トヨタは、高級セダンのクラウンをフルモデルチェンジし発売を開始した。クラウンは、今回のフルモデルチェンジで15代目となった歴史あるモデルだ。プラットフォーム(車台)を久しぶりに変更したこともあり、車両運動性能は飛躍的に進化。さらに、グレード体系も大幅に変更。従来のアスリートやロイヤルといったグレードが無くなり、トヨタブランドの最上級モデルであるマジェスタまで姿を消すなど大幅刷新が図られている。
- この記事の目次 CONTENTS
- 新プラットフォームを得た15代目クラウンデビュー
- 日本専用セダンとして、日本での使い勝手にこだわった
- スタイリッシュさ際立つ6ライトウィンドウ
- 上下2つのナビ画面が表示
- パワーユニットは3.5Lハイブリッドと2.0Lターボを用意
- 大幅に進化した新型クラウンの走行性能
- トヨタセーフティセンスは全車標準装備に!
- T-Connectサービスを3年間無料で提供!
- 新型クラウンの選び方
- トヨタ クラウン価格
新プラットフォームを得た15代目クラウンデビュー
新グレード名は、従来のアスリートに相当するのが「RS」、「RSアドバンス」。ロイヤルに相当するのが「G」となった。マジェスタと同等のグレードとなったのが「Gエグゼクティブ」だ。
新型トヨタ クラウンに搭載されたパワーユニットは、2.5Lハイブリッド、3.5Lハイブリッド、2.0Lターボの3タイプ。新型クラウンの価格帯は幅広く4,606,200~7,187,400円となっている。
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日本専用セダンとして、日本での使い勝手にこだわった
新型トヨタ クラウンは、国内専用車だ。そのため、日本での使い勝手をとにかく重視した。セダンマーケットそのものが縮小してきたとはいえ、クラウンだけは日本での使い勝手にこだわり続けた結果、セダンが売れないと言われながらもクラウンだけは売れ続けた。
新型クラウンのボディサイズ
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まず、国内専用車として全幅1,800㎜は死守された。新型クラウンのボディサイズは、全長4,910×全幅1,800×全高 1,455㎜、ホイールベース2,920㎜。先代クラウンのアスリートと比較すると、全長+15㎜、全幅変更なし、全高+5㎜、ホイールベース+70㎜とやや大きくなっている。
新型 | 旧型 | |
---|---|---|
全長 | 4,910mm | 4,895mm |
全幅 | 1,800mm | 1,800mm |
全高 | 1,455mm | 1,450mm |
ホイールベース | 2,920mm | 2,850mm |
都市部での使い勝手をとにかく重視
全幅1,800㎜にこだわる理由は、都市部に多い立体駐車場対応のためだ。こうした立体駐車場を車庫として使うユーザーにとって、1,800㎜を超えると車庫証明が取れずに購入できなくなる。また、外出先で立体駐車場が使えないのは、やはり使い勝手が悪い。このクラスのほとんどのセダンが、1,800㎜をオーバーしていることもあり、クラウンの日本での使い勝手は非常によい。さらに、日本は狭い道が多く、あまり幅広のボディだとすれ違いなどでも苦労する。こうしたことも評価され、クラウンは売れている。
スタイリッシュさ際立つ6ライトウィンドウ
新型クラウンのデザインには、クラウン初となる6ライトウインドウが採用された。レクサスLSのように、クーペのようなルーフラインをもち、かなり傾斜されたCピラーをもつデザインとすることで、後席ウインドウの後ろにもガラスエリアが増える。トータルで6枚のガラスとなる。
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6ライトウインドウと呼ばれると、新しいスタイルのように感じるが、その昔、4ドアクーペなどの呼ばれていたデザインと酷似している。
印象が変わったのはフロントフェイス
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とくに、先代クラウンから印象が変わったのがフロントフェイス。先代クラウンアスリートのように、デザイン性というよりは稲妻型のグリルでインパクト重視というものではなく、しっかりとしたデザイン力で勝負に出た。逆台形の大きなグリルは、ボンネットから続くプレスラインを受け、彫りの深さと押し出し感を表現。一体感ある精緻なデザインとなった。
上下2つのナビ画面が表示
インテリアデザインは、ダッシュボードからドアへと1ピースでできたような柔らかなラインで囲まれている。乗員に包まれているような安心感を与えている。
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センターコンソール上部には、2つのモニターが設置された。下部には、7インチのディスプレイを設置。そのやや奥に8インチのディスプレイが設置されている。8インチディスプレイにナビ画面が基本的に表示されるが、操作するときは7インチのモニターにナビ画面が表示される。つまり、操作時にはナビ画面が上下2つも表示されるのだ。
ナビ操作はタッチパネル式
ナビなどの操作は、タッチパネルで行う。タッチパネルは、走行中の操作は非常に難しく視線移動も大きくなるため安全性面でも配慮が必要だ。レクサスは、シフトレバー付近に設置しているコントローラーで操作する。こうした部分でも、同じ会社なのに安全面での考え方が異なる。
パワーユニットは3.5Lハイブリッドと2.0Lターボを用意
新型クラウンに搭載されたパワーユニットは、2.0Lターボと2.5Lハイブリッド、V6 3.5 Lハイブリッドの3タイプとなった。先代に用意されていた環境性能の悪い3.5Lガソリンエンジンは姿を消している。
新型カムリ同様のエンジンを縦置きで搭載
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売れ筋となるのは、2.5Lハイブリッドで最新のカムリ用を縦置きにして搭載。最大熱効率は41%という高効率システムだ。システム出力は226psと十分で燃費は24.0㎞/Lという低燃費となった。この2.5Lハイブリッドにのみ4WDが設定された。4WDシステムは、通常は前後輪のトルクを40:60で配分。走行条件に応じて前後輪に30:70から50:50の間でトルク配分する。
新たに投入されたV6 3.5Lハイブリッド
そして、新たに投入されたのがV6 3.5Lハイブリッド。システム出力は、なんと359psを誇る。このハイブリッドシステムは、すでにレクサスLSやLCなどに採用されている有段ギヤ付きマルチステージハイブリッドだ。燃費性能は、18.0㎞/Lとまずまずの低燃費性能。しかし、残念なのは、燃料がハイオク仕様だということ。燃費が良くても、燃料費は若干アップする。
2.0Lターボは出力も燃費も平均的
新型クラウンの中で、とくにスポーティさを前面に押し出しているのが2.0L直4ターボ。245ps&350Nmというパワーとトルクを発揮。先代の燃費は13.4㎞/Lだったが、新型では車重が重くなったこともあり燃費は12.8㎞/Lと若干ダウンしている。この燃費性能は、標準的な数値。このエンジンも燃料がハイオク仕様。多少スポーティとはいえ、燃料経済性はレギュラーガソリン仕様の2.5Lハイブリッドと比べると倍近い数値になる。
この2.0Lターボは、出力や燃費もこのクラスの平均点。ユニークさに欠けるエンジンだ。走りをウリにするのであれば、ターボなのだからもう少し出力を上げるなどして、他車との差別化をすべきだろう。
大幅に進化した新型クラウンの走行性能
新型クラウンのプラットフォーム(車台)は、久しぶりに刷新された。FR用TNGAのレクサスLSなどと一部を共用している。この新プラットフォームにより、大幅に低重心化された。さらに、フードやフェンダーのアルミ化や、前後重量配分の最適化。優れた基本パフォーマンスを得た。しかも、ドイツのサーキットであるニュルブルクリンクでテストを繰り返し、徹底的に鍛え上げられた。その結果、新型クラウンの走行性能は、先代とはもはや別物といえるほど、大幅に進化した。
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新型トヨタ クラウンで、スポーティグレードであるRSには、5本スポークの18インチホイールを標準装備。専用フロントスタビライザーやリニアソレノイド式AVSも採用され、無駄な動きを抑えてよりスポーティな走行性能を得ている。2.0Lターボ車には、リヤパフォーマンスダンパーとリヤフロアブレースを追加採用。さらに優れた操舵応答性や、荒れた路面での振動感の低減を実現した。
6種類の設定が可能なドライブモード
新型クラウンには、より走りドライバーの好みに合わせることができるドライブモードセレクトを全車に標準装備。RS仕様には、Customモードを設け、パワートレーン、シャシー、空調の各制御の組み合わせを自由に選択できる。AVS装着モデルは、ECOやコンフォート、ノーマル、スポーツS、スポーツS+、カスタムと、なんと6種類の設定が可能だ。
トヨタセーフティセンスは全車標準装備に!
新型クラウンの先進予防安全装備であるトヨタセーフティセンスは、大幅に進化した第2世代となった。自動ブレーキでは、夜間の歩行者や昼間の自転車などの検知が可能になった。歩行者との衝突事故は、夜間に多いので、より実社会において効果の高い自動ブレーキとなっている。その他の機能を含めたトヨタセーフティセンスは、新型クラウンでは全車に標準装備されている。
ただし一部はまだ物足りないオプション設定
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トヨタセーフティセンスが全車標準装備されたことは、高く評価できる。ただし、トヨタは相変わらず安全装備への意識が低い。車線変更時に接近する車両を検知し、警報を発するブラインドスポットモニターや、後退時に接近する車両や歩行者を検知し自動ブレーキをかけるリヤクロストラフィックオートブレーキなどが一部の車種にオプション設定となったままだ。
こうした似た装備は、コンパクトカーのマツダ デミオでも標準装備化している。日本を代表する高級セダンであるクラウンにオプションというのは、少々情けない。またクルマは使い方を誤れば人を殺す商品だ。自動車メーカーは、こうした商品を売り利益を上げているのだから、より安全なクルマを世の中に送り出す責任がある。この程度の安全装備をケチって、高級車のクラウンにさえ標準装備化しない姿勢は、トヨタの安全に対する姿勢が疑われ、いずれブランドに傷がつくだろう。
T-Connectサービスを3年間無料で提供!
安全装備に関しては消極的だが、流行りのコネクティッドサービスには、かなり積極的だ。車載通信機DCMを全車に標準搭載し、T-Connectサービスを3年間無料で提供する。この3年間無料というのがポイントで、4年目からは有料になる。
このコネクティッドサービスでは、車両の状況をディーラーと共有。メンテナンスや修理、故障対応などのアドバイスをいち早く得ることができる。
エアバッグ作動時には自動でオペレーターに接続
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また、大きなメリットがヘルプネット。事故や急病時には専門のオペレーターが警察や消防に取り次ぐほか、エアバッグ作動時には自動でオペレーターに接続。また、車両データをもとに重症度を指定してドクターヘリ等の早期出動判断を行うD-Call Netにも対応している。
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また、従来からあった音声通話による目的地設定やホテル・レストランの予約なども対応。そして、社会貢献ともいえるのが、通れた道マップ。災害時の救援活動を支援する目的で、トヨタがDCM搭載車両等より収集した情報に基づいた通行実績情報を「通れた道マップ」として、Webサイトで無料公開している。その他、急ブレーキが多い道など、多くのデータが蓄積されれば、より円滑で安全なクルマ社会に貢献できる仕組みでもある。
新型クラウンの選び方
新型クラウンは、どのエンジンにも走り重視のRS系や乗り心地重視のG系が用意されているので、まずはエンジンを選択したい。多くの人に合うのが2.5Lのハイブリッド。パワフルさは無いが、燃費も良くレギュラーガソリン仕様で経済性は高い。RS系を選べば、それなりに走りを楽しめる。
リセールバリューが高いのはRS系
RS系はスポーティなルックスということもあり、どのエンジンでもリセールバリューが高くなると予想できる。短期間の乗り換えで、リセールバリューを重視するのならRS系がいいだろう。
速さと豪華さ重視なら3.5Lハイブリッド
とにかく速さと豪華さにこだわるのなら3.5Lハイブリッドだ。システム出力は、なんと359psにもなる。装備類も贅沢な設定になっているので、満足度も高いが、価格も最上級グレードのG-Executiveになると7,187,400円にもなる。ここまで高価になると、他の選択肢も増えてくるのが難点でもある。
普通で良いなら2.0Lターボ車
出力こそ平均点だが、最もスポーティな印象が強いのが2.0Lターボ車。燃費も出力も、このクラスの平均点で、飛びぬけてユニークな部分はない。
トヨタ クラウン価格
新型クラウンの価格は以下の通り。
クラウン2.0Lターボ車
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- B 4,606,200円
- S 4,746,600円
- S “C package” 4,941,000円
- G 5,416,200円
- RS-B 5,000,400円
- RS 5,184,000円
- RS Advance 5,594,400円
クラウン2.5Lハイブリッド価格
- S 4,978,800円
- S“C package” 5,157,000円
- G 5,621,400円
- RS 5,416,200円
- RS Advance 5,799,600円
クラウン2.5Lハイブリッド4WD価格
- S Four 5,194,800円
- S“C package” 5,373,000円
- G Four 5,837,400円
- G-Executive Four 6,323,400円
- RS Four 5,632,200円
- RS Advance Four 6,015,600円
クラウン3.5Lハイブリッド価格
- S 6,237,000円
- G-Executive 7,187,400円
- RS Advance 6,906,600円
クラウンのカタログ情報
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- 現行モデル
- 令和5年11月(2023年11月)〜現在
- 新車時価格
- 730.0万円〜830.0万円
クラウンの在庫が現在49件あります
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