ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

スバルは、人気SUVであるフォレスターに使い勝手の良さが魅力の特別仕様車「Xエディション」を設定し発売を開始した。

4WDにこだわり続けるフォレスター

現行のフォレスターは、すでに5代目となり歴史あるSUVだ。

初代フォレスターは、1997年にデビュー。現在のSUVとは異なり、ワゴンに近いボディをもち悪路走破性を高めたモデルだった。
また、2.0L水平対向ターボエンジンを搭載するモデルもあり、とにかく速いSUVとして話題になった。

3代目フォレスターで、ようやく背の高い今時のSUVスタイルへ移行。徐々にボディサイズを拡大していく。

5代目フォレスターの全幅は1,815㎜。
このクラスの輸入車の中は、1,900㎜近い全幅になってきている。しかし、5代目フォレスターは、日本マーケットでの使い勝手を考えてか、なんとかギリギリの全幅を維持している状態だ。

全幅のワイド化は、歯止めがきかない状態。フォレスターもグローバルモデルなので、いつまでこの全幅を維持できるのか、非常に厳しい状況だ。

また、フォレスターはすべてのグレードが4WDのみの設定になっている。

最近では、SUVとはいえ誰もが悪路を走るわけではない。
そのため、安価なFF(前輪駆動)車で十分という顧客も多く、多くのライバル車はFFモデルを用意し、大きなボリュームを占める。

こうした背景があるなか、フォレスターはあくまで悪路走破性にこだわり4WD車のみの設定という独自のスタイルを貫いている点もポイントだ。

5代目フォレスターの2019年度上期登録車新車販売台数は、17,378台を販売し27位となった。

ライバル車のトヨタ RAV4は、もはや完全に独走状態で13位と独走。
ただ、その他のライバルであるエクストレイルやCX-5より上位にいるので、今のところまずまずといった販売状況といえる。

しかし、2020年度には日産 エクストレイルがフルモデルチェンジ予定。これに合わせて、CX-5もテコ入れを実施することも十分予想できる。
フォレスターも今の内にしっかりと販売台数を稼いでおきたい。

撥水機能などで使い勝手を向上した特別仕様車Xエディション

新設定された特別仕様車Xエディションは、2.5Lエンジン搭載した上級グレードのプレミアムをベースとしている。
これに、アウトドアなどで利便性の高い装備などをプラスした。

まず、Xエディションのインテリアは、撥水機能を持つシート表皮とカーゴフロアボードが採用された。

撥水機能は非常に便利だ。アウトドアスポーツなどで、濡れた衣類や荷物を気兼ねなく積めることができる。
また、子育て層にも向く。飲み物をこぼしたときなどでもサッと拭き取れることができ、シートをあまり汚さずに済む。

さらに、暗いところでも便利な明るいLEDをカーゴルームランプとリヤゲートランプなどに採用した。

Xエディションのエクステリアは、ガンメタリック塗装を施した18インチのアルミホイール、ダークメッキの加工を施したフロントグリルやフォグカバーを装備。
ベース車のプレミアムは、上級グレードということで上質感を重視しているが、XエディションではSUVらしいタフな外観としている。

X-Editionの装備は、アイサイトセイフティプラス(視界拡張)を標準装備。予防安全装備アイサイトの基本機能に加え、フロントビューモニターとスマートリヤビューミラーによって、前後方の死角を低減する。ベースのプレミアムにも標準装備されている。

その他、Xエディションでは、ベースのプレミアムにあるアルミパッド付きスポーツペダル(アクセル、ブレーキ、フットレスト)と光輝ウインドゥモールが装備から外されている。

落ち着いたルックスをもった大人のアウトドア仕様

スバル フォレスター特別仕様車Xエディションの価格は317万9000円となった。

ベースのプレミアムに対して約10万円高という価格設定だ。
プラス装備された内容から考えても、お買い得な特別仕様車ではない。

XエディションとX-BREAK、どちらを選ぶ?

Xエディションのポイントとなる撥水シートは、フォレスターのラインナップの中でX-BREAKのみの専用装備だ。つまり、撥水シートなどが欲しい場合、自動的にX-BREAKを選ぶしかなかった。

X-BREAKはなかなかアクティブな仕様で、内外装にオレンジの加飾が入る。かなり目立つ仕様で人気が高い。
しかし、若年層向けにも見えるため、撥水シートなどは必要だが、内外装はもっと落ち着いた高級感あるものが欲しいと望む顧客が多かったのだろう。
Xエディションは、アクティブにアウトドアを楽しみ、クルマには高い機能性と高級感を求める大人ユーザー向けの特別仕様車といえる。

このXエディションの投入で、ユーザーの細かなニーズを拾えるようになり、フォレスターのラインナップはより強固なものとなった。

スバル フォレスターXエディション装備など

フォレスターXエディションの主要装備

  • アイサイトセイフティプラス(視界拡張)
  • 18インチアルミホイール(ガンメタリック塗装)
  • フロントグリル&フロントフォグランプカバー(無塗装ブラック+ダークメッキ加飾)
  • フロント六連星オーナメント(ダークメッキ)
  • 撥水ファブリック/合成皮革シート(シルバーステッチ)
  • LEDカーゴルームランプ(リヤゲート連動)
  • LEDリヤゲートランプ(リヤゲート連動)
  • 撥水カーゴフロアボード(ラゲッジスムーザー機能付)