
多くの方にとって、車の修理はなるべく安く済ませたいのが本音でしょう。しかし、提示された金額が妥当なのかどうか分かり兼ねることも多く、そのために修理の見積もりをあらかじめ取りたいと考える方も多いはずです。
今回は、車の修理見積もりについて依頼時の注意点、保険修理の目安や判断基準などについて現役の整備士が分かりやすく解説します。
- 車の修理見積もりは無料でできる?
- 車の修理見積もり先による特徴・違い
- 車の修理見積もりは何社ほどやるべき?
- 【車の傷】塗装修理における見積もり時の確認ポイント
- 【車の部品の故障】修理見積もり時の確認ポイント
- 自費修理をするかの判断基準となる見積もり金額ラインは?
- 整備士のまとめ
車の修理見積もりは無料でできる?
車の修理にあたる見積もりは状況に応じて無料のこともあれば有料のこともあります。会社によってルールがまったく異なるので、直接問い合わせて確認するしかありません。
例えば、車検の見積もりの場合、実車を見ずに距離や年式で判断する簡易的な見積もりだと無料のケースが多いです。一方で整備士が実際に車を確認して、その車に応じた見積もり作成になると有料になる場合があります。なお、見積もりのみだと有料ですが、その後で車検をすると無料としている会社もあったりします。
見積もり依頼の主な方法
見積もり依頼の方法はいくつかあります。
- webサイトの「お問い合わせ」から依頼
- メールやLINEの活用
- 電話
- 直接、店舗に出向く
直接お店に出向いて車の状態を確認してもらう以外は、あくまで概算の見積もりとなる点に注意が必要です。
事故修理の見積もりも、写真や画像だけでは正確な判断が難しいことも多いです。これは事故の場合、外観上では判断できない内部にまで損傷が及んでいるケースが多いためです。
写真だけで見積もり依頼をして、その後実際に車を持ち込んで修理を進めると修理金額が高額になってしまった…といったトラブルも耳にします。ご自身の車に合った修理の見積もりが欲しい場合には、見積もり費用を支払って車を実際に診てもらうことをおすすめします。
車の修理見積もり先による特徴・違い
車の修理見積もりを依頼できる業者例は以下です。
- 自動車ディーラー
- 町の自動車整備工場
- 中古車販売店
- カー用品店
- 板金塗装工場
- ガソリンスタンド
いずれも整備・修理できる工場を併設、または連携していることが条件です。
車の修理見積もりを依頼できる業者によって、「できること・できないこと」や特徴があります。
自動車ディーラーの特徴
自動車ディーラーに見積もりの依頼をする場合は、そのディーラーが取り扱うメーカーの車のはずです。
ディーラーの強みはメーカーとの直接的な関係がもたらす専門知識と、迅速で的確な対応力です。
このことから正確な見積もりが欲しい場合にはディーラーへの依頼がおすすめです。
純正部品の使用が一般的なので、その点も安心できます。
また、同じ会社内であれば店舗が異なっても、基本的には見積もり内容が大きく異なることはないでしょう。費用は相場に比べて高くなる傾向にありますが、一概には言えません。
町の自動車整備工場の特徴
町の自動車整備工場の特徴は、店によって技術力や対応、費用面において大きな差があることです。
自動車ディーラーがお手上げのような難解な修理に対応できる整備工場もあり、要望に応じた柔軟な対応をしてくれるケースもあります。また、特定の車種やメーカーの車に精通したお店もあり、遠方からわざわざ多くのお客様が出向いてくるようなケースもあります。
一方で、法令に違反した業務を平然とおこなうところもあるので、見積もりを依頼するときは信頼のできる整備工場かどうかの見極めが大切です。また、中には国の許可なく事業をおこなう未認証の整備工場もあり、注意が必要です。
見積もりを依頼するときは、国の認可を受けた「認証工場」または「指定工場」を選びましょう。
中古車販売店の特徴
中古車販売店も町の整備工場と同じように、店によって技術力や対応、費用面において大きな差があります。一方で、TVCMなどでも目にするような大手の中古車販売店は、充実した大型の整備工場を併設しているところもあり、画一的でありながら要望に応じて柔軟に対応してもらえるケースもあります。
カー用品店の特徴
カー用品店は全国チェーン店化されている有名店を中心に気軽に利用できます。急な依頼にも応えてくれる傾向にあります。しかし、アルバイトスタッフも多く、見積もり依頼となるとその内容にはムラが出てしまう可能性があります。
一方で、中には特定の車種や特定の作業に精通したスタッフがいる場合もあるので、これに該当する場合には積極的に利用してみるのもよいでしょう。
板金塗装工場の特徴
板金塗装工場は、プロによる専門知識に基づいた正確な事故修理の見積もりができる点がもっとも大きな特徴です。
ほかの業者と比較するとユーザーにとってあまり身近ではないため、直接工場に出向くにはハードルが高いかもしれませんが、見積もりの際には納得のいく説明を受けることができるでしょう。ただし、板金塗装修理に特化しているため、車の故障に関する修理は専門外とするところが多いです。
ガソリンスタンドの特徴
ガソリンスタンドはもっとも身近に足を運べる業者のひとつです。簡易的な見積もりであれば承ってくれるでしょう。設備が十分ではないことが多く、診断や難しい整備を伴う場合には、見積もりそのものが対応できないことも多いです。
車の修理見積もりは何社ほどやるべき?
車の修理見積もりは3社ほどから取ることをおすすめします。3社以上取れば、おおむねの相場感が分かるためです。
可能であれば異なる業態のお店からそれぞれ見積もりを取るのがよいでしょう。
あまり多く見積もりを取るとその分の手間も増えます。場合によっては、見積もり費用の支払いが増えたり、断りの連絡を入れる必要があることなども考慮して、3社程度がベストだと言えるでしょう。
【車の傷】塗装修理における見積もり時の確認ポイント
車の傷などによって板金塗装を修理する際、見積もりを取る時の確認ポイントは、主に以下の3つです。
- 修理見積もりの内訳
- 修理にかかる時間
- 修理の間の代車有無
板金塗装修理時の見積もりの内訳
板金塗装修理は、車の故障修理以上に内訳が複雑です。おおまかには以下の項目に分けられます。
- 塗装代
- 工賃
- 工賃(修理に必要な部品の脱着費用)
- 交換部品代
担当者とのコミュニケーションが大事!安すぎる見積もりには要注意
費用が安いことだけにこだわると、きれいに修理をおこなう際に必要な部品の脱着が省かれており、仕上がりが満足のいくクオリティではないことも考えられます。また、板金塗装の仕上がりは職人の技術力に大きく左右されます。
見積もり時には、業者の担当者としっかりコミュニケーションを取って、どの程度の仕上がりを求めているのか、予算はどの程度なのかしっかりと両者の間で擦り合わせをおこなうことが大切です。
板金塗装修理は基本的に車を預けて時間を要する作業となるので、代車の有無や修理期間もあらかじめしっかりと確認しておきましょう。
【車の部品の故障】修理見積もり時の確認ポイント
車の部品の故障による不具合発生時の修理見積もり時に確認するべきポイントは、以下のとおりです。
- 工賃
- 部品代
- 自社修理か外注か
使用する部品を要確認
どういった部品を使用して修理するのか確認しておくことをおすすめします。
使用する部品は以下の5つのパターンがあります。
- 純正品
- 純正相当品
- 社外品
- リビルト品
- 中古部品
見積もりがあまりにほかの業者と比較して安い場合には、中古部品が使われていないか確認したほうがよいでしょう。
一般的には純正品がもっとも高価な部品です。
ドライブシャフトやエアコンコンプレッサー、オルタネーターなど部品によっては新品よりも安価なリビルト品を使った修理が一般的なものもあります。(品質も十分に保証されている)
ただし、これもお店の方針によってさまざまなので、場合によってはこちらの要望を伝えることも必要でしょう。
自社修理か外注か要確認
どの業者で見積もりを取る場合でも、自社で修理をおこなうのか、外注での修理になるのか確認することをおすすめします。自社で修理対応できなくても、見積もりに対応してくれる業者はあります。
しかし、間に業者を介することで本来直接修理業者に依頼する場合と比較して費用が割高になる可能性もあります。ただしデメリットばかりではありません。間に業者を介することで、直接依頼した場合には用意されない代車を使うことができたり、業者(プロ)同士がやり取りすることでスムーズに修理が進むケースもあります。
自費修理をするかの判断基準となる見積もり金額ラインは?
傷や凹みを板金塗装修理する場合、保険を使う方がお得なのか、保険使用後の保険料アップを考慮すると自費修理がお得なのか悩まれる方も多いでしょう。判断基準となる目安について簡単にご説明します。
保険が適用されるか確認をしよう
まずは保険修理が適用されるか確認します。
自損事故であれば、自動車保険の特約である車両保険を付帯していなければ保険は使えません。車両保険の中にもいくつかのパターンがあり、相手のいない自損事故だと保険修理の対象外の場合もあるので注意が必要です。相手がいて過失割合のある事故に伴う修理の場合は保険会社の指示・説明に従いましょう。
保険利用と自費修理のメリット・デメリット
保険修理と自費修理、どちらが自分に合ったものなのか双方のメリット・デメリットを理解しておくことが大切です。
保険修理のメリット・デメリット
保険修理のメリットは、高額修理でも最低限の持ち出しで修理が可能な点です。(※免責のある契約の場合)
また「代車特約」を付帯していれば、保険でレンタカー使用も可能なので、修理の間代車がなくて困るということもありません。一方で保険修理をすれば、保険等級が下がってしまい翌年度以降に支払う保険料が上がってしまう点が大きなデメリットです。これらによる負担を軽減する長期契約を扱う保険会社もあります。
自費修理のメリット・デメリット
自費修理のメリットは保険等級や保険料に影響がない点です。また、ほかにも「修理のついでに○○をしたい、修理の際は○○の部品を使いたい…」といった自身の要望に応じた柔軟な修理が可能です。
保険修理は状況によっては保険会社の立ち会いが必要となることもあり、作業がストップすることもありますが、自費修理はそういった時間のロスがありません。デメリットは、すべての修理費用を自己負担しなければいけない点です。
自費修理が検討される見積もり金額の目安
保険を使う方が得か損かは、加入している保険会社の違い、保険等級や保険を使ったときの免責額などによっても異なるので一概には言えません。
保険代理店で具体的な試算をしてもらうことをおすすめしますが、おおまかな目安として「15万円〜20万円程度まで」の見積もり金額であれば、自費修理を検討したほうがよいでしょう。
整備士のまとめ
車の修理見積もりは複数の業者から取ることでおおむねの相場感が分かりますが、安ければ良いわけではありません。安い場合には、こちらの求めるサービスや仕上がりが伴わないケースもあります。
また昨今、物価高の影響で部品代だけではなく工賃も上昇傾向にあるので、イメージだけで必ずしもディーラーがもっとも高額な見積もりになるとも限りません。
見積もりを取るときは見積もり金額だけに目を向けるのではなく、整備内容や業者への信頼性も含めて比較検討するように心掛けましょう。
- Supervised by 整備士 ヒロ
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保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。