ミニバン
安全なミニバンを選ぶポイント
ミニバンは多くの人を乗せて走るため、車体は大きく重い。
車体が大きいので死角も多く、さらに重たいので衝突すれば事故の被害はより大きい。それだけに、ミニバンには優れた予防安全装備が必要だ。
しかし、多くがモデル後期に入っているため、予防安全装備の性能は今ひとつだ。夜間でも歩行者や自転車を検知できるモデルは、ごく一部のモデルに限られてしまっている。
死角に隠れた歩行者やクルマ、障害物との衝突も多い。こうしたリスクを軽減するためには、カメラなどを積極的に使って死角を減らしている機能も重要だ。
さらに、車体が大きいということは、高速走行などでは横風の影響を受けやすいということだ。横風の得強でフラフラとした走行状態になれば、事故のリスクは増す。
このような走行状態を緩和してくれるのが車線維持機能だ。人間の操作より早く車両をコントロールして、車線中央を走るようにコントロールしてくれるので、安心・安全。緊張感も減り、ドライバーの疲労軽減にも役立つ。
そして、多くの乗員を乗せる機会が多いモデルだけに、乗員の安全も重要。運転席・助手席のエアバッグ&サイドエアバッグだけでなく、後席乗員を守るためのサイドカーテンエアバッグの有無も重要だ。モデルによっては、標準装備ではなくオプション設定となっていることもあるのでしっかりとチェックする必要がある。
BEST.1
トヨタアルファード/
ヴェルファイア
アルファード/ヴェルファイアの自動ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車を検知ができる最新タイプになっている。夜間の歩行者と昼間の自転車に対応しているのは、ミニバンではアルファード/ヴェルファイア、グランエースのみだ。自動ブレーキの性能を重視するのであれば、これらのモデルを選択するしかない。
残念ながら、売れ筋の5ナンバーミニバンであるヴォクシー、ノア、エスクァイアは、モデル末期であることもあり、昼間の歩行者検知のみの設定。
アルファード/ヴェルファイアには、予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」が標準装備されている。トヨタセーフティセンスには、全車速追従式クルーズコントロールと車線内を維持してくれるレーントレーシングアシストも含まれる。
また、アクセルとブレーキの踏み間違え時の被害回避・軽減をアシストしてくれるインテリジェントクリアランスソナーも標準装備化されている。
ただ、高級ミニバンにも関わらず、後側方から接近する車両を検知し警報を発するブラインドスポットモニター、バック時に後方左右から接近する車両を検知し、衝突の危険があるときは自動ブレーキが作動するリヤクロストラフィックオートブレーキなどは、一部グレードを除きオプション設定。このような機能は、死角が多い大型ミニバンでは日常的に使う安全装備なので、標準装備化が望ましい。アルファード/ヴェルファイアの購入時は、忘れずに選択したいオプションだ。
衝突時の安全装備としては、運転席ニーエアバッグや3列目シートまでカバーするカーテンシールドエアバッグが標準装備されているので安心だ。
BEST.2
トヨタグランエース
トヨタの予防安全装備パッケージである「トヨタセーフティセンス」は、車種により機能や性能が異なる。
グランエースの場合、昼夜の歩行者検知と昼間の自転車機能はアルファード/ヴェルファイアと同じだが、車線維持制御があるレーントレーシングアシストではなく、警報がメインで車線逸脱しようとする方向と反対側の車輪に制動力を加えることでヨー(クルマを回転させる力)を発生させ、車線・走路逸脱の回避をサポートするレーンディパーチャーアラートになっている。
また、渋滞時などに対応可能な全車速追従式クルーズコントロールではなく、低速域の対応ができないレーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付)となった。トヨタセーフティセンスの性能面では、アルファード/ヴェルファイアと比べると、大幅にダウンしている。600万円を超える高級ミニバンとしては、物足りない仕様になっている。
しかし、アルファード/ヴェルファイアでは、一部グレードを除きオプションだった後側方車両接近警報であるブラインドスポットモニターや、後退時に接近する車両があり衝突の危険がある場合、自動ブレーキが作動するリヤクロストラフィックオートブレーキは標準装備化されている。
高級ミニバン同士なのに、予防安全装備は共通化されていない。
衝突安全面では、運転席ニーエアバッグや3列目シートまでカバーするカーテンシールドエアバッグが標準装備。乗員の安全も高いレベルにある。
BEST.3
日産セレナ
セレナは、360°セーフティアシストと題して、車両周辺360°の予防安全装備を強化している。
しかし、肝心な自動ブレーキは昼間の歩行者検知のみと、少々残念な状況。だが、踏み間違い衝突防止アシストは、壁や障害物だけでなく前方の歩行者にも対応。踏み間違え防止機能の多くは、壁や障害物のみがほとんどで歩行者に対応しているモデルは数少ない。
車両側面関連の予防安全装備では、車線逸脱防止支援システム+車線逸脱警報、後側方衝突防止支援システム+後側方車両検知警報を標準装備化。車両後方の予防安全装備では、後退時車両検知警報を標準装備した。
ミニバンは、後方の安全が確認しにくいので、とても役立つ機能だ。こうした機能は、日常的に使う頻度が高いので、実用面で大きなメリットになる。
また、車両を俯瞰で見た映像にして、死角を減らし障害物との接触リスクを軽減するインテリジェントアラウンドビューモニターをオプション設定。車両周辺で動く歩行者や自転車も検知してくれるので、より安心して運転することができる。
そして、日産のウリでもある高速道路など同一車線内を維持、渋滞時などでのストップ&ゴーを繰り返すことができる「プロパイロット」は、オプション設定だ。ドライバーの疲労軽減やうっかり追突や接触リスクを軽減してくれるので、積極的に選びたい装備だ。
残念なのは、サイド&カーテンエアバッグが、一部グレードでは装着不可。その他は全車オプション設定となった。今時、標準装備化が当り前といえる装備だ。絶対に選択したい。
BEST.4
ホンダステップワゴン
ステップワゴンは、8つの機能をまとめた予防安全装備である「ホンダセンシング」を全車に標準装備化している。モデル末期に入ってきたため、メインの自動ブレーキは、昼間の歩行者検知のみとやや物足りない仕様だ。
ただ、車線維持支援機能や、一部グレードを除くが渋滞時のストップ&ゴーにも対応する全車速追従式クルーズコントロールも用意されているので、一定のレベルの予防安全装備を得ている。
ただし、アクセルとブレーキの踏み間違えなどに対応する誤発進抑制機能は前方のみ。後退時には対応していないなど、こちらも少々物足りない状態だ。
そして、クルマの周囲を俯瞰映像で確認できるマルチビューカメラシステムも用意されている。ただし、一部グレードには装着不可となるオプション設定。
衝突時の乗員を守るカーテンエアバッグは3列目まで対応。ほとんどのグレードで標準装備化されているが、一部のグレードでオプション設定、装着不可のグレードがあるのは残念なポイントだ。
BEST.5
三菱デリカD:5
デリカD:5は、微妙に何かが足りない仕様になっている。
自動ブレーキは昼間の歩行者のみで、夜間の歩行者と自転車には対応していない。
また、車線逸脱警報のみの設定となっており、警報のみでは少々遅れている状況。このクラスでは、車線維持機能が欲しい。
さらに、アクセルとブレーキの踏み間違えによるリスクを軽減する誤発進抑制機能も前方のみ。後方への誤発進抑制機能も欲しい。
死角から起きるリスクを軽減する後側方車両検知警報と後退時車両検知警報も用意された。日常の多くのシーンで頼りになる機能だ。
しかし、最上級グレードに標準装備化されているものの、中間グレードではオプション。エントリーグレードでは、装着不可になっている。ベーシックな機能なので、全車標準装備化すべき予防安全装備だ。
ただ、渋滞時のストップ&ゴーにも対応する全車速追従式クルーズコントロールは、全車標準装備。ドライバーの疲労を軽減してくれる。
衝突安全装備では、ニーエアバッグやカーテンエアバッグは標準装備しているのだが、サイドエアバッグの設定が無い。
まとめ
高額車が多いミニバンだが、予防安全装備に関しては、物足りない仕様のモデルばかりだ。夜間の歩行者と昼間の自転車が検知できるのは、アルファード/ヴェルファイアとグランエースのみ。
もはや当たり前の性能だが、この部分の進化はとても遅い。軽自動車でも夜間の歩行者検知と昼間の自転車検知機能を持つモデルが出てきているくらいだ。
こうした事態になっているのは、ほとんどのモデルがモデル後期に入っているため。メーカーも人気カテゴリーで売れていることもあり、多額のコストをかけて抜本的な改良を行うつもりがないのだ。
安全なクルマという視点では、夜間の歩行者と昼間の自転車が検知できないモデルは選びにくい。多くのモデルが過渡期に入っているので、より安全なミニバンを求めるのであれば、セレナやステップワゴンはフルモデルチェンジを待つのが得策といえる。
安全装備比較表
トヨタアルファード/ヴェルファイア | トヨタグランエース | 日産セレナ | ホンダステップワゴン | 三菱デリカD:5 |
対車両自動ブレーキ | ||||
---|---|---|---|---|
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
歩行者検知式自動ブレーキ | ||||
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
ブレーキ踏み間違い衝突防止アシスト | ||||
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
サイドエアバック | ||||
◯ |
◯ |
△ 一部グレード装着不可 |
△ 一部グレード標準装備一部グレード 装着不可 |
× |
カーテンエアバッグ | ||||
◯ |
◯ |
△ 一部グレード装着不可 |
△ 一部グレード標準装備一部グレード 装着不可 |
◯ |
車線逸脱警報 | ||||
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
車線維持支援 | ||||
◯ |
× |
△ 一部グレード装着不可 |
◯ |
× |
後側方車両検知警報 | ||||
△ 一部グレード標準装備 |
◯ |
◯ |
× |
△ 一部グレード標準装備一部グレード 装着不可 |
後退時後方車両接近警報 | ||||
△ 一部グレード標準装備 |
◯ |
◯ |
× |
△ 一部グレード標準装備一部グレード 装着不可 |
オートマチックハイビーム | ||||
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
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アルファードのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和5年6月(2023年6月)〜現在
- 新車時価格
- 540.0万円〜559.8万円
アルファードの在庫が現在461件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。