リビルト品とは?デメリットや試したいケースについて整備士が解説

車の部品としての「リビルト品」という言葉にあまり聞き馴染みのない人には、どういったものなのかイメージしづらいでしょう。
しかし、ユーザーにとってはお財布に優しい整備提案で、前向きに検討の余地のある部品といえます。
この記事では実際の整備現場で、リビルト品を扱うこともある現役の整備士が、リビルト品がどういったものなのか?メリット・デメリットも含めて分かりやすく解説します。

リビルト品とは

リビルト品とは?デメリットや試したいケースについて整備士が解説

リビルト品とは、オーバーホールを実施した中古部品のことを指します。オーバーホールによって新品同等と言えるに近い状態にした中古部品です。
オーバーホールは、普段は分解しないところまで綿密に部品の中身を点検したうえで、修理・清掃・給油・交換等をおこないます。

リビルト品と中古品の違い

リビルト品と中古品の違いは明確です。リビルト品はオーバーホールを実施したものですが、中古品は元々取り付けてあった車から外しただけの部品です。
リビルト品が点検・修理等がなされている一方で中古品は、部品としてメンテナンス等は一切されていないものと考えて間違いありません。ただし、見映えをよくするために外観のみ洗浄・清掃されている中古品もあります。中古品はあくまで中古品なので、部品交換後すぐに壊れるリスクもあれば、元々壊れている(十分な性能を発揮できない)こともあり得ます。
中古品の使用による修理・整備は、自動車整備をする上でリスクの高い選択肢のひとつです。

リビルト品とリンク品の違い

リンク品は、壊れたり消耗した箇所のみ最低限のメンテナンスや部品交換をおこなったものです。簡単にいうと、中古品とリビルト品の間と思っていただければ差し支えないでしょう。
手入れのされていない中古品は不安要素が多いですが、リンク品は最低限の修理に留めることで、リビルト品より安価で提供できる特徴があります。一方で、部品の寿命は平均してリビルト品より劣ります。

リビルト品を使うメリット

リビルト品を使う最大のメリットは、新品に近い品質の部品を新品よりも安く購入できる点です。
また、中古品とは異なり一般的にリビルト品メーカー独自の保証が付帯していたり、オーバーホール後に実施される独自の完成検査の証明書が添付されてたりすることもあるので、万が一のときにも安心です。
また、年式の古い車になると新品部品のメーカー供給が終了していても、リビルト品であれば問題なく手に入ることがあります。

リビルト品を使うデメリット

自動車の整備・修理にリビルト品を使うデメリットは、リビルト品メーカーによって品質や価格、保証に差がある点です。
運悪く交換直後に部品がダメになるといったトラブルのリスクは、当然ながら新品部品よりも高くなります。
また、必ずしも欲しい部品のリビルト品がタイミングよく見つかるとは限らない点もデメリットです。希少な車や輸入車などは、リビルト品が見つかりづらいです。
ちなみに、交換した古い部品の多くは必ずリビルトメーカーに返却しなければいけません(コア返却制度)。これは回収した部品(コア)を元にオーバーホールして、リビルト品として販売しているためです。

【補足】ディーラーはリビルト品を使わない?

ディーラーでもリビルト品は使います。私のいた国産ディーラーでは、スターターやオルタネーター、エアコンのコンプレッサーといった高額な電装部品は、お客さまからお申し出のない限りはリビルト品を優先してご案内していました。
ディーラーだからといって、自動車メーカーの純正部品しか扱わないということはありません。
修理費用の面などでリビルト品の使用も視野に入れているのであれば、ユーザー側からもその旨を相談してみるのがベストでしょう。

リビルト品を日頃のメンテナンスで検討したいケース

リビルト品での部品交換を検討しても良いケースは以下の表のとおりです。部品の交換が必要となる症状などについての関連記事は文字リンクよりご確認ください。

分類 部品
パワートレイン
エンジン
トランスミッション
デファレンシャル
トランスファー
補機類 オルタネーター
エアコンコンプレッサー
パワステポンプ
吸排気系統 スロットルボデー
ターボチャージャー
スーパーチャージャー
その他 スターター
ドライブシャフト
プロペラシャフト
燃料ポンプ
ステアリングギヤボックス
ラジエター
コンデンサー
ハイブリッドバッテリー
など

これらの部品は、リビルト品が販売されている主な部品なので、交換の必要がある場合にはぜひ検討してもよいケースと言えます。(車種やリビルト品メーカーによる)
この中で、日頃のメンテナンスで交換しなければいけないようなものはありません。
通常の定期的に交換の必要となる部品においては、リンク品を使うよりも新品部品を使うことが一般的です。

高額修理の際にリビルト品を検討したいケース

車検や点検を除く、修理のみでの入庫となったときに「高くつくなぁ」というイメージを持つ修理金額は、車種によっても異なりますが、一般的には「5万円以上ないしは10万円以上」といった区切りの良い金額以上が目安となるひとが多いでしょう。
しかし、車の修理は意外と簡単にその程度の金額が必要となるケースが多いです。では実際にはどういったケースがリビルト品を検討したい高額修理に当てはまるのでしょうか。

パワートレイン関連はリビルト品使用で大きく節約

エンジンやトランスミッションに代表されるようなパワートレインの交換は、特に高額な修理費用となるので、リビルト品の使用が非常におすすめです。
私自身も、もし自分の車でエンジンを載せ替えなければいけないことになれば、迷わずリビルト品を選びます。
部品単体で数十万円、時には100万円を超えるようなこともあるエンジンなどは、リビルト品を使うだけで、新品部品と比較して数十万円単位の節約になる可能性があります。

もっとも身近なリビルト品は補機類関係やハイブリッドバッテリーなど

オルタネーターやエアコンコンプレッサーといった補機類は、年数や距離によって経年劣化します。最終的には、不具合の発生によって交換しなければいけないケースがあります。
一般的な使用環境でも、交換する可能性が十分にあるのでリビルト品を検討するもっとも身近なパターンと言えます。
私自身の仕事でリビルト品を使用した部品交換といえば、以下が主なものです。

  • オルタネーター
  • エアコンコンプレッサー
  • スターター
  • パワステポンプ
  • ターボチャージャー
  • ステアリングギヤボックス
  • ハイブリッドバッテリー
  • ドライブシャフト

しかしすでに解説したように、ほかにもリビルト品扱いのある部品はあります。
修理に際して高額となる場合には、ユーザー側から整備工場側に、リビルト品対応の可否を確認してみるのもおすすめです。

整備士のまとめ

リビルト品を使った修理・整備は費用面で大きくお得感があり、メジャーなリビルト品メーカーの部品であれば品質や保証も十分に安心できるものです。
お店の方針にもよりますが、自動車ディーラーでもリビルト品は扱っています。
高額な修理となる際は、ぜひ前向きにリビルト品の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。