくいのだが、安い方がよいとか、面倒だ、と言って装着しない選択をすると、後々後悔することになるだろう。
特に、ミニバンは多人数乗車向きのクルマだ。それだけに、最高の予防安全装備のモデルを選びたい。

安全装備比較表

  • …全車標準装備
  • …一部標準装備または一部オプション
  • ×…標準装備なし
トヨタヴォクシー/ノア トヨタシエンタ 日産セレナ ホンダステップワゴン 三菱デリカD:5
対車両自動ブレーキ

歩行者検知式自動ブレーキ

ブレーキ踏み間違い衝突防止アシスト


*前方のみ
サイドエアバック

カーテンエアバッグ

車線逸脱警報

車線維持支援

×

後側方車両検知警報


*1グレードのみオプション



*一部グレード装着不可


*一部グレードオプション、または装着不可
後退時後方車両接近警報


*1グレードのみオプション


×


*一部グレードオプション、または装着不可
オートマチックハイビーム

※安全装備の詳細は各車メーカー公式サイトをご確認ください。

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