軽自動車

安全なクルマ ランキング2020

安全な軽自動車を選ぶポイント

歩行者検知式自動ブレーキなどの予防安全装備を一気に加速させたカテゴリーが軽自動車だった。
しかし予防安全装備には、より高度な技術が求められてきており、コスト重視の軽自動車は、最近になってその進化がやや鈍化してきた印象だ。メーカーや車種によって、性能差が出てきている。

すでに、軽自動車より上のクラスでは、夜間の歩行者検知式自動ブレーキが基本になってきているが、軽自動車の多くのモデルは、まだ夜間検知ができない自動ブレーキを装備しているのが現状だ。

自動ブレーキを除く予防安全装備では、各社一長一短といった印象。踏み間違え防止系は、どのメーカーでも用意しているが、その他の機能はメーカーによって若干異なる。
従来は、車線逸脱警報がメインだったが、最近では車線逸脱防止支援機能を用意するメーカーが多くなってきており、より安全なクルマになってきている。
車線逸脱警報は、車線を逸脱しそうになると警報だけを発する仕組みだ。車線逸脱防止支援は、車線逸脱しそうになると警報を発すると同時に、車線内を維持するようにステアリング操作を支援する。
似ているようで、機能としてはまったく異なるので、選択時にはしっかりと機能を理解して選ぶ必要がある。

BEST.1

ホンダN-WGN

ホンダ N-WGN

ホンダ N- WGNには、「ホンダセンシング」と呼ばれる10の予防安全・運転支援をパッケージにした予防安全装備を全車標準装備化している。
ホンダセンシングは、軽自動車の中で頭ひとつ抜け出した安全性能を誇る。ポイントは、夜間の歩行者と昼間の自転車に対応している点だ。他の軽自動車で、このふたつの機能に対応しているモデルは、今のところN-WGNとN-BOXだけだ。

N-WGNは、設計が新しいこともあり、運転支援機能である先行車追従式クルーズコントロールが進化している。従来は、渋滞時などで停止&再発進ができなかったが、N-WGNから停止&再発進が可能な渋滞追従機能付きとなった。クルーズコントロールは、基本的に運転支援機能ではあるが、停止&再発進機能は渋滞時にドライバーの疲労軽減につながるので、結果的に安全運転に役立つ機能だ。

そして、車線からはみ出さないようにステアリング操作の支援を行う路外逸脱抑制制御も、ホンダセンシングに含まれる。警報はあってもステアリング操作を支援する制御が標準装備されているモデルは少ないので、高く評価できるポイントのひとつだ。当然、サイド&カーテンエアバッグも全車標準装備されている。

BEST.2

ホンダN-BOX

ホンダ N-BOX

ホンダ N-BOXにも、N-WGNと同様に「ホンダセンシング」が全車に標準装備されている。夜間の歩行者や昼間の自転車にも対応している高性能な自動ブレーキを搭載。
その他のホンダセンシング機能についてはN-WGNとほぼ同じだが、大きく異なるのが前走車追従式クルーズコントロールだ。

N-WGNは、停止&再発進が可能な渋滞追従機能付きだが、N-BOXは約30㎞/h以上でのみ機能するタイプになっている。渋滞追従機能は、高速道路などでの渋滞時、うっかり追突や接触などのリスクを低減。さらに、ドライバーの疲労軽減にも役立つ。高速道路をよく使う人にとっては、非常に便利で安全な機能なので、この機能が無いN-BOXは、N-WGNと比べると物足りない印象になる。

さらに、残念なのがエアバッグ関連。N-WGNはサイド&カーテンエアバッグが全車標準なのに対し、N-BOXはGグレードが非装着。G Lグレードでオプション設定。営業面で安価に見せたかったのは理解できるが、今時この設定はあまりに残念だ。購入時には、サイド&カーテンエアバッグの有無を確認しておきたい。

BEST.3

日産デイズ / 三菱eKワゴン

日産 デイズ / 三菱 eKワゴン

日産 デイズと三菱 eKワゴンは、日産と三菱の合弁会社であるNMKVにより生まれたモデル。そのため姉妹車関係にある。予防安全装備に関しても、呼称は異なるが機能や性能は基本的に同じだ。
デイズとeKワゴンは、歩行者検知式自動ブレーキや踏み間違い衝突防止アシスト、車線逸脱警報、車線逸脱防止支援、オートマチックハイビームを全車に標準装備している。自動ブレーキ系では、夜間の歩行者や自転車には非対応となっている。
標準装備されている予防安全装備は、一定のレベルにあるものの機能数としては、やや少なめ。購入時に自らオプションを選択する必要がある。

オプションとなるのは、日産ではプロパイロット、三菱ではマイパイロットと呼ぶ車線維持機能付き前走車追従式クルーズコントロール。高速道路などで車線を維持しながら、停止&発進までアシストする運転支援機能だ。

その他の予防安全装備としてユニークなのが、デジタルルームミラー。夜間や雨、同乗者が多く後方視界が悪いときに、後方に取り付けられたカメラによる映像で後方視界を確保する。また、車両周囲に取り付けられたカメラ映像を加工し、クルマを俯瞰から見たように表示するルチアラウンドビューモニターも便利で予防安全に寄与する装備。カメラ映像で車両周辺を確認できるので、うっかり接触・衝突リスクを軽減する。さらに、移動物も検知するので、映像外から近付く自転車や歩行者も検知してくれるので、より安全に運転できる。

そして、デイズのみに用意された機能が緊急通報システム。軽自動車初となる装備だ。緊急通報システムは、エアバッグなどが展開されるような重大な事故が発生した場合、自動でオペレーターに通報が入る。ドライバーが意識を失っていても、オペレーターは車両から送られてきた衝突の状況から判断し、救急車などを手配することが可能だ。
これまで一部の高級車のみに用意されていたが、ついに軽自動車にまで用意されるようになった。

BEST.4

スズキハスラー

スズキ ハスラー

2020年1月にフルモデルチェンジし発売が開始された2代目ハスラー。最新モデルということもあり、予防安全装備が若干向上している。
スズキの予防安全装備は「スズキ セーフティ サポート」と呼ばれ多くの機能をパッケージ化している。若干、グレードにより予防安全装備が異なる。

メインとなる歩行者検知式自動ブレーキは、夜間の歩行者も検知できるタイプとなり実用性が向上している。ただし、自転車などの検知機能がなく、少々物足りない。
その他、後退時ブレーキサポートや踏み間違え抑制制御、車線逸脱警報機能など、十分な機能を数多く搭載。十分な予防安全装備が装備されている。

比較的珍しい機能として、後退時ブレーキサポートがある。この機能は、リヤバンパーに内蔵した4つの超音波センサーで後方の障害物との距離を測定。一般的には、警報のみだが、後退時ブレーキサポートでは、衝突の可能性が高まると自動ブレーキが作動する。うっかり衝突のリスクを軽減してくれる。

少々物足りないのが、全車速追従式クルーズコントロールと車線逸脱抑制機能。残念なことに、ターボモデルにしか装着されていない。どちらも利便性や安全性を向上させる機能のため、積極的に標準装備化が望まれる。
オプション設定になるが、「全方位モニター」も便利で安全性に寄与する機能。クルマの周囲に設置されたカメラ映像を合成し、俯瞰して見た映像に変換する。周囲にあるものがひと目で分かるので安全だ。
さらに、見通しの悪い場所で人などが近づいてくるとお知らせする「左右確認サポート機能」も前後に装備。より安全運転をサポートしてくれる。

BEST.5

ダイハツタント

ダイハツ タント

2019年7月にフルモデルチェンジし4代目となったダイハツ タント。プラットフォームなどを一新し、走行性能面は大幅に進化した。しかし、予防安全装備ではあまり進化せず、ライバルのN-BOXと比べると、やや見劣りする。

歩行者検知式自動ブレーキは昼間の歩行者のみで、夜間や自転車には対応していない。
ダイハツの予防安全装備パッケージである「スマートアシスト」には、10個の機能がある。ただ、どの機能も当たり前の機能といった印象で先進性は感じられない。
オプションとなるスマートアシストプラスと呼ばれる機能が付いて、ようやく平均的なレベルになる。

スマートアシストプラスには、高速道路上で渋滞時に起きるストップ&ゴーを容易に繰り返すことができる全車速追従式クルーズコントロールがついている。この機能選択すると、クルマが車線の中央付近を安定して走行するようにハンドル操作をアシストするレーンキープコントロールも付く。
便利な機能なのだが、一部のグレードにしかオプション設定されていない。つまり、ほとんどのグレードで選べないので、あまりメリットのない設定になっている。

まとめ

車の安全性で、最も重視したいのは歩行者との衝突事故。このリスクを最も軽減してくれるのが、歩行者検知式の自動ブレーキで、ドンドンと性能が上がってきている。

いま最も高性能といえるのが、N-WGNとN-BOXに搭載されている「ホンダセンシング」。夜間の歩行者と昼間の自転車まで検知できるようになっている。
視界が悪くなる夜間の歩行者検知と、自転車検知ができるようになったことにより、現実の交通社会にマッチし、より衝突事故へのリスク軽減が期待できる。今のところ、こうした機能が付加された予防安全装備は、ホンダセンシングのみ。軽自動車の予防安全装備としては、完全に一歩リードしている状態だ。

対歩行者衝突リスク軽減という点では、デイズとeKワゴンに用意されている踏み間違い衝突防止アシストがおすすめだ。壁などのモノや車両だけでなく、歩行者も検知する。軽自動車ではデイズとeKワゴンのユニークな機能といえる。

その他の予防安全装備に関しては、各車大差なしといった印象だ。
軽自動車は、各車共に車両価格を少しでも安く見せたいという営業的狙いから、一部のグレードでは予防安全装備が装着できない、もしくはオプションになっているグレードも多いので、こうしたグレードを選ぶのはNG。また、多くの機能がオプション設定となっていることが多いので、安全性能を重視するのであれば、積極的にオプションを選択したい。安全装備をケチってはいけない。

安全装備比較表

  • …全車標準装備
  • …一部標準装備または一部オプション
  • ×…標準装備なし
ホンダN-WGN ホンダN-BOX 日産デイズ三菱eKワゴン スズキハスラー ダイハツタント
対車両自動ブレーキ

一部非装着
グレードあり

一部非装着
グレードあり
歩行者検知式自動ブレーキ

一部非装着
グレードあり

一部非装着
グレードあり
ブレーキ踏み間違い衝突防止アシスト

一部非装着
グレードあり

一部非装着
グレードあり
サイドエアバック

一部グレード
オプション

カーテンエアバッグ

一部グレード
オプション

車線逸脱警報

一部非装着
グレードあり

一部非装着
グレードあり
車線維持支援

一部オプション設定

一部非装着
グレードあり

一部非装着
グレードあり
後側方車両検知警報

×

×

×

×

×

後退時後方車両接近警報

×

×

×

×

×

オートマチックハイビーム

一部非装着
グレードあり

一部非装着
グレードあり

※安全装備の詳細は各車メーカー公式サイトをご確認ください。

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