
マイルドハイブリッドは、従来のハイブリッド車とはシステムが異なります。エンジンを小型のモーターがアシストするような仕組みで、今後環境基準が厳しくなっていくに従ってさらに、マイルドハイブリッド車は増えていくことが予想されます。
そこでマイルドハイブリッドの寿命や故障の原因、修理費用について現役の整備士が解説していきます。
マイルドハイブリッドの寿命
マイルドハイブリッドの寿命は一般的に走行距離で10万km~、または年数で10年~が目安です。ただし、マイルドハイブリッドはいくつかの部品に分かれており、各々の交換目安は異なります。
マイルドハイブリッドの寿命を説明する場合、主に以下の3つの部品についてそれぞれ考える必要があります。
- マイルドハイブリッド用バッテリー
- モーター
- DC-DCコンバーター
(※代表的なものをピックアップしています。マイルドハイブリッドのシステムを構成する部品は他にもありますが、分かりやすく解説するために除いています)
さらに、モーターの役割を担う部品にもいくつかのパターンがあり、車によって取り付けられている場所が異なります。
ここでは分かりやすく国産車で主に採用されているものに絞って、それぞれ解説していきます。
マイルドハイブリッド用バッテリーの寿命
マイルドハイブリッド用バッテリーには、急速な充放電に対応したリチウムイオンバッテリーが使われています。マイルドハイブリッド用バッテリーは「走行距離で10万km〜」、または「年数で10年〜」が交換が必要になる寿命の目安となります。
通常の12Vバッテリーとは異なり、基本的には長寿命高耐久の設計になっています。
モーターの寿命
マイルドハイブリッドのモーターにも様々なタイプがあります。大きく分けると2種類のタイプがあり、「ベルト駆動タイプのモーター」と「トランスミッション内蔵または一体タイプのモーター」があります。
ベルト駆動タイプモーターの寿命
現在、スズキやマツダで採用されているのはベルト駆動タイプのモーターです。これは「ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)」と呼ばれ、発電機能とモーターアシストの機能を両方備えており、中にはエンジンの始動もおこなうISGもあります。従来のオルタネーターとほとんど同じような外観で、ドライブ(補機)ベルトによって駆動しています。寿命は走行距離で10万km〜20万kmです。10万kmを超えると寿命を迎える可能性が高くなると考えておきましょう。
トランスミッション内蔵/一体タイプモーターの寿命
スバルや欧州車を中心に多く採用されているのが、マイルドハイブリッドモーターがトランスミッションに内蔵、または一体となっているタイプです。
明確に目安となる寿命はなく、ベルト駆動タイプのモーターと比較した場合の故障リスクは低いです。
DC-DCコンバーターの寿命
DC-DCコンバーターには、明確に目安となる寿命はありません。万が一故障したときに交換となる部品です。
以下、簡単にDC-DCコンバーターの説明です。
車は電装品を中心に12Vを電源電圧として作動しています。車種によってマイルドハイブリッドで発電される電圧にはいくつかのパターンがありますが、24Vや48Vなど大きな電圧となるシステムを採用している車も多く、これを車で使えるように12Vに降圧する必要があります。その役割を担っているのが「DC-DCコンバーター」です。
マイルドハイブリッドは壊れやすい?
マイルドハイブリッドだからといって車が壊れやすいということはありません。
マイルドハイブリッドに限らず、昔と比べると車は複雑化し装備や機能も増えています。それに伴って使われている部品や制御するコンピューターが増えているので、当然ながらその分、壊れる可能性のある部品も増えていると言えます。マイルドハイブリッド搭載の有無で、車が壊れやすいかどうかを心配する必要はありません。
マイルドハイブリッドの主な故障の原因
マイルドハイブリッドが故障する主な原因として、以下のようなことが考えられます。
- マイルドハイブリッドバッテリーが正常に充放電しなくなる
- ISGのプーリー脱落
- ISGの内部故障で充電やモーターアシストしなくなる
- 補機ベルト切れ(ベルト駆動タイプの場合)
- DC-DCコンバーターの内部故障で降圧・昇圧できない
- システムを制御するコンピューターの内部故障
いずれの故障の場合にも警告灯の点灯や点滅が伴いますが、走行に支障が出るような体感できる不具合がまったくないことも考えられます。
また、ISGのプーリー脱落や補機ベルト切れのような物理的に壊れる場合には、それに伴う異音の発生や故障の前兆を感じることもあります。
マイルドハイブリッドのバッテリー交換にかかる費用は?
マイルドハイブリッドのバッテリー交換にかかる費用は、軽自動車の場合、リビルト品の利用で8万円~、新品の部品で12万円~が目安です。普通乗用車の場合は新品の部品で25万円〜40万円が目安です。
マイルドハイブリッドの車に搭載されているバッテリーは、リチウムイオンバッテリーです。交換の際は専用の診断機を繋ぐ手順が必要となる場合もあります。
軽自動車では早い段階から採用されていたマイルドハイブリッド車ですが、普通乗用車ではまだ市場に占める数が多くありません。そのことから、バッテリーのみならず部品交換の情報(有償での作業)もほとんど出回っていません。
今後、マイルドハイブリッド車が増え、それに伴いリビルト品が流通するようになると、新品部品での交換またはリビルト品での交換のどちらの場合でも、現状と比較して交換にかかる費用が落ち着いてくる可能性があります。
整備士のまとめ
マイルドハイブリッドには、純ガソリンエンジン車にはない部品が備わっているので、その部品が壊れる可能性は当然ありますが、それはマイルドハイブリッド車に限らず、従来のハイブリッド車でも同じことです。
マイルドハイブリッドはモーターのアシストのおかげで、同等クラスの純ガソリンエンジン車と比較して燃費も良くパワフルでありながら、コスト増も最低限である点が最大のメリットです。
これら総合的に判断し現役整備士の目線からお伝えすると、そこまで部品の寿命や壊れやすいかどうかについて気にする必要はありません。
- Supervised by 整備士 ヒロ
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保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。