スバル フォレスター 新型vs旧型新旧比較レビュー

1997年にインプレッサをベースにしたクロスオーバー車としてデビューしたフォレスター。圧倒的パワーを発揮するターボエンジンを搭載したことで、スポーツカー並みに速いSUVとして一気にヒットモデルへ。しかし、低燃費性能を実現させるためにターボを廃止、ハイブリッドのe-BOXERを投入し、新世代SUVの扉を開いた。
この記事では、新型(5代目 SK系)と旧型(4代目 SJ系)について、エンジンの違いや話題のアイサイトを含めた安全性能の違いを徹底比較。新型と旧型、どちらがお買い得なのか?ぜひ、購入の際の参考にしてほしい。

この記事の目次 CONTENTS
スバル フォレスターの歴史・概要
コンセプト&エクステリアデザイン
インテリア&装備
走り、メカニズム
おすすめは新型?それとも旧型?
リセールバリューが高く、中古車らしい買い得感がない旧型
新車値引き交渉のポイント
スバル フォレスターの価格、スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

スバル フォレスターの歴史・概要

初代スバル フォレスターは、1997年に登場。インプレッサをベースにしたクロスオーバー車としてデビューした。初代から2代目までは全高もそれほど高くなく、どちらかというと、やや背が高いワゴン的なスタイルだった。

インプレッサのエンジン搭載で一気にヒットモデルへ

初代インプレッサには、名機EJ20型水平対向2.0Lターボエンジンが搭載された。250psという当時圧倒的なパワーを発揮。スポーツカー並みに速いSUVとして話題にもなり、ヒットモデルへと成長する。フォレスターの歴史の中で、こうしたハイパワーターボエンジンの存在は、フォレスターらしさの象徴でもあった。

燃費は物足りないが優れた走破性で人気の3代目

3代目フォレスターから、オフローダー的要素が強いデザインへ大きく変貌を遂げ、この頃から、燃費基準や排ガス規制が一段と厳しさを増す。
マイナーチェンジで新世代FB20型2.0L水平対向エンジンを投入したが、ハイブリッドを持たないフォレスターの燃費性能はやや物足りなさを残した。それでも、SUV人気と優れた走破性を誇るAWDにより、フォレスターの販売は好調を維持した。

低燃費化の波に勝てずターボを廃止した新型

スバル フォレスター 新型(5代目 SK系)

新型フォレスターは、2018年に登場。速いSUVというフォレスターの象徴だったターボエンジンは、低燃費化の波には勝てずこのモデルから廃止。同時に、2.0Lエンジンも廃止されFB25型の2.5L水平対向エンジンに変更され、燃費性能も14.6㎞/Lへ向上。しかし、この2.5Lも2018年度のエコカー減税には対応していない。

速いSUVという印象から、エコなクルマへ

そこで、スバルは先代インプレッサに搭載されていた1モーター式のハイブリッドシステムを改良した2.0Lのe-BOXERを用意。18.6㎞/Lという低燃費性能を実現し、エコカー減税に対応した。

アイサイト設定で新規顧客を開拓した旧型

スバル フォレスター 旧型(4代目 SJ系)

旧型フォレスターは、2012年に登場。このモデルから、スバルのウリでもある歩行者検知式自動ブレーキなどを備えた先進予防安全装備である「アイサイト」を装備したグレードを設定。予防安全性能に優れたクルマを好む新規顧客を呼び込んだ。このモデルから、ミッションがATからCVTへ変更された。

ハイオクガソリン仕様でも優れた走行性能が評価された

こだわりのターボエンジンは「新世代BOXER直噴ターボDIT」と呼ばれるFA20型水平対向2.0Lターボへ変更し、高性能スポーツカー並みの出力を発揮。しかし、低燃費化時代にも関わらず、このエンジンはハイオクガソリン仕様で、燃費も13.2㎞/Lと物足りるもではなく、販売台数は伸び悩む。他のエンジンも、エコカー減税の恩恵はほとんど受けることができない状態だったが、先代フォレスター同様、SUV人気と優れた走行性能が評価されたため、売れた。

コンセプト&エクステリアデザイン

新旧フォレスターのデザインを比べると、あまり代わり映えしない印象が強いが、機能性に大きな違いがあった。

あまり代わり映えしないデザインの新型

スバル フォレスター 新型(5代目 SK系)

新型フォレスターのデザインは、スバルのデザインフィロソフィー“DYNAMIC x SOLID”に基づき、SUVらしい存在感、力強さ、機能性を表現した。
旧型のデザインと比べると、あまり代わり映えしない印象が強い。良くも悪くも、新旧フォレスターの区別がしにくい。

似たようなデザインでも、新型は機能的かつ実用性を重視

似たようなデザインといえるものの、新型フォレスターのデザインは非常に機能的だ。運転席に座ったときの死角を減らしていたり、荷室の開閉口を広くするなど、実用性を重視したデザインになっている。
また、ハイブリッドのAdvanceとX-BREAKには、前後バンパー下部にアンダーガードなどを装備。よりSUVのタフネスさを表現したデザインが採用されている。Advanceには、シルバー加飾、X-BREAKはオレンジのアクセントラインを加え、スポーティさもアピールしている。

旧型は長く愛されるデザイン

スバル フォレスター 旧型(4代目 SJ系)

旧型フォレスターのデザインは賞味期限が長いデザインで、あまり古さを感じさせない。

インテリア&装備

フォレスターは新旧問わず、高い予防安全性能を誇っている。しかし、今回の改良では安全装備の面で大きな差がついた。

視認性が向上、解放感を表現した新型

スバル フォレスター 新型(5代目 SK系)

新型フォレスターのインパネデザインは、インストルメントパネルとコンソールを連続させることで、優雅で広がり感がある。ナビのモニターなどもセンターコンソール上部に設置され視認性も向上。SUVらしい力強さに加えゆとりと開放感を表現。

安全装備の標準装備化でクラストップレベルのクルマへ

スバル フォレスター 新型(5代目 SK系)

重要な安全装備に関しては、新型フォレスターはかなり高いレベルにある。
歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備であるアイサイトは、2018年現在最新のバージョン3を全車に標準装備。さらに、歩行者エアバッグ、サイド&カーテンエアバッグ、ニーエアバッグなどを標準装備している。多くの安全装備が標準装備化されているので、どのグレードを買ってもクラストップレベルの安全性能を手に入れることができる。

また、ハイブリッドのAdvanceにはドライバーモニタリングシステムを標準装備。車内のカメラがドライバーを認識。居眠りなどの警告し安全運転をサポートし、さらに、ドライバーを識別。そのドライバーが設定したドライビングポジションなどに、シートなどを自動で変更してくれる。

SUVらしいタフネスさを表現した旧型

スバル フォレスター 旧型(4代目 SJ系)

旧型フォレスターは、水平基調のインパネデザインで広さをアピール。センターコンソールは、太く力強いデザインとすることで、いかにもSUVらしいタフネスさを表現。乗用車的なのは新型フォレスターで、SUVらしさという点では旧型フォレスターといえる。

アイサイト装備車は、高い予防安全性能を誇る

スバル フォレスター 旧型(4代目 SJ系)

旧型フォレスターも、安全装備に関しては一定のレベルにある。ただし、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備アイサイトが装備されているモデルであることが前提だ。売れ筋グレードでは、アイサイトが標準装備されていたが、全車標準装備ではないので、中古車の場合アイサイトが装備されていることを確認する必要がある。

また、アイサイトはマイナーチェンジ前のモデルでは、バージョン2となる。マイナーチェンジ後では、バージョン3となり、車線逸脱抑制制御などもプラスされ高性能化されている。

走り、メカニズム

新型、旧型ともに燃費は物足りないものの、それぞれ走りを楽しむことができるクルマだ。

排気量アップで余裕のある走りが可能になった新型

スバル フォレスター 新型(5代目 SK系)

新型フォレスターは、従来の2.0Lから2.5L水平対向エンジンとなり、排気量がアップしたことで、184ps&239psという十分な出力となった。2.0Lの旧型フォレスターと比べると、余裕のある走りが楽しめるようになった。
ただ、燃費はJC08モードで2.0Lが16.0㎞/Lだったのに対して、2.5Lに排気量が増えたことで14.6㎞/Lに悪化。しかし、2.5Lになり低速トルクが大きくなったこともあり、エンジンを回さなくても十分に力強いため、実燃費では旧型の2.0Lエンジンと大差無い印象だ。

フォレスター初のハイブリッドe-BOXERを搭載

スバル フォレスター 新型(5代目 SK系)

新型フォレスターには、1モーター式のハイブリッドであるe-BOXERが投入された。このe-BOXERは、先代インプレッサに搭載されていたものをベースに改良が施されている。2.0Lエンジンと組み合わされており、燃費はJC08モードで18.6㎞/Lとなる。このe-BOXERは、モーターの存在感が無いハイブリッドで、モーター走行できる領域は非常に少ない。燃費も新基準のWLTC高速モードで比較すると、e-BOXERが16.4㎞/Lなのに対して、2.5L車は16.0㎞/Lで、e-BOXERを上回る数値となる。e-BOXERの燃費メリットは、市街地でないと発揮できないという微妙な仕様となっている。

クラストップレベルの大パワーで爽快な走りが楽しめる旧型

スバル フォレスター 旧型(4代目 SJ系)

旧型フォレスターには、今でもトップクラスのハイパワーを誇る2.0LのDITターボが用意されていた。燃料もハイオク仕様で、燃費も13.2㎞/Lと物足りないものの、280ps&350Nmという大出力を誇る。この大パワーは、未だクラストップレベルの実力。燃料費の負担が大きいということを除けば、爽快な走りが楽しめ、非常にユニークなモデルといえる。
対して、2.0Lエンジン車は148ps&196Nmという出力で、必要十分といえるが、力強いとまで感じるレベルには無く平均的。燃費も16.0㎞/Lとなった。

基本性能が大幅にアップした新型、旧型の完成度も高い

スバル フォレスター 旧型(4代目 SJ系)

ただ、旧型フォレスターもそれほど悪いという印象は無い。とくに、マイナーチェンジ後のモデルは、ボディ剛性のアップやサスペンション関係も大幅に改良されており完成度は高い。今でも十分に満足できるレベルにある。

おすすめは新型?それとも旧型?

新型と旧型、それぞれ違いはあるが、何を求めるかによって選ぶクルマが変わってきそうだ。

総合力という面だけなら新型が圧倒

スバル フォレスター 新型(5代目 SK系)

新型フォレスターは、新プラットフォーム(車台)SGP「SUBARU GLOBAL PLATFORM」が採用されたこともあり、走行性能や燃費、安全性能などすべての面で旧型フォレスターを超えている。総合力という面だけで見れば、当然新型フォレスターがよい。

旧型ターボ車の瞬発力も魅力

スバル フォレスター 旧型(4代目 SJ系)

ただ、旧型フォレスターには、280psというハイパワーを誇るターボ車がある。この圧倒的な加速力は、新型フォレスターには無い魅力。SUVとはいえ、速さや高速道路などで、より余裕のある走りを求めるのであれば、旧型フォレスターのターボモデルは非常に魅力的だ。他のSUVでも、こうしたターボ車は無いので、あえて、旧型フォレスターのターボ車という選択はありだろう。旧型フォレスターのマイナーチェンジ後モデルは、完成度も高く中古車価格次第では、積極的に選んでもよい。

リセールバリューが高く、中古車らしい買い得感がない旧型

スバル フォレスター 新型(5代目 SK系)
スバル フォレスター 旧型(4代目 SJ系)

旧型フォレスターの中古車マーケットでの人気は高く、中古車価格はかなり高めの相場が続いているため、非常に高いリセールバリューを誇るモデルであることが分かる。
旧型フォレスターのターボモデルである2.0XTアイサイトは、2016年式のボリュームゾーンが240~280万円と高額。新車価格が310万円前後だったので、ほとんど価格が落ちていない。こうなると、中古車で買うメリットも少なくなる。とくに、ディーラー系は高めの価格設定だ。2.0L車の中古車相場も高く、ボリュームゾーンは220~250万円。新車価格よりわずかに安い程度で、中古車らしい買い得感はない。

旧型の購入は流通が増える2019年半ばがおすすめ

旧型フォレスターの中古車価格が高値維持している理由には、デビューした2018年から、まだ時間が経過していないこともある。また、下取りとなった、旧型(4代目)や3代目フォレスターが中古車マーケットに多く流通するまで、若干タイムラグがあり、流通量が増えていないため、高値が維持されていることも理由のひとつだ。
旧型フォレスターを狙うのであれば、しばらく様子を見て、価格が下がってきた頃が狙い目だ。2019年半ばくらいになれば、流通量も増え中古車価格も徐々に下り、買い得感が出てくるだろう。

新車値引き交渉のポイント

新型フォレスターは、2018年に登場したばかりの新型車なので、しばらくは、値引きは厳しいだろう。しかし、しっかりと値引き交渉しないと、本当に値引きゼロになるので気を付けたい。

激戦SUVマーケットなので、ライバル車との競合は絶対条件

値引き交渉で、最も重要なのがライバル車と競合させることだ。SUVは人気で激戦カテゴリー。フォレスターは新型車とはいえ、ライバル車と競合されればある程度の値引きをするしかない状態になる。

新型の値引きは日産エクストレイル、三菱CX-5と競合させてみる

新型フォレスターと競合させるライバル車は、日産エクストレイル、マツダCX-5、ホンダCR-V、三菱アウトランダーになる。
その中でもエクストレイルは、値引きが大きく、CX-5は、フォレスターには無い低燃費なディーゼルエンジンがある。この2台の見積りは必ず取り、フォレスターと競合させるといいだろう。とくに、エクストレイルの値引き額はかなり大きくなるので「日産はここまでやってくれるのに、スバルは?」というような感じで攻めてみるといいだろう。スバル側は「フォレスターは新型なので、ここまでできませんが○○万円くらいなら・・・」というように、多少譲歩を見せてくれればOK。ジックリと時間をかけて値引き額を引き上げたい。

スバル フォレスター 新型(5代目 SK系)
スバル フォレスター 旧型(4代目 SJ系)

購入は2019年10月の増税以降の値引きを狙え

2~3月は自動車業界最大の繁忙期に突入する。各社決算に向けてノルマに追われる時期なので、買い手が圧倒的に有利だ。
また、2019年10月からは、消費税がアップされる。増税前の駆け込みもありだが、販売が落ち込んだ直後に大幅値引きを持ちかけるというのもありだ。乗り換えのタイミングを見計らい、攻める時期を決めるといい。

事前に下取り車の適正価格を知ることで、安く下取りされるのを防ぐ

買い替え時に値引きと同様に注意しないといけないのが下取り車の売却先。ディーラーの下取り価格は、通常買取店より低いケースが多いが、中古車で飛ぶように売れるような下取り車は、数十万円も差がつくことがある。
また、優秀なディーラーは、新車販売だけでなく下取り車でも利益を出す。つまり、安く買取って高く売るのだ。安く下取りされないためにも、事前に下取り車の適正な価格を知っておくことが重要。そのために、買取店での査定が必要なのだ。可能であれば、2店舗くらい査定に行くとよい。そして最終的に、最も高い価格を付けたところに売却すればいいだけだ。

増税後も余計なコストがかからない個人間売買

時間と手間をかけられる人なら、個人間売買というのもおすすめだ。2019年10月の増税以降は、当然、買取店や下取りも消費税額を含んだ取引になるが、個人間売買なら消費税は不要、しかも、流通コストもないので、より高く売れる。
しかし、個人間売買の場合、いつ売れるか分からないし、売却先との名義変更や金銭授受によるトラブルリスクも大きい。そのため、本来ならば、積極的におすすめはしない売却方法だ。

個人間売買専門サイトの利用でリスクを回避

しかし、最近では、こうしたリスクを無くして個人間売買のメリットを最大限に生かしてくれるサイトもある。中古車大手のガリバーが開設しているクルマの個人間売買専門サイト「ガリバーフリマ」だ。
中古車の流通を知り尽くしたガリバーが開設したサイトで、代金の回収や名義変更をガリバーが代行してくれるサービスだ。もちろん、代行してくれる分、手数料が必要になるが、リスクを考えれば納得できる範囲の金額に収まっている。

スバル フォレスターの価格、スペック

スバル フォレスター価格とスペックは以下の通り。

スバル フォレスターの価格

 
グレード 価格
Advance(e-BOXER) 3,099,600円
Premium 3,024,000円
Touring 2,808,000円
X-BREAK 2,916,000円

スバル フォレスター Premiumスペック情報

 
全長×全幅×全高 4625×1815×1715mm
ホイールベース 2670mm
トレッド[前/後] 1565/1570mm
車両重量 1530kg
最小回転半径 5.4m
JC08モード燃費 14.6㎞/L
WLTCモード燃費 13.2㎞/L
エンジン FB25型 水平対向4気筒2.5L DOHC 16バルブデュアルAVCS 直噴
排気量 2498cc
圧縮比 12.0
最高出力[ネット] 136 kW(184 PS)/5800 rpm
最大トルク[ネット] 239 N・m(24.4 kgf・m)/4400 rpm
ミッション リニアトロニック(CVT)