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納車が遅れている理由は、コロナによる半導体不足
家電製品好調の影で、クルマの半導体が不足した
海外のコロナ蔓延で部品が来ない! ライン停止も
ディーラーオプションのナビキット次第で納車がさらに遅れる
どのメーカーも納期は長期化
即納希望なら、中古車(未使用車)を狙え!

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

2021年9月現在、世界的な半導体不足の影響を受け、自動車業界でもメーカー車種問わず納車が遅れている。今回は、人気車種あるトヨタ ヤリスクロスを例に、納車が遅れている理由とその対処法について、詳しく解説する。

納車が遅れている理由は、コロナによる半導体不足

トヨタ ヤリスクロス

2020年8月に発売されたトヨタ ヤリスクロスの納車は長期化している。発売開始から1年が経過した2021年9月現在、納車まで4か月以上と長い。今後も納期短縮の目途は立っていない。

納車が長引いている理由のひとつが、ヤリスクロスの人気が高く販売が好調であることだ。しかし、トヨタ本来の生産能力なら、ここまで納車が遅れることはあまりない。
販売台数が好調だったことに加え、新型コロナの影響で、半導体などの部品供給が滞ったことが要因だ。

家電製品好調の影で、クルマの半導体が不足した

半導体不足は、トヨタだけでなく世界中の自動車メーカーの悩みどころであり、未だ解消の目途が立っていない。
コロナの影響が出始めた際、新車販売が大きく低迷し、半導体メーカーは一気に減産した。ところが、意外なほどに新車販売は復調し、半導体が不足してしまったのだ。
ならば、半導体メーカーも新車販売の復調に合わせ、増産すれば済みそうな話である。しかし、コロナ禍で販売が好調な家電製品向けの半導体を増産していた半導体メーカーにとって、さらなる増産は難しかったのだ。
これには、半導体メーカーの都合もあったようだ。クルマ用の半導体は、旧式で信頼性重視のものがほとんどで、利益が少ない。家電用は最新式が多く、利益も上がる。儲かる家電用半導体の生産よりも、儲からないクルマ用の半導体を増産するというのは、経営的にも無理があった。

海外のコロナ蔓延で部品が来ない! ライン停止も

ヤリスクロスの納車長期化の理由は、半導体不足だけではない。大きな部品供給先である東南アジアが、新型コロナの蔓延により、安定した生産が厳しくなっている。不足している部品について、トヨタ広報部はどこの国で生産されているどんな部品なのかは非公表としている。
トヨタにとって、この部品供給不足は深刻さを増しているようだ。ヤリスクロス生産工場のひとつであるトヨタ自動車東日本 岩手工場は8月に10日間生産ラインを停止している。

部品の供給不足の影響は、ヤリスクロスだけでなく多くの車種にも出ている。たくさんの自動車メーカーが苦悩している要因となっている。

ディーラーオプションのナビキット次第で納車がさらに遅れる

2021年9月現在、ヤリスクロスの納車について、トヨタのホームページ上では4か月以上となっている。だが、これは工場出荷までの目途だ。出荷された後、ディーラーに運ばれるまでの時間や登録・整備、オプション装備の装着時間などは含まれていない。
ちゃんとしたディーラーであれば、車両が到着してから納車までは、1~2週間もあれば十分だ。ただ、ディーラーオプション装着があると、取り付け順番待ちなどが発生し、さらに納車が遅れる可能性がある。

ディーラーオプションの装着待ちによって、納車が長引いている場合もある。ディーラーオプションのナビキットは、半導体不足によって数か月待ちの状態だ。ナビキット無しで一旦納車してもらい、ナビキットが納品されたら装着、というパターンなら、納期の短縮になる。
ヤリスクロスに装備されているディスプレイオーディオなら、スマートフォンのナビが使えるので、それほど不便さはないだろう。

どのメーカーも納期は長期化

これだけ納期が長期化すると、気になるのが現在乗っているクルマの車検時期だ。新車を購入したのに、下取り車となるクルマの車検を取るというのも無駄に感じる。ディーラーから、代車を出してもらうのも難しいだろう。
そうなると、ヤリスクロスの納車が遅いので、ライバル車を買う! と、考えるのが普通だ。ヤリスクロスのライバル車は、ホンダ ヴェゼルや日産キックス、マツダCX-3だ。

ところが、半導体不足と部品不足は、ほぼどのメーカーも同じ悩みを抱えている。ハイブリッド車は、とくに納期が長期化している傾向にある。ヴェゼルは、ヤリスクロス以上の納期になっているようだ。キックスはタイ生産車なので、こちらも不安定である。CX-3は、他のモデルと比べると若干早めのようだ。
しかも、どのメーカーもナビ関連の半導体不足も含め納車が遅れているようだ。どのメーカーも納期に関しては、確約できないような状態だ。こうなると、もはやどの新車を選んでも、すぐには納車されない。

即納希望なら、中古車(未使用車)を狙え!

唯一、即納が可能なのが中古車だ。これだけ納車が遅れているヤリスクロスだが、なぜか未使用車がそこそこ流通している。
未使用車とは、メーカーやディーラーの都合で買い手がいないのに登録しただけの車両のことだ。ほとんど新車コンディションだが、一度登録すると中古車扱いになるため、新車と比べると安価なのが特徴である。デメリットは、登録年月によって次の車検までの期間が異なることだ。また、現車販売なので、メーカーオプションなどの選択は不可(ディーラーオプションは装備可能の場合が多い)。色やグレードも、選択肢が少ないため自由には選べない。

ヤリスクロス未使用車の中古車相場は、最上級グレードのZで240~300万円程度である。メーカーオプションの有無により、価格幅は少々広くなっている。新車価格は2,584,000円だ。
即納を希望する顧客が多いためか、中古車価格はそれほど安価とはいえない。だが、それでも新車価格よりも安い車両もある。中古車や未使用車が自分の望む仕様であれば、即買いでもいいだろう。
ヴェゼルも流通台数は少ないが、未使用車がある。新車だけでなく、未使用車もターゲットのひとつとして選択肢に加えるのもおすすめだ。