エンジン載せ替えとは?費用や車検に通るかについて整備士が解説

エンジン載せ替えとは?費用や車検に通るかについて整備士が解説

走行距離が延びてエンジンに寿命がきたり、エンジンが故障したときの愛車の今後の選択肢のひとつに、エンジンの載せ替えが挙がる事があります。
しかし、一般的な作業として頻繁に行われるものではないので、作業の費用や所要時間、メリットデメリット等分からないことが多いはずです。
この記事では「エンジンの載せ替え」について、現役整備士が分かりやすく解説します。

エンジンの載せ替えとは?

エンジンの載せ替えとは古いエンジンを新しいエンジンに交換することです。オーバーホールとは違います。
エンジンには寿命があります。過走行、オーバーヒートやオイル消費等のトラブルに起因するなど理由は様々ですが、まだまだいまの愛車に乗り続けたい場合に、エンジンの載せ替えが検討されることがあります。

エンジン載せ替えのメリット・デメリット

エンジン載せ替えのメリットとデメリットは以下のとおりです。

【メリット】

  • まだ今の車に乗り続けることができる
  • エンジンの健康状態が良くなる
  • 車を乗り換えるより安く済む(ことがある)
  • カスタムやメンテナンスが施されたエンジンを使うことができる

【デメリット】

  • 修理・整備費用が高額
  • 数日〜数週間の作業期間が必要
  • 付随している他の部品も交換しなければいけない(ことがある)

これらを考慮した上で最終的には作業にかかる費用と、これからどれくらいの期間・距離を乗り続けるかを天秤にかけて、エンジンの載せ替えをするか否かを決定することになるでしょう。

オーバーホールとの違い

エンジンのオーバーホールとは、いま車に載っているエンジンの内部を分解して、測定や点検、洗浄をした上で、必要に応じて適切な新品部品に組み替えていくことです。
エンジンの載せ替えは、まったく別のエンジンに載せ替えることなので、元々のエンジンを活用してリフレッシュするオーバーホールとは大きく異なります。
オーバーホールには高い技術・知識・経験が必要なので、オーバーホールを受け付けていない整備工場も少なくありません。外注する場合もあるでしょう。
また、精密な作業を伴うため、整備に日数を要するのと、載せ替えと比較して部品代を抑えることができる場合もありますが、工賃は高くなります。

エンジン載せ替えにかかる日数の目安

エンジンの載せ替えは重整備となるので、作業には時間を要します。
工場のスケジュールや車種によっても大きく変わりますが、最短でも2泊3日ほどかかります。
基本的には余裕を持って1週間〜10日くらいの日程でスケジュール調整されることが多いでしょう。
ただし作業に際して急遽、追加交換部品が出ることも珍しくなくありません。
その場合には、部品の取り寄せ待ちの期間がプラスされることもあります。
エンジン載せ替え作業は、こうしたイレギュラーの発生もあるので、当初の予定から納期が延びる可能性もあることを理解しておきましょう。

エンジン載せ替えの費用の目安

エンジン載せ替え費用の目安は軽自動車で新品エンジンの場合35万~50万円。普通車でリビルト品の場合40万円~90万円です。

載せ替え費用は車のボディサイズや使用するエンジンによって変わってきます。

エンジンの載せ替え費用は、使用するエンジンによって金額が大きく異なります。

「中古エンジン<リビルトエンジン<新品エンジン」の順に費用が高くなります。

エンジン載せ替え工賃は7〜15万円ほど

エンジンの載せ替え工賃は軽自動車であれば7万円〜10万円前後が相場です。
乗用車は、高価格車やサイズの大きい車になるほど工賃が高くなります。
コンパクトカークラスだと軽自動車と同じく7万円〜10万円前後の工賃で、SUVやミニバン等の大型サイズの車、エンジンになってくると10万円〜20万円ほどになります。
4WDは構造が複雑かつ脱着部品も増えることから、2WD車と比べて工賃が高くなる傾向にあります。

工賃+エンジン・部品代の合計の費用相場

ボディタイプごとの工賃をもとに、エンジンの載せ替え費用相場をまとめました。

  新品 リビルト 中古
軽自動車 35〜50万円 22〜40万円 10〜25万円
普通乗用車 50〜100万円 40〜90万円 15万円〜

作業に付随する細かい部品代でも費用に差が出る

エンジンには様々な補機類や部品がついています。
これらの部品がすべて再使用できるとは限らず、エンジンとは別に必要となる部品やガスケット・シール類などが、エンジンの載せ替え時には必要となります。
金額の大きいものだと、ターボエンジン車のタービンキットなどがあります。(5〜20万円程度。タービンにも新品、リビルト品、中古品があります)
そのため、エンジン以外の部品代においても車種や個体差、整備工場の方針に応じて数万円〜25万円程度の費用差が発生する可能性があることを理解しておきましょう。

エンジンを載せ替えた車は車検に通る?

元々のエンジンと同じ種類のエンジンに載せ替えるのであれば、車検は問題なく通ります。
エンジンには型式が刻印されており、車検証にもエンジン型式が登録されています。
よって、カスタムカー等の特殊な例において、まったく別のエンジンに載せ替えるようなことがあれば、実車と登録上での整合性が取れなくなるので、そのままでは車検には通りません。
この場合、正規の手順を踏んで登録事項の変更を実施すれば、車検に通るようになります。

整備士のまとめ

エンジンの載せ替えには高額な費用がかかります。
そのため少しでも安く済ませようと、安価で品質の低いリビルトエンジンや、中古品エンジンに手を出したり、ガスケット交換など提案された部品の交換を疎かにすると、後々トラブルに見舞われたり、メンテナンス費用がかさんでしまう事例もあるので注意しましょう。
場合によっては車を乗り換える方がベストかもしれません。
一方で、エンジン載せ替え後も安心して長く乗り続けたい場合には、新品エンジンか、しっかりメンテナンスされたリビルトエンジンを使用し、細かい部品も新しくできるものは新しくして、お金をかけてしっかりとリフレッシュしてあげましょう。

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Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。