ホンダは、スポーツカーのNSXを一部改良。改良型モデルの購入申し込みを開始した。2019年モデルとなるNSXの発売は、2019年5月からとなる。

この記事の目次 CONTENTS
フルモデルチェンジから2年。NSX初の改良
ホンダ独自の技術で、新たなスーパーカー像を提案したNSX
ドライバビリティの向上を目指し、システムを最適化したNSX
外観の変更は微少。鮮やかな新色オレンジが追加
唯一残念な点は、 予防安全装備の装着見送り
ホンダNSX価格、スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

フルモデルチェンジから2年。NSX初の改良

ホンダNSXは、2千万円を超える特殊なスーパーカー。そのため、NSXの購入サポートや商談については、NSX PERFORMANCE DEALERが担当することになる。

2019年モデルとなったNSXは、新開発タイヤの装着やサスペンションの見直しが行われ、走行性能の向上が図られている。

ホンダ独自の技術で、新たなスーパーカー像を提案したNSX

現行ホンダNSXは、2016年にフルモデルチェンジし2世代目となった。この2代目NSX最大の特徴は、ハイブリッドシステムを搭載していること。スーパーカーとはいえ、世界的に求められるCO2の排出量を減らしながら、独自の走行性能をアピールする。その核となる技術がる3モーターハイブリッド「スポーツハイブリッドSH-AWD」だ。

モーター制御で誰もがドライビングを楽しめるクルマに

搭載されたエンジンは、V6 3.5Lツインターボで507ps&550Nmという大パワーを誇る。ただし、ターボエンジンは、ターボラグというアクセル操作に対するレスポンスが悪くなるという悪癖がある。このターボラグを補うのが、モーターの存在だ。モーターは、瞬時に最大トルクを発揮する。ターボラグが発生しているわずかな瞬間をモーターがフォロー。アクセル操作に対して、レスポンスの良いパワーユニットになっている。後輪用モーターは、9速DCTとエンジンの間に設置。48ps&148Nmという出力をもつ。

さらに、フロントに設置された2つの独立したモーターは、優れたハンドリング性能を生み出す。このTMU(ツインモーターユニット)は、トルクベクタリングによる旋回性能を向上させる役割をもつ。また、モーターのプラストルク(駆動力)だけでなく、マイナストルク(減速力)も自在に制御。この制御により、特殊なドライビングテクニックを駆使しなくても、誰もが容易にキビキビとしたハンドリング性能を楽しめるようになった。

ハイブリッドの投入で低燃費も両立

このホンダ独自の技術「スポーツハイブリッドSH-AWD」により、スーパーカーとは思えない12.4㎞/Lという低燃費も両立。しかも、NSXは誰も容易にスーパーカーのハンドリング性能を楽しめるという世界に例が無い新時代のスーパーカー像を提案した。

ドライバビリティの向上を目指し、システムを最適化したNSX

NSXの主なポイントは、一般道からサーキットまであらゆるシーンでのコントロール性や、アクセル操作におけるドライバビリティなどの向上を目指した。

そのために、NSX専用タイヤを新開発した。絶対的なグリップ力が向上。タイヤのパフォーマンス向上を生かすために、サスペンションの各部をリセッティング。フロントスタビライザーは26%、リアスタビライザーが19%、リアコントロールアームブッシュを21%、リアハブを6%剛性をアップ。全体的なロールが減り、よりフラットライドなフィーリングとなった。
また、NSX独自のシステム「インテグレーテッド・ダイナミクス・システム」、「SPORT HYBRID SH-AWD」の駆動配分制御などを最適化し、よりドライバーとの一体感がアップした。

次回の改良はエンジンのパワーアップに期待

ただ、残念なポイントもある。それは、エンジンに関しては改良が行われていない点だ。よりパワーアップしたエンジンに期待したいところだ。

外観の変更は微少。鮮やかな新色オレンジが追加

外観デザインの変更は、非常に軽微なものとなった。フロントグリルは、シルバーからボディ同色に変更され、やや精悍さが増した。
分かりやすい部分では、新色「サーマルオレンジ・パール」が追加された。最新の塗装技術が活用され、鮮やかなオレンジとして刷新させている。強い発色感があり、スーパーカーらしい存在感がある。

新色追加に合わせて、オプションのカーボンセラミックブレーキローターを装備すると、従来のカラーに加え新色のオレンジが追加されている。

今回の改良で選択肢が広がったインテリア

インテリア関連では、新色のインディゴが追加された。さらに、レッドのセミアニリンフルレザーパワーシートもオプション選択可能としている。従来オプションだったアルミ製スポーツペダル&フットレストが全車標準装備となっている。

唯一残念な点は、 予防安全装備の装着見送り

残念でならないのが、予防安全装備の装着が見送られたこと。ホンダには、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備であるホンダセンシングがあるが、今回の改良では装備が見送られている。

スーパーカーでも歩行者を守る義務がある

スーパーカーは特殊なクルマだが、公道を走る以上、事故を予防する安全装備の装着は必須だ。スーパーカーだから、歩行者を危険にさらしてよいという理屈は通じない。スーパーカーでも、交通事故減という社会的責任を果たす必要がある。同じスポーツカーという点では、マツダ ロードスターがあるが、ロードスターは歩行者検知式自動ブレーキなどを標準装備化している。しかも、ホンダの安全思想は「Safety for Everyone」。

ホンダNSXは、独自技術である「SPORT HYBRID SH-AWD」で、環境性能とハンドリング性能高め、新時代のスポーツカー像を提案した。予防安全性能でも、新たなスポーツカー像をアピールしてほしい。

ホンダNSX価格、スペック

ホンダNSXの価格、スペック情報は以下の通り。

  • ホンダNSX価格:23,700,000円

ホンダNSXのスペック情報

ボディサイズ(全長×全幅×全高) 4,490×1,940×1,215mm
ホイールベース 2,630㎜
トレッド 前:後 1,655:1,615mm
車両重量 1,800kg
総排気量 3,492cc V6ツインターボ
エンジン最高出力 373kw(507ps)/6,500-7,500rpm
エンジン最大トルク 550N・m(56.1kg-m)/2,000-6,000rpm
モーター最高出力 前:後 前:27kw(37ps)/4,000rpm 後:35kw(48ps)/3,000rpm
モーター最大トルク 前:後 前:73N・m(7.4kg-m)/0-2,000rpm 後:148N・m(15.1kg-m)/500-2,000rpm
ミッション 9速DCT
JC08燃料消費率 12.4km/l