ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

マツダは、マツダSUVのフラッグシップモデルであるCX-8を一部改良。同時にラグジュアリー感あふれる特別仕様車「Exclusive Mode(エクスクルーシブ・モード)」を設定し発売を開始した。

ニッチな3列シート大型SUVとしての価値をアピールするCX-8

CX-8は、2017年12月に登場した大型のSUV。全長4,900×全幅1,840×全高1,730mmという大柄なボディサイズをもち、3列シートを備えて6人もしくは7人乗りとなっている。

3列目シートをもつSUVは、エクストレイルなどがすでにあるものの、ボディサイズはひと回り小さい。
国産SUVでCX-8のような大柄のボディサイズをもつモデルは、一部クロカン4WD系を除くと国内に導入されていない。CX-8は、そんなニッチなマーケットを独占している状態だ。

販売台数はやや減少傾向に

CX-8は、北米用の大型SUVであるCX-9をベースに開発された。

CX-9はあまりに大きすぎて、そのまま日本に持ち込んでも売れないと判断し、ボディサイズをやや縮小して導入している。
そのため、北米用に使われていた直4 2.5Lガソリンターボエンジンも新設定されている。

また、マツダはすでにミニバンマーケットからの撤退している。そのため、多人数乗車モデルに乗る顧客が次に乗るモデルが無かった。
ミニバンからSUVへという乗り換えは容易ではないが、多人数乗車モデルを用意することで、わずかでもマツダユーザーを守りたいという狙いもある。

そして、全長4.9mクラスの大型の都会派国産SUVはCX-8しか存在しなかったため、クロカン4WD車のような走破性を求めないラグジュアリーSUVを求める顧客のハートを上手くつかんだ。

ニッチなマーケットながら、選択肢はCX-8のみということもありよく売れた。
2018年度の登録車販売台数ランキングでは30位。31,052台を販売している。
この販売台数は、ひとクラス下のスバル フォレスター並みだ。

ただ、売れているとはいえ、ニッチなマーケット。一定の顧客に売れた後は、徐々に苦戦していく。
2019年度上期は販売台数は9,331台で37位となった。

使い勝手と快適性をアップ

デビューから約2年が経過し、新型車効果が薄れてきたこともあり、一部改良と特別仕様車の設定が行われた。

一部改良では、3列目シート車であることから、使い勝手の良さと快適性を向上。L Packageの2列目ベンチシートにワンタッチウォークインスイッチを追加した。

さらに、25S PROACTIVE、XD PROACTIVE、XD PROACTIVE S Packageのセカンドシートにシートヒーター(左右席)を採用し快適性をアップ。グレードにより異なるが、2列目や3列目シートに充電用USB端子を装備し利便性を向上させた。

そして、2.5LエンジンにはAWDを新設定し、2.5LターボにはFF(前輪駆動)モデルを追加した。
この設定により、すべてのエンジンでFFとAWDが選択が可能だ。選択肢が増えたことで、顧客はより自分のニーズにあったグレードを選択できるようになった。

その他、細かい部分でも改良が行われた。
快適性・静粛性を向上させるために、センターディスプレイのサイズを7インチから8インチへ大型化し、視認性を向上させている。ただ、8インチでも今やそれほど大きく感じない。

また、ルーフ部に塗布型制振材を採用し静粛性を向上。雨粒がルーフを叩く騒音を低減した。
さらに、サブトランクボックスの奥行きを拡大。サブトランクボックスの容量が拡大したことにより、使い勝手が向上している。

新開発オフロード・トラクション・アシストで悪路走破性を強化

CX-8は、基本的に都会派のラグジュアリーSUVだ。
しかし、悪路が多い北米では、都会派SUVであっても悪路での走破性が求められるという。

こうした要望に応えて、マツダはオフロード・トラクション・アシストを新開発した。
専用のスイッチをオンにするとトラクションコントロールシステムとAWDの協調制御が行われる。片輪が浮くような悪路でも、楽々通過できるようになった。

この新開発オフロード・トラクション・アシストは、主に北米の要望が強かったようだ。
道路環境のよい日本においては、あまり使う機会が少ないだろう。

ただ、マツダの4WDシステムであるi-ACTIV AWDは、一部の顧客からは簡易式タイプと思われていたようで、マーケットでの評価はあまり高くなかった。こうした制御が加わったことで、i-ACTIV AWDのイメージアップすることは確実だろう。

最上級グレードとなる特別仕様車「Exclusive Mode」

そして、CX-8に新設定された特別仕様車「Exclusive Mode」は、最上級グレードに位置するモデルとしてデビューした。
ラグジュアリーSUVであるCX-8のキャラクターをより明確にしながら、より上質な空間に仕上げている。

まず、2列目シートに電動スライド&リクライニング機構、シートと体の間の空気を吸い出して蒸れや熱のこもりを解消する2列目シートのベンチレーション機能、スイッチ操作で2列目シートバックが倒れ、シートが前方にスライドする電動ウォークイン機能が装備された。
こうした装備は、運転手付きでVIPが後席に乗るためのショーファードリブン並みの機能だ。

マツダCX-8価格

  • 25S 2WD 6EC-AT:2,948,000円/4WD 6EC-AT:3,184,500円
  • 25S PROACTIVE 2WD 6EC-AT:3,406,700円/4WD 6EC-AT:3,643,200円
  • 25S L Package 2WD 6EC-AT:3,968,800円/4WD 6EC-AT:4,205,300円
  • 25T L Package 2WD 6EC-AT:4,352,700円/4WD 6EC-AT:4,589,200円
  • 25T Exclusive Mode 2WD 6EC-AT:4,572,700円/4WD 6EC-AT:4,809,200円
  • XD PROACTIVE 2WD 6EC-AT:3,828,000円/4WD 6EC-AT:4,064,500円
  • XD PROACTIVE S Package 2WD 6EC-AT:3,999,600円/4WD 6EC-AT:4,236,100円
  • XD L Package 2WD 6EC-AT:4,434,100円/4WD 6EC-AT:4,670,600円
  • XD Exclusive Mode(特別仕様車)2WD 6EC-AT:4,654,100円/4WD 6EC-AT:4,890,600円