- この記事の目次 CONTENTS
- SUVは「セダンとオフローダーのいいとこどり」
- SUVのメリットは、オールマイティな性能と使い勝手
- デメリットは、大きく重いこと
- 多種多様な個性をもったモデルが多く選びやすい
- SUVの選び方は?
- 十分な航続距離をもつモデルが続々登場
- 現実的な次世代環境車
- ハイブリッドシステムで異なる燃費
- 国産ではマツダのみ。パワフル&低燃費が魅力
- 車両価格が安価な以外、あえて今選ぶ理由が見つからない
昨今高い人気を誇るSUV。SUVとは、「スポーツなどに役立つ乗り物」だ。セダンのような快適な乗り心地と、オフローダーのような悪路走破性に優れた使い勝手を併せ持つため、街乗りから高速、キャンプまで活用の幅が広い。今回はSUVの種類やメリット・デメリット、選び方のコツをまとめてお伝えする。
SUVは「セダンとオフローダーのいいとこどり」
全世界的にSUVが人気だ。そもそもSUVとは「S(スポーツ)・U(ユーティリティ)・V(ビークル)」の略称だ。直訳すると、「スポーツなどに役立つ乗り物」になる。
SUVの特徴を端的にまとめると、「セダンとオフローダーのクロスオーバー」だ。
- セダンのような快適な乗り心地
- オフローダーのようなワイルドなデザイン、悪路走破性に優れた使い勝手
この「1.街乗りは快適」+「2.悪路も走れる」を、足して2で割ったようなクルマと表現できる。ある意味、いいとこ取りのクルマだ。
ここ数年、セダンの人気が下がっているため、SUVへシフトしている傾向が強い。背が高いので見晴らしがよく、運転もしやすいのもポイントだ。使い勝手もよく快適性はセダンとなれば、売れない理由がない。
最近のSUVブームのパイオニアともいえるのが、初代トヨタ ハリアーだ。国内では1997年、北米では1998年に初代レクサスRXとして登場した。
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北米の初代レクサスRXは、発売当初からかなり話題になった。セダンであるカムリのプラットフォーム(車台)を使い、SUV化したからだ。
そもそも北米のSUVは、基本的にトラックやオフローダーがベースで、ラダーフレームを採用していた。そのため、頑丈で悪路走破性は高いものの、乗り心地や静粛性は高くはなかった。
対する初代RXは、カムリベースのプラットフォームを採用した。従来のSUVとは比べ物にならないくらいの乗り心地や静粛性、質感の高さを誇り、瞬く間に大ヒットした。
その後北米では、初代RXがSUVのトレンドとなった。各自動車メーカーがベンチマークとして、続々と同じタイプのSUVが投入し現在に至っている。
日本には、北米でのSUV人気がジワリジワリと伝わってきた。当時、初代ハリアーにレクサスエンブレムを付けることが流行ったほどだ。
SUVのメリットは、オールマイティな性能と使い勝手
SUVは、セダンとオフローダーのクロスオーバー車なので、両車の良い所を併せ持っている。
セダンのメリットは、粛性と乗り心地の良さが挙げられる。これに、オフローダー特有のワイルドなデザインに、悪路走破性、荷室の広さが加わる。背が高いので見晴らしも良く、運転しやすいのもメリットだ。
高速道路や街中は快適に移動でき、キャンプ場の悪路も楽々走れる。セダンではさすがに悪路は厳しい。とにかく、万能なクルマだ。
最近では、セダンの代わりという使い方が多い。そのため、悪路走破性を高める4WD機能は必要なく、安価な2WDでも十分だという顧客も増えている。
デメリットは、大きく重いこと
SUVのデメリットは、車体が大きく重いことだ。そのため、どうしても燃費が悪くなる。セダン系と比べると10%くらいは悪化するだろう。実燃費面では、SUVは車体が大きいので空気抵抗も大きく、とくに高速での燃費は悪化傾向になる。燃料費を重視するという人は選びにくい。
最近のSUVはより開発が進み、運動性能も高いレベルにある。しかし、セダンと比べると物理的に不利であることは否めない。メリットだった高い全高による視界の良さも、運動性能面では不利になる。重心が高いSUVは、重心の低いセダンと比べると、カーブや高速道路などでは不安定になりやすい。より高い走行性能を重視という人にとって、SUVは少々選びにくい。
多種多様な個性をもったモデルが多く選びやすい
直近のSUVトレンドは、多様化への対応だ。ユーザーのニーズに合わせて、個性が異なるSUVが数多く投入されている。国内でとくに激しい戦いになっているのが、BセグメントのコンパクトSUVだ。各車、まったく異なる個性を持つため、より自分の使い方に合ったモデルが選べる。
国内の主なBセグメントのコンパクトSUVは以下が挙げられる。
- トヨタ ヤリスクロス
- ホンダ ヴェゼル
- 日産 キックス
- マツダ CX-3
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例えば、ヤリスクロスの全長が4,180mmなのに対して、ヴェゼルは4,330mmだ。150mmも大きい。同じセグメントながら、ヴェゼルはより大きく見えるデザインを採用しており、実際に1クラス上のモデルに感じられるほどだ。さらに、室内や荷室も広い。
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逆にヤリスクロスは、小さなボディながら、広い室内や荷室などが効率的にまとめられている。
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マツダCX-3の全高は1,550mmと、このクラスで最も低い。これは、都会派SUVとしての価値を重視したからだ。立体駐車場の全高制限である1,550mm内にすることで、都市部の駐車場を使う顧客にもSUVを楽しめるようにしている。
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日産キックスは、都会派SUVとしての割り切りが凄い。このクラスでは唯一、FF(前輪駆動)のみで4WDの設定はない。パワーユニットもガソリン車の設定はなく、ハイブリッド車のみとした。
SUVの選び方は?
同じSUVでも多種多様化している。では、どんなポイントでSUVを選べばよいのだろう?チェックすべき点をまとめた。
1.最低地上高
【最低地上高が高いほど、悪路走破性も高い】
最低地上高は、悪路走破性に直結する数値だ。とくに豪雪地域や悪路を走ることが多い人は要チェックの項目だ。
端的に言うと、最低地上高の数値が大きいほど、悪路走破性が高いと思ってよいだろう。
例えば、スバル フォレスターの最低地上高は220mm、マツダCX-5は210mmだ。クラスは異なるが、マツダCX-3は160mm、トヨタC-HRは140mmしかない。
悪路での走破性を重視するなら、最低地上高の数値が大きいクルマを選ぶとよい。
2.4WD機能
【滑りやすい道を走らないなら2WDもあり】
SUVというと、駆動方式は4WD(4輪駆動)のイメージが強い。ただ、悪路や雪道などは走らないのであれば、2WD(2輪駆動)でも十分といえる。2WDでも最低地上高が高ければ、ちょっとした悪路程度なら走行することも可能だからだ。
2WDと4WDの設定があるモデルでは、(車種にもよるが)4WDを選択すると価格が30万円前後アップする。使わない機能を装備するくらいなら、より好みのオプションを選択した方がよい。
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4WD機能も様々だ。スバル フォレスターは、X-MODEという悪路走破性を高める制御がプラスされている。
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三菱アウトランダーPHEVは路面状況によって4つの走行モードから選択することが可能だ。
このような悪路走破性を高めるモードが付いていれば、より悪路走破性は高い傾向にある。
3.パワーユニット
【多様なパワーユニットが選べるが、おすすめはモータードライブ車】
車種によってパワーユニットは多種多様だ。
- ガソリン
- ディーゼル
- ハイブリッド
- PHEV
- EV
多彩なパワーユニットがあるのもSUVの特徴である。選択の際に重要なのは、燃費や環境性能といえる。ここからは各パワーユニットの特徴と選び方をお伝えする。
十分な航続距離をもつモデルが続々登場
EV(電気自動車)
EVに対して航続距離への不安をもつ人が多いが、もはやそれは過去のものだ。一回の充電で400㎞も走れば、大抵のことは可能だろう。急速充電器の設置も進んでいるので、電欠の心配もほとんどない。
たとえば、BMW iXの航続距離は650㎞(4WD、WLTCモード)を誇る。
国産車では2022年に日産アリアが登場し、470㎞(FF、WLTCモード)となる予定だ。
全世界的にカーボンニュートラルが叫ばれている中で、今後クルマを買うのであれば、EVという選択肢もありだ。
まだ導入初期なので、多額の補助金も出る。アリアB6で東京都在住の場合、国の補助金・エコカー減税・自治体の補助金などで計約90万円にもなる。
デメリットもある。車両価格がまだ高価である点と、航続距離はガソリン車やハイブリッド車に比べると短い点だ。1日1,000㎞近く走る人には、充電時間がデメリットになるだろう。
現実的な次世代環境車
PHEV
PHEVは、プラグイン・ハイブリッド・エレクトリック・ビークルの略称だ。ハイブリッド車と異なるのは、外部電源で充電したバッテリーの電力を使い、EV走行する点だ。電力を使い切るとエンジンが始動し、ハイブリッド車として走行する。
外部電力を使い充電することができるので、ガソリンより大幅に安価なのが特徴だ。しかも、EV走行なので環境性能も高い。航続距離は100㎞以下のものが多いが、生活圏内であればほぼガソリンを使わずに走行でき、環境にも優しい。
たまに遠出する際も、しばらくはEVで走行できるので経済的だ。その後もガソリンを使い、ハイブリッド車として走行できる。途中で充電も可能だが、時間が無く面倒な場合は、ガソリンを使いハイブリッド車として走行し続けることができるので、経済性・利便性にも優れている。
いきなりEVへシフトというのは、航続距離や充電環境に少々不安が残る、という人は多い。しかし、PHEVなら手に入りやすいガソリンが使えるので、そんな不安も解消できる。短距離はほとんどEV走行のため、環境にも優しく、現実的な次世代環境車といえる。
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国産車ではPHEVのSUVでパイオニアともいえる三菱アウトランダーPHEVを中心に、トヨタRAV4 PHVやレクサスNX PHEVなど、続々と車種が増えてきている。
前輪と後輪にそれぞれモーターを設置した4WDでは、前後のモータートルクを自在にコントロールできるので、走りも楽しく悪路走破性も高い。
ハイブリッドシステムで異なる燃費
ハイブリッド
日本のハイブリッド車比率は、世界でもトップレベルだ。それだけに、ハイブリッド車なら燃費性能や使い勝手など、まず失敗がない。ただし、カーボンニュートラルに向けての環境性能やPHEVや、EVの新しい走行フィールと比べると、少々物足りない箇所もある。
国産車では、マツダを除きすべてのメーカーがハイブリッド車をしている。しかし、燃費性能にはバラつきがある。
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スバル フォレスターや日産エクストレイル(2022年に新型が登場予定)は、1モーター式のシンプルなハイブリッドだ。車体価格は高価だが、燃費はRAV4やCR-Vなどの2モーター式と比べると少々物足りない。
2.0Lハイブリッドのフォレスターの燃費値は、18.6㎞/L(4WD、WLTCモード)だ。同じ2.0LハイブリッドのCR-Vは、25.0㎞/L(4WD、WLTCモード)と大差がついている。これだけ大きな差になると、ガソリン価格高騰時代には少々厳しい。それならば、車両価格が安価なガソリン車にも検討の余地がある。
BセグメントコンパクトSUVであるヴェゼルやヤリスクロス、キックスは2モーター式なので、燃費値は良好だ。
国産ではマツダのみ。パワフル&低燃費が魅力
ディーゼル
ディーゼルエンジンを搭載するSUVは、国産車ではマツダ車のみとなる。ディーゼルエンジンの特徴は、大トルクを誇り、力強い加速性能と低燃費を両立している点だ。
大きく重いSUVと、大トルクのディーゼルエンジンは、とても相性がよい。重い車重のSUVだが、ディーゼルエンジンの大トルクによって、低回転域を力強く加速させることができる。とても乗りやすく、高速道路などでの高速巡行も余裕がある。
ディーゼルエンジンは、燃費もよい。例えば、CX-3の1.5Lガソリン車の燃費値は17.0㎞/L(FF、WLTCモード)だ。対する1.8Lディーゼルは20.0㎞/L(FF、WLTCモード)である。15%もガソリン車より燃費に優れる。
燃費の良さに加え、燃料費も安価だ。ディーゼルエンジンが用いる軽油は、レギュラーガソリンよりも20円/L前後も安い。燃料費視点ではハイブリッド車に近いレベルといえる。
ガソリン車を選ぶよりはディーゼル車を選ぶことをおすすめするが、いずれディーゼル車も姿を消す宿命にある。そう考えると、ディーゼル車は中古車で選び、短期間乗るという選択肢もありだ。
車両価格が安価な以外、あえて今選ぶ理由が見つからない
ガソリン
ガソリン車を選ぶメリットは、車両価格がハイブリッドやディーゼルに比べ安価な点だ。車種によって異なるが、ハイブリッドやディーゼルの車両価格は、ガソリン車より30万円以上高くなる。PHEVやEVは、比較にならないほど高価だ。
コストパフォーマンスを追求すると、30万円以上の車両価格差を、燃費の価格差で元を取るのはほぼ不可能だからだ。
ただ、日本はカーボンニュートラルを掲げているだけに、今後長期な視点ではガソリン車に対するプラス課税やガソリン税のアップなども十分に考えられる。また、環境問題に対してどう考えるのかも重要だ。
キックスはハイブリッド車のみの設定で、ガソリン車の設定はない。ヴェゼルはガソリン車が1グレードのみと割り切った。今後、ガソリン車の設定を止めるメーカーも増えてくると考えられる。
レジャー用以外の普段使いでも人気を集めているSUV。購入や買い替えを検討している場合は、燃費面も考慮してパワーユニットを選ぶことをおすすめします。
2021年秋の新車・中古車SUVランキングについても併せて読んでみてください。
RXのカタログ情報
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- 現行モデル
- 令和4年11月(2022年11月)〜現在
- 新車時価格
- 664.0万円〜901.0万円
RXの在庫が現在169件あります
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