この記事の目次 CONTENTS
コスパも高い次世代環境車
オン、オフ問わずキレのある走りが楽しいSUV
唯一無二! ミニバンなのにオフローダー
三菱SUVらしさを受け継いだハイト系軽自動車
三菱を代表するクロスカントリー4WD

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

コスパも高い次世代環境車

1位 三菱アウトランダーPHEV

アウトランダーPHEV

三菱アウトランダーPHEVは、2013年1月に発売された。PHEVとは、Plug-in Hybrid Electric Vehicleの略で、電気自動車&ハイブリット車のことだ。
充電が十分な場合、基本的にEV(電気自動車)として走行し、バッテリーの電力を使い切ると、エンジンで発電しモーターで走行するハイブリッド車となる。EVはコンセントなどの外部電源で、車体のバッテリーを充電できる。
短距離ならEVとして環境やお財布に優しく、中・長距離ではガソリンが使えるので充電の心配がないのが特徴だ。EVでは、航続距離に不安があると感じる人にとって、現実的な環境車といえる。

おすすめモデルは2017年2月の改良後モデルだ。
歩行者検知式自動ブレーキが用意されており、安全装備評価3.0(2017年2月改良モデル以降の評価点、それ以前は2.0)となっている。
前期モデルのアウトランダーPHEVは、年式も古いため、自動ブレーキは対車両のみで一部グレードには装備されていなかった。

2017年2月改良後のモデルはやや高年式になり、中古車価格は高くなってしまうが、歩行者検知式自動ブレーキを装備したグレードがおすすめだ。その他、後退時や車線変更時に接近する車両を検知し警報を発する機能も用意されているので、一定レベルの予防安全装備を得ている。全車速追従式クルーズコントロールも引き続き設定された。
ただし、2017年2月以降のモデルでも、こうした機能が標準装備化されていなかった時期がある。アウトランダーPHEV購入時には、予防安全装備などの機能が装備されているグレードなのか、しっかりチェックすることが重要だ。

十分なEV航続距離が特徴

燃費評価 5.0

三菱アウトランダーPHEV最新モデルとデビュー時のEV航続距離とハイブリッド燃費は以下の通りだ。(すべてJC08モード)

EV航続距離 ハイブリッド燃費
最新モデル 65.0㎞/L 18.6㎞/L
デビュー時 60.2㎞/L 18.6㎞/L

ハイブリッド燃費は同じながら、EV航続距離は最新モデルがやや長くなっている。これは、2018年の大幅改良で数々の大きな変更が加えられた結果だ。

  • ガソリンエンジンの排気量を2.0Lから2.4Lへアップ
  • 駆動用バッテリー容量を12.0kWhから13.8kWhに増大
  • リヤモーター出力を約12%アップ

デビュー時のモデルでも、EV航続距離は60㎞を超えている。これだけの距離をEVで走ることが出来れば、毎日の送迎や買い物、近距離の通勤などでは、ほとんどガソリンを使わない生活が可能だ。ガソリンスタンドに行く手間も大きく減る。

低重心さを生かす、変幻自在のツインモーター4WD

走行性能評価 5.0

アウトランダーPHEV最大の特徴は、前後にモーターを設置したツインモーター4WDだ。2021年8月現在、似たシステムを採用するモデルも出ているが。しかしデビューした2013年当時では、こうした優れたシステムを使ったPHEVは三菱だけだった。三菱の技術の高さが垣間見える。
4WDシステムは、前後のモーター出力を自由にコントロールすることができ、路面状況により最適な駆動力を得られる。悪路走破性はもちろん、気持ちのよい走りが可能だ。
大きく重い駆動用バッテリーは床下に設置している。ガソリン車のSUVと比べると、かなり重心が低く、カーブでの操縦安定性も高い。
動力性能は、モーター駆動のためレスポンスがよく力強い加速が魅力だ。
乗り心地は、2015年7月のマイナーチェンジ前は、少し硬めだった。マイナーチェンジ後は、ラグジュアリーSUV的なゆったりとした乗り心地となっている。

災害停電時など、電源車として活躍も可能

使い勝手評価 4.5

アウトランダーPHEVは、エンジンを使い発電し、その電力を使い走行するハイブリッド機能をもつ。つまり、自ら発電して走行するクルマなのだ。この機能を生かしているのが、100V1500Wのコンセントである。1500Wまでなら、このコンセントを使い家電製品などが使える。
例えば、キャンプなどでは、照明・テレビ・ビデオなども使用可能だ。こうした使い方は、災害などで停電になったときにも役立つ。災害時には、スマートフォンの充電はもちろん、炊飯器やレンジ、照明にも使えるので、電力が復旧するまでの間、生活に必要な最低限の電力をまかなうことが可能だ。「クルマとして」だけではない価値がある。
車内の居住性は、十分な広さをもつ。デビュー直後モデルのボディサイズが全長4,655mm×全幅1,800mm×全高1,680mmと大柄なボディだ。前席シートは大きくゆったりとしている。

おすすめは安全性の高い2017年以降

中古車価格評価 4.0

三菱アウトランダーPHEVの中古車でおすすめなのは、歩行者検知式自動ブレーキが装備された2017年2月改良以降のモデルだ。高年式で高額になるが、安全性能はやはり重要だ
2018年式の中古車相場は幅が広く230~320万円程度である。ディーラー系中古車店が強気の価格を付けている傾向が見える。
2018年式の新車価格は、約366~479万円だ。約3年落ちの高年式ながら、新車価格に対して130~160万円位安価になっている。これくらい価格が下がっていれば、十分に中古車らしい買い得感が出ているといっていいだろう。

買い得感という点では、デビュー直後の2013年式だ。8年落ちなので、中古車価格はグッと安くなる。中古車相場は、おおよそ120~160万円だ。ハイト系軽自動車の新車を買うくらいの価格で、当時世界トップレベルの技術ツインモーター4WDを搭載したアウトランダーPHEVに乗れるのだ。ただし、なるべく走行距離が少ない車両を選んだ方が無難だろう。必ずしも走行距離とリンクする訳ではないが、駆動用バッテリーの劣化が気になるからだ。
なおアウトランダーPHEVは2021年の秋から冬にフルモデルチェンジをする予定だ。2代目新型アウトランダーPHEVが登場し、しばらくすると、下取りなどに入ったアウトランダーPHEVが中古車マーケットに増えてくる。こうなると、中古車相場は、さらにグッと下がると予想できる。初代アウトランダーPHEVを買うのであれば、2代目アウトランダーPHEVが登場してからがよい。

オン、オフ問わずキレのある走りが楽しいSUV

2位 三菱エクリプスクロス

エクリプスクロス

三菱エクリプスクロスは、2018年に登場した新型車だ。アウトランダーのプラットフォーム(車台)をベースとしながら、前後のオーバーハングを切り詰めて全長を短くした。デビュー時の全長は4,405mmで、CセグメントコンパクトSUVになる。ライバル車は、トヨタC-HRやマツダCX-30、スバルXVなどだ。

デビュー時は1.5Lガソリンのみだったが、2019年に2.2Lディーゼルが投入された。2020年12月にマイナーチェンジしPHEVが新投入されるが、同時に2.2Lディーゼルが姿を消している。また、PHEV化に伴いボディサイズが拡大された。

やや物足りない予防安全装備

安全装備評価 3.0

三菱エクリプスクロスの安全装備は、少し物足りない。歩行者検知式自動ブレーキなどは標準装備されているが、夜間の歩行者や自転車には対応していない。

また、以下の機能が標準装備されているのは一部のグレードのみである。ローテクな安全装備なのに、エントリグレードや中間グレードでは、オプション設定だ。

  • 後側方車両接近警報(車線変更時に頼りになる)
  • 後退時車両接近警報(バックで駐車場を出る時などに、後方から接近する車両を検知し警報を発する)
  • 全車速追従式クルーズコントロール(運転支援機能)

なお、車線逸脱警報はあるものの、車線維持支援機能はない。

エクリプスクロスは最上級グレードであるGプラスパッケージを中心に選びたい。

中古のおすすめはディーゼル車

燃費評価 4.0

三菱エクリプスクロスの燃費は以下の通りだ。
前期の1.5Lガソリンターボ、途中追加された2.2Lディーゼルと、最新のPHEV(すべてJC08モード、4WD)の比較である。

1.5Lガソリンターボ 14.0㎞/L JC08モード、4WD
2.2Lディーゼル 15.2㎞/L JC08モード、4WD
PHEV 18.6㎞/L JC08モード、4WD

※PHEVのEV航続距離は65.0㎞(JC08モード)

PHEVは2020年12月に登場したばかりのモデルだ。中古車価格はまだ高値であるため選択肢からは除外する。1.5Lガソリン車もなかなかパワフルなのだが、昨今のようにガソリン価格が急騰していると、純ガソリン車は選びにくい。
そのためエクリプスクロスでは、今のところ2.2Lディーゼルがおすすめだ。燃費も良好である。燃料もガソリンより20円/L以上安価な軽油を使うので、ランニングコストを抑えることができる。ロングツーリングを多い人には良い選択だろう。

エクリプスクロスの魅力は4WD!

走行性能評価 4.5

三菱エクリプスクロスの魅力は、S-AWC(Super-All Wheel Control)と呼ばれる4WDシステムにある。ドライバーの操作と車両の挙動を車両各部のセンサーで検知し、瞬時に4輪を最適に制御することで、意のままの走りをもたらす技術だ。S-AWCによって、エクリプスクロスは、雪道などで豪快にドリフトして走るようなことも可能だ。ガソリン車には、安価なFF(前輪駆動)も設定されているが、4WD車を選択した方が、エクリプスクロスをより楽しめる。
サスペンションはやや硬めだが、それほど不快には感じないレベルだ。むしろ、キビキビとした走りになっている。
エンジン出力は、初期の1.5Lが150ps&240Nmだ。なかなかパンチのある加速力を誇る。
2.2Lディーゼルだと、145ps&380Nmになる。自然吸気ガソリンエンジン換算だと、3.8Lのトルクをもつ。とにかく、低回転から力強く豪快に走る。高速道路でのクルージングは、高速度域でも余裕のある走行が可能だ。

アウトランダー譲りの広い室内

使い勝手 4.0

三菱エクリプスクロスは、基本的にアウトランダーと同じプラットフォーム(車台)を使っている。そのため、室内スペースは、CセグメントコンパクトSUVの中ではトップレベルだ。前席、後席もゆったりとした空間で移動が可能で、リヤシートはスライド機能やリクライニング機能も付く。荷室容量も十分な広さを誇る。

中古車流通量が少なく、中古車価格はやや高値を維持

中古車価格評価 3.5

三菱エクリプスクロスの中古車でおすすめなのは、マイナーチェンジ前の2.2Lディーゼルエンジン搭載車だ。わずかな期間しか販売されていないため、中古車流通量が少ない点が難点である。
2019年式エクリプスクロスディーゼル車の中古車相場は、270~320万円位になっている。ディーラー系中古車店の価格は、かなり強気だ。新車価格が約306~342万円だったので、あまり買い得感がない。ただ、一般中古車店の中古車価格が270~280万円程度になっているため、そこそこ買い得感は出てきている。やはり、ディーゼル車は人気だ。
これがガソリン車になると、若干相場が変化する。2018年式のガソリン車の中古車相場は、180~250万円程度だ。新車価格が253~310万円だったので、60~70万円ほど安く、買い得感が少し出ている。予算重視なら、ガソリン車という選択も悪くはない。

唯一無二! ミニバンなのにオフローダー

3位 三菱デリカD:5

デリカD:5 外装

三菱デリカD:5は、2007年に登場したミニバンだ。このデリカD:5の最大の特徴は、ミニバンカテゴリーで唯一、オフロードも走れることである。
売れるミニバンは、より大きく迫力があり、豪華であることが重要だ。しかしその反面、デリカD:5のように、より多くの荷物が積め、オフロードや雪深い道も苦にせず移動できるというニーズも一定数あった。完全にマイノリティ向けなのだが、意外なほど安定して需要がある。販売台数こそ少ないながら、コツコツと14年以上売り続けてきた。

デリカD:5は、2007年デビューとかなり設計が古い。そのため、数えきれないくらいの改良が加えられてきた。ポイントは、デリカD:5にピッタリ合う2.2Lディーゼルが2013年に搭載され発売されたことだ。
そして、最も大きなマイナーチェンジが2019年に行われた。基本骨格などは同じだが、パワーユニットやデザイン、内装などが一新されている。フルモデルチェンジに近い変更を受けた。

設計が古いため、安全装備は貧弱

安全装備評価 2.0(2019年以降の大幅マイナーチェンジ車を除く)

三菱デリカD:5は設計が古いため、予防安全装備は期待してはいけない。2019年の大幅マイナーチェンジ前のモデルに、歩行者検知式自動ブレーキなどは用意されていない。エアバッグ類といった最低限の安全装備は用意されている。運転支援機能などは前走車追従機能のないシンプルなクルーズコントロールくらいだ。
2019年の大幅マイナーチェンジ後のモデルなら、歩行者検知式自動ブレーキを装備しているのでおすすめだ。しかしまだ高年式なので、中古車に求められる買い得感があまりない。

燃費は物足りないが、燃料費は安価に

燃費評価 3.5(2012年追加のディーゼル車評価)

2013年に発売が開始されたデリカD:5の2.2Lディーゼルの燃費は、13.0㎞/L(JC08モード)である。アイドリングストップ機能も無いので、優れた数値とは言えない。しかし、ディーゼルエンジンに使う軽油は、レギュラーガソリンよりも20円/L前後も安価だ。燃料費という視点では、大幅に安価になる。
これに対して、2019年の大幅改良後では、中身を一新した新ディーゼルエンジンとなり、アイドリングストップと8速ATと組み合わせたことで、燃費は13.6㎞/L(JC08モード)となった。

卓越した悪路走破性

走行性能評価 4.0

三菱デリカD:5の美点は、悪路走破性にある。すべてのタイヤのグリップ力を最大限に確保する、三菱独自の4WD制御AWC(All Wheel Control)が採用されている。このAWCは、燃費重視の2WD(FF)、悪路から脱出するときなどに使用する4WDロック、車両が最適な駆動力を自動で制御する4WDオートから選択が可能だ。

これに加え、2019年大幅マイナーチェンジ前モデルの最低地上高は、200mmを確保しており、ミニバンとは思えないほどの悪路走破性を誇る。雪深い降雪地域や、雨や雪でグチャグチャになったキャンプ地までの道なども、安心して走行が可能だ。こうした路面でも走れるミニバンは、デリカD:5だけである。
2019年大幅マイナーチェンジ前の2.2Lディーゼルは、148&360Nmである。古典的なディーゼルで、アイドリング時にはガラガラと少し賑やかで振動も多少感じる。ただ、走り出してしまえば、振動も音もあまり気にならなくなる。

乗り降りが少し大変

使い勝手評価 3.5

三菱デリカD:5の最低地上高は200mmもある。そのため、運転席&助手席の乗り降りは、低床フロアを使う普通のミニバンよりは大変だ。よいしょ、と一声かけて登ってシートに座る感覚である。後席へのアクセスも同様で、足を大きく上げる動作が必要だ。お年寄りなどは、少し不自由に感じるだろう。
デリカD:5のボディサイズは、全長4,730×全幅1,795×全高1,870mmである。アルファード並みの広さは無いが、5ナンバーミニバンよりは広い。過不足ない室内空間だ。7人乗りと8人乗りがある。

人気のディーゼル車は、高めの中古車価格

中古車価格評価 3.0
三菱デリカD:5のおすすめは、ディーゼルエンジン搭載車だ。ディーゼルエンジンが初搭載された2013年式の中古車相場は、190~280万円程度になっている。新車価格は、342~393万円位なので、約110~150万円安くなっている。売値は安くなっているものの、すでに8年落ちで低年式化している。
ディーゼル車は、人気が高くあまり買い得感がない。逆に高値だが高年式車を買っておけば、値下がりは緩やかなので、それほど損することはないだろう。

ディーゼル車は燃料費が安価なので、過走行気味の車両が多いのでよく確認して購入することをおすすめする。

三菱SUVらしさを受け継いだハイト系軽自動車

4位 三菱eKクロス

eKクロス

三菱ekクロスは、軽自動車に関する日産の合弁会社NMKVから生まれたモデルだ。基本骨格やエンジンなど、多くの部分で日産デイズと共用しているが、デザインなどは三菱オリジナルである。
外観デザインは、三菱のデザインコンセプトであるダイナミックシールドを採用している。これにより、三菱SUV系に似たフェイスデザインになった。ミニ、デリカD:5的でなかなかワイルドだ。かなりユニークなデザインで、独特の存在感と迫力を得ている。日産デイズと明確な差別化ができていて、好印象だ。

優れた予防安全装備を標準装備するが・・・

安全装備評価 4.0

三菱eKクロスの予防安全装備は、クラストップレベルといえる。以下の機能が全車標準装備化されている。

  • 歩行者検知式自動ブレーキ
  • 踏み間違い衝突防止アシスト
  • 車線逸脱警報システム
  • 車線逸脱防止支援機能
  • オートマチックハイビーム
  • サイド&カーテンエアバッグ
  • 運転席ニーエアバッグ

こうした装備を全車標準装備化しているモデルは、まだ数少ない。どのグレードを買っても安心して乗れる。

難点は姉妹車関係にある日産デイズに用意されているSOSコールが、eKクロスには設定されていないことだ。
このSOSコールは、エアバッグが展開するような衝突時など、自動でコールセンターに接続する。専門のオペレーターと交信でき、救急車や警察への通報も代行してくれる。ドライバーの意識がない場合も、状況に合わせて同様の対応が可能だ。
もしものときにかなり安心できる機能なので、設定がないことが惜しまれる。

マイルドハイブリッドシステム採用ながら、微妙な燃費値

燃費評価 3.5

三菱eKクロスの燃費は以下の通りで、全車マイルドハイブリッドシステムが採用されている。(すべてWLTCモード、FF)

660㏄自然吸気エンジン車 21.0~21.2㎞/L
ターボエンジン車 19.2㎞/L

マイルドハイブリッドシステムが採用されているものの、ライバル車と比べると若干燃費値は低めである。車重が少し重いためだ。
燃費値は少々微妙なのだが、マイルドハイブリッドシステムのおかげで優れた静粛性を得ている。アイドリングストップ時からの再発進時には、キュルキュル・ブォーンというセルモーターとエンジン音はほとんど聞こえない。

乗り心地、操縦安定性など、クラストップレベルの実力派

走行性能評価 4.5

三菱eKクロスの走行性能は、クラストップレベルの実力を誇る。サスペンションはやや硬めだが、不快感は無く乗り心地はよい。カーブなどでの安定性も高く、なかなか気持ちよい走りが可能だ。
エンジン出力は、自然吸気エンジンが52ps&60Nmである。クラス平均値の出力だが、マイルドハイブリッドシステムが採用されているため、アクセルレスポンスは良好だ。
ターボエンジンの出力は、54ps&100Nmだ。最大トルクが大きいため、かなり力強い走りが可能である。全車速追従式クルーズコントロールと車線維持機能を組み合わせたマイパイロット装着車なら、高速道路のクルージングも余裕たっぷりだ。疲労軽減にも役立ち、ロングツーリングも苦にならない。

広い室内スペースと豊富な収納スペース

使い勝手評価 4.0

三菱eKスペースの使い勝手はレベルが高い。後席は175mmものスライド機能があり、積載する荷物により荷室の広さを自在にコントロールできる。荷室にはアンダーBOXがあり、FF(前輪駆動)モデルなら54Lものスペースがあり、収納に便利だ。

インパネ周りでは、ティッシュボックスがそのまま入るグローブボックスや、助手席下にあるシートアンダートレーなど、収納スペースが豊富にある。
室内スペースも十分で、比較的大きめのフロントシートなど、リラックスできる空間になっている。
オプション設定になっているが、マルチアラウンドモニター付き車両はおすすめだ。車両に設置されたカメラ映像を加工し、クルマを真上から見た映像に変換してくれる。死角を無くし、うっかり衝突などを回避できる。歩行者などの移動物も検知し警報を発してくれるので安心して走行できる。

新車よりお得な未使用車狙いがベスト

中古車価格評価 4.0

三菱eKクロスはまだ登場したばかりの新型車だ。高年式になるため、車両価格は高値傾向にある。
おすすめしたいのは、未使用車だ。未使用車とは、ディーラーやメーカーの都合で買い手がいないのに一度届出(登録)してしまった車両のことだ。一度届出してしまうと、中古車扱いになる。
未使用車は、ほぼ新車コンディションだが中古車扱いになるため、車両価格は大幅に引き下げられている。多少妥協が必要だが、好みの仕様があれば、かなり買い得感が高い。

eKクロスの未使用車の価格は、おおよそ110~170万円だ。上級グレードのGの未使用車価格は、110~160万円位になる。新車価格が約161万円なので、安価な価格帯の車両であれば、50万円も安くなっている。高価格帯車両は、マイパイロットや4WD車が多いため車両価格が高めになっている。全般的に、新車より買い得感があるのは確実だ。こうした未使用車を狙えば、新車コンディションの車両がより安価に買えるのでお得だ。
その他、高年式の一般的な中古車は、未使用車とそれほど変わらない価格になっているので、あまり買い得感はない。

三菱を代表するクロスカントリー4WD

5位 三菱パジェロ

パジェロ

三菱パジェロはその昔、三菱の代名詞的なクロスカントリー4WDだった。しかしその後、国内ではパジェロブランドは衰退の一途をたどる。初代パジェロは1982年に登場した歴史あるモデルだったが、国内最後のモデルとなる4代目パジェロは2019年に国内から撤退した。
4代目パジェロは2006年にデビューし、かなり長期間に渡り販売されていた。その期間の中で、何度も改良やマイナーチェンジが繰り返されてきた。2010年の改良でクリーンディーゼル車となり、当時は補助金の対象車になっていた。

設計が古く、安全装備は最低限レベル

安全装備評価 1.0

4代目三菱パジェロは、2006年デビューと設計が古いため、安全装備は運転席&助手席のエアバッグのみが基本だ。年式にもよるが、サイド&カーテンエアバッグなどは、オプションになるケースがほとんどである。自動ブレーキなどの予防安全装備もなく、安全装備は最低限と考えていたほうがよい。

燃費を語るクルマではない

燃費評価 2.5

三菱パジェロに搭載された3.2Lディーゼルの燃費は、10.0㎞/L(JC08モード、最終モデル)だ。3.0Lガソリン車の燃費は、8.0㎞/L(JC08モード、最終モデル)となっている。平均的な数値といっていいだろう。燃費値がどうの、というモデルではない。

昭和の香りが強いエンジン。現在でも通用する乗り心地

走行性能評価 3.0

三菱パジェロ最終モデルである3.2Lディーゼルの出力は、190ps&441Nmだ。しかし、車重が2.3トンと超えていることから、それほど力強さは感じない。
気になるのは、静粛性である。最新のディーゼルと比べると、ガラガラした音が極めて大きく賑やかだ。「そういえば昭和のディーゼルは、こんな感じだったなぁ」と懐かしく思える。走行すると、色々な部分の騒音などと相殺されてか、アイドリング時に感じるほどの賑やかさはない。
昭和感があるディーゼルエンジンだが、乗り心地はそれほど悪くない。2006年にデビューしたモデルとは思えないほどだ。フロントがダブルウィッシュボーン、リヤがマルチリンクという上級なサスペンション形式の恩恵だろう。
また、前後の重量配分も50:50に近く、意外と素直にコーナーリングしていく。このあたりもなかなか優秀だ。

床下収納が可能な3列目シート

使い勝手評価 3.0
三菱パジェロのボディサイズは、ロングで4,900×1,875×1,900mmと大柄で、車内スペースは十分に広い。ただ、3列目シートは、大人が長時間の走行に耐えられるほどは広くない。
この3列目シートは、床下に収納が可能だ。そのため、荷室はフラットになり使いやすい。

ファイナルエディションは、新車価格越えに!

中古車価格評価 2.0

三菱パジェロは、新車であまり売れていなかったこともあり、中古車流通量が非常に少ない。さらに一部のパジェロファンに支えられ、中古車価格は高値を維持している。

7年落ちとなる2014年式ロング(ディーゼル)で、中古車価格は約270~420万円とかなり幅広い価格帯になっている。ロング(ディーゼル)の新車価格は、360~477万円だ。7年が経過しても60~90万円しか安くなっていない。発売終了の影響で、中古車価格が高騰しているようだ。2019年に出たファイナルエディションは、新車価格越えとなっている。
こうした状況が続くのであれば、購入時は高くても、売るときも高値で売却できるのであまり損はしないだろう。ただ、投機的な要素もあるので、相場には注意が必要だ。